ADHDの子どもが「ウソをつく」本当の理由とは?
「なんでこんなウソをつくの?」「昨日と言ってることが違う…」
そんなふうに思ったこと、ありませんか?
実は、ADHDの子どもがつく“ウソ”には、悪意やごまかしの意図がないことがとても多いんです。
むしろ、「自分でも整理できない気持ち」や「混乱している記憶」から出てしまう言葉だったりします。
ここでは、ADHDの子が“ウソをついているように見える”理由を3つの角度から見ていきましょう。
ADHDの特性が「虚言癖」に見えるのはなぜ?
ADHD(注意欠如・多動症)の特性のひとつに、衝動性や不注意、そして記憶の抜け落ちやすさがあります。
これらの特性が組み合わさると、結果的に「ウソをついたように見えてしまう」ことがあるのです。
たとえば、
- 注意がそれやすく、話している途中で別のことを思い出してしまう
- 自分でもどこまで話したか忘れて、話の内容が食い違う
- 思いついたことをそのまま口にしてしまう
こうした行動が重なると、まるで“話がころころ変わる子”に見えるんですよね。
でも実際は、「ウソをついてやろう」という意図ではなく、頭の中の整理が追いつかないだけのことも多いです。
ADHDの子は「今この瞬間」に意識が集中しやすいため、過去の出来事を正確に思い出すのが苦手です。
その結果、「あのときやったよ」「そんなこと言ってないよ」と言ってしまい、
ママから見ると“ウソをついている”ように感じてしまうことも。
実際、専門家の中ではこれを「記憶の再構築」と呼ぶことがあります。
脳が“断片的な情報”を埋め合わせようとして、少し違う話に置き換わってしまうんですね。
つまり、本人の中ではウソではなく“思い込んでいる真実”なんです。
「悪意のある嘘」ではなく「自己防衛の言葉」
もうひとつよくあるのが、「怒られたくない」「責められたくない」気持ちから出るウソです。
たとえば、
- 宿題をしていないけど、「もうやったよ!」と言ってしまう
- コップを割ったのに「知らない」と言い張る
このときの子どもの心の中には、「ママをだましてやろう」という気持ちはありません。
多くの場合、「どうしよう、また怒られる…」という怖さや不安が先に来ています。
ADHDの子は、失敗や注意を受ける経験が人より多い傾向があります。
そのため、「怒られたくない」という思いが強くなりやすく、
つい“とっさにウソで自分を守る”という行動につながってしまうのです。
このような自己防衛のウソは、心理的に言うと「防衛反応」の一種。
たとえ大人でも、追い詰められたときにとっさに言い訳をしてしまうことがありますよね。
子どもにとっての“ウソ”も、まさにそれと同じ。
つまり、「生きづらさ」や「不安」から生まれるサインとも言えるのです。
もし「どうしてウソをついたの?」と責めるよりも、
「怖かったんだね」「そう言いたくなる気持ちもわかるよ」と受け止めてあげると、
子どもは“安心して本当のことを話す”ようになっていきます。
想像と現実の区別が難しい場合も
さらに、ADHDの子には想像力がとても豊かな子が多いです。
頭の中でストーリーを作ったり、空想の世界を楽しんだりするのが得意なんですね。
ただ、その「想像の世界」と「現実の出来事」が混ざってしまうことがあります。
たとえば、
- 「昨日ドラえもんに会った!」
- 「ぼくがクラスで一番足が速い!」(実際は違う)
こうした“作り話のような発言”を聞くと、つい「またウソついてる」と思ってしまいがちですが、
本人の中では本当にそう感じていることもあるんです。
これは、発達段階や想像のコントロール力が関係しています。
発達段階が幼いほど、“現実”と“空想”を分けて考える力が育ちきっていないため、
「本当の話」と「思ったこと」の区別があいまいになってしまうのです。
大切なのは、「ウソ」と切り捨てるのではなく、
「へぇ!ドラえもんに会ったんだね。どんなこと話したの?」と話を受け止める姿勢です。
そうすると、子どもは「話を聞いてもらえた」と感じて安心します。
そして落ち着いたタイミングで、
「夢の中だったのかな?」「本当のことと想像を分けてみようか」と
現実と想像の整理を一緒にしていくことが、次のステップにつながります。
このように、ADHDの子がウソをつくように見えるのは、
特性・心理・発達の段階が重なった結果であることが多いです。
ママが「なんでウソばかり…」と落ち込む前に、
その背景にある“心の理由”を理解してあげることが、
何よりも大切な第一歩なんです。
ADHDの虚言癖に見える“行動パターン”を理解しよう
「なんでそんなこと言ったの?」「昨日と話が違うじゃない!」
そんなやり取りに、思わずため息をついたことはありませんか?
