思春期の壁にぶつかる!中学生×ADHDで増える親の悩みとは?
「小学生のころまではなんとかやれてたのに、中学生になってから急に大変になった気がする…」
そんなふうに感じているママは少なくありません。
ADHDのある子どもにとって、中学生という時期は「環境の変化」+「思春期」+「発達特性」が重なる、まさに“トリプルで負荷がかかる時期”なんです。
小学生の頃と何が違う?思春期ADHDの“見えない困りごと”
中学生になると、生活も人間関係もガラッと変わります。
クラス替えで友達関係がリセットされたり、教科ごとに先生が変わったり、部活が始まったり…。
一見「成長のステップ」に見えますが、ADHDの子にとっては“刺激が多すぎる環境変化”でもあります。
たとえば、
- 授業ごとに必要な教科書を切り替えなければならない
- 宿題の量が増えるうえに、提出期限も複雑
- スマホやSNSなど、気が散る誘惑が身近になる
こうした変化が重なることで、「うっかり」「忘れた」「やる気が出ない」といった困りごとが増えていきます。
でも、これらは怠けているわけではなく、脳の働き方の違いからくる“特性”なんです。
さらに、中学生になると“表面上は落ち着いて見える”子も増えます。
そのため、周りの大人は「もう大丈夫そう」「しっかりしてきた」と思いがち。
でも実際には、内面では混乱やストレスを抱えている子がとても多いのです。
「反抗期」じゃない?ADHDの特徴が中学生期に強く出る理由
思春期になると、子どもは「自分の意見を持ちたい」「親に口出しされたくない」と思うようになります。
これはどの子にもある自然な成長のプロセスですが、ADHDの子の場合、衝動性や感情のコントロールの難しさが重なることで、より強く表に出やすいんです。
たとえば、
- 親に注意されるとすぐに「うるさい!」と反発してしまう
- 感情が高ぶると止まらず、泣いたり怒鳴ったりしてしまう
- 自分の失敗を指摘されると、恥ずかしさや悔しさが爆発する
これらは「反抗期だから」ではなく、“自分でも感情をコントロールできずに苦しんでいる”状態。
本人も「どうしてこうなるのか分からない」と感じていることが多いのです。
また、中学生になると「周りと比べる力」も育ちます。
だからこそ、「自分は他の子よりできない」「みんなみたいにできない」と落ち込みやすくなり、自己肯定感が下がるきっかけにもなってしまいます。
ここで大切なのは、「わざとじゃない」ことを理解してあげる姿勢です。
まず知ってほしい――“困っているのは本人も同じ”という視点
ADHDのある子は、いつも叱られたり注意されたりしがちです。
でも、本人も「本当はちゃんとやりたい」「怒られたくない」と思っています。
ただ、脳の特性上、“やりたいこと”と“できること”の間にギャップがあるのです。
ママが「どうしてできないの?」とつい言いたくなるのも当然。
けれどその言葉は、子どもにとって“自分を否定されたように感じる”こともあります。
だからこそ、まずは「この子も困っている」「どうしたらできるかを一緒に考えよう」という視点を持つことが何より大切です。
たとえば、
- 「忘れ物が多い→どうしたら覚えやすくなるかな?」
- 「イライラしちゃう→どんなときに落ち着けるかな?」
こんなふうに、“できない原因”を一緒に探していく関わり方が、子どもにとっての安心感になります。
親が「味方でいる」ことが、思春期の子にとって最大の支えになるのです。
ADHD中学生の特徴を徹底解説!学校・家庭で見られる行動パターン
「うちの子、忘れ物が多くて…」「勉強のやり方が全然つかめない」
中学生になると、ADHDの特徴がよりハッキリと表れたり、逆に“見えにくく”なったりします。
ここでは、思春期のADHDの特徴をタイプ別・場面別にわかりやすく整理していきます。
ADHDとは?3タイプ別に見る中学生の特徴と傾向
ADHD(注意欠如・多動症)は、大きく3つのタイプに分けられます。
中学生になると、それぞれのタイプごとに“困りごと”の出方が少しずつ違ってきます。
不注意優勢型
集中力を保つのが難しく、忘れ物・うっかりミス・ケアレスミスが多いタイプです。
見た目は落ち着いている子が多いため、「ただのマイペース」や「やる気がない」と誤解されやすいのが特徴。
でも実際は、頭の中でたくさんの情報が飛び交っており、必要な情報を取捨選択するのが苦手なのです。
