遅延性エコラリアって何?まずは“困った”を“わかる”に変えよう
「昨日言ったセリフを、なんで今日また言ってるの…?」
そんなふうに感じたことはありませんか?
お子さんが同じ言葉を何度も繰り返す姿に、「意味がないのかな」「ふざけてる?」と思ってしまうこともあるかもしれません。でも実はそれ、「遅延性エコラリア」という自然な発達の一部なんです。
まずは「遅延性エコラリア」という言葉の意味や背景を知ることで、「困った行動」ではなく、「なるほど、こういうことか」と思えるようになりますよ。
このパートでは、エコラリアの基本的な特徴や背景、そしてどうして発達が気になる子によく見られるのかを、わかりやすく解説していきます。
「オウム返し?」じゃない!遅延性エコラリアの正体とは
遅延性エコラリアとは、ある言葉やフレーズを、時間をおいて繰り返す言語行動のことをいいます。
たとえば、
- 昨日見たアニメのセリフを、翌日に繰り返しつぶやく
- お友達や先生が言ったセリフを、夜寝る前に思い出したように口にする
といったケースです。
一見すると「意味がなさそうな言葉のマネ」に思えますが、実はその裏にはいろんな理由があります。
たとえば、
- その言葉に強く印象が残っている
- 自分の気持ちをどう表現していいか分からず、覚えた言葉を借りている
- 単に言葉のリズムや響きが心地よくて楽しい
など、子どもなりの意図があることがほとんどです。
つまり、エコラリアは単なる「オウム返し」ではなく、ことばを覚える過程で出てくるごく自然な現象なんです。
特に発達の途中にある子どもたちにとって、ことばは“意味”より“音”から入ることが多いので、こういった反復行動はごく自然なものともいえます。
なぜ発達が気になる子に多いの?専門的な理由をわかりやすく解説
遅延性エコラリアは、定型発達の子にも一時的に見られますが、自閉スペクトラム症(ASD)や言語発達に遅れのある子どもに多く見られる傾向があります。
その背景には、「言語処理のスタイルの違い」があります。
一般的に私たちは、「単語をひとつずつ理解して意味を組み立てる」スタイル(分析型)で言葉を処理しています。一方で、発達が気になる子どもたちの中には、「聞いたフレーズをまるごと覚える」スタイル(ゲシュタルト処理)をする子もいます。
このような子は、
- 「ごはんだよ、おいでー」という一連のセリフを一塊の音声として覚えてしまう
- 「おいでー」が「こっちに来てほしい」という意味だと、分解して理解できていないことがある
つまり、意味ではなく「音」として言葉を記憶しているため、タイミングや状況を問わず、覚えたままのフレーズを繰り返してしまうことがあるんですね。
この言語処理スタイルは、「ダメ」なわけではありません。むしろことばを学ぶスタート地点として重要な役割を持っているのです。
無理にやめさせないで!エコラリアに隠された子どもの想い
「またそれ?」「意味わかんない」「ちゃんと話して!」
つい、そんなふうに言いたくなってしまう気持ち…すごくわかります。毎日聞いていると、イライラしてしまうこともありますよね。
でも、ちょっとだけ想像してみてください。
そのエコラリア、本当は何か伝えたいサインかもしれません。
たとえば──
- アニメのセリフを繰り返しているのは、「あの場面楽しかったよ」って伝えたいのかも
- 誰かの言葉をまねしているのは、「こんなふうに話したい」って気持ちの表れかも
こう考えると、ただの“マネ”ではなく、「関わりたい」「伝えたい」気持ちの表現に思えてきませんか?