ADHDの子どもが“ウソをつくように見える”とき、そこにはいくつかの行動パターンがあります。
実は、どれも「悪い子だから」ではなく、心の中の不安や混乱、そして認められたい気持ちが関係しているんです。
ここでは、代表的な3つのタイプをわかりやすく紹介します。
子どもの“ウソ”の背景を理解することで、ママの心もずっと軽くなりますよ。
「叱られたくない」からウソをつく防衛型
一番多いのが、この「叱られたくない型」。
たとえば、コップを割ってしまったときに「ぼくじゃない」と言ってしまう。
宿題をやっていないのに「もう終わった」と言ってしまう。
これは決して“悪意のあるウソ”ではなく、「怒られたくない」という防衛反応なんです。
ADHDの子は、うっかり忘れたり、つい衝動的に行動してしまったりと、失敗の経験が多くなりがち。
そのため、「どうせ怒られる」「また注意される」と身構えてしまい、“先にウソで身を守る”という行動が出やすくなります。
心理的には、これを「防衛型のウソ」といいます。
本能的に「自分を守らなきゃ」と感じてしまう状態ですね。
このとき、ママが感情的に「ウソついたでしょ!」と責めると、子どもはますます怖くなり、
「本当のことを言うともっと怒られる」と思い込んでしまいます。
そんなときは、まず深呼吸して、
「怖かったんだね」「怒られると思ったんだね」と気持ちを代弁してあげることが大切。
そのうえで「次はどうしたらいいと思う?」と一緒に考える姿勢を見せると、
子どもは「本当のことを言っても大丈夫なんだ」と安心できます。
「注目されたい」「認めてほしい」承認欲求型
次に多いのが、「注目されたい」「褒められたい」という気持ちから出るタイプです。
たとえば、
- 「先生に100点って言われた!」(実際は80点)
- 「友だちがぼくのこと大好きって言ってた!」(本当はそんな話はしていない)
このような“話を盛る”ような発言、ありますよね。
これも「ウソをついている」というより、「ぼく(わたし)をもっと見て!」という心の叫びです。
ADHDの子は、どうしても叱られる経験が多く、
「また怒られた」「また注意された」という記憶が積み重なりやすいです。
その分、“ほめられたい”“認めてもらいたい”という気持ちがとても強いんですね。
でも、なかなか結果で褒められないとき、
「こう言ったらママが喜ぶかも」「すごいねって言われたい!」と、
つい“事実を少し変えて話す”ことがあります。
これは心理学的には「承認欲求型のウソ」と呼ばれるもので、
根っこにあるのは「愛されたい」「認めてほしい」という健全な願い。
ママとしては、「そんなこと言わなくてもあなたは大丈夫」と
存在そのものを認めてあげる声かけが効果的です。
たとえば、
「うれしかったんだね」「そう言ってもらえたらいいなって思ったんだね」
と共感を返すだけで、子どもの心が安心していきます。
「覚えていない」混乱型・記憶型のウソ
そしてもう一つ、ADHDの特性の中で見落とされがちなのが、
「覚えていない」「記憶があいまい」タイプのウソです。
これは、いわゆるワーキングメモリ(短期記憶)の弱さに関係しています。
ADHDの子は、頭の中で情報を保持したり整理したりするのが苦手。
そのため、昨日の出来事や約束した内容をうまく思い出せないことがあります。
たとえば、
- 「宿題はやったの?」→「うん、やったよ!」(でも実際はまだ)
- 「お菓子食べた?」→「食べてない!」(でもさっき食べた)
このような場合、本人に悪気はまったくなく、
“本当にやったと思い込んでいる”ことが多いんです。