多動・衝動型
思いついたらすぐ行動に移してしまう、いわゆる“体が先に動く”タイプ。
中学生になると、外見的な多動(立ち歩きなど)は減っていく一方で、「口の多動」や「感情の爆発」として現れることが多くなります。
たとえば、友達との会話中に相手の話をさえぎったり、冗談のつもりで強い言葉を言ってしまったりすることがあります。
混合型
不注意と衝動性の両方をあわせ持つタイプ。
日によって行動の傾向が変わりやすく、親も「昨日できたのに、今日は全然ダメ…」と感じることがあります。
でもそれは“気分の問題”ではなく、その日の刺激の多さや疲れ具合で集中力が変わるためなんです。
「目立たないタイプ」が見逃されやすい理由とサイン
中学生になると、「静かにしているけど授業に集中できていない」タイプの子が増えます。
特に女子に多く、外からは困っているように見えないため、サポートが遅れがちです。
たとえばこんなサインが見られます↓
- 授業中ぼーっとしている時間が長い
- テスト勉強をしても成果につながりにくい
- 提出物を忘れがちだけど、本人は焦っていないように見える
- 「何をすればいいのかわからない」と言うことが多い
こうした“静かな困りごと”こそ、ADHDの特徴のひとつです。
「問題を起こさない=困っていない」ではないということを、親や先生が理解しておくことがとても大切です。
学校生活でよく見られるADHDの特徴
中学生になると、勉強も人間関係も一気に複雑になります。
その中で、ADHDの子がつまずきやすい場面にはいくつかの共通点があります。
授業中に集中が続かない・課題を出し忘れる
「気がついたらノートを取るのを忘れていた」「プリントを机に置いたまま帰った」など、よくある行動です。
これは集中力が切れやすい脳の特性によるもので、悪気があるわけではありません。
また、頭の中で次々と別のことを考えてしまい、“今すべきこと”に意識を向けにくいのも特徴です。
テスト勉強が続かない・時間管理が苦手
中学生になると、テスト範囲が広くなり、計画的に勉強する力が求められます。
しかしADHDの子は、「どこから手をつけたらいいかわからない」「気づいたら別のことをしていた」ということが多く、結果として“頑張っても成果が出にくい”と感じてしまいます。
また、「30分勉強しよう」と思っても、時間の感覚をつかみにくく、集中が切れるのもよくある特徴です。
「忘れ物が多い」「段取りができない」行動の裏にある理由
ADHDの子は、“順序立てて考える”ことが苦手な傾向があります。
そのため、「持ち物を確認する」「次にやることを準備する」といった一連の流れが頭の中で整理しにくいのです。
つまり、忘れ物や遅刻は“注意不足”ではなく、ワーキングメモリ(作業記憶)の弱さが関係しています。
この特性を理解せずに叱ってしまうと、子どもは「どうせ自分はダメだ」と思い込み、自己肯定感を下げてしまうこともあります。
思春期で変化するADHD症状のサイン
小学生の“落ち着きのなさ”が“焦り・不安”に変わる
小学生のころは動き回っていた子が、中学生になると「頭の中が落ち着かない」状態に変わります。
たとえば、
- ずっと何かを考えていて集中できない
- 先のことを心配しすぎて動けなくなる
- 失敗への不安が強く、チャレンジを避ける
こうした「内面的な多動」が出てくるのが思春期の特徴です。
外から見えないため、親や先生は「落ち着いた」と感じやすいのですが、実は本人の心の中では混乱や不安が渦巻いていることも少なくありません。
表には出にくい“内面の混乱”と二次障害のリスク
中学生になると、「できない自分を責める気持ち」が強くなり、うつ傾向や不登校などの二次障害につながることがあります。
特に、周囲と比べて「なんで自分だけ」と感じる時期でもあるため、自己肯定感の低下が大きな課題になります。
この時期に大切なのは、「行動の奥にある感情」に目を向けることです。
「サボっている」ように見えても、実は“できなくて困っている”。
ママがその気持ちに気づけるだけで、子どもは安心し、少しずつ落ち着きを取り戻していきます。
ADHD中学生が抱えるリアルな悩み5選|親が気づきにくいSOS
ADHDのある中学生たちは、日常の中でいろいろな「困りごと」を抱えています。