そして、無理にやめさせようとすると、子どもは
- 「話したら怒られる」
- 「ぼくの気持ち、伝わらない」
と感じてしまい、逆にことばへの苦手意識や不安感を育ててしまう可能性があります。
だからこそ、親として大切なのは、エコラリアの“意味”を探してあげること。
そして、「またそのセリフか…」ではなく、「あ、それ言いたかったんだね!」と気持ちを受け取ってあげる姿勢です。

今日からできる!家庭で実践できる遅延性エコラリア対応7つのコツ
遅延性エコラリアは、子どもが「ただマネしているだけ」ではありません。ことばを覚える過程での大切なステップであり、「伝えたい」気持ちが込められていることも多いんです。
とはいえ、毎日何度も同じセリフを聞かされていると、「どう対応すればいいの…?」と戸惑ってしまいますよね。
ここでは、家庭ですぐに実践できて、子どもとのやりとりがラクになる7つのコツを紹介します。どれも専門的な支援現場でも取り入れられている方法なので、安心して試してみてください。
【コツ①】その言葉、否定しないで!“意味をくみ取る”声かけ術
子どもがエコラリアをしているとき、「またそれ?」「いいかげんやめて」と言いたくなる気持ち、よくわかります。でもちょっと待ってください。
否定されると、子どもは「話しても無駄なんだ」と感じてしまうんです。
たとえば、子どもが急に「もうやだー!」と昨日見たアニメのセリフを叫んだとします。一見、ただのマネに聞こえますが、もしかすると「今つまらない」「やめたい」という気持ちが隠れているかもしれません。
そんなときは、
- 「もうやだー!ってことは、今のがイヤだった?」
- 「それって○○がイヤだったってことかな?」
と“意味をくみ取る”声かけをしてあげましょう。
すると、子どもは「分かってもらえた」と感じ、自分の気持ちを言葉にする力が育ちやすくなります。
【コツ②】繰り返し言葉を自然な会話に変える“リフレーズ”技
子どもが言ったセリフをそのまま受け取るのではなく、ちょっとだけ言い換えて返してあげることを「リフレーズ」といいます。これは、モデルとなる自然な言葉の使い方を示すための大事なステップです。
たとえば、子どもが「アンパンチー!」と突然叫んだとき、
- 「アンパンチー!」→「あ、アンパンマンみたいに強くなりたいのかな?」
- 「アンパンマンのマネしてるんだね。かっこいいね!」
と意味のある会話にリフレーズして返してみましょう。
こうすることで、子どもは自分の発言がちゃんと相手に伝わっていると感じ、ことばのキャッチボールの楽しさを実感できます。
【コツ③】エコラリアを“会話のきっかけ”に変える魔法のヒント
遅延性エコラリアは、「会話が成り立たないから困る…」と感じることが多いですよね。でも、見方を変えれば立派な“会話のスタート”になる材料でもあるんです。
たとえば、子どもが「ねぇねぇ、バスが通るよー!」と以前誰かが言っていたフレーズを繰り返したとします。
ここで「またそのセリフか」と思うよりも、
- 「バスが通ったの見たの?どこに行くのかな?」
- 「バスの音が聞こえたのかな?大きかったね!」
など、セリフを拾って会話につなげる工夫をしてみましょう。
その子にとっては“マネ”であっても、関心があることや気になっていることのヒントが含まれていることが多いんです。
大人の反応次第で、一方通行から“やりとり”に変化するチャンスになりますよ。
【コツ④】絵カードや実物を使えば、言葉の意味がスッと入る!
エコラリアを繰り返す子の中には、「言葉は話せるけど、意味が分かっていない」場合もあります。
そんなときに役立つのが、絵カードや実物を使った視覚的なサポートです。
たとえば、「バナナ」と言っても、頭の中にバナナのイメージが浮かんでいない場合、繰り返すだけになってしまいます。でも、実物のバナナや写真カードを見せながら「これがバナナだよ」と伝えると、意味がリンクしやすくなるんです。
おうちにあるもので十分なので、
- 写真を印刷してカードにする
- スーパーのチラシを切り抜いて言葉とセットにする
など、手軽にできる工夫で、ことばとイメージをつなぐ土台を育てていきましょう。
【コツ⑤】お気に入りフレーズを“会話テンプレ”にしちゃおう
子どもが繰り返すお気に入りのセリフ、ありますよね?
たとえば「もういいよ!」とか「いってらっしゃーい!」とか。
それ、使わないともったいないです!
