支援者必見!「ソーシャルストーリー」の効果がグッと高まる使い方と実践テクまとめ

目次

その支援、本当に伝わってる?「ソーシャルストーリー」で変わる支援のカタチ

子どもがなかなかルールを守れない。
何度言っても同じ行動を繰り返す。
突然パニックになってしまい、対応に困ってしまう…。

発達が気になる子どもと関わる支援者の中には、こうした「伝わらないもどかしさ」を感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。がんばって言葉で説明しても、うまく届かない。叱ることになってしまい、自分自身も疲れてしまう…。
そんなときこそ試してほしいのが、「ソーシャルストーリー」という支援ツールです。

ソーシャルストーリーとは、ある特定の状況で「どう行動すればいいか」をわかりやすく伝える物語形式の支援方法のこと。
とくに、自閉スペクトラム症(ASD)など、見通しを立てるのが苦手な子どもにとって有効とされており、アメリカのキャロル・グレイ氏が開発したことで知られています。

ただの「お話」だと思うなかれ。
このソーシャルストーリー、使い方しだいで子どもの行動がグッと変わることもあるんです。
たとえば――

  • 「朝の支度が進まない子どもが、スムーズに登園できるようになった」
  • 「友だちとのトラブルが減り、自分から謝れるようになった」
  • 「避難訓練でパニックになっていた子が、落ち着いて行動できた」

こういった変化は、決して特別なことではありません。
子どもの理解の仕方に合わせて、伝え方を工夫するだけで、支援の成果は大きく変わってくるのです。

でも一方で、
「うまく作れない」「効果があるのかわからない」「どう活用すればいいの?」
そんな疑問や不安の声もよく耳にします。

そこでこの記事では、ソーシャルストーリーの基本から、効果的な作り方・活用法、よくある失敗とその対策まで、支援者に必要な実践知識をまるっと解説します。

ソーシャルストーリーってなに?意味・背景・他支援法との違いをやさしく解説

子どもが困っているとき、どうしたら「伝わる支援」ができるのか?――この問いに向き合う中で、いま改めて注目されているのが「ソーシャルストーリー」です。

「名前は聞いたことあるけど、結局どんなもの?」「ほかの視覚支援とどう違うの?」という方のために、まずはソーシャルストーリーの基本からやさしく解説していきます。

支援の現場で注目されるワケ!ソーシャルストーリーの原点とは

ソーシャルストーリー(Social Stories®)は、1991年にアメリカの教育者キャロル・グレイ氏によって開発された支援方法です。
彼女は、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもと接する中で、「その子の視点で“世界の見え方”を伝えられたら、行動は変わるのでは?」という発想からこのアプローチを生み出しました。

ソーシャルストーリーは、ある特定の状況で「どんな行動が望ましいか」「なぜそうするのか」などを、短いお話のかたちで伝える支援ツールです。
特徴は、子どもが安心できる優しい言葉で構成されていること
叱るのではなく、教える。強制ではなく、理解を促す。そんな姿勢がベースになっています。

例えば、「トイレのあとには手を洗おうね」という行動指導をするときに、ただ「洗って!」と注意するのではなく、
「トイレを使ったあとは手にバイキンがついていることがあるよ。だから、手を洗うと安心なんだね。」と背景の理解も含めて丁寧に説明する
これがソーシャルストーリーの基本的な考え方です。

つまり、「なぜそうするのか」を納得しながら学べるから、行動変容につながりやすいんですね。
支援の現場で注目される理由は、まさにここにあります。

視覚支援との違いは?絵カードやスケジュールとの比較でスッキリ理解

ソーシャルストーリーを語るときに、よく混同されがちなのが「視覚支援」です。
特に絵カードやスケジュール表との違いがわかりにくい…という声も少なくありません。

では、なにが違うのか?わかりやすく比較してみましょう。

支援ツール目的特徴向いている場面
絵カード指示・確認単語や行動を絵で表現する今やることの提示、選択肢の提示など
スケジュール表流れの予告・見通し提示一日の流れを順序立てて示す活動前の見通し、不安軽減
ソーシャルストーリー状況理解・社会的スキル学習お話形式で行動や背景を丁寧に説明ルール理解・トラブル対応・社会的状況の学習など

視覚支援全般が「何をするか、どう動くかを“見える化”する手段」なのに対して、
ソーシャルストーリーは“なぜそうするのか”まで含めた、子どもに寄り添う支援方法です。

言い換えると、絵カードやスケジュールは「行動のナビ」、ソーシャルストーリーは「心の準備や納得感を支える物語」という感じです。

また、ソーシャルストーリーは絵カードやスケジュールと“併用する”ことでさらに効果を発揮することも多いです。
たとえば、「これからトイレに行くよ」というスケジュール提示と一緒に、「トイレに行くとどうなるか」をソーシャルストーリーで事前に読んでおく。
こうすることで、子どもはより安心して行動できるようになります。