でもその多くは、本人なりに頑張っているけれど、うまくいかないだけなんです。
ここでは、よくある5つの悩みを例に、子どもがどんな気持ちでいるのか、そして親がどんなふうに支えられるのかを見ていきましょう。
① 勉強への集中力が続かない・提出物を忘れる
中学生になると一気に勉強の量が増え、授業スピードも速くなりますよね。
でもADHDの子は、「集中を維持する力」や「計画を立てて行動する力」が苦手。
そのため、「やる気がない」ように見えてしまうことがあります。
実際には、本人も「やらなきゃ」と思っているんです。
でも、頭の中が散らかっていて“どこから手をつければいいかわからない”状態になっていることが多いのです。
たとえば、
- 勉強しようとして机に座ったのに、教科書を開かずにスマホを触ってしまう
- 提出物をやったのに、学校に持っていくのを忘れてしまう
- 「明日テストなのに、全然やる気が出ない」と自分でも落ち込む
こうした行動の裏には、“やり方がわからない焦り”が隠れています。
つまり、やる気の問題ではなく「方法の問題」なんですね。
そこで効果的なのが、「スモールステップ学習」+「チェックリスト」。
たとえば、
- 「今日は教科書1ページだけ読む」
- 「提出物はカバンに入れるまでが宿題」
のように、やることを小さく区切って達成感を積み重ねること。
チェックリストを使って“目に見える形で進捗を確認できる”ようにすると、「できた!」という自信がつきます。
ADHDの子は、成功体験が次の行動エネルギーにつながるタイプ。
まずは「できた感覚」を増やしてあげることが、何よりのサポートになります。
② 友達関係でトラブルになりやすい
ADHDの子は、友達付き合いの中でもトラブルが起こりやすい傾向があります。
理由は簡単で、「相手の気持ちを想像して行動する力」や「場の空気を読む力」が弱いからです。
たとえば、
- 冗談を真に受けて怒ってしまう
- 話の途中で割り込んでしまう
- 自分の思ったことをすぐ口に出してしまう
こうした行動が重なると、周りの子から「変な子」「わがまま」と誤解されやすく、本人も「なんでうまくいかないんだろう」と悩んでいます。
でも、決して“悪気があるわけではない”んです。
「人付き合いが苦手」=「嫌い」ではなく、「どうすればいいか分からない」だけ。
だから、親ができるのは“練習の場”をつくってあげることです。
たとえば、
- 会話ごっこをして、「どんな言葉を使えば相手が嬉しいかな?」と一緒に考える
- 相手の表情や声のトーンを観察する“表情カード遊び”をしてみる
- 「次はどうする?」と一緒に振り返る
このように、経験を通して「人との関わり方」を練習することが大切です。
社会性は生まれつきではなく、“育てられる力”です。
焦らず少しずつ、人との関わり方を学んでいければOKです。
③ 感情のコントロールが難しく、すぐイライラ
「怒りっぽくなった」「すぐにカッとなる」
――そんな変化を感じたら、思春期+ADHDの影響が関係しているかもしれません。
ADHDの子は、もともと衝動性が強く、感情を抑えるブレーキが効きにくい傾向があります。
そこに思春期特有のホルモンバランスや人間関係のストレスが重なると、「爆発しやすい」状態になりやすいんです。
たとえば、
- 注意されると「うるさい!」と反発してしまう
- 自分の思い通りにならないと、物に当たる・泣く
- 怒ったあとに「ごめん」と言えず、自分でもモヤモヤする
本人も「怒りたくない」と思っているのに、気づいたら爆発してしまっている…。
つまり、“怒りたくて怒っている”わけではなく、“抑えきれずに出てしまう”のです。
ここで大切なのは、怒りを止めることではなく、「気持ちを受け止める」こと。
たとえば、
- 「そんなに怒るなんてダメでしょ!」ではなく、
- 「それだけイヤだったんだね」「そう感じたんだね」
と、一度“共感”で返してあげることがポイントです。
この対応だけで、子どもは「自分の気持ちは理解された」と感じて落ち着きやすくなるんです。
④ 「どうせ自分なんて」自己肯定感が低下
ADHDの子は、周囲と比べられやすく、注意される機会も多いですよね。
だからこそ、「また失敗した」「自分はダメだ」という思いを抱きやすいんです。
特に中学生になると、
- 友達がスムーズにこなすことができない
- 成績や部活で評価されない