よく出てくるセリフは、子どもにとって発音しやすくて、気持ちが乗っている証拠。これを“会話テンプレ”に活用することで、子ども自身が「使えることば」に育てていくことができます。
たとえば…
- 「もういいよ!」→「遊び終わったら“もういいよ”って言ってみよう」
- 「おかえりー!」→「ママが帰ってきたときは“おかえり”って言うんだよ」
といったように、シチュエーションと結びつけて、意味のある使い方を定着させることがポイントです。
【コツ⑥】発語がふえる!安心して話せる環境づくりのポイント
実は、どんな対応をするか以上に大切なのが「安心できる環境」です。
子どもが自由に話したり、マネしたりできる雰囲気があってこそ、エコラリアも自然に減っていくことがあります。
たとえば…
- 話した言葉をバカにしない
- 途中でさえぎらない
- 間違っていても否定しない
こういった積み重ねが、「ことばを出しても大丈夫」「ちゃんと聞いてくれる」という安心感につながります。
また、「うまく言えたね」「話してくれてうれしいよ」といった肯定的な言葉かけも大切です。
大人のリアクションによって、子どもは「もっと話したい!」という意欲を持つようになります。
【コツ⑦】絵本・音楽・遊びで「自然なことば」をインプットしよう
ことばを覚えるうえで大切なのは、「たくさんしゃべらせること」だけではありません。良質なインプット(聞く・見る)を増やすことも同じくらい大事なんです。
特におすすめなのが、絵本の読み聞かせ、音楽、そして“ごっこ遊び”。
たとえば…
- 絵本の決まり文句(「こんにちは」「いただきます」など)を覚える
- 音楽のフレーズをまねして言葉が出てくる
- お店屋さんごっこで「いらっしゃいませ」が自然に出てくる
など、遊びの中でことばが出てくる経験は、子どもにとってとても楽しく、負担になりません。
つまり、「話させる」より「話したくなる」を大事にすることで、エコラリアから少しずつ“自分のことば”へとつながっていくのです。
その対応、逆効果かも?よくあるNG行動とリスク
遅延性エコラリアにどう対応していいかわからないとき、つい「これで合ってるのかな?」と不安になりますよね。でも実は、何気なくやっている対応の中に“逆効果”になってしまうものもあるんです。
この記事では「家庭でできる対応」を紹介していますが、それと同じくらい大事なのが、“やらないほうがいいこと”を知っておくこと。
ここでは、特によく見られる2つのNG対応と、その裏にあるリスクについて解説します。
「マネしないで!」は禁句!否定がことばを減らす理由
子どもが何度も同じセリフを繰り返していると、イライラしてつい「マネしないで!」「またそれか!」って言ってしまいたくなるとき、ありませんか?
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
そのエコラリア、もしかしたら“ことばの練習”かもしれません。
実際、遅延性エコラリアは「覚えたことばを自分の中で反すうしている」状態であり、子どもなりにことばの感覚をつかもうとしている過程なんです。
それを「やめて」と止められると、子どもはこんなふうに感じてしまうかもしれません。
- 「しゃべっちゃいけないんだ」
- 「言葉を出すと怒られる」
- 「伝えようとしても無駄なんだ…」
つまり、否定的な声かけは、ことばを発する“意欲”を削いでしまう可能性があるということ。
さらに、「どうせまた怒られる」と感じてしまうと、エコラリアだけでなく、自発的な発語や会話そのものを避けるようになるリスクもあるんです。
もちろん毎日繰り返し聞かされて疲れてしまう気持ちも本当です。でもそんなときこそ、「意味はなくても、ことばを出してくれている」と前向きに受け止めてあげることが大切なんですね。
どうしてもつらいときは、一度その場を離れるのもOK。大人が穏やかでいられることが、子どもとのやりとりを育てる“土台”になります。
無理やりやめさせるのは逆効果!“意味づけ”がカギ
「もうこのエコラリア、なんとかやめさせたい…」
そう思って、強制的にやめさせようとしたことはありませんか?
たとえば、
- 繰り返すたびに叱る
- 「それは言っちゃダメ」と繰り返し注意する
- 黙らせようと違う話題にすぐ切り替える
こうした対応は、一見「やめさせる」ために効果があるように見えますが、実は逆効果になることが多いんです。
その理由は、“やめさせること”にばかり目がいってしまい、「なぜその言葉を言っているのか?」という視点が抜け落ちてしまうから。
エコラリアには、子どもなりの理由や意味があります。たとえば:
- 「楽しかった記憶を思い出している」
- 「不安な気持ちを落ち着けるために言っている」
- 「相手に伝えたいことがあるけどうまく言えない」
そんな気持ちを無視してやめさせると、子どもは余計に混乱したり、不安になったりしてしまうことも。
では、どうしたらいいか?
ポイントは、“やめさせる”のではなく、“意味を見つけて導く”こと。
たとえば…
- 「またそのセリフ言ってるね。何か思い出した?」
- 「それって○○って意味かな?教えてくれてありがとう」
このように、エコラリアに込められた気持ちを受け取りながら、自然なことばにつなげていくサポートをしていくのがベストです。
もちろん、すぐに変化が出るわけではありません。でも、こうした積み重ねによって、エコラリアは“ことばの橋渡し”になってくれるようになります。

【Q&A】遅延性エコラリアへのよくある疑問にお答え!
