【基礎知識】2歳児の言葉の発達と繰り返し言葉(エコラリア)
「うちの子、同じ言葉ばかり繰り返すけど大丈夫かな?」と心配になるママ、多いと思います。まずは2歳前後の言葉の発達の流れと、そこでよく見られる「繰り返し言葉(エコラリア)」について知っておくと安心です。
2歳児の言葉の発達段階とは?二語文が出始める時期
2歳頃になると、多くの子どもは「ママ きて」「ワンワン いた」など、二語文と呼ばれる短い文を話し始めます。これは「単語」から「文章」へステップアップする大事な時期。
ただし、このペースにはかなり個人差があります。
- 言葉が早い子は1歳半で二語文が出ることも。
- ゆっくりタイプの子は3歳近くになってから出ることもあります。
どちらも発達の範囲内なので、「うちの子まだ二語文が出てない…」と過度に不安になる必要はありません。
「オウム返し(エコラリア)」が出やすい時期の特徴
この時期によく見られるのが「オウム返し(エコラリア)」です。
ママが「ごはん食べる?」と聞くと、子どもが「たべる?」とそのまま繰り返す…そんな経験はありませんか?
これは、子どもが言葉を理解して自分のものにしようとしているサインでもあります。
- 聞いた音を真似して「発音練習」をしている
- 「会話のキャッチボール」を学んでいる
- 相手の反応を楽しんでいる
といった、いくつもの要素が重なって起こるんです。
一方で、発達特性がある子の場合、このエコラリアが長く続きやすい傾向もあります。つまり「エコラリア=発達障害」とは限らないけれど、観察しておくことは大切です。
正常発達で見られる繰り返し言葉と気になるケースの違い
では、どんな繰り返し言葉が「よくある成長の一部」で、どんなときに「気をつけたほうがいい」のでしょうか。
よくあるケース(安心して見守れるサイン)
- 言葉の真似がだんだん自分の言葉に変わっていく
- 場面に合った言葉を繰り返している(例:「おやつ」と言うときに本当におやつを見ている)
- 他の遊びや表情、身振りで気持ちを伝えることができている
気になるケース(相談を検討したいサイン)
- 言葉の意味を理解せずに機械的に繰り返すだけ
- コミュニケーションが一方通行で、会話がかみ合わない
- 指差しや身振りが少なく、言葉以外のやりとりも乏しい
こうした視点で見てみると、「心配する必要がない繰り返し」なのか、「一度専門家に相談してみてもいい状況」なのか、少し整理できると思います。
【原因解説】2歳児が同じ言葉を繰り返す5つの理由
子どもが同じ言葉ばかり口にしていると、「なんでずっと同じことを言うの?」と疑問や不安が出てきますよね。実はそこには、いくつかの理由があります。ここでは、2歳児が繰り返し言葉をする主な5つの原因をわかりやすく紹介します。
言葉を学習する過程で出る「言葉の練習」
まず大きな理由は、「言葉の練習」。
2歳はちょうど「言葉をため込む時期」です。耳から入ってきた音やフレーズを口に出して、何度も繰り返しながら「自分の言葉」として身につけていきます。
例えば、絵本のセリフを真似したり、CMのフレーズを延々と繰り返したり…。これは脳の中で言葉の回路を作っている大事なプロセスなんです。
語彙が少なく「言いやすい言葉に頼る」から
2歳前後はまだ語彙が少なく、「言える言葉」より「言いたい気持ち」の方が大きい時期。だからこそ、言いやすい言葉に頼ってしまうことがあります。
例えば、「ワンワン」「ママ」「だめ」など、口の動きがしやすく覚えやすい言葉を繰り返すことが多いです。
大人にとっては「また同じこと言ってる」と感じても、子どもにとっては「これなら安心して言える言葉」なんですね。
ママの反応を確かめる「注目・安心欲求」
同じ言葉を繰り返すのは、「ママの反応を確かめたい」気持ちから来ていることもあります。
「これを言うとママが笑うかな?」「もう一回言ったら褒めてもらえるかな?」と、安心や注目を得たい欲求が言葉の繰り返しにつながるんです。
特に2歳児は、まだ「どうやって気持ちを伝えたらいいか」を模索中。だからこそ、同じ言葉をリピートして、ママの反応を観察しているのです。
感情表現が未発達で「繰り返しにのせて伝える」
2歳は、気持ちをうまく言葉にできない時期でもあります。怒ったり不安になったりすると、繰り返し言葉に気持ちをのせて表現することがあります。
例えば、眠いときに「ねんね、ねんね、ねんね」と繰り返したり、不安なときに「ママ、ママ、ママ」と呼び続けたり…。
これは、「どうしてほしいか」をうまく言葉にできないからこそのSOSなんです。
自閉スペクトラム症など発達特性による繰り返し言葉
最後に、発達特性による繰り返しです。
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもによく見られる特徴のひとつに「エコラリア」があります。
- 相手の言葉をそのまま繰り返す
- 場面に合わないフレーズを繰り返す
- 長期間続く
といった特徴があるときは、発達障害の可能性が背景にある場合もあるんです。
ただし、ここで大事なのは「繰り返し言葉=必ず発達障害」というわけではないこと。
あくまで成長の一部の場合も多いので、気になるときは「ほかの行動や発達の様子」とあわせて観察していくことが大切です。
【ママの気持ち】なぜ同じ言葉にイライラしてしまうのか?