このように、それぞれの支援ツールには得意な領域があるので、目的に合わせて使い分けたり、組み合わせたりすることが支援のコツになります。

どんな効果があるの?ソーシャルストーリーが子どもに効く5つの理由

ソーシャルストーリーって、ただのお話みたいに見えるけど……
実は、子どもの行動や気持ちにじんわり効いてくる支援ツールなんです。

しかも、即効性より“じわじわと効く漢方薬”のような効果が期待できるのがポイント。
ここでは、「なぜ効くの?」という疑問にこたえる形で、支援の現場で実感されている5つの主な効果をご紹介します。

初めての場面でも安心!社会的理解をやさしくサポート

はじめての場所、初対面の人、初めてのルール…。
大人でもドキドキする“はじめて”の場面は、発達が気になる子どもたちにとっては特にハードルが高いものです。

そんなとき、ソーシャルストーリーが力を発揮します。
子どもがこれから体験することをストーリー形式であらかじめ知っておくことで、「心の準備」ができるからです。

たとえば――
「遠足に行く前に、バスに乗る流れや公園でのルールをストーリーで読んでおく」
「歯医者さんに行く前に、“椅子に座ってお口をあける”ことを伝えておく」
こんなふうに使うことで、子どもは安心して新しい場面に挑むことができるようになります。

これはいわば、“社会的な予習”のようなもの。
経験が少ない子でも「なんとなくイメージできる」状態をつくることで、不安をグッと減らすことができるのです。

見通しが立てば不安が激減!子どもが落ち着く支援法

「これから何が起きるの?」がわからないことほど、不安や混乱を引き起こしやすいもの。
これは大人でも同じですよね。

でも、自閉スペクトラム症の子どもたちは特に「見通しが立ちにくい状況」にストレスを感じやすいとされています。
そこで、ソーシャルストーリーの出番です。

物語の中で「これからこういうことがあるよ」「そのときはこうしてみよう」と流れや行動の意味を丁寧に伝えることで、子どもは先の見通しを持てるようになります。

たとえば、「今日は火災訓練があります」という話を、
● いつサイレンが鳴るか
● どうして避難するのか
● どんな順番で動けばいいか
とストーリーにして事前に読んでおくだけで、本番でも落ち着いて行動できる子が増えるんです。

「わかっていること=安心」につながる、そんな安心感を提供できるのがソーシャルストーリーの魅力です。

「どうすればいいか」がわかる!適切な行動の道しるべに

「ルールを守れない」
「同じ失敗を繰り返す」
こうした行動の背景には、「そもそもどう動けばよかったのかがわかっていない」ケースも多くあります。

ソーシャルストーリーは、そんな子どもに「適切な行動のモデル」を示すことができる支援ツールです。

ポイントは、「◯◯してはいけません」と否定するのではなく、
「◯◯したほうがいいんだよ」「◯◯するとみんなが安心するよ」と肯定的に伝えること。

たとえば――
✖「走らない!」
〇「廊下では歩くと安全だよ」

このように、どう行動すればいいのかがイメージできると、子ども自身が“選択”できるようになっていきます。
その結果、自発的な行動改善につながることも少なくありません。

トラブル前に伝える工夫で失敗を減らす!

子どもがパニックになったり、友だちに手が出てしまったり…。
トラブルが起きたあとに指導しても、子どもは興奮していて話が入らないことってありますよね。

そこでおすすめなのが、“予防的な支援”としてのソーシャルストーリー

トラブルが起きやすい場面を事前に想定し、「そのときどうすればいいか」をストーリーにして伝えておくことで、未然にトラブルを防ぐことができます。

たとえば、

  • 「遊具が混んでいるときは、順番を待つんだね」
  • 「イライラしたときは、深呼吸して先生に伝えようね」

こんな内容を前もって読んでおくことで、子どもは“もしもの場面”でも自分の行動を選ぶ準備ができます。

「失敗を責める」のではなく、「失敗を避けるサポートをする」――それがソーシャルストーリーの大きな役割のひとつです。

保護者やチーム支援でも使える!情報共有ツールとしての活用術

ソーシャルストーリーのすごいところは、子どもだけじゃなく、支援に関わる“大人たち”にもメリットがあることです。

たとえば、
● 保護者と共有することで、家庭と園・学校で一貫した支援がしやすくなる
● 作成したストーリーを、支援チーム内で活用して支援方針の統一が図れる

こうした効果により、「支援のズレ」や「連携のギャップ」が減っていくんですね。

また、保護者の中には「子どもにどう話したらいいかわからない」と悩む方も多いですが、
ソーシャルストーリーがあると、「このストーリーを読んで一緒に練習してみましょう」と伝えやすくなります。

つまり、ソーシャルストーリーは“子どものための支援”であると同時に、“支援者どうしをつなぐツール”でもあるというわけです。

こんな場面に効果絶大!支援の現場でよくある活用シーン5選

ソーシャルストーリーって、いつ・どんなときに使えばいいの?
――そんな疑問を持つ支援者の方も多いのではないでしょうか。

実は、ソーシャルストーリーは「困りごとが起きやすいタイミング」にピンポイントで使うことで、ぐっと効果を発揮するんです。
ここでは、支援の現場でよく見られる5つのシーンを取り上げながら、具体的な使い方をご紹介します。

