自閉症の子が話さないとき…親が今できる大切なこと5選

お子さんがなかなか話さないと、「大丈夫かな?」「いつか話してくれるのかな…」と不安になりますよね。
特に自閉症の特性がある場合、ことばの発達のスピードや伝え方がまわりの子と違って見えることもあり、戸惑いは大きいかもしれません。

でも、「話さない=育っていない」わけではありません。
実際には、表情、しぐさ、視線など、ことば以外でも気持ちを伝えようとする姿が見えてくることが多いんです。

では、そんなときに親ができることって何でしょうか?
この記事では、自閉症の子が話さないときに家庭でできる5つの関わり方を、わかりやすく紹介していきます。
子どものペースに寄り添いながら育ちを見守りたい方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。

目次

はじめに

「自閉症の子がなかなか話してくれない…」
そんな悩みを抱えている親御さんは、実はとても多いんです。

同じ年頃の子が「ママ」「これして」などと話しているのを見ると、
「うちの子もそろそろ話してくれるはず…」と思いつつ、
言葉が出ないまま時間が過ぎていくと、不安になって当然ですよね。

でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
“話さない=コミュニケーションできていない”ではありません。
そして、“話さない=発達が遅れている”とも言い切れないのが、自閉症の子どもたちの特徴でもあります。

そもそも「話す」って、声に出すことだけではないですよね。
目を見て何かを伝えようとしたり、好きなおもちゃを持ってきたり。
それらも全部、立派な“ことば”なんです。

また、自閉症の子どもたちは、ことばの発達の順序が定型発達と異なる場合が多く、
「今は話さなくても、後から一気に言葉が出てくる」なんてこともよくあります。

この記事では、そんな自閉症の子が「話さない」ときに、
親として“今”できることを5つにしぼってご紹介していきます。

押しつけでも、焦りでもない、
「その子らしさ」を大切にする関わり方に、ぜひ一緒に目を向けてみませんか?

子どものペースを尊重しながら、今できることを少しずつ。
その一歩が、未来につながる大切な土台になりますよ。

どうして話さないの?自閉症の子の「ことばの壁」とその理由

自閉症の子が話さないとき、親としてはとても心配になりますよね。
「耳は聞こえているはずなのに…」「理解してるように見えるのに…なんで話さないの?」って。
でも、ちょっと視点を変えてみると、“話さない”という状態にも、ちゃんと理由があるんです。
ここでは、自閉症の子が“話さない”背景にある考えられる理由を、3つの角度から解説していきます。

言葉より感覚が得意?自閉症の子の脳の働きとは

自閉症の子どもたちは、「言葉よりも視覚や感覚で世界を理解している」と言われています。
たとえば、絵や写真、音、動きといった“目で見えるもの”や“感じられるもの”のほうが得意
なことが多いんです。

これは脳の特性によるもので、
言葉を聞いて理解し、それを口に出して話すまでのプロセスがスムーズにいかないことがあります。
だから、「話さない=何も考えていない」わけではなく、
頭の中ではしっかり理解しているのに、うまく表現できないということがあるんですね。

また、聴覚や言語処理の部分が過敏だったり、逆に鈍感だったりすることもあるので、
聞こえているようで聞き取りづらかったり、周囲の音が混ざってしまって何を言われているかわからない、
なんていうケースもあるんです。

話さない?話せない?実はまったく違う2つのケース

よくある誤解が、「話さない=話せない」と思ってしまうこと。
でも実は、この2つは全然違う状態なんです。

  • 話せる力はあるけど、自分から話そうとしない(=話さない)
  • 話す力自体がまだ育っていない(=話せない)

この違い、すごく大きいと思いませんか?