- 親や先生から“頑張り不足”と言われる
こうした体験が重なることで、「どうせ自分はやっても無理」と諦めモードに入ってしまうことがあります。
そんなときに大切なのは、“できた瞬間”を逃さず言葉で伝えること。
たとえば、
- 「昨日より早く準備できたね」
- 「自分から始められたの、すごいじゃん!」
など、小さな成功を積み重ねるような声かけが効果的です。
人は、“できた”体験を繰り返すことで自信が生まれます。
つまり、完璧を求めるより、「昨日よりちょっと前進」を見つけて褒めることが、何よりの支援になります。
⑤ 生活リズムや身支度がうまくできない
朝の準備や時間管理は、ADHDの子が特に苦手とするところ。
中学生になると通学時間や授業スケジュールも複雑になり、頭の中で情報を整理するのが大変になります。
たとえば、
- 「あと5分で家を出るのに、まだ着替えていない」
- 「持ち物を準備していたはずなのに、筆箱を忘れる」
- 「時計を見ているのに、時間の感覚がズレている」
これらは“怠けている”のではなく、時間感覚(タイムマネジメント)をつかみにくい脳の特性によるもの。
そこでおすすめなのが、「見える化」と「仕組み化」です。
たとえば、
- 朝の支度の手順をイラストで貼る
- 出かける前にチェックする「お支度リスト」を作る
- アラームやタイマーを活用して“時間の見える化”をする
こうした工夫をすることで、子ども自身が「次に何をすればいいか」が理解しやすくなります。
行動を自動化できるようにすることが、“自立”への第一歩なんです。
家庭でできる!ADHD中学生への親の対応・サポート法7選
中学生のADHDの子は、学校・友達・勉強など…あらゆる場面で小さな「つまずき」を感じています。
でもその分、家庭での関わり方が“安心の土台”になるんです。
ここでは、今日からすぐにできる7つのサポート法を紹介します。
どれも特別なことではなく、ママのちょっとした関わり方で変わっていく内容ばかりです。
① 「できた瞬間」をすぐ褒める|努力を認める言葉が自信を育てる
ADHDの子は、「失敗体験」が多く、「どうせ自分はできない」と思いやすい傾向があります。
だからこそ、小さな成功を“すぐに”褒めることがとても大切です。
ポイントは、“結果”よりも“過程”を評価すること。
たとえば、
- 「テストで80点だったね!」ではなく、
- 「昨日、自分から勉強始められたね!」
- 「最後まであきらめずにやったの、すごいね!」
このように「行動の努力」を言葉にして認めることで、子どもは「自分でも頑張れた」と実感できます。
こうした声かけは、自己効力感(自分にはできるという感覚)を高め、挑戦する意欲を育てます。
つまり、ママの「できたね!」の一言が、子どもの心にとっての“ごほうび”なんです。
② 見通しを立てやすくする|スケジュールとToDoで混乱を防ぐ
ADHDの中学生は、「次に何をすればいいか」が頭の中で整理しづらい特性があります。
そのため、予定が曖昧だと不安や混乱を感じやすいんです。
そこでおすすめなのが、「見える化」。
たとえば、
- ホワイトボードに「今日の予定」を書いておく
- 「朝の流れ」や「帰宅後のやることリスト」を貼る
- スマホのToDoアプリやタイマーでリマインドする
といった工夫をすることで、子ども自身が「今やること」「次にやること」を把握しやすくなります。
特に中学生になると、部活・塾・宿題などやることが増えるため、時間の見通しを持てるようにサポートすることが大事。
おすすめツール例:
- 「Time Timer」などの残り時間が視覚的にわかるタイマー
- 「ホワイトボード+マグネット式ToDo」
- スマホのリマインダーアプリ(Google KeepやTickTickなど)
こうしたツールを活用することで、“頭の中の整理”を外に出して支えることができるんです。
③ イライラを落ち着かせる「クールダウンスペース」を作る
思春期のADHDの子は、感情の波が激しくなりやすいですよね。
学校で我慢してきた分、家で一気に爆発することもあります。
そんなときに効果的なのが、「クールダウンスペース(安心できる場所)」を家の中に作っておくこと。
怒りや不安がピークのときに、“自分を落ち着かせるために行ける場所”があると、感情をコントロールしやすくなります。