登園しぶり・登校不安に…朝の準備がスムーズになる使い方

「今日は行きたくない……」
玄関先で泣いてしまったり、身支度が進まず毎朝バトルになってしまったり――。
登園・登校しぶりは、支援現場でも家庭でもよくある悩みです。

こうしたとき、ソーシャルストーリーが「安心して出発するための心の助走」になってくれます。

たとえば、こんなストーリーが考えられます👇
「朝起きたら顔を洗う → ごはんを食べる → 服を着る → リュックを持ってバスに乗る → 先生が笑顔で迎えてくれる」
このように、出発までの流れを“見える化”し、楽しいゴールをイメージさせることで、子どもの気持ちが前向きになっていきます。

また、「先生に会える」「お気に入りの遊びができる」といった楽しみの要素も組み込むと効果アップ。
不安でいっぱいだった朝が、「ちょっと行ってみようかな…」に変わることもありますよ。

トイレや着替えもこれで安心!身辺自立のサポートに

「トイレに行けない」「服を着るのに時間がかかる」など、身辺自立の課題に直面している子どもも多いですよね。
でもその背景には、「どうすればいいかわからない」「失敗が怖い」「感覚が苦手」といったさまざまな理由が隠れていることも。

そこで、ソーシャルストーリーの出番です。
たとえば――

  • 「トイレはどこにある?」
  • 「どうやってズボンを脱ぐ?」
  • 「終わったあとは何をする?」

この一連の流れをストーリーで伝えることで、子ども自身が“行動のイメージ”を持てるようになります。

また、写真を使ってリアルな場面を再現すると、より理解しやすくなるのでおすすめです。
「おうちで練習→園でチャレンジ」という流れをつくることで、家庭と支援現場の連携にも役立ちますよ。

「またケンカしちゃった…」友だちトラブルに使えるシナリオ例

遊びの中で起こりがちな「おもちゃの取り合い」「順番待ちができない」「叩いてしまう」などの友だちトラブル
こうした場面でも、ソーシャルストーリーを“行動の練習台”として使うことができます。

たとえば、以下のようなシナリオが活用できます👇
「おもちゃを使いたいときは“かして”って言う → 待っている間は違う遊びをする → 順番がきたら“ありがとう”って言う」
このように、トラブルになりやすい場面を事前に想定して“どう行動すればいいか”を伝えることがポイント。

また、子ども自身が登場する「オリジナルストーリー」にすると、より親しみやすくなります。
「◯◯くんは、おともだちとあそぶのがすき。でも、ときどきおもちゃでけんかになっちゃうよね。こんなとき、どうしようか?」と問いかける形式も効果的。

トラブルを“教える機会”に変えることができるのが、ソーシャルストーリーの強みです。

初めてのイベントや環境変化にも!予習で安心のコツ

「初めてのこと」は、子どもにとってワクワクよりも不安が勝る場合が少なくありません。
特に卒園式・参観日・遠足・避難訓練・新しい教室や先生など、環境がガラッと変わる場面では、戸惑いや混乱が起こりやすいです。

そんなときこそ、ソーシャルストーリーが頼りになります。
たとえば「遠足の日の朝〜帰宅までの1日をシナリオ化」したり、「新しい先生がどんな人か紹介するストーリー」を作ったり。

「見たことがないもの」や「初めての流れ」が、あらかじめストーリーでわかっているだけで、子どもの安心感は段違いです。

特に、事前に写真を見せたり、読んだストーリーと同じフレーズを現場で繰り返すなどの工夫をすることで、実際の場面でも子どもが落ち着きやすくなります。

“予習は最大の安心材料”――この感覚、支援現場でも大切にしたいですね。

パニックになりやすい子へ…感情調整にも効果あり!

突然泣き出す、怒って物を投げる、じっとしていられない…。
感情コントロールが難しい子どもたちにとって、「気持ちとの付き合い方」はとても大切なテーマです。

そんな時にもソーシャルストーリーは活躍します。
たとえば、こんな内容をストーリーにしてみましょう👇
「イライラしてきたら、ふか〜く息を吸ってみよう」「“やめて”が言えないときは、手をぎゅっと握ってみよう」など、具体的な対処法を提示するストーリーです。

また、「イヤな気持ちになったらどうなる?」「どうしたら落ち着ける?」といった、感情のプロセスに目を向ける内容も有効です。

重要なのは、感情を“コントロールするべきもの”ではなく、“理解して一緒に考えるもの”として扱うこと。
ソーシャルストーリーを通して、「気持ちに気づく」「気持ちに名前をつける」「気持ちと距離をとる」練習ができるのです。

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子どもがグッと引き込まれる!効果的なソーシャルストーリーの作り方ガイド

「ソーシャルストーリー、良さそうだな…でも、どうやって作ればいいの?」
そんな支援者さんや保護者の声、すごくよく聞きます。

でも安心してください!
コツさえつかめば、特別なスキルがなくてもちゃんと作れるんです。
むしろ、子どもをよく知っているあなたが作るからこそ、気持ちに届くストーリーになるんです。

この章では、子どもが「読んでみたい」「わかりやすい」と思えるストーリーの作り方を、5つのポイントにわけて解説していきます!