たとえば、自閉症の子の中には、
「言葉を使うことに意味を感じていない」「何を話していいのかわからない」という理由で、あえて話さない子もいます。
一方で、本当にまだ言葉が出てくる段階まで発達していない子もいます。

この判断って、実は専門家でも慎重に見ていく部分なんです。
だからこそ、一人で抱え込まずに、言語聴覚士や発達の専門機関と連携していくことが大切なんですね。

正解はひとつじゃない!発語のタイミングは人それぞれ

発語のタイミングって、個人差がとにかく大きいんです。
たとえば、2歳でペラペラ話す子もいれば、5歳になって初めて「ママ」と話す子もいます。

自閉症の子は特に、「自分の中で納得しないと発語につながらない」タイプの子が多いので、
周囲がいくら促しても、本人の中に“話したい気持ち”が芽生えるまでは時間がかかることも。

中には、5歳や6歳で突然話し出すケースもありますし、
逆に、ずっと言葉が出なくてもジェスチャーや視線で豊かに気持ちを表現している子もいます。

だからこそ、親が「他の子と比べない」「この子のペースを大事にする」っていう姿勢がすごく大切。
発語は“ゴール”ではなく、“手段のひとつ”なんです。

よく「いつになったら話すの?」という不安な声を聞きますが、
実はその問いよりも、「今、どんな方法で気持ちを伝えてくれているんだろう?」という視点のほうが、
子どもの育ちを丁寧に見守るヒントになりますよ。

焦らなくて大丈夫!今すぐできる親の関わり方5つのヒント

「なんで話さないの?」「どうやったら話してくれるの?」
そんなふうに悩んでしまうのは、親なら当然です。

でも、焦ってしまうと逆に子どもにプレッシャーをかけてしまい、“話すこと”自体がイヤになってしまうことも…。

ここでは、今すぐ家庭でできる、“話すこと”にこだわりすぎない5つの関わり方をご紹介します。
どれもすぐに始められることばかりなので、今日からぜひ取り入れてみてくださいね。

① 言葉以外の「伝え方」を見逃さないで!

自閉症の子は、言葉を使わなくてもいろんな方法で気持ちを伝えてくれているんです。
たとえば…

  • おもちゃを渡してくる
  • ドアの前に立ってジーッと見る
  • お菓子の袋を持ってウロウロする

これ、全部「伝えようとしてる」サイン。
言葉ではなく、行動や表情でコミュニケーションをとろうとしている証拠なんです。

そんなときは、「これ食べたかったんだね!」「お外に行きたいの?」と、
大人が“翻訳者”になってあげるようなイメージで関わってあげるのがポイントです。

② 「話してほしい」気持ちをぐっとこらえて安心感を!

「なんでしゃべってくれないの?」ってつい言いたくなっちゃいますよね。
でも、“話してほしい”という気持ちが強すぎると、子どもに伝わってしまいます。

自閉症の子は、周囲の雰囲気にとても敏感。
親の「話させなきゃ!」という空気を感じてしまうと、かえって話す意欲が下がってしまうこともあります。

だからこそ、まずは安心できる空気をつくることが大切
「話さなくても大丈夫」「あなたはそのままでいいよ」というメッセージを、日常のやりとりで伝えていきましょう。
子どもが心を開く土台が整えば、言葉も自然と育っていきます。

③ 声じゃなくてもOK!小さな“サイン”に気づいて応えてあげよう

言葉にならない“サイン”って、本当にたくさんあります。

  • 目を合わせてくれる
  • 同じ動きを繰り返す
  • 笑顔でこちらを見てくる

こうした行動も、実は子どもなりの「やりとりしたい」というサインなんです。
大切なのは、こうした“サイン”を見逃さず、すぐに反応してあげること。

「見てくれたね〜」「笑ってくれた!嬉しいな」といった声かけで、
「伝えたらちゃんと返ってくるんだ」と実感できる体験を積み重ねていきましょう。

④ 一緒に遊ぶだけで言葉の芽が育つ!“好き”を共有しよう

「どうやって話す練習をすればいいんだろう?」と考えがちですが、
実は、無理に“言葉の練習”をしなくてもOKなんです。

それよりも効果的なのが、子どもの“好き”に寄り添って、一緒に楽しむこと。
たとえば、好きなキャラクターのぬいぐるみ遊びや、電車のおもちゃ、音楽に合わせて体を動かす遊びなど。

子どもが楽しい!と感じる時間の中には、自然とことばのきっかけが生まれます。
「もう一回!」「これやって!」という気持ちが芽生えたとき、初めて言葉が出てくることも。

