ADHDの子どもが嘘をつくときに親が絶対やってはいけないこととは?【叱り方よりも大切な対応法】

目次

ADHDの子が嘘をつくのはなぜ?“本当の理由”を知ることが第一歩

「なんでこんな嘘をつくの?」「どうして正直に言えないの?」——
ADHD(注意欠如・多動症)のある子どもが嘘をつくとき、多くのママが一度はそう感じたことがあると思います。
でも実は、この“嘘”には悪意やごまかしではなく、子どもなりの必死な理由が隠れていることが多いんです。

ここでは、「ADHDの子が嘘をつく本当の理由」を4つの角度から見ていきましょう。
理解が深まると、叱るよりも「なるほど、そういうことだったんだ」と、少し気持ちがラクになるはずです。

ADHD特有の“衝動性”と“その場しのぎ”が関係している

ADHDの子どもは、頭で「やめておこう」と思っても、ついその瞬間の気持ちで動いてしまうことがあります。
これは「衝動性」と呼ばれる特性で、考えるよりも先に口が動いてしまうことがあるんですね。

たとえば、

  • 「宿題やった?」→やってないけど、つい「やった」と言ってしまう
  • 「お菓子食べた?」→反射的に「食べてない!」と答えてしまう

これは、「バレないようにしよう」という計算ではなく、“その場を切り抜けたい”という瞬間的な行動です。
本人も「嘘をつこう」と考えているわけではなく、焦りや不安からの反射的な反応なんです。

大人でも、焦ったときについ「大丈夫」と言ってしまうことってありますよね。
ADHDの子にとっては、その“つい”がもう少し強く出やすい、というイメージです。

嘘は“自己防衛”のサイン?叱られることへの強い不安

次に多いのが、「怒られるのが怖い」から嘘をつくパターンです。
ADHDの子どもは、忘れ物をしたり、片づけが苦手だったり、周りから注意を受ける場面が多いもの。
そうした経験を重ねるうちに、「また怒られるかも」という不安が強くなり、“防衛反応”として嘘を使うようになることがあります。

たとえば、「テストで悪い点をとった」ときに「まだ返されてない」と言ってしまうのは、怒られるよりも“その場を守りたい”という気持ちが働いているから。
つまり、嘘=心の鎧(よろい)なんです。

「叱られたくない」「嫌われたくない」——
そんな気持ちが背景にあることを知ると、ただの“悪い行動”とは見えなくなりますね。
まずは「そう感じるくらい、つらい思いをしてきたのかも」と、子どもの不安の根っこに目を向けてあげることが大切です。

言葉で説明が難しい!“伝え方がわからない”ことも原因

ADHDの子どもは、頭の中で考えていることをうまく言葉にするのが苦手なことがあります。
話しているうちに言葉が前後したり、感情が先に出てしまって、思っていたことと違う内容になってしまうことも。
結果的に、「話を盛っている」「嘘を言ってるように聞こえる」ことがあるんです。

たとえば、

「友だちが全部やった」
「自分は悪くない」

こうした言葉の裏には、「説明がむずかしくて、自分の気持ちを守る言葉が先に出た」というケースも多いです。

つまり、これは“嘘”ではなく、「伝える力」がまだ発達途中であるサイン
だからこそ、親が落ち着いて「どうしてそう思ったの?」とゆっくり聞き出す関わりが大事になります。

ADHDの“記憶の抜け落ち”による無自覚の嘘

もうひとつ意外と多いのが、「覚えていないことを嘘と思われる」ケースです。
ADHDの子どもは、注意力が散漫だったり、短期記憶が弱かったりして、さっきの出来事をすぐ忘れてしまうことがあります。

たとえば、

  • 「ドア閉めた?」→「閉めた」と答える(実際は閉めていない)
  • 「筆箱どこ?」→「カバンに入れたと思う」と言う(実際は机に置きっぱなし)

これは、本人の中では“本当にそう思っている”んです。
「嘘をつこう」としているわけではなく、記憶の抜け落ちによる“認識のズレ”なんですね。

大人でも、「ガスの火消したっけ?」と記憶が曖昧になることがありますが、ADHDの子はそれが日常的に起こりやすいのです。
だから、まずは「嘘をついた」と決めつけずに、「もしかして覚えてないのかも?」と一歩引いて考える視点が大切です。

ADHDの子が嘘をついたとき、親が絶対やってはいけないNG対応5選

子どもが嘘をついたとき、親としてはつい感情的になってしまいますよね。
「なんで嘘をつくの?」「本当のことを言ってよ!」と責めたくなる気持ちは、とてもよくわかります。

でも、ADHDの子どもにとって“嘘”は心の防御反応であることが多く、叱り方を間違えると、ますます本音を隠すようになってしまいます。
ここでは、やってはいけない5つの対応をわかりやすく紹介します。

「嘘つき!」と人格を否定する言葉

「もう嘘つきなんだから!」「あんたって本当にダメね!」
つい口から出てしまうこんな言葉。
でもこれは、子どもの“自己肯定感”を深く傷つけてしまう一番危険な対応です。