まずは基本から!構成パターンをマスターしよう

ソーシャルストーリーには、基本となる「構成の型」があります。
この型に沿って書くことで、子どもにとって
理解しやすく、安心できる文章になります。

主な構成パターンは以下の4つ👇

  1. 記述文(事実を伝える):「今日は雨が降っています」
  2. 視点文(他者の気持ちや考えを伝える):「先生は傘を持ってきてほしいと思っています」
  3. 指導文(どう行動するかを示す):「わたしは傘を持ってきます」
  4. 肯定文(安心感や共感を与える):「それはとても良いことです」

特に大切なのは、指導文ばかりにしないこと
「こうしようね!」というメッセージばかりでは、指示的になりすぎて、子どもの心に響きにくくなってしまいます。

記述文や視点文を多めにすることで、自然な流れと納得感のあるストーリーができあがります。

「むずかしい」はNG!子どもの理解力に合った文のコツ

よくある悩みのひとつが、「せっかく書いたのに、子どもが読もうとしない…」。
その原因、文章が難しすぎるのかもしれません。

ソーシャルストーリーは、子どもが“ひとりで読める”レベルの文が理想です。
ひらがな中心+短い文+一文一義(=1つの文で1つの意味)を心がけましょう。

たとえば、
✖「保育園に到着したら、カバンを所定の場所にかけて、すぐに支度を整えましょう」
〇「ほいくえんについたら、かばんをかけます。つぎに、おしたくをします」

「やさしい言葉=幼い」ではありません。
「わかりやすさ=配慮が行き届いた支援」と考えましょう。

また、子どもがよく使う口ぐせや好きなフレーズを入れると、「自分のためのストーリーだ!」と感じてくれますよ。

抽象より具体!リアルな日常をストーリーに落とし込む

「いい子にしようね」「がんばってね」――
こうした言葉、ついつい使ってしまいますが、抽象的すぎて行動に結びつきにくいのが現実です。

ソーシャルストーリーでは、「いつ・どこで・だれが・なにを・どうする」を意識して、できるだけ具体的な表現にすることがポイント。

たとえば、
✖「トラブルにならないようにしよう」
〇「おもちゃであそびたいときは、“かして”といいます」

日常のワンシーンを切り取って、実際に子どもが経験しそうなことをそのまま物語にする
これが、共感と理解を引き出す一番の近道です。

「その子の日常」とリンクしているか?を常に意識してみましょう。

イラスト?写真?見た目の工夫で伝わりやすさUP

文字だけでは伝わりにくい…そんなときは、視覚的なサポートが効果的です。
ソーシャルストーリーは“読む”だけでなく、“見る”ことでも理解を助けることができます。

イラストを使うのも良いですし、実際の写真を使うと「自分ごと」感がグッと高まります。
たとえば、

  • 通っている園や学校の写真
  • 本人の姿(制服や持ち物など)
  • よく遊ぶ場所やおもちゃの写真 など

視覚優位の子どもにとっては、「見てわかる」ことがとても安心につながるんです。

ただし、写真がリアルすぎて逆に緊張してしまう子もいます。
その場合は、やわらかいイラストやピクトグラムを使うなど、子どもに合わせたチョイスを心がけましょう。

保護者とも連携!一緒に作って一緒に使おう

ソーシャルストーリーは、支援者だけが作るものじゃありません。
むしろ、保護者と一緒に考えることで、より子どもにフィットした内容が作れるんです。

たとえば、

  • 子どもの好きなキャラクターを取り入れる
  • 家庭で困っている場面をシナリオにする
  • 家族で読む時間を作る

こんなふうに家庭との連携があると、支援の一貫性がぐっと高まり、子どもの安心感も増します。

また、ストーリーを家でも使えるようにコピーして渡したり、読み方のポイントを伝えておいたりすることも◎。
そうすることで、「読むだけで終わり」ではなく、「日常の中で“繰り返し使える”支援」になります。

ソーシャルストーリーは“作って終わり”ではなく、“関わりながら育てる支援”
支援者と保護者がつながることで、その効果はさらに広がっていきますよ。

これ、やりがち!効果が出ないNGストーリー例と改善ポイント

せっかく時間をかけて作ったソーシャルストーリー。
でも、なぜか子どもに響かない、効果が見えない、読まれない…
こんなモヤモヤを感じたことはありませんか?

実は、よくある“うまくいかないストーリー”にはいくつかの共通パターンがあります。
ここでは、支援者がついやってしまいがちなNG例5つと、それをどう改善すればいいのかを解説していきます。

1ページにギッシリ…長すぎストーリーは逆効果!