遊びの中にこそ、言葉のタネがたくさん落ちているんです。

⑤ ひとりで抱えないで!専門家とつながるという選択肢

「家庭でできることをがんばらなきゃ!」と思うほど、
うまくいかないときの落ち込みも大きくなりますよね。

でも大丈夫。あなたがひとりで全部抱える必要はありません。

言葉の遅れが気になるときは、
言語聴覚士(ST)や発達支援センターなど、専門家のサポートを受けることがとても効果的。

  • 客観的なアセスメントを受ける
  • 適切なアプローチ方法を知る
  • 親としての悩みや不安を共有できる

など、プロとつながることで見えてくる新しい視点がたくさんあります。

「相談=問題行動」ではありません。
「もっとこの子のことを理解したい」からこそ、プロに頼ることは前向きな一歩です。

以上の5つのヒントは、どれも「特別な道具や知識が必要」というものではなく、
今日からおうちでできる、あたたかい関わり方ばかり。

子どもが話す前に、“伝えたい”気持ちを育てる土台づくりから、ゆっくり始めてみましょう。
焦らなくて大丈夫。あなたのまなざしと関わりが、いちばんの支えになります。

やってしまいがち…「話さない子」へのNG対応とは?

子どもがなかなか話さないと、「どうにかして言葉を引き出したい!」って思っちゃいますよね。
でも実は、“良かれと思ってやっていること”が、子どもの気持ちにブレーキをかけてしまうこともあるんです。

ここでは、ついやってしまいがちなNG対応とその理由を、わかりやすくお伝えします。
「やってたかも…」と気づいたときが、関わり方を見直すチャンスですよ◎

「話しかければ話すようになる」は間違い?

「とにかくたくさん話しかければ、いつか話すようになるはず!」
…これ、実はちょっと危険な思い込みかもしれません。

もちろん、やさしい声かけや語りかけは大事です。
でも、子どもにとって“ことば”がまだしっくりこない状態のときに、
一方的にたくさん話しかけられると、逆に情報が入りすぎて混乱してしまうこともあるんです。

とくに自閉症の子は、音の情報処理が苦手だったり、聴覚過敏があったりする場合も。
そういうときに、早口や長文で話しかけられると、
「何を言われているのか分からない」「どう反応すればいいのか分からない」と戸惑ってしまうんですね。

大切なのは、子どもの“反応する余白”をちゃんと残すこと。
話しかけるときは、短く・ゆっくり・間を空ける、これがポイントです。

言葉を無理に引き出すのは逆効果!その理由とは

「○○って言ってごらん!」「言わないとわからないよ」
このような声かけも、つい言ってしまいがちですが、実はプレッシャーになっている可能性大。

特に、自閉症の子どもにとって“言葉を話す”というのは、
私たちが思っている以上にエネルギーが必要なことだったりします。

それを無理に引き出そうとすると、

  • 子どもが緊張してしまう
  • 話すことへの苦手意識が強くなる
  • 親とのやりとりが「苦しい時間」になってしまう

などのマイナスの連鎖が起きてしまうこともあるんです。

本当に大事なのは、「話させる」ことよりも「伝えたいと思える関係性を育てる」こと。
話してくれなくても、「伝えてくれてありがとう」と受け止めてあげる関わりが、長い目で見て大きな力になります。

あの子と比べて落ち込んでいませんか?比べない子育てのすすめ

公園や保育園で他の子がペラペラ話しているのを見ると、
「うちの子はどうして…?」と不安になってしまうのも、親として自然な感情です。

でも、“比べる子育て”って、実はすごく消耗するし、意味がないことも多いんです。

自閉症の子どもたちは、発達の進み方もペースも本当にバラバラ。
「この子なりの順番・ステップ」があるんです。

それに、言葉は出ていなくても、

  • 相手の行動を観察している
  • 表情が豊かになってきた
  • 好きな遊びを通して関わりが増えてきた

など、“ことば以前の育ち”が着実に進んでいることもよくあります。

比べるなら、「昨日のこの子」と「今日のこの子」。
小さな変化に気づけるようになると、子育てがぐっと楽しくなるはずです。

「やっちゃいけないことを知る」って、
実は「子どもともっと心地よく関われるヒントを知る」ことでもあるんです。

話すことを焦らず、今この瞬間の子どものサインに目を向けてみる。
それが何よりの第一歩です。

「話さないけど育ってる」子どもの成長サインに気づこう!