これは「ウソ」ではなく、“記憶の混乱”や“事実のすり替わり”によって起きる現象。
つまり、本人の中では“真実”なんです。
このときに「ウソばっかり!」と責めてしまうと、
子どもは「なんで信じてくれないの?」とさらに混乱してしまいます。
ママができることは、
「うん、そう思ってたんだね。でも実際はこうだったよ」と
優しく現実を整理してあげること。
この小さな積み重ねが、子どもの“記憶の整理力”を育て、
「正直に話しても大丈夫なんだ」という安心感を育てていきます。
ADHDの子どもの“ウソ”には、必ず理由があります。
それは、「自分を守りたい」「認めてほしい」「混乱している」という、
心の中のSOSなのです。
ママがその背景を理解してあげることで、
“ウソを責める関係”から、“本音を話せる関係”へと変わっていきます。
ADHDの「ウソ」に隠された“心のSOS”を見逃さないで
「またウソついたの?」と聞くたびに、胸が苦しくなることってありますよね。
でも実は、ADHDの子どもがウソをつくとき、それは“心のSOS”であることが多いんです。
“ウソ”という言葉の裏には、「怖い」「わかってほしい」「信じてほしい」――そんな気持ちが隠れています。
ここでは、子どものウソに隠された本当の心理を、ママがやさしく理解できるように解説していきます。
嘘は「助けて」のサイン!安心感が足りていない状態
子どもがウソをつくとき、心の奥では「どうしよう…」「怒られたくない…」という不安が渦巻いています。
これは単なる「悪い行動」ではなく、安心感が不足しているサインなんです。
ADHDの子は、日常の中で「失敗した」「うまくいかなかった」という経験が多く、
その分、“怒られる”“否定される”ことにとても敏感になりがちです。
そんな子どもたちは、叱られる前に“ウソ”という小さな防御壁を作ります。
「ウソをつけば、今は守れるかもしれない」という、一時的な心の逃げ道なんですね。
でも、安心感が十分にある子は、その壁を作る必要がありません。
つまり、「この人は自分を責めない」「本当のことを話しても大丈夫」という信頼があると、自然とウソは減っていくのです。
たとえば、
- 「正直に言ってくれてありがとう」
- 「次は一緒に考えようね」
そんな言葉をかけるだけでも、子どもの心に“安心の貯金”ができます。
ウソを減らすカギは、叱ることではなく“安心させること”なんです。
否定される経験の積み重ねが“嘘を増やす”
ADHDの子どもが「どうせ信じてもらえない」と感じるようになると、ウソが増える傾向があります。
これは、「自己防衛のループ」と呼ばれる悪循環。
たとえば、こんな流れです。
- 本当のことを話す
- 怒られたり、信じてもらえなかったりする
- 「本音を言うとつらい」と感じる
- だから次は“ウソでごまかす”
このサイクルが繰り返されると、子どもは「本当の自分を見せるのが怖い」と感じるようになります。
ウソが増えるのは、ママを困らせたいからではなく、“自分を守りたいから”なんです。
ここで大切なのは、まず「否定よりも受け止める姿勢」を意識すること。
「なんでそんなことしたの!」よりも、
「そうしたくなったんだね」「そう思ったんだね」と気持ちを受け止めてから話を始めましょう。
子どもは「理解してもらえた」と感じると、防衛反応が弱まり、少しずつ本音を話すようになります。
ウソの多い時期こそ、“信頼を取り戻すチャンス”と考えるといいかもしれません。
ADHDの子が安心して本音を話せる環境とは?
では、どうすれば子どもが「本当のことを話しても大丈夫」と思える環境を作れるのでしょうか?