「伝えたいことがたくさんあるから…」と、つい1ページに文章をギュウギュウに詰め込んでしまう。
これはかなり多くの支援者がやりがちなNG例です。

でも、考えてみてください。
大人だって、小さな文字でずらーっと書かれた資料を読むのはツライですよね。
子どもにとっては、なおさら「読む気」が失われてしまいます。

ソーシャルストーリーは、“短く・わかりやすく・1ページに1メッセージ”が基本です。

たとえば、
✖「朝起きたら顔を洗って、ごはんを食べて、服を着て、ランドセルを背負って、玄関へ行って…」
〇「あさ おきたら、まず かおを あらいます。」

ページ数が増えてもOK!むしろ“見開き1アクション”の方が子どもは集中しやすく、内容が頭に入りやすいんです。

「なんとなく」で書いてない?抽象表現を避けよう

「ちゃんとしようね」「いい子でいよう」――
これ、一見よさそうに見えて、実は“伝わらないワード”の代表格です。

ソーシャルストーリーでは、「抽象的な表現」は子どもにとって意味がつかみにくいため、できるだけ避けるのが正解。

たとえば、
✖「やさしくしよう」
〇「おともだちがころんだら、“だいじょうぶ?”と こえをかけます」

このように、行動に結びつく“具体的な例”を入れることが大切です。
「どんなふうに?」「いつ?」「どこで?」と問い直しながら、ストーリーに落とし込んでいきましょう。

“わかる”は“できる”につながる。それがソーシャルストーリーの基本です。

「〜してはいけません」ばかり…否定表現はNG

「走ってはいけません」「さわらないでください」「だまってなさい」――
つい言ってしまいがちなフレーズですが、否定形ばかりのストーリーは、子どもの心に残りにくく、行動改善にもつながりにくいというデメリットがあります。

なぜなら、「してはいけないこと」は覚えても、「じゃあ何をすればいいのか」が伝わらないからです。

改善ポイントは、“ダメ”の代わりに“どうすればいいか”を具体的に示すこと。

✖「おもちゃをとってはいけません」
〇「おもちゃをつかいたいときは、“かして”と いいます」

肯定的な表現に変えることで、子どもは「次にどうすればいいか」をイメージしやすくなります。

支援のゴールは「やめさせる」ことではなく、「適切な行動に置きかえること」。
その視点を忘れずに、文章を見直してみましょう。

テンプレ使い回しは失敗のもと!子どもに合った内容に

「ネットで見つけたテンプレートをそのまま使っています」
「前に作ったストーリーを別の子にもそのまま使いました」
……これ、支援現場では意外と“あるある”です。

でも、ちょっと待ってください。
その子が困っている背景、本当に同じですか?
言葉の理解力やこだわりの内容、好きなものは?

ソーシャルストーリーは、“その子の特性や状況に合わせてカスタマイズしてこそ、効果を発揮する支援”です。

もちろん、テンプレートはとても便利な参考資料です。
でも、そのまま使うのではなく、「その子の言葉」や「よくある行動」「実際の場面」を盛り込むひと手間が大切。

“この子のためだけに作った”という想いが、行動を変える第一歩になります。

「作っただけ」では意味なし!活用こそがカギ

最後に、これが一番もったいないNGパターン。
それは……「ストーリーを作って満足して、渡して終わり」というケースです。

ソーシャルストーリーは、読むタイミング・読み方・繰り返し方にこそ効果のカギがあります。

✅ 行動の直前に読む(予防的に)
✅ 落ち着いているときに読む(感情が安定しているタイミング)
✅ 毎日繰り返す(習慣化)
✅ 家庭でも使ってもらう(連携)

このように、「どう届けるか」を工夫することで、ストーリーが“子どもを支えるツール”として本領を発揮するんです。

ストーリーは読むことで生きる
だからこそ、「作る」より「活かす」に力を入れてみてください。

誰でもできる!ソーシャルストーリー実践5ステップ

「作り方もポイントもわかってきたけど、実際どうやって始めたらいいの?」
そんな方のために、ここでは誰でも実践できる5つのステップをご紹介します。

ソーシャルストーリーは、1つ1つのステップをていねいに踏むことが“伝わる支援”へのカギ
支援初心者の方にもわかりやすくまとめたので、ぜひ参考にしてみてください!

まずは目的を明確に!どんな困りごとを解決したい?

いきなりストーリーを書き始めるのではなく、まず最初にやるべきことは“目的の明確化”です。
「なぜこのストーリーを作るのか?」「どんな行動をサポートしたいのか?」――ここがブレてしまうと、内容がぼんやりして効果も出にくくなります。

例)

  • 朝の支度がスムーズにできるようにしたい
  • お友だちに手が出ないようにしたい
  • トイレに行くのが怖くなくなるようにしたい

このように、できるだけ具体的な“困りごと”を出発点にしましょう。

「行動変容」を目的にするのではなく、「理解を助けること」を目的にすると、ストーリーがより自然で効果的になります。

子どもの特性を把握!情報収集がストーリーの質を変える

目的が決まったら、次にやるのは“子どもについての情報集め”です。
このステップを丁寧にやるかどうかで、ストーリーの完成度が大きく変わります。

チェックしたいポイントはこのあたり👇

  • 言葉の理解力(ひらがなOK?短い文なら読める?)
  • 好きなもの・苦手なもの(キャラクター・場面・感覚など)
  • よく起こるトラブルや失敗パターン
  • 使える支援素材(写真・イラストなど)
  • 保護者や支援者の視点・意見