「言葉が出ないと、成長してないのかな…?」って不安になること、ありますよね。
でも実は、“話さない”という状態でも、子どもはしっかり育っているんです。

子どもの成長って、「ことば」だけじゃ測れないもの。
その子なりのペースで進んでる“見えにくい変化”に気づけると、
毎日の関わりも少しずつ前向きになれるかもしれません。

ここでは、「ことばがなくても育っている」サインと、
それを育てるための「安心できる環境」づくりの大切さについて見ていきましょう。

ことばがなくても伝わってくる!子どもなりの“がんばり”を見つけよう

言葉が出なくても、よく観察してみると、
「この子なりに伝えようとしてる!」という瞬間がたくさんあります。

たとえば…

  • 好きなものを指差して見せてくれる
  • こっちを見て笑ってくれる
  • 自分でできることが増えてきた
  • 「イヤ!」を態度でしっかり伝えてくる

こうした行動って、全部“自分の気持ちを外に出そうとする力”のあらわれなんです。
そしてそれは、コミュニケーションの土台になる大事な力。

言葉が出るのはまだ先でも、
「伝えたい」「関わりたい」という気持ちが芽生えていれば、それだけで立派な“育ち”なんですよ。

子どもの小さな変化やがんばりを見つけて、
「わかるよ」「そうだったんだね」と受け止めてあげること。
それだけでも、子どもは“ちゃんと伝わった”という安心感を得ることができます。

言葉が育つ前に必要なのは「安心できる居場所」だった!

実は、言葉が出るためにいちばん大事なのは、“安心できる環境”なんです。
それは、専門的にも言われていること。

子どもは、「自分は受け入れられている」「ここにいていいんだ」と感じられたときに、
やっと“話す準備”が整っていきます。

逆に、毎日ピリピリした雰囲気だったり、
「なんで話さないの?」という圧を感じていたら、
話すどころか、心を閉ざしてしまうことも。

安心感って、特別なことをしなくてもつくれるんです。たとえば…

  • 子どもが見てる方向に「気づいてくれた」と思えるリアクションを返す
  • 無理に話しかけず、そばに静かに寄り添う
  • 好きなことを一緒に楽しむ時間をつくる

こうした何気ない日常の中で、
子どもは「ここなら大丈夫」「自分を出していいんだ」と感じていきます。

そして、その安心感の土台があってこそ、ことばの芽が伸びてくる。
まずは、「話すこと」よりも「安心していられる関係づくり」から始めてみましょう。

「話さない=成長していない」じゃない。
むしろ、ことばがなくても伝わってくるものがあるって、とても素敵なことです。

親がそのサインに気づいてあげることこそが、
一番のコミュニケーションであり、
子どもにとって何よりの“育ちのエネルギー”になりますよ。

わが子の「言葉の第一歩」~2つのリアルな体験談~

「本当にこの子、いつか話してくれるのかな…?」
そんな不安を抱えながら日々向き合っている方にとって、実際に“言葉が出てきた子”の体験談はとても参考になると思います。

もちろん子どもによって状況はさまざまですが、
どの子にも共通していたのは、“焦らず、待ってくれる大人の存在”と“その子らしいきっかけ”があったこと。

ここでは、実際に「話さなかった」時期を経験したふたりのお子さんのストーリーをご紹介します。

3歳で言葉が出始めたAくん|好きなものがきっかけに

Aくんは、2歳の頃はまったく発語がなく、
名前を呼んでも振り向かないことも多かったそうです。

でも、あるとき急に反応を見せるようになったのが、大好きなアニメのキャラクター。
そのキャラの歌が流れた瞬間、笑顔になってテレビの前に駆け寄る姿が何度も見られたそうです。

そこからは、そのキャラの名前を何度も繰り返して見せたり、絵を一緒に描いたりするうちに、
ついに3歳の誕生日の直前、「アンパンマン!」と初めての言葉が出たのだとか。