ポイントは、「ウソを責めない家の空気」を育てることです。
ADHDの子は、感情の波が大きく、思ったことをパッと口に出してしまうことがあります。
そんなときに「またウソ!」「なんで正直に言えないの!」と責めてしまうと、
子どもは一瞬で心のシャッターを閉じてしまいます。
逆に、たとえ事実と違うことを言っても、
「そう思ったんだね」「それは困ったね」と穏やかに受け止めるだけで、空気が変わります。
“ウソを責めない家庭”は、子どもにとって「安心して戻れる場所」になります。
家が安心できる場所だと、外で頑張っている子どもも心のバランスを取りやすくなります。
もう一つのポイントは、ママ自身が焦らないこと。
ウソをすぐにやめさせようとするよりも、
「この子が本音を言えるようになるまで、少しずつ信頼を積み重ねていこう」と長い目で見守ることです。
たとえば、
- 「本当のことを言ってくれてありがとう」
- 「次は一緒にどうしようか考えよう」
そんな小さな対話の積み重ねが、子どもの心に“安心の根”を育てていきます。
ADHDの子どもにとって、“ウソ”は心を守るための小さな防具です。
その奥には、必ず「助けて」「わかってほしい」という気持ちがあります。
ママがそれに気づき、やさしく受け止めてあげることで、
ウソという防具を少しずつ手放し、本音で話せる関係が生まれていきます。
ウソをなくすことよりも、「この子のSOSを見逃さないこと」。
それが、ADHDの子どもとの信頼関係を深める第一歩です。
ADHDの虚言癖を“叱らずに減らす”接し方と声かけ
ADHDの子どもがウソをついたとき、つい感情的に「なんでそんなこと言うの!」「ウソついたでしょ!」と怒ってしまうこと、ありますよね。
でも実は、この“叱る”という対応がウソを増やしてしまう原因になることもあるんです。
ADHDの子はもともと衝動的に行動しやすく、感情のコントロールも難しい傾向があります。
そのため、強く責められると心が防御モードになってしまい、
「もう本当のことを言わないほうが安全」と感じてしまうんですね。
ここでは、“叱らずにウソを減らすための関わり方”を3つのポイントでお伝えします。
今日からすぐ実践できる声かけのヒントも紹介しますよ。
「ウソついたでしょ!」と責めない勇気
ADHDの子どもがウソをついたとき、つい「ウソついたでしょ!」と問い詰めたくなる気持ち、よくわかります。
でも、実はこれが一番逆効果。
強く責められると、子どもの心は瞬時に“防衛モード”に入ります。
そうなると、「本当のことを言ったらもっと怒られる」と感じて、
ますますウソを重ねてしまうことがあるんです。
特にADHDの子は、「失敗体験」や「怒られた記憶」が他の子より多い傾向があります。
そのため、「また怒られる」「どうせ信じてもらえない」と思い込みやすく、
“本音を隠すクセ”がついてしまうことも。
大事なのは、「責めずに聞く姿勢」です。
たとえばこんな言葉が効果的です。
- 「どうしたの?」「困ったね、一緒に考えよう」
- 「びっくりしたけど、教えてくれてありがとう」
このように話すことで、子どもは“攻撃されていない”と感じ、
少しずつ本音を話せるようになります。
ウソを減らす第一歩は、「ウソを責めない勇気」。
“叱るより信じる”という態度が、子どもの安心感を育てるんです。
“行動”を責めず“気持ち”に寄り添う
ウソをついたとき、つい「なんでそんなことしたの!」と行動に目が行きがちですよね。
でも、ADHDの子どもにとっては、その行動の裏に必ず理由や気持ちがあります。
たとえば、
- 宿題をやっていないのに「やったよ」と言う → 「やる気がなかった」のではなく「できないのが恥ずかしい」
- コップを割ったのに「知らない」と言う → 「怒られるのが怖い」
このように、ウソの背景には「恐れ」や「不安」、そして「自分を守る気持ち」が隠れています。
だからこそ、行動を責めるよりも、「そのときどんな気持ちだったのか」を聞くことが大切。
たとえば、こんな声かけをしてみてください。
- 「そう言いたくなっちゃったんだね」
- 「びっくりしたのかな? 怖かった?」
こうして気持ちに寄り添う言葉を使うことで、
子どもは「ママは味方なんだ」と安心できるようになります。
心理学的にも、安心できる関係は“自己開示(=本音を話す力)”を育てると言われています。
つまり、「叱るより理解する」ことで、ウソを減らす力が自然と育っていくのです。
正直に話せたときは“全力で褒める”
そして、ウソを減らす最大のコツは、「正直に話せたときに全力で褒める」こと。