“子どもに合わせてカスタマイズされたストーリー”こそが、もっとも伝わりやすい支援になります。

この段階で、保護者やチームメンバーと話をするのもおすすめですよ。

文章+ビジュアルで伝わるストーリーを作成

いよいよストーリーづくり!
このとき意識したいのは、「文字だけに頼らず、視覚要素も活かすこと」です。

✅ 文は短く、ひらがな中心
✅ 一文一義(1つの文で1つのこと)
✅ 否定形ではなく肯定的な表現
✅ 写真・イラストを効果的に挿入

たとえば、
「せんせいに“いってきます”と いってから、ようちえんにいきます。」
という文の横に、実際の制服姿の写真を入れると、子どもはグッとイメージしやすくなります。

“見てわかる”+“読んで納得できる”=伝わるストーリーを目指しましょう。

読むタイミング・環境を工夫して効果を引き出す

完成したらすぐに子どもに渡す…のではなく、“いつ・どこで・どう読むか”にも工夫が必要です。

効果が出やすいタイミングは👇

  • トラブルが起きる「前」
  • 落ち着いているとき
  • 楽しく読める雰囲気の中で
  • 日常のルーティンとして

たとえば、「園に行く前の朝ごはんタイム」や、「寝る前の絵本タイム」など、“決まった場面で読む”習慣をつけると自然に身につきます。

また、「読むだけ」ではなく、読みながら表情をまねしてみたり、ぬいぐるみで演じてみたりと、遊び感覚を取り入れるとさらに効果的です。

作って終わりじゃない!使ったあとの振り返りと改善

実践して終わりではなく、「どんな反応があったか」「どこがうまくいかなかったか」などを振り返ることがとても大切です。

✔ 読みたがらない → 文が難しすぎた?長すぎた?
✔ 行動が変わらない → 内容が抽象的?タイミングがズレていた?
✔ 途中で飽きる → 絵や写真の工夫が必要かも?

このように、“効果が出ない=失敗”ではなく、“効果が見えない=調整のチャンス”と捉えることで、よりよい支援に近づけます。

支援者や保護者同士で意見を共有するのも大事なヒントになりますよ。

「うまくいかない…」支援者の悩みに効く実践アドバイス

「よし、ソーシャルストーリーを作ってみよう!」と始めたものの、いざ現場で実践してみると
「え、読んでくれない…」
「思ったより効果が見えない…」
「他の子にも使いたいけど合ってるか心配…」など、さまざまな“うまくいかない壁”にぶつかることも。

でも大丈夫。
それは「やり方が間違っている」のではなく、「ちょっとした調整が必要なだけ」かもしれません。

この章では、現場でよくある悩みを4つピックアップし、それぞれの具体的な解決のヒントをご紹介します!

子どもが読もうとしないときは?興味を引く工夫3選

せっかく作ったのに、「読もうとしない」「すぐに飽きてしまう」……これ、けっこう多いパターンです。
でもそれ、子どもにとって“自分ごと”として感じられていない可能性が高いです。

そんなときは、以下の3つの工夫を試してみてください👇

“自分が主役”になるようにする
 → 主人公の名前を「ぼく」「◯◯くん」などにすると、ぐっと親近感がわきます。

好きなキャラクターやモチーフを取り入れる
 → 子どもが大好きなぬいぐるみやアニメキャラを登場させると、一気に興味がアップ!

ストーリーを“読む”から“遊ぶ”に変える
 → 読み聞かせだけでなく、パペットやおもちゃを使って再現してみると、子どもも前のめりになります。

“読む気”を引き出すには、「その子の世界観」に寄せることがいちばんの近道です。

1回で理解できないときの読み方&繰り返し活用術

「1回読んだけど、全然行動が変わらなかった…」
それ、ソーシャルストーリーあるあるです。

そもそもソーシャルストーリーは、“1回で理解する”ことを前提にしていない支援ツール
だから、うまくいかなくて当然なんです。

大切なのは、“繰り返し・習慣化”の工夫。以下のように実践してみましょう👇

  • 朝の支度前に毎日読むようにする(日課として定着させる)
  • トラブルが起きそうな前に読む(予防的に使う)
  • 同じ内容を3日ごとに再読する(記憶に残りやすい)

また、絵や写真を見せながら「これ、どこかな?」「こういうときどうするんだっけ?」とやさしく対話形式にすることで、理解が深まりやすくなります。

ソーシャルストーリーは「読むだけのもの」ではなく、「繰り返し体験するもの」と考えましょう。

1人ひとり違う子どもたち…共通ストーリーをどう使う?