例えば、
- リビングの隅に、好きなクッションやぬいぐるみを置いた“落ち着きコーナー”を作る
- 照明を少し落として、静かな音楽を流す
- 「5分だけ一人になれる空間」を確保する
これだけでも、子どもは「怒っても大丈夫」「安心して休める場所がある」と感じ、次第に気持ちを整えられるようになります。
ポイントは、「怒ったら行く場所」ではなく、「落ち着くために行ける場所」と伝えること。
叱るのではなく、“安心のルール”として設定することが大切です。
④ 朝の支度や宿題をルーティン化|タイマーで自立支援
ADHDの子は、「次に何をすればいいか」を切り替えるのが苦手。
朝の支度や宿題など、やるべきことがバラバラに感じて混乱しやすいんです。
そこで大切なのは、“流れを決めて習慣化”すること。
たとえば、
- 「起きる → 顔を洗う → 着替える → 朝ごはん → カバンチェック」
といった流れをイラスト付きで壁に貼っておくと、自然と体が覚えていきます。
また、タイマーの活用も効果的です。
- 「5分で歯磨き」「15分で宿題1ページ」など、時間を“見える化”する
- 音楽をタイマー代わりにして、「この曲が終わったら出発」のように合図を決める
こうすることで、時間の感覚がつかみやすくなり、「次の行動に移りやすくなる」=自立の一歩につながります。
⑤ 話を聞くときは“共感ファースト”で信頼を築く
ADHDの中学生は、注意されることが多いため、「どうせまた怒られる」と構えてしまうことがあります。
その結果、親の話を聞かなくなったり、反発的な態度を取ったりすることも。
でも本当は、「分かってほしい」「認めてほしい」と思っている子が多いんです。
だから、話をするときのコツは“共感ファースト”。
まずは正論よりも気持ちに寄り添うことが大切です。
たとえば、
- 「なんでできないの?」ではなく、
- 「それ、難しいよね」「うまくいかないとつらいよね」
と、一度受け止めるだけで、子どもの心の扉が開きやすくなります。
そこから「じゃあどうしようか」と一緒に考えることで、親子の信頼関係が深まるんです。
⑥ 学校との連携をスムーズに|担任・支援コーディネーターとの関わり方
中学生になると、授業担当の先生も増え、学校との連携が少し複雑になります。
でも、家庭だけで抱え込む必要はありません。
「学校にどう伝えるか」で、サポート体制は大きく変わります。
伝えるときのポイントは次の3つ:
- 子どもの得意・苦手を具体的に伝える(例:「口頭説明よりも、メモがあると理解しやすいです」)
- 家庭での工夫も共有する(例:「タイマーで行動を区切るとスムーズです」)
- 本人の努力を先生にも知ってもらう(例:「毎日チェックリストで頑張っています」)
また、担任だけでなく、支援コーディネーターやスクールカウンセラーにも相談しておくと安心です。
学校側も、「どんな支援が有効なのか」を把握できることで、より具体的な対応ができます。
💬 伝え方の例:
「家では〇〇に困っています。学校でも似たような場面があれば、声かけをお願いできますか?」
こうした“お願いの形”で伝えると、先生との関係もスムーズになります。
⑦ 専門機関・福祉サービスの活用法
ADHDの中学生への支援は、家庭や学校だけでなく、地域の専門機関を頼ることも大切です。
たとえば、
- 発達外来:診断や薬の調整、行動の相談などが可能
- 放課後等デイサービス:生活力や社会性を育てる訓練を受けられる
- 子ども家庭支援センター・発達支援センター:家庭全体へのサポートや相談ができる
- カウンセラー・臨床心理士:子どもや親の気持ちの整理をサポートしてくれる
「家庭だけではもう限界かも…」と感じたときこそ、外の力を借りるタイミングです。
早めの相談は、親子の負担を軽くし、安心して成長を見守るための第一歩になります。
ADHD中学生の「強み」に注目!苦手を補う発想の転換
ADHDというと、「集中できない」「忘れ物が多い」など、“苦手”ばかりが注目されがちですよね。
でも実はその裏に、人よりも光る“強み”や“才能”が隠れています。
子どもたちは決して「できない子」ではなく、「活かし方が違う子」なんです。
この章では、ADHD中学生が持つ強みと、それを伸ばすための家庭での関わり方を紹介します。
ADHDの子が持つ才能・得意分野とは?