子どもが同じ言葉を繰り返すのは成長の一部と分かっていても、つい「もうやめてほしい…」と思ってしまうこと、ありますよね。
ここでは、ママがイライラしてしまう背景を整理してみましょう。自分の気持ちを理解できると、少し気持ちが軽くなることもあります。
子どもの繰り返し言葉で疲れてしまう心理
毎日同じフレーズを何度も聞かされると、「しつこいな」「うるさいな」と感じてしまうのは自然なことです。
特に、ママ自身が疲れていたり、家事や育児で余裕がなかったりすると、繰り返し言葉が「頭に響いてくる」こともあります。
また、繰り返し言葉には「終わりが見えない」特徴もあります。いつまで続くのか分からないからこそ、気持ちがすり減ってしまいやすいんです。
「発達障害かも?」という不安が募るとき
繰り返し言葉は「エコラリア」とも呼ばれ、発達障害の子に多く見られる特徴のひとつです。だからこそ、ママの中で「うちの子、大丈夫かな?」という不安が強まることがあります。
- 「ただの言葉の練習なのか、それとも発達の問題なのか」
- 「他の子と比べて遅れている気がする」
こうした気持ちが頭をぐるぐるしてしまうと、子どもの繰り返しそのものに敏感になり、イライラや不安が増幅されることも少なくありません。
公園や保育園での「周囲の目」が気になるストレス
さらに大きなストレスになるのが、「周囲の目」です。
公園で同じ言葉を大声で繰り返したり、保育園で先生や友達に対して同じフレーズばかり言っていたりすると、
「変に思われてないかな…」
「発達が遅れているって思われるかも」
とママの心配は膨らみます。
特に、子どもの発達に敏感になっている時期は、ちょっとした周囲の視線や言葉が心に刺さってしまうことも。
このように、子どもの繰り返し言葉そのものよりも、周囲からの評価や視線がママのストレスを増やしているケースも多いのです。
【解決策】ママのイライラを減らす具体的な対処法
「イライラしちゃだめ」と思っても、繰り返し言葉が続くとどうしても疲れてしまいますよね。ここでは、ママの気持ちが少し楽になるための具体的な工夫を紹介します。完璧にやる必要はなく、“できそうなものから取り入れる”で大丈夫です。
受け止め方を変える!「練習中」と捉えるコツ
子どもの繰り返し言葉は、実は「頭の中で言葉を組み立てる練習」です。
「また同じこと言ってる…」ではなく、「今は口のトレーニングをしてるんだな」と思えるだけで、気持ちの受け止め方が変わります。
例えば…
- 英語を勉強するときに、同じフレーズを何度も練習するのと同じ
- 自転車に乗れるようになるまで、何度も転んで練習するのと同じ
そんな風に考えると、「今は繰り返しが必要な時期なんだ」と少し冷静に見守れるようになります。
ママの心を守るセルフケア(深呼吸・家族協力・気持ちの書き出し)
イライラのコントロールには、ママ自身のセルフケアが欠かせません。
- 深呼吸:イライラしたときに「吸って、吐いて」を数回繰り返すだけでも気持ちが落ち着きます。
- 家族協力:パパや祖父母に「ちょっと代わって」とお願いして、ママが一人になる時間を確保するのも大切。
- 気持ちの書き出し:頭の中でモヤモヤしていることを紙に書き出すと、意外と冷静に見直せることもあります。
大切なのは、「ママが休むことも子育ての一部」と考えること。頑張りすぎない工夫を意識しましょう。
繰り返し言葉を広げる関わり方(プラス1語・絵本・歌あそび)
繰り返し言葉にただ付き合うだけだと、ママのストレスがたまりがちです。そこでおすすめなのが、言葉を少しずつ広げる関わり方です。
- プラス1語法:「ワンワン」と言ったら「ワンワン かわいいね」と一語加えて返す
- 絵本:子どもが気に入ったフレーズを繰り返すのに合わせて、親も楽しそうに言ってあげる
- 歌あそび:「ことば+リズム」がセットになると、子どもも真似しやすく、繰り返しが遊びに変わります
こうすることで、「同じ言葉の繰り返し」から「新しい言葉につながるステップ」に変えていけます。
遊びや生活の中で自然に言葉を増やす方法(積み木・絵カード・外遊び)