「クラス全体で同じストーリーを読みたいけど、それぞれ特性が違う…」
そんなジレンマ、ありますよね。

共通のソーシャルストーリーを使う場合は、“カスタマイズの余地”を持たせることがポイントです。

たとえば👇

  • 「みんなで守るルール」のベースを1本作り、個別に補足ストーリーを用意する
  • 文章はそのままにして、イラストだけ変える(その子の好きなモノに差し替え)
  • 名前や言い回しだけを変えたパーソナルバージョンを併用する

共通ストーリーの利点は、「クラスやグループ全体でのルール共有」ができること
そこに少しだけ個別の調整を加えることで、“一斉支援と個別支援のいいとこ取り”が可能になります。

保護者にうまく説明できない…そんな時の伝え方のコツ

支援者がどんなにがんばっても、家庭と連携できなければ支援は片手落ちになってしまいます。
でも実際は、「保護者に説明するのがむずかしい」「伝わってるか不安」という声も多く聞きます。

そんなときは、専門用語をなるべく使わず、“子どもを思う気持ち”をベースに伝えるのがコツです。

たとえば👇
✖「ソーシャルストーリーを活用して予防的支援をしています」
〇「お子さんが安心して行動できるように、わかりやすい“お話のツール”を使っています」

また、ストーリーのコピーを渡すときは、「おうちでもぜひ読んであげてくださいね」と一言添えるだけでも連携のきっかけになります。

さらに、保護者の声をストーリーづくりに反映すると、「支援されてる」ではなく「一緒に育ててる」という実感につながり、信頼関係の構築にも効果的です。

ソーシャルストーリーだけじゃない!他の支援法との組み合わせアイデア

ソーシャルストーリーはとても効果的な支援ツールですが、「これだけですべてOK!」というわけではありません。
子ども一人ひとりに合わせて、“ほかの支援法とうまく組み合わせていく”ことで、支援の幅はぐんと広がります。

ここでは、支援の現場でよく使われる他の手法との“いいとこ取り”な併用パターンを紹介します。
それぞれの違いや役割の特徴を押さえながら、ぜひ日々の実践に活かしてみてください!

視覚支援(絵カード・スケジュール)との合わせ技で効果倍増

ソーシャルストーリーととても相性がいいのが、視覚支援ツール(絵カード・スケジュールなど)です。

視覚支援の主な役割は、「今、なにをすればいいか」「どんな流れになるか」を視覚的に“見える化”すること
それに対して、ソーシャルストーリーは「なぜそうするのか」「そのときどう感じればいいか」を“言葉で補う支援”です。

たとえば――
✅ 絵カードで「手を洗う」の指示を出す

✅ ソーシャルストーリーで「手を洗うとバイキンがいなくなるよ」と理由を伝える

このように、「行動を見せる」+「意味を伝える」ことで理解の深さがまったく違ってきます。

また、スケジュール表の前後にストーリーを読むことで、活動全体に見通しと安心感を持たせることも可能です。

視覚とことばのダブル支援で、“行動+納得”の両方をサポートしていきましょう!

SST・ABAとの違いと効果的な併用パターン

発達支援の現場でよく登場する「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」や「ABA(応用行動分析)」とも、ソーシャルストーリーは相性バツグンです。

それぞれの違いをざっくり整理すると👇

支援法特徴主な目的
ソーシャルストーリーお話で伝える/可視化中心行動の背景理解・不安の軽減
SSTロールプレイ中心社会的スキルの実践練習
ABA行動に対する分析と強化行動変容・スモールステップの習得

たとえば、

  • SSTの導入前にソーシャルストーリーでイメージトレーニング
  • ABAで行動強化する際の“事前説明”としてソーシャルストーリーを使う

このように、「準備→実践→定着」という一連の流れの“導入パート”としてソーシャルストーリーを組み込むと、理解度や成功率がぐんと上がります。

「説明だけで終わらない」「練習だけで終わらない」――そんな一歩先の支援が実現できます。

絵本・紙芝居との違いは?「読み聞かせ型支援」との融合例

「ストーリーを読む」って、絵本や紙芝居と何が違うの?
――そう思う方もいるかもしれません。

確かにどちらも“物語形式”という点では似ていますが、ソーシャルストーリーは“特定の子どもに対する具体的な支援目的をもったお話”という点が最大の違いです。

一方、絵本や紙芝居には「共感力を育てる」「想像力を広げる」など、情緒的な効果があります。

だからこそ、両者を組み合わせると、支援がより深く・柔らかくなるんです。

たとえば――

  • お友だちに「かして」と言えない子に、まずは絵本『ともだちや』を読んで共感を促す
  • そのあとに「ぼくが“かして”っていえたらどうなる?」というオリジナルソーシャルストーリーを読んで、現実の行動につなげる

このように、絵本=心の準備/ソーシャルストーリー=行動の準備という役割で使い分けるのがポイントです。

“読み聞かせ”のあたたかさと、“支援ツール”としての目的意識を融合させることで、子どもにとって自然で深い理解が生まれます。

現場でのリアルボイス!成功と失敗から学ぶソーシャルストーリー活用術

理論やテクニックも大事だけど、やっぱり気になるのは……
「実際の現場で本当にうまくいってるの?」というところですよね。

この章では、保育園・支援施設・家庭など、実際にソーシャルストーリーを使った支援者や保護者のリアルな声をご紹介します。

「こうしたらうまくいった!」という感動体験から、「これはやらかした…」という失敗談まで、実践のヒントが満載です。

「泣かなくなった!」行動改善につながった感動エピソード

最初は不安だらけだったけど、「ソーシャルストーリーでこんなに変わるんだ…!」という感動の声も、現場ではよく聞かれます。

<エピソード①:登園しぶりの5歳男児(保育士より)>
朝、玄関で泣いてしまい、ママと離れられなかった子。
「園の1日をストーリーで絵本にして、前日の夜に読み聞かせ」するようにしたところ……
「先生が“おはよう”って言ってくれるんだね」「遊ぶの楽しみだな」と、自分から話すようになったんです。
1週間後には、泣かずに笑顔で登園できるように!