ADHDの特性は、見方を変えると“創造的な力”や“柔軟な思考力”につながります。
ここでは代表的な強みを4つ見ていきましょう。
想像力・発想力が豊か
ADHDの子は、頭の中で次々とアイデアが浮かぶタイプが多いです。
「こうしたら面白そう!」「違うやり方を試してみよう!」と、柔軟な発想で新しいものを生み出す力を持っています。
学校の課題でも、型にとらわれずユニークな視点を出せることがあります。
大人になってからクリエイティブ職や芸術分野で才能を発揮する人が多いのも、ADHDの特性による“発想の自由さ”のおかげなんです。
感受性が高く、人の気持ちに敏感
人の表情や雰囲気を感じ取る力が強く、人の痛みや嬉しさを深く感じ取る子が多いです。
一見“繊細すぎる”ように見えても、それは共感力の高さの表れ。
人の気持ちに寄り添えるこの特性は、将来的に人間関係の強みになります。
興味のあることへの集中力がすごい(=過集中)
ADHDの子は、一般的に「集中力がない」と言われますが、実は“興味のあることには誰よりも集中できる”という特徴があります。
たとえば、
- 好きなゲームを何時間も研究している
- 絵や動画編集など、好きなことには寝るのも忘れるほど熱中する
これは“過集中(ハイパーフォーカス)”と呼ばれる状態で、好きなことに対して驚くほどのエネルギーを発揮できるんです。
つまり、「集中できない子」ではなく、「集中する対象が限定的な子」とも言えます。
“過集中”を味方につける学び方の工夫
過集中は、使い方次第で大きな武器になります。
たとえば、
- 勉強でも「好きな教科」や「得意な分野」から取りかかる
- 苦手科目を「得意なテーマと関連づけて学ぶ」
など、“興味のスイッチ”を押す工夫がポイントです。
例えば理科が苦手でも、「宇宙が好き」なら宇宙の単元から入る。
英語が苦手でも、「海外のゲームを理解したい」から始める。
そうやって“ワクワクする理由”とつなげてあげることで、自然と学習意欲が上がります。
親の役割は、無理に苦手を克服させることではなく、「得意を入り口にして苦手を補う流れをつくる」こと。
この発想の転換が、ADHDの子の成長をぐんと伸ばすカギになります。
強みを伸ばす家庭での関わり方
ADHDの子どもは、「褒めて伸びるタイプ」が圧倒的に多いです。
ただし、漠然と「すごいね!」と言うよりも、“具体的にどこが良かったのか”を言葉で伝えることが大切です。
興味を引き出す声かけ
「なんでできないの?」ではなく、
「どんなことにワクワクする?」「この中で一番やってみたいのはどれ?」
と、興味を“掘り出すような質問”をしてみましょう。
その子の興味の中に、強みのヒントが隠れています。
得意を見つける観察のコツ
ADHDの子は、気分や環境によって得意・不得意の表れ方が変わります。
だからこそ、「何をしているときに一番集中しているか」をよく観察してみてください。
- 夢中で絵を描いている
- 誰かの話を聞いてニコニコしている
- ゲームのルールを友達に説明している
――そんな瞬間こそが、「強みが発揮されている場面」です。
親が「そこ、いいね!」と声をかけることで、子ども自身が自分の強みに気づくきっかけになります。
「できた!」を共有してモチベーションを維持
ADHDの子は、頑張っても結果がすぐ出ないことが多いので、途中でやる気をなくしがちです。
だからこそ、“できた瞬間”を一緒に喜ぶことがとても大事。
たとえば、
- 「今日は宿題にすぐ取りかかれたね!」
- 「昨日よりスムーズに準備できたね!」
など、些細なことでも共有して笑顔で褒める。
これが続くと、子どもは「自分でもできることがある」と感じ、前向きな自己イメージを持てるようになります。
親がやりがちなNG対応と、すぐできる改善法
ADHDの子どもと向き合う毎日は、想像以上にエネルギーを使いますよね。
何度言っても同じミスを繰り返したり、反抗的な態度を取られたり…。
「どうしてわかってくれないの?」と、ついイライラしてしまうのは当然のことです。