遊びや生活の中にちょっとした工夫を加えると、自然に語彙を広げられることがあります。
- 積み木遊び:「高いね」「もう1個」など、遊びに合わせて短い言葉を繰り返す
- 絵カード:好きな絵を指差しながら「りんご」「赤いりんご」と少しずつ言葉を増やす
- 外遊び:公園で「ブランコ」「すべる」「バイバイ」など、行動と結びつけた言葉を使う
大切なのは、「教え込む」のではなく子どもが楽しめる場面で自然に言葉を増やしていくことです。
【相談目安】専門家に相談したほうがよいサイン
「繰り返し言葉って大丈夫なのかな?」と悩んでいても、どこまでが成長の一部で、どこから専門家に相談すべきなのかは分かりにくいですよね。
ここでは、相談を考えたほうがいいサインを3つ紹介します。もちろん「絶対に発達障害です」という判断ではなく、あくまで相談のきっかけになる目安として捉えてくださいね。
コミュニケーションが一方通行で会話が成立しない
2歳くらいなら、まだ会話がスムーズに続かなくても自然なことです。でも、
- 質問してもオウム返しばかりで答えにならない
- 相手の言葉を理解していないように感じる
- やりとりが全く続かない
といった場合は、言葉のキャッチボールが成立していない可能性があります。
これは単なる言葉の遅れだけでなく、コミュニケーション全体の発達に関わるサインかもしれません。
言葉以外の発達(指差し・模倣遊び)が遅れている
子どもの発達をみるときは、言葉だけでなく「言葉以外のやりとり」もとても大事です。
例えば、
- 指差しで「これ見て!」と伝える
- ママの動作を真似して遊ぶ(拍手・手遊びなど)
- ごっこ遊びを楽しむ
こうした行動は、「相手と気持ちを共有する力」につながっています。
もしこれらがあまり見られなかったり、年齢に比べて極端に少なかったりする場合は、言葉以外の発達も一緒に確認してみる必要があります。
強いこだわりや感覚過敏があり日常生活に支障が出ている
繰り返し言葉そのものよりも、日常生活に影響が出ているかどうかも大切な視点です。
例えば、
- 同じ言葉やフレーズを延々と繰り返さないと落ち着けない
- 特定の順番ややり方に強くこだわって崩れると大きな癇癪になる
- 音や光、服の素材などに過敏に反応して生活に支障がある
こうした場合は、発達特性が関係している可能性があります。
もちろん、こだわりや敏感さはどの子にも多少はありますが、それが生活に大きなストレスになっている場合は専門家に相談する価値があるんです。
【支援法】療育や専門機関でできること
「もしかして発達特性があるのかな?」と不安になったとき、専門機関や療育に相談してみると、具体的な支援の方法や子どもの得意・不得意が分かることがあります。ここでは、代表的な支援の内容を紹介します。
言語療法(ST)での支援内容と効果
言語聴覚士(ST)による支援は、言葉の発達に心配がある子どもにとても有効です。
STの先生は、子どもの「聞く・話す・やりとりする力」を評価しながら、その子に合ったトレーニングをしてくれます。
例えば…
- 発音の練習を遊びの中で取り入れる
- 指差しや絵カードを使って「伝えたい気持ち」を表現できるようにする
- 短い会話のやりとりを繰り返してコミュニケーションの流れをつかむ
専門家に関わってもらうことで、家庭では気づきにくい「得意・苦手」が明確になるのも大きなメリットです。
療育で実践される遊びや支援(絵カード・ターンテイキング)
療育の場では、遊びを通して子どもの発達をサポートします。
よく取り入れられるのは、
- 絵カード:モノや気持ちをカードで見せて「ことばの理解」を助ける
- ターンテイキング(順番のやりとり):ボール転がしやおもちゃの貸し借りで「順番を待つ・交代する」経験を積む
- ごっこ遊び:役になりきることで「相手と関わる楽しさ」を学ぶ
これらの支援は、「ことば」だけでなく、対人関係や気持ちのコントロールにもつながるんです。
保育園・幼稚園との連携で子どもが安心できる環境づくり
家庭や療育の場だけでなく、保育園・幼稚園との連携もとても大切です。
- 保育者に「繰り返し言葉が多いけど成長の一部」と共有する