<エピソード②:感覚過敏で歯医者が苦手な子(保護者より)>
「歯医者=怖い」が強かった息子に、“歯医者ってどんなところ?”というストーリーを作って一緒に読んでみました。
絵や写真を使って、「椅子に座る」「お口をあける」など1つずつ説明していくと、「知ってること」が増えて不安が和らぎ、泣かずに治療を受けられました。

“先が見えることで落ち着く”という効果を実感できた瞬間でした。

「うまく伝わらなかった…」失敗例から見える落とし穴

もちろん、うまくいかないケースもゼロではありません。
でも、それは「ダメだった」ではなく、「気づきのチャンス」です!

<失敗例①:長すぎ&難しすぎたストーリー(支援員より)>
子どもがすぐにイライラしてしまうので、“感情のコントロール”をテーマにストーリーを作成。
張り切って内容を盛り込みすぎた結果、1ページにびっしり文章が詰まった長文ストーリーに…
→ 読んでもすぐに飽きてしまい、集中して聞いてもらえなかった💦

教訓:「1ページ1メッセージ」「ひらがな中心」「短文」で、“伝わる”設計にすることが大切!

<失敗例②:「~しないでね」の否定表現だらけ(保護者より)>
兄弟げんかが絶えず、「叩かない」「大声出さない」という注意を並べたストーリーを作ったけど、逆に怒りがエスカレート…。

教訓:「やってはいけないこと」ではなく、「どうすればいいか」を前向きに伝える言葉選びがカギ!
 →「“まっててね”って言うといいよ」など、子どもが“できる行動”を示すことが効果的。

支援者・保護者の“気づき”が、次の一歩につながる!

成功したときも、失敗したときも、そこには必ず「気づき」があります。
そしてその気づきこそが、次のよりよい支援へのヒントになるんです。

支援現場からよく聞かれる“気づきの声”を、いくつかご紹介👇

「子どもの“わからない”を、わかっていなかった」
 → ストーリーを作る過程で、子どもが“どこでつまずいているか”を見つめ直す機会になった。

「読むタイミングが支援の質を左右する」
 → パニックの最中では伝わらない。“落ち着いているとき”の読み聞かせが大事!

「保護者と一緒に作ったことで信頼関係が深まった」
 → それまでは先生任せだったが、「一緒に作る」ことで子ども理解が進んだ。

このように、ソーシャルストーリーは“作って終わり”のツールではなく、“関わりを深めていく支援”なんですね。

成功も失敗も、“支援の種”になる。
そんな視点で、現場の経験をぜひ次に活かしていきましょう!

子どもと向き合うあなたにこそ届けたい――ソーシャルストーリーで広がる可能性

ここまで、ソーシャルストーリーの基本的な考え方から、作り方のコツ、活用例、成功と失敗のリアルボイスまで、幅広くご紹介してきました。

読んでくださったあなたはきっと、日々子どもと真剣に向き合い、「どうすれば伝わるのか」「この子にとって何が最善か」を常に考えている支援者や保護者の方だと思います。

そんなあなたにこそ、ソーシャルストーリーという“伝えるためのツール”をぜひ手に取ってほしいと、心から願っています。

ソーシャルストーリーは魔法のように即効で効果が出るものではありません。
でも、子どもが自分のペースで「わかって」「選んで」「動ける」ようになるプロセスを、そっと後押ししてくれる存在です。

ときには失敗することもあるかもしれません。
読んでくれなかったり、思うような反応が返ってこなかったり…。
でもそれもまた、子どもを理解するための大切なヒントです。

ソーシャルストーリーは「支援する側の気づきを育ててくれるツール」でもあるんです。

そして何より――
「この子のことをもっと理解したい」「不安や困りごとを少しでも軽くしたい」という思いがこもったストーリーは、必ず子どもに伝わります。
それがたとえ言葉に出なくても、表情や行動の中に、小さな変化として現れてくるはずです。

子どもと関わる中で、戸惑ったり、悩んだり、立ち止まったりすることもあると思います。
でも、そんなときこそ思い出してほしいのは、「伝え方を変えれば、伝わり方も変わる」ということ。

ソーシャルストーリーは、その第一歩になります。

完璧じゃなくていいんです。
短くても、シンプルでも、“あなたの言葉で伝えること”が、子どもとの関係を少しずつ育てていきます。

これからも、あなたの支援が子どもにとって安心であたたかな道しるべになりますように。
そしてソーシャルストーリーが、その歩みをそっと支えるツールのひとつになりますように。

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以上【支援者必見!「ソーシャルストーリー」の効果がグッと高まる使い方と実践テクまとめ】でした。

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この記事を書いた人

約30年の間に培った障害福祉分野での知識や経験を、このブログで余すことなくお伝えしていきます。
所持資格:社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員等

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