でも実は、親の声かけや対応をほんの少し変えるだけで、子どもの行動もグッと変わるんです。
ここでは、よくある“NG対応”と、“すぐできる改善法”をわかりやすく紹介します。
「なんでできないの?」はNGワード!代わりに使える言葉例
ADHDの子にとって、「なんでできないの?」という言葉は、“責められた”と感じやすい言葉です。
本人も「やろうと思っていたのに」「気づいたら忘れていた」ということが多く、
「自分でもわからない…」というのが本音なんです。
この言葉を繰り返してしまうと、子どもは「どうせ自分はダメなんだ」と感じ、
やる気や自信を失ってしまうこともあります。
代わりに使える“肯定的な伝え方”の例
たとえば、
- 「どうしたらやりやすくなるかな?」
- 「一緒に方法を考えよう」
- 「ここまではできたね、あと少しだね!」
- 「思い出せなかったんだね。じゃあ次はどうする?」
といった声かけに変えるだけで、子どもの“次の一歩”を引き出す言葉になります。
ADHDの子は、「責められる」と思考が止まる一方で、「認められる」と前に進もうとする特性があります。
つまり、行動修正の近道は「叱る」ことではなく、「できた部分を見つけて伝えること」なんです。
「言い方を変えるだけで関係が変わる」――これは、どの家庭でも起こりうる大きな変化です。
「つい怒ってしまう」親のセルフケア術
どれだけ冷静になろうと思っても、
思春期の子に反抗されたり、何度も同じミスを見たりすると、つい声を荒げてしまうことってありますよね。
でも大丈夫です。
完璧な親なんていません。
大事なのは「怒ってしまったあと、どう立て直すか」なんです。
感情的になったあとに修復する“魔法の一言”
おすすめなのは、この一言です:
「さっきは怒りすぎちゃった。あなたを嫌いなわけじゃないよ。」
たったこれだけで、親子の信頼関係はすぐに戻ります。
ADHDの子は感受性が高いため、「怒られたこと」よりも「そのあとどう関わられたか」を強く覚えています。
だからこそ、“フォローの言葉”がとても大事なんです。
親が落ち着くための呼吸・思考リセットテクニック
怒りがこみ上げたときは、すぐに対処しようとせず、まず「3秒深呼吸」をしてみましょう。
- 息を3秒吸って、3秒止めて、6秒かけて吐く。
これを3セット繰り返すだけで、脳の興奮が静まり、冷静さを取り戻しやすくなります。
もうひとつのコツは、「私は今、疲れてるだけかも」と一歩引いて考えること。
怒りの正体は、実は“疲労”や“焦り”のことも多いんです。
少し時間をおいてから話すことで、感情的な言葉ではなく“伝わる言葉”に変えられます。
完璧を目指さなくていい|“ゆるく支える”が一番長続きする理由
ADHD育児をしていると、「ちゃんとサポートしなきゃ」「もっと理解しなきゃ」と、
いつの間にか“頑張りすぎのループ”に入ってしまうことがあります。
でも、実は長く続けるために一番大事なのは、“ゆるく支える姿勢”なんです。
なぜなら、親が無理をすると、子どももそのプレッシャーを感じ取るからです。
「今日はできなくても、明日はできるかも」でOK
ADHDの子の成長は、“波があって当たり前”。
昨日できたことが今日はできない――それもよくあることです。
でも、それを「後退」ととらえる必要はありません。
脳の特性上、“環境や体調の影響を受けやすい”だけなんです。
だから、
- 「今日はちょっと調子が悪いんだね」
- 「また明日チャレンジしよう」
と、“ゆるく見守るスタンス”が、結果的に一番うまくいきます。
ママ自身も、「今日は怒らずに済んだ」「少し優しく声をかけられた」
――そんな小さな達成感を大切にしてOKです。
子どもを変える前に、まず親がラクになること。
それが、ADHD育児を続けるうえでの最大の秘訣です。
まとめ:ADHD中学生を「困った子」ではなく「努力している子」として見よう
ADHDの中学生と向き合っていると、
「なんで同じことを何度も言わなきゃいけないの?」