お母さん曰く、
好きなものを通して“ことば”が意味を持った瞬間だったと思います。無理に話させようとせず、“好き”を軸に遊んでいたのがよかったのかも」とのこと。

このケースから学べるのは、
“その子が心から好きなもの”が、ことばのスイッチになる可能性があるということ。
ことばの練習よりも、好きな世界に寄り添うことが大きなきっかけになることがあるんですね。

5歳まで話さなかったBちゃん|毎日の積み重ねが実を結んだ瞬間

Bちゃんは、療育にも通っていたけれど、4歳を過ぎてもまったく発語がないままでした。
ご家族も「もしかしたらこの子は一生話さないかも…」と覚悟していたそうです。

それでも、お母さんはあきらめずに、
毎日決まった時間に絵カードを見せたり、日常の動作に名前を添えて話しかけたりしていました。
「手を洗うよ」「バナナ食べる?」など、無理のないシンプルな言葉を、やさしく繰り返す日々。

するとある日、Bちゃんが冷蔵庫を指差して、ポツリとひとこと。
「ジュース」

それは家族にとって、まさに魔法のような瞬間だったそうです。

それからも話す言葉の数は少しずつですが、
「ことばで伝える」ことが自信になり、自己主張もできるようになっていったとのこと。

このエピソードからわかるのは、
「毎日の小さな積み重ねが、ある日“つながる”ことがあるということ。
すぐに結果が出なくても、子どもの中ではちゃんと言葉の準備が進んでいるのかもしれません。

どちらのケースにも共通していたのは、

  • 子どものペースを信じて待つ
  • 好きなものや興味に寄り添う
  • 無理に話させようとしない

という、あたたかい関わり方でした。

「話さない時期がある=育っていない」ではありません。
その間も、子どもなりに“ことばを育てる土台”を一生懸命つくっているんです。


体験談はあくまで一例ですが、
「焦らなくても大丈夫」という安心感につながればうれしいです。
今はまだ話していなくても、お子さんの“言葉の第一歩”は、きっと近づいていますよ。

専門家が答える!「話さない」に関するよくある質問Q&A

「誰に相談すればいいのかわからない…」
「自分の対応、これで合ってるのかな?」

そんな不安を感じている方のために、“話さない”ことに関するよくある疑問を、専門的な視点も交えながらQ&A形式で解説していきます。
専門機関に行く前に知っておきたいこと、家庭でできることのヒントにもなればうれしいです。

Q. 何歳までに話さなければ心配すべき?

これは本当によく聞かれる質問です。でも結論から言うと…
「●歳までに話さないとダメ」という明確なラインはありません。

ただし、一般的な目安としてはこんな感じです:

  • 1歳半ごろで意味のある言葉が出ていない場合は、一度相談してもよいタイミング。
  • 2歳を過ぎてもほとんど発語がない、または言葉の理解が弱い場合は、早めに発達の専門家に相談してみるのがおすすめ。

大切なのは、「話していない」ことそのものよりも、
・他の子どもとのやりとりに興味があるか?
・名前を呼ばれたときに反応するか?
・身振りや視線など、ことば以外で伝えようとしているか?

といった“ことば以外のコミュニケーションの育ち”も一緒に見ていくことです。

不安があれば、早めに相談=早めの安心につながるので、遠慮せず支援機関に問い合わせてみましょう。

Q. おうちでできる言葉のサポートはある?

はい、たくさんあります!
しかも、特別な道具や教材がなくても、日常生活の中でできることばかりなんです。

たとえば:

  • シンプルな言葉で、行動に合わせて声かけする(例:「パン食べるよ」「おくつはこうね」)
  • 絵本を一緒に見て、指差しやリアクションに反応してあげる
  • 子どもの興味に合わせた言葉を“楽しみながら”繰り返す(例:「ブーブーきたね!」「ぴょーん!した!」)

ポイントは、「話させる」じゃなくて「話したくなる」関係をつくること。
無理に言わせるのではなく、安心して“まねしたくなる”・“伝えたくなる”ような環境を整えることが大切です。

そして、言葉が出なくても、指差しや視線などを“伝える手段”として認めてあげることも、大事なサポートになりますよ。

Q. 兄弟と遊ばせたら効果あるの?

これはとても良い質問です。
実際、兄弟姉妹とのやりとりは、ことばや社会性を育てる大きなチャンスになることがあります。

特に、自閉症の子が言葉を学ぶうえで、

  • 自然なやりとりのモデル(兄や姉の言葉づかい)を身近で見られる
  • 遊びやケンカを通して、“伝えたい!”という気持ちが芽生える
  • 自分のペースで関わりやすい関係性