- 困りやすい場面(集団活動・音の刺激など)を事前に伝えておく
- 子どもが安心できる声かけや配慮を園と一緒に考える
こうした連携があると、子どもが家庭と園の両方で一貫した支援を受けられるので、安心して過ごしやすくなります。
また、園の先生は日々多くの子どもと関わっているので、第三者の視点からの気づきをもらえるのも大きなメリットです。
【安心のヒント】ママが前向きに子育てするために
繰り返し言葉が続くと、「どうしてうちの子だけ…?」と落ち込んでしまうこともありますよね。ここでは、ママが少しでも安心して、前向きに子育てできるためのヒントをお伝えします。
完璧な対応は必要なし!「できる範囲」でOK
子どもの発達に良いことを全部やらなきゃ!と頑張りすぎると、ママが疲れてしまいます。
実は、完璧な対応なんて必要ありません。
- 気分がいい時だけ声かけを工夫する
- イライラした日は「今日は休もう」と割り切る
- 「また同じ言葉だね」と軽く流すだけでも立派な対応
ママが笑顔でいられることが、子どもにとって一番の安心材料なんです。だからこそ、「できる範囲」で十分なんですよ。
「繰り返し言葉=成長途中」と考える視点
繰り返し言葉は、ママにとってはストレスでも、子どもにとっては言葉を育てる大事な練習です。
「また同じことばっかり!」ではなく、「あ、今ことばを吸収しているんだな」と視点を変えてみると、少し安心できるはずです。
例えば…
- 「ママ」ばかり繰り返すのは、大好きな存在を確かめたい気持ちかもしれません
- 「バス!バス!」と連呼するのは、興味や喜びを共有したいサインかもしれません
こう考えると、繰り返し言葉が子どもなりの成長の証拠に見えてきますよね。
同じ悩みを経験したママの体験談と安心できる声
実際に、同じような悩みを抱えたママたちからはこんな声もあります。
- 「2歳の頃は同じ言葉ばかりで心配だったけど、3歳になったら自然に会話が広がった」
- 「療育で先生に相談したら『よくあることです』と言われてホッとした」
- 「うちの子も繰り返しが多かったけど、今は小学生で元気に友達と話しています」
こうした先輩ママの声を聞くだけでも、「うちの子だけじゃないんだ」と安心できますよね。
まとめ|2歳児の繰り返し言葉は成長の一歩
子どもが同じ言葉を繰り返す姿を見て、つい「どうして?」「大丈夫かな?」と不安になったり、イライラしてしまったりするのは自然なことです。でも、2歳児が言葉を繰り返すのは「学習」や「発達」の一環であることが多いんです。オウム返しのような言葉の真似も、実は自分の言葉を増やしていくための大切な練習なんですね。
とはいえ、毎日続くとママの心が疲れてしまうのも事実。イライラするのは決して悪いことではなく、自然な感情です。その気持ちを否定せずに、「工夫して軽くしていこう」と思えるだけで、気持ちはずいぶん違います。例えば、「今日は聞き流そう」「返事はできる時だけでいい」と割り切ることも立派な対応です。
一方で、繰り返し言葉の背景には発達特性が関係している場合もあるので、気になるサインが見られるときは専門家に相談してみるのも安心材料になります。「うちの子は大丈夫かな?」と一人で抱え込むより、早めに話を聞いてもらうことで、安心につながったり、必要なら支援につながったりすることが多いんです。
結局のところ大切なのは、ママ自身が「知識」+「工夫」+「相談先」を持っていること。
- 知識があれば「今の発達段階だから大丈夫」と安心できる
- 工夫があれば「こう対応すればイライラを減らせる」と自分を守れる
- 相談先があれば「困ったときは頼れる」と心に余裕ができる
この3つを持っているだけで、子育てが少しラクになります。
繰り返し言葉は、成長のステップのひとつ。
ママが安心できれば、その安心感は子どもにも伝わります。焦らず、一歩ずつ見守っていきましょう。
以上【2歳児が同じ言葉を繰り返す理由は?発達とママのイライラ対処法まとめ】でした
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