遅延性エコラリアに向き合っていると、「これって普通?」「どう対応するのが正解なの?」と疑問が尽きませんよね。
ここでは、保護者の方からよく寄せられる質問を3つピックアップし、それぞれにわかりやすく・客観的な視点からお答えしていきます。
「心配なのは自分だけじゃなかった」と思えるだけでも、ちょっと気持ちがラクになりますよ。
Q. 何度も繰り返すのが心配…大丈夫?
はい、大丈夫です。結論から言うと、“繰り返す=悪いこと”ではありません。
遅延性エコラリアは、子どもがことばを覚えていくプロセスのひとつ。まるでスポンジのように吸収した言葉を、自分の中で何度も出し入れしながら、“どう使えばいいのか”を体で覚えていってるイメージです。
とくに発達が気になる子どもの場合、
- 自分の気持ちを言葉にするのがまだ難しい
- 状況に合った表現が思いつかない
- 気になる音や言い回しを反すうしている
という理由から、エコラリアとしてことばが出てくることがあります。
一見「意味がなさそう」に見えても、本人にとっては必要なステップだったり、気持ちを落ち着けるための手段だったりするんです。
もちろん、繰り返す頻度があまりにも多く、生活や対人関係に支障が出ているときは専門家に相談することも大切。
でも、“繰り返すから心配”とすぐに結論づけるのではなく、「なぜ繰り返してるんだろう?」と視点を変えることが第一歩になりますよ。
Q. このままことばは増えるの?伸ばすコツは?
多くの保護者が気になるポイントですよね。
「いつになったら“意味のあることば”が出てくるの?」という疑問、よくわかります。
結論から言うと、正しい関わり方を積み重ねることで、“自分のことば”はしっかり育っていきます。
そのためには、以下のようなコツが役立ちます:
① モデルとなる会話をたくさん聞かせる
→ 親が普段の生活で使う自然なことばを、繰り返し・やさしく・ゆっくり届けることが大切です。
② エコラリアに“意味づけ”をする
→ 子どもが言ったフレーズをそのまま受け取るのではなく、
「○○って言ってるね。それ、楽しかったんだね」とリフレーズして返してあげましょう。
③ 焦らず、続けること
→ 発達には個人差があります。“今は準備期間”と考えて、できることをコツコツ続けていくことが一番の近道です。
実際、言語聴覚士や療育の現場でも、「最初はエコラリアしか出なかった子が、数ヶ月〜1年ほどで自発的なことばを増やしていった」という例はたくさんあります。
ことばは「発達」ではなく「経験」で育つ側面もあるので、家庭の中でたくさんの“やりとり”を積み重ねていきましょう。
Q. 家庭だけでなく園や学校でも対応が必要?
はい、必要です。むしろ、家庭と園・学校の連携があることで、子どものコミュニケーションの質がぐんと上がるんです。
家庭ではエコラリアに慣れていても、園や学校の先生が「なんで急に変なセリフを…?」と戸惑ってしまうことがあります。
そうなると、子どもも「通じない」「受け入れてもらえない」と感じてしまい、ことばへの苦手意識や不安が大きくなることも。
だからこそ、
- 「最近こういう言葉をよく言います」
- 「エコラリアが出たときはこう返すと落ち着きます」
- 「このフレーズは○○という意味で使っていることが多いです」
といった情報を、先生や支援スタッフと共有することが大切です。
また、園や学校でも「個別の支援計画(個別の教育支援計画/個別の指導計画)」を作成する際に、家庭の視点が反映されることは非常に重要です。
もし不安な場合は、
- 担任の先生
- 支援コーディネーター
- 特別支援教育担当の先生
などに、「気になることがあって」と気軽に話しかけてみてください。
みんなで連携して関わっていくことで、子どもはより安心して“ことばを使える環境”に育っていきます。
実際どうだった?ママ・パパの成功体験談
「家庭での対応、ほんとに効果あるの?」
「うちの子にも当てはまるのかな…」
そんなふうに思っている方も多いかもしれません。ここでは、実際に遅延性エコラリアに向き合ってきたママ・パパたちのリアルな声をご紹介します。
身近な体験を通して、「こんなやり方なら試せそう!」というヒントや勇気が見つかればうれしいです。
体験談①:ヒーローごっこから始まった親子の会話劇場
5歳の男の子・りくくん(仮名)は、戦隊ヒーローが大好き!