といった、無理のないかたちでの“ことばの刺激”を受けられる環境になりやすいです。

ただし、無理に一緒に遊ばせようとするよりも、
お互いに心地よい距離感で過ごせるようにサポートするのがベスト。

また、兄弟姉妹の年齢や性格にもよるので、必要に応じて専門家と一緒に関わり方を考えるのもおすすめです。

「これってうちの子にも当てはまるかも」と思えることがあれば、
焦らず、できるところから少しずつ取り入れてみることが大切。

子どもの発達は“目に見える変化”だけじゃなく、
目に見えないところでも確実に進んでいるという視点を忘れずに、日々の関わりを積み重ねていきましょう。

「話すこと」だけがゴールじゃない!今を一緒に歩もう

ここまで、「自閉症の子が話さないとき、親が今できること」をいろんな角度からお話してきました。
不安な気持ち、焦る気持ち、きっと誰しも感じるものですよね。
でも、そのたびに思い出してほしいことがあります。

それは、「話すこと」だけがゴールじゃないということ。
そして、ことば以外にも、子どもが一生懸命“育っている”証はたくさんあるということです。

たとえば…

  • 目が合うようになった
  • 指差しで気持ちを伝えようとする
  • 好きな遊びを通して人と関わろうとする

これらはすべて、ことばに向かう“前段階の育ち”であり、
大人が見逃さずに応えてあげることで、次のステップにつながっていく大切なサインなんです。

それに、子どもによって成長のスピードや順番は本当にバラバラ。
「この子にはこの子のペースがある」って思えるだけで、親の気持ちもぐっとラクになります。

ことばより大切なものがあることに気づこう

子育てって、つい“できること”に目がいきがち。
でも、「ことばが出た・出ない」にとらわれすぎると、本当に大切な“心のつながり”が見えにくくなることもあります。

実は、ことばよりももっと大切なのは、
「自分の気持ちを受け止めてもらえた」と子どもが感じられる経験。
そして、「この人と一緒にいたいな」と思える安心感なんです。

そうした関係が育っていけば、ことばはあとからちゃんとついてくる。
あるいは、ことばじゃなくても子どもなりの“伝える力”がしっかり育っていくんです。

親子で一歩ずつ、“その子らしさ”を大切に育てていこう

これからも、きっと思い通りにいかないことはあると思います。
でもそのたびに、「この子にとって、今いちばん必要なことは何だろう?」と立ち止まって考えられる親でいられたら、それだけで十分です。

子どもは、話さない時期にもちゃんと育っている。
そして、親もまた、悩みながら一緒に育っているんです。

大切なのは、“ことば”ではなく“つながり”。
そして、完璧じゃなくてもいいから、「その子らしさ」を尊重するまなざしです。

今日から、ほんの少し意識を変えて、
「ことばが出たか」よりも、「どんなふうに伝えようとしているか」に目を向けてみてください。
きっと、見えてくるものが変わってくるはずです。

あなたの関わりが、子どもの未来の土台になります。
一緒に、ゆっくり、一歩ずつ。
“話さない”今も、かけがえのない育ちの時間です。

さいごに

お子さんがなかなか話さないとき、「どうして?」「いつ話すようになるの?」と不安になることは、決して特別なことではありません。ですが、“話さない=育っていない”わけではないということを、ぜひ心に留めておいてください。

今回ご紹介した5つの関わり方――
言葉以外の表現を受け止めること
安心できる雰囲気をつくること
小さなサインに気づいて応えること
“好き”を通して関わること
必要なときは専門家に頼ること

これらはどれも、今すぐに親子で始められる大切なステップです。
言葉が出る・出ないよりも、「伝えたい」「わかってほしい」という気持ちのキャッチボールを続けていくことが、未来につながる道になります。

お子さんのペースに寄り添いながら、焦らず、一歩ずつ。
今日できることを、少しずつ積み重ねていきましょう。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

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