たとえば、
「本当のことを言ってくれてありがとう」「言いにくかったのに話してくれてえらいね」
と伝えるだけでOKです。
ADHDの子どもは、注意される経験が多いぶん、“正直に話す=怒られる”という思い込みが強い傾向にあります。
だからこそ、「正直に話すとママが喜んでくれる」という新しい経験を積み重ねることが大事なんです。
ここでのポイントは、結果ではなく“行動そのもの”を褒めること。
- 「ウソをつかなかったからえらい」ではなく、
- 「話してくれたことがうれしい」「正直に言えたね」
このように伝えることで、子どもは「正直でいても大丈夫なんだ」と感じ、
少しずつ自己肯定感が高まっていきます。
そして、この「自己肯定感」が高まると、ウソをつく必要がなくなっていくんです。
なぜなら、「本当の自分でも受け入れてもらえる」という確信があるから。
叱るよりも、認める。
責めるよりも、信じる。
これこそが、ADHDの子の“ウソを減らす最強の対応法”です。
ウソをつかれたとき、ママの心はきっと苦しいですよね。
でも、子どもは「ママを困らせよう」と思ってウソをついているわけではありません。
多くの場合、そこには不安・混乱・そして“安心したい気持ち”が隠れています。
ママが怒りの言葉を少しガマンして、「話してくれてありがとう」と伝えるだけで、
その日から親子の空気が少しずつ変わっていきます。
ウソを責めるより、信じる勇気。
それが、ADHDの子にとって一番の安心であり、
ウソを減らすための一番の近道なんです。
家庭でできる「ウソを減らす関わり方」5つの実践法
ADHDの子どもの“ウソ”は、叱るよりも日々の関わり方を少し工夫することで、ぐんと減らすことができます。
「どうしたらこの子が本音を話してくれるようになるの?」と悩むママにこそ、
おうちでできる具体的な5つの方法をお伝えします。
どれも難しいことではなく、“安心できる環境”を積み重ねる工夫ばかり。
今日から少しずつ取り入れてみましょう。
約束やルールは“目に見える形”で共有
ADHDの子どもは、「聞いたことをそのまま覚えておく」のが苦手です。
そのため、口頭で伝えただけだと、あとで思い出せなかったり、
「言われてないよ!」というやり取りが起きやすいんですね。
そこで効果的なのが、「見える化」です。
たとえば、
- スケジュールボードにやることを書く
- 守る約束をイラストやマグネットで貼る
- 朝・夜のルーティンをチェックリストにする
このように目で見て確認できる形にしておくと、記憶の抜け落ちを防げます。
ADHDの特性である“ワーキングメモリ(短期記憶)”の弱さを補うことができるんです。
「ウソをついた」のではなく、「忘れてしまった」だけというケースも多いので、
“見える工夫”はトラブルを減らす最強の方法です。
また、ルールを一緒に作ることもポイント。
子どもが「自分で決めた」と感じると、守る意識が高まります。
正直に話せたら「ありがとう」を伝える
ウソを減らすためには、「正直でいても大丈夫」という経験を積ませることが大切です。
その第一歩が、正直に話せた瞬間に“ありがとう”を伝えること。
たとえば、
- 「本当のこと言ってくれてありがとう」
- 「言いにくかったのに話してくれてうれしい」
この“ありがとう”の一言が、子どもの心に深く響きます。
ADHDの子どもは、「叱られる」「怒られる」という経験が多く、
“正直に話す=怖いこと”と感じている場合があります。
だからこそ、“正直に話したらうれしいことが起こる”という新しい体験を増やしていくのが大切なんです。
ママが感謝の気持ちを言葉にすることで、
子どもは「正直に言っても大丈夫」と安心し、ウソをつく必要が減っていきます。
感情が高ぶったときは“冷却時間”を設ける
子どもがウソをついたとき、ママの気持ちも大きく揺れますよね。
「またウソ!?」「どうしてそんなこと言うの!」と怒りや悲しみがこみ上げるのは自然なことです。
でも、感情が高ぶったまま話してしまうと、
子どもは“責められた”と感じて心を閉ざしてしまいます。
そんなときこそ、「クールダウンの時間」を取ることが大事。
たとえば、
- 「ちょっとお互い落ち着こうか」
- 「5分だけ別のお部屋で休もう」
と伝えて、一度距離を置くようにしましょう。
この“冷却時間”を挟むことで、ママも子どもも気持ちを整理しやすくなります。
心理的にも、感情が高ぶったときに理性的な会話をするのは難しいといわれています。
落ち着いてから「どうしてそう思ったの?」と話すと、