毎日「正義のパンチ!」「必殺技!」など、アニメのセリフを何度も繰り返していました。
最初はお母さんも戸惑って、「またそのセリフ…」「会話にならないなぁ」と思っていたそうですが、ある日ふと“一緒に乗っかってみよう”と思い立ったそうです。
「よし、ママもやられる役になるね!」とノリノリで付き合ってみたところ、
なんとりくくんが自分から「大丈夫?」「ママ元気?」とヒーローごっこの中で自然に声をかけてきたんです。
そこから、お母さんは毎日少しずつエコラリアのセリフに“会話の返し”を加えるようにしたところ、
りくくんの中で「セリフ=遊びの中のやりとり」という意識が育ってきたそうです。
やがて、「変身しないと戦えない!」「助けてって言って!」など、自分の言葉で役になりきって表現できるようになっていきました。
お母さんいわく:
「無理に“普通の会話”にしようとしなくてよかった。エコラリアはうちの子にとって、ことばを使って関わる“きっかけ”だったんだと思います」
好きな世界観に寄り添うことが、ことばの成長を自然に引き出してくれる好例ですね。
体験談②:「否定しない」だけで発語がふえた女の子の変化
4歳の女の子・まなちゃん(仮名)は、アニメのフレーズや歌詞の一部をよく繰り返していました。
「またその歌?」「いまそれ言うタイミングじゃないよね…」と、お母さんは最初かなり困惑していたとのこと。
でも、言語聴覚士さんから「否定せずに“意味を探して返してあげる”ことが大切」とアドバイスを受けて、少しずつ接し方を変えていったそうです。
たとえば、
- まなちゃんが「おおきなかぶ〜!」と突然叫んだら、「おっきなかぶ見たの?何が抜けそうなのかな〜?」と返す
- 「ぴかぴかの1年生!」と言ったら、「今日はランドセルのこと考えてたのかな?」とにっこり受け止める
すると、しばらく経ってから変化が…。
最初は完全に“マネ”だけだったセリフが、少しずつタイミングに合った使い方や自発的な言葉に変わってきたそうです。
お母さんの実感:
「今思えば、まなは自分なりに伝えたかったんだと思います。否定せず“うんうん”って聞くだけで、ことばってちゃんと伸びていくんですね」
このように、無理にやめさせるのではなく、「ことばが出てくる」環境を整えることが発語につながることがよくわかります。
どちらの体験談にも共通しているのは、
「意味がない」と決めつけず、エコラリアをきっかけに子どもと関わろうとした姿勢です。
それだけで、子どもたちは安心し、「ことばって楽しい!」と感じるようになり、自分から話したくなる力が育っていくんですね。
まとめ~エコラリアは“ことばの芽”!焦らず育てていこう
遅延性エコラリアって、最初は「なんでこんなに繰り返すの?」「会話にならない…」と戸惑うことも多いですよね。でもここまで読んでくださった方なら、きっとこう感じているのではないでしょうか。
「エコラリア=困った行動」じゃなくて、ちゃんと意味があるものなんだなと。
そうなんです。エコラリアは、子どもたちが自分のことばを手に入れるための“準備運動”のようなもの。
何度も繰り返したり、聞いた言葉をそのまま返したりするのは、“どう使えばいいか”を体と頭で練習している途中段階なんですね。
そして何より大切なのは、それを否定せず、あたたかく見守りながら関わること。
無理にやめさせようとしたり、「またそのセリフ?」とつい否定的な言葉を返してしまうと、
- 子どもが「伝わらない」と感じて発語をやめてしまったり
- ことばそのものに対して不安や苦手意識を持ってしまったり
といった“逆効果”につながることもあります。
でも反対に、「またそのセリフ出てきたね!」「その言葉って○○ってことかな?」と受け止める声かけを意識するだけで、子どもは“安心してことばを出せる”ようになるんです。
もちろん、すぐに会話が成り立つようになるわけではありません。
でも、家庭でのちょっとした関わりの積み重ねが、確実に子どものことばの力を育てていくことは、多くの専門家や支援現場の中でも実感されていることです。
親としてできることは、特別な技術ではなくて、
- 毎日の中でことばの意味を一緒に考えたり
- 好きなセリフにのっかって一緒に楽しんだり
- 「ことばって面白いね」と感じる時間を共有したり
そんな“さりげない時間”を大切にすることなんですよね。
そして何より、焦らないこと。
周りの子と比べて落ち込んだり、「どうしてうちの子だけ…」と思ってしまう日があるかもしれません。
でも、その子なりのペースで、ことばの芽はちゃんと育っています。
わたしたち大人ができるのは、その芽を信じて、土をあたため、水をそっと注いでいくこと。
エコラリアは「ことばのスタートライン」。今できることから、楽しく育てていきましょう。
以上【家庭でできる!遅延性エコラリアへの対応7選|発達が気になる子に効いた工夫とは?】でした。
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