「もう少し落ち着いてくれたら…」
そんな気持ちになること、ありますよね。
でも、ママが一番忘れないでいてほしいのは――
子ども自身も“うまくやりたい”と思っているということです。
それでも、脳の特性ゆえに思うようにいかない場面が多いだけなんです。
ADHDの特徴は“欠点”ではなく“特性”
ADHDは「できない病気」ではなく、脳の働き方が少し違うだけの“特性”です。
たとえば、
- 集中が続かない=情報を一度にたくさん受け取りやすい
- 忘れっぽい=興味が移りやすく柔軟な発想ができる
- 衝動的に動く=エネルギーが高く行動力がある
一見「困った行動」に見えることも、見方を変えれば“強み”の裏返しなんです。
つまり、「注意が足りない子」ではなく、「感じ方や考え方が人より少し違う子」。
そして何より、その違いがある中で日々頑張っている子なんです。
ママが「この子は欠点のある子」ではなく、
「努力している子」「工夫して生きている子」と見てあげるだけで、
子どもの表情も安心感も大きく変わります。
思春期こそ親子で信頼を築くチャンス
中学生になると、子どもは「もう子ども扱いされたくない」という気持ちが強くなります。
だからこそ、親が「ちゃんとあなたを理解しようとしているよ」という姿勢を見せることが大切です。
ADHDの子どもたちは、「理解される」ことで初めて安心して努力できるタイプです。
逆に、「どうせ自分は怒られる」「また否定される」と思うと、心を閉ざしてしまいます。
思春期の今こそ、
「わかってもらえた」と感じさせるチャンスなんです。
言葉だけでなく、目線を合わせて“聞く時間”を持つことが、信頼関係を育てる一歩になります。
たとえば、
- 「今日はどんなことが楽しかった?」
- 「あのとき、どう感じたの?」
など、“結果”ではなく“気持ち”を聞く関わり方が◎。
親が先に心を開くと、子どもも少しずつ本音を話してくれるようになります。
「理解・仕組み・共感」が家庭支援の3本柱
ADHDの子を育てるうえで大切なのは、「理解」「仕組み」「共感」の3つの柱です。
① 理解
「できない」のではなく、「難しいだけ」という事実を理解すること。
行動の背景を知るだけで、叱る回数がぐっと減ります。
② 仕組み
スケジュールの見える化やタイマーなど、子どもが“自分でできるようになる”仕組みづくり。
「仕組み」があるだけで、ママの声かけも減り、親子のストレスが減ります。
③ 共感
「わかるよ、それ困るよね」と、気持ちを受け止めること。
たとえ問題が解決しなくても、「共感してもらえた」と感じるだけで、子どもの心は落ち着きます。
この3つの柱が揃うと、家庭が“安心できる場所”になります。
安心があると、子どもは自然と自分の力で成長しようとするんです。
最後に伝えたいメッセージ
ママに一番伝えたいのは、この言葉です。
「できない子」ではなく、“頑張っても難しい子”を理解することが支援の第一歩。
ADHDの子どもたちは、日々の生活そのものが小さな挑戦の連続です。
時間を守る、集中する、片づける――それら一つひとつに、想像以上の努力をしています。
だから、失敗しても「ダメだったね」ではなく、
「今日もよく頑張ったね」と伝えてあげてください。
ママがその努力を見つけてあげることで、
子どもは「自分のままで大丈夫なんだ」と思えるようになります。
それが、思春期を乗り越える何よりの力になります。
ADHD育児は、決して簡単ではありません。
でも、ママが「理解」と「工夫」で寄り添っていけば、
子どもは必ず“自分らしく生きる力”を育てていきます。
どうか焦らず、完璧を目指さず、ゆっくりと“親子で成長していく時間”を大切にしてくださいね。
「今日もよくやった」が、きっと子どもの明日の笑顔につながります。
以上【ADHDの特徴と中学生のリアルな悩み|親ができるサポート術まとめ】でした


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