子どもも冷静に本音を伝えやすくなります。
ご褒美より“共感の言葉”を重ねる
ウソを減らすために「本当のことを言ったらご褒美をあげよう」と思う方もいますが、
実は、“ご褒美”よりも“共感の言葉”のほうがずっと効果的です。
子どもが求めているのは、物ではなく「理解してもらえること」だからです。
たとえば、
- 「そう思ったんだね」
- 「がんばったんだね」
- 「困ってたんだね」
こうした共感の言葉を日常的にかけることで、
子どもは「ママは自分をわかってくれる」と感じ、ウソをつく必要がなくなります。
心理学的にも、共感的な対応は子どもの安心感を高めると言われています。
安心感があると、自分を守るためのウソは自然と減っていくのです。
“信じる姿勢”を継続することが最大の支援
どんなにウソをつかれても、最後に一番大事なのは、「信じる姿勢を持ち続けること」です。
「信じてるよ」「きっと本当のことを言えるようになるよ」
この言葉を繰り返し伝えることで、子どもは「自分は信じてもらえている」と感じます。
一度のウソで信頼を壊すのではなく、
「失敗しても大丈夫」「もう一回やり直せる」と伝えることが、心の安心につながります。
ADHDの子どもにとって、“信じてもらえる体験”は、何よりの自己肯定感になります。
そしてその自己肯定感こそが、ウソを減らす根本的な支えになるのです。
ウソを減らすために必要なのは、
「叱る力」ではなく、“信じる力”と“待つ力”です。
ママが少しずつ“安心の土台”を作ってあげることで、
子どもは「正直に話しても大丈夫なんだ」と感じ、
やがてウソをつかなくても生きやすい毎日を送れるようになります。
ADHDの虚言癖で専門家に相談すべきサインとは?
「このままで大丈夫なのかな?」「ウソがどんどん増えてきて心配…」
そんな不安を感じたことはありませんか?
ADHDの子どもが“ウソ”をつくように見えるのは、成長の途中でよくあることです。
ですが、ウソが日常生活や学校生活にまで影響を与え始めている場合は、
早めに専門家に相談することをおすすめします。
ここでは、専門的な支援が必要な“相談の目安”を、3つのサインとしてわかりやすく解説します。
嘘が生活や学校生活に支障をきたしている
もしウソが増えて、家庭や学校で混乱が起きているようなら、それは相談のサインです。
たとえば、
- 「宿題やった」と言ってやっていない
- 「先生がこう言ってた」と事実と違うことを伝える
- 「友だちにこうされた」と話が大げさになってしまう
こうした発言が続くと、家庭でも学校でも信頼関係にズレが生まれ、
本人も周囲も混乱してしまうことがあります。
特にADHDの子は、空想と現実の線引きがあいまいになることがあり、
“作り話”のように聞こえてしまうこともあります。
これは「ウソをついてやろう」と思っているわけではなく、
頭の中のイメージや感情が強く影響して、現実と混ざってしまうことがあるのです。
こうした状況が頻繁に起きる場合は、
一度、発達支援センターや児童発達支援事業所などに相談してみましょう。
専門家が子どもの思考の流れを整理する支援をしてくれることがあります。
自尊心が極端に低下しているサイン
ウソが続くことで、子ども自身が「自分なんてダメ」「どうせ信じてもらえない」と話すようになったら、
それは心の疲れがたまっているサインです。
ADHDの子どもは、叱られたり注意されたりする経験が多く、
どうしても「自分はできない子」と感じやすい傾向があります。
その結果、
- 本当のことを話しても信じてもらえないと思ってしまう
- 正直に話すより、期待に合わせようとしてしまう
- 「もう何を言ってもムダ」とあきらめてしまう
こうした思考パターンが続くと、自己肯定感がどんどん下がってしまいます。
ママがどんなに優しく声をかけても、
「もう信じてもらえない」と感じてしまうと、本人もどうしていいかわからなくなるんですね。
このようなときは、カウンセラーや発達支援の専門家に話を聞いてもらうのがおすすめです。
専門家は子どもの気持ちを客観的に整理し、
「信頼を取り戻す練習」や「安心して話せる環境づくり」を一緒に考えてくれます。
学校・友達とのトラブルが増えている場合
ウソが原因で、友だちや先生との関係にトラブルが増えているときも、早めに相談が必要です。
たとえば、
- 「〇〇くんがいじめた」と事実と違うことを言ってしまう
- 「先生にこう言われた」と話を盛ってしまう
- 友だちから「ウソつき」と言われてしまう
このようなことが起きると、誤解が広がり、人間関係のトラブルや孤立につながる危険があります。
ADHDの子は、もともとコミュニケーションのズレが起きやすく、
自分の思いをうまく伝えられずに誤解されることも多いんです。
だからこそ、学校や地域の支援機関と連携しながら、
子どもが安心して過ごせる環境を整えていくことが大切です。
相談できるところとしては、たとえば以下のような機関があります。
- スクールカウンセラー(学校内)
→ 学校生活の中での困りごとを一緒に整理してくれます。 - 発達支援センター・児童発達支援事業所
→ 専門の支援員が子どもの特性に合わせた関わり方を教えてくれます。 - 子育て支援センター・自治体の相談窓口
→ 家庭や学校との橋渡し役になってくれることも。
専門家に相談することで、ママ自身の「どう接すればいいの?」という不安も軽くなります。
そして、子どもにとっても「わかってくれる大人がいる」という安心感につながります。
ADHDの子どもの“ウソ”は、心の不安や混乱から生まれる行動です。
だからこそ、ママが一人で抱え込まず、専門家と一緒に支援の輪を広げていくことがとても大切です。
ウソを減らすための一番の近道は、
「責めること」でも「矯正すること」でもなく、
“理解してくれる人”がそばにいること。
その安心が、子どもの心をやわらげ、
少しずつ“正直に話せる勇気”を取り戻す第一歩になるんです。
まとめ|「ウソをなくす」より「安心して話せる関係」を
ADHDの子どもがウソをつくとき、それは“悪いことをしている”というよりも、心のSOSであることが多いです。
「怒られるのが怖い」「わかってもらえない」「信じてもらえない」――そんな不安や悲しみの裏返しが“ウソ”という形で表れているのです。
だからこそ大切なのは、「ウソをやめさせること」よりも、「安心して本音を話せる関係をつくること」。
叱るよりも、信じる。責めるよりも、受け止める。
この姿勢が、子どもの心に“安心の根っこ”を育ててくれます。
ADHDの虚言癖は“問題行動”ではなく“心のSOS”
ADHDの子の「虚言癖」は、しばしば「問題行動」と誤解されがちですが、実際には心の不安定さを伝えるサインでもあります。
「どうせ信じてもらえない」「本当のことを言うのが怖い」――
そう感じたとき、子どもは“ウソ”という小さな防御壁をつくって、自分を守ろうとします。
つまり、ウソは“嘘をつきたい”のではなく、“怖さや混乱から逃げたい”という行動なんです。
ママが「この子は今、不安なんだな」と気づけるだけでも、関係は少しずつ変わっていきます。
叱るよりも「信じる」「受け止める」が最大の支援
ウソを責めるよりも、「どうしたの?」「困ってたんだね」と受け止める言葉をかけるだけで、子どもの心は安心します。
この“安心感”が、ウソを減らす一番の近道です。
そして何より、ママが「信じる姿勢」を持ち続けることが、最大の支援になります。
- 「話してくれてありがとう」
- 「本当のことを言えたね、えらかったよ」
- 「ウソをついても、あなたのことは嫌いにならないよ」
こんな言葉が、子どもの心に“信頼の種”をまきます。
その種はやがて、「この人には本音を話しても大丈夫」という安心に育ちます。
「正直に話せる安心感」こそ、ウソを減らす一番の薬
ウソを減らすために特別なトレーニングが必要なわけではありません。
一番の薬は、“安心して話せる空気”なんです。
家の中に「間違っても大丈夫」「失敗しても受け止めてもらえる」雰囲気があると、
子どもは防衛的なウソをつく必要がなくなっていきます。
たとえ小さな正直でも、ちゃんと受け止めて「ありがとう」と伝える。
その積み重ねが、子どもの自己肯定感と信頼感を同時に育てていくのです。
さいごに~焦らず寄り添うことで“ウソ”は少しずつ減っていく
ADHDの子どもたちは、人一倍敏感で、人一倍感じやすい心を持っています。
だからこそ、「信じてるよ」「大丈夫」という言葉が、何よりの支えになります。
ウソをなくすことを目標にするよりも、
「この子が安心して本音を話せるようになる」――
その過程を一緒に歩むことが、何よりの愛情です。
焦らなくて大丈夫。
ママが笑顔でいることが、子どもにとって一番の安心材料です。
ウソの裏にある“助けて”の声をやさしく受け止めながら、
少しずつ「安心して話せる親子関係」を育てていきましょう。
以上「またウソついたの?」ADHDの虚言癖に悩むママへ|ウソの本当の理由と効果的な接し方 でした


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