ADHDの子どもは、「失敗経験」や「注意される場面」が多く、自信を失いやすい傾向があります。
そんな中で人格を否定する言葉をかけられると、
「どうせ自分なんて信じてもらえない」「自分は悪い子なんだ」と、心を閉ざしてしまうことも。

大切なのは、「嘘をついた行動」と「子どもそのもの」を分けて考えること。
「嘘をついたのはよくないけど、あなたのことは大好きだよ」と伝えるだけでも、子どもの心の安全が守られます。

嘘を“問い詰める”・“責める”対応

「本当はどうなの!?」「嘘でしょ?ちゃんと話して!」
そんなふうに追い詰めるような聞き方をすると、ADHDの子には逆効果になることが多いです。

なぜなら、ADHDの子は“記憶の混乱”や“時間感覚のズレ”が起きやすく、
自分でも何が本当だったか思い出せないことがあるからです。

そこに「どうして言わなかったの?」「本当のこと言いなさい!」と問い詰められると、
頭が真っ白になり、さらに混乱して“嘘でごまかすしかない”と感じてしまうのです。

そんなときは、深呼吸して一歩引いてから、
「もしかして思い出せないのかな?」「困ってることある?」と、やさしく聞いてみてください。
“責める”よりも“寄り添う”姿勢のほうが、ずっと効果的です。

感情的に怒鳴る・罰を与える

親も人間です。何度も嘘をつかれると、思わず怒鳴ってしまうこともありますよね。
でも、ADHDの子どもにとって怒鳴られることは「恐怖」そのものです。

怒鳴られた経験は、“叱られた内容”ではなく、“怖かった記憶”として強く残ります。
すると子どもは次から、
「怒られないように隠そう」→「嘘で逃げよう」
という悪循環に入ってしまうんです。

また、罰を与えることも逆効果。
一時的に行動が止まっても、「どうしてそうなったのか」を学ぶチャンスを失ってしまうからです。

怒るよりも、「今度はどうしたらうまくいくかな?」と一緒に考える関わりが、
長い目で見て、子どもの自己調整力を育てます。

「信じられない」と突き放す言葉

「もう何言っても信じられない」
そう言ってしまう気持ち、痛いほどわかります。

でも実はこの言葉、子どもにとって“世界から見放されたような絶望”を与えるんです。
信頼されない経験が積み重なると、
「どうせ信じてもらえないなら、嘘をついても同じ」と開き直ってしまうこともあります。

信頼関係は、何度壊れても“小さな信じる積み重ね”で回復できるもの。
たとえば、「今は信じにくいけど、あなたを信じたい気持ちはあるよ」と伝えるだけでも十分です。

子どもは“信じてもらえる場所”があることで、正直でいようという勇気を持てるようになります。

「本当のことを言えば怒らない」と言いながら怒る

これ、実は多くの親がやってしまいがちなパターンです。
「怒らないから言ってごらん」と言ったのに、いざ正直に話されるとつい感情的になってしまう…。

でもこの対応は、子どもの“信頼”を一気に壊してしまうんです。
子どもは「やっぱり怒られるじゃん」「もう言わないでおこう」と感じて、
次から本音を話さなくなります。

嘘をつくようになった根っこには、「安心して話せない環境」があることが多いです。
だから、もし本当のことを言えたら、まずは「言ってくれてありがとう」と伝えてください。

怒りは後から整理すれば大丈夫。
でも、信頼は一度失うと取り戻すのに時間がかかるものです。
感情よりも、「勇気を出して話せたこと」に目を向けてあげましょう。

まとめ:嘘を責めるより、信頼を育てる対応を

ADHDの子どもの嘘は、“反抗”ではなく“防衛”です。
だからこそ、叱るよりも「どうしてそうなったのか」を一緒に考える姿勢が大切。

感情的になってしまう日もあると思います。
でも、完璧な親じゃなくても大丈夫。
「怒らない日が1回でも増える」だけで、子どもの心は少しずつ変わっていきます。

嘘をつく子どもの“心のサイン”を見逃さない!行動の裏にある心理を読み解く

「なんでまた嘘をついたの?」「どうして正直に言えないの?」——
そう思ってしまうときこそ、少し立ち止まって見てほしいのが、“行動の裏にある子どもの気持ち”です。

ADHDの子どもにとって、嘘は「ズル」ではなく、“心のSOS”や“困りごとを隠すための手段”であることが多いんです。
ここでは、そんな「嘘の裏にあるサイン」を読み取る3つのポイントを紹介します。

嘘の内容ではなく「いつ・どんな場面で起こるか」を観察

つい私たちは、「どんな嘘をついたか」に目を向けがちですが、実は大事なのは“嘘をついたタイミング”なんです。

たとえば…

  • 学校の話になると急に嘘が増える
  • 宿題や片づけのときに言い訳が多くなる
  • 兄弟と比べられたときだけ嘘をつく

こんな傾向が見えたら、嘘そのものよりも、「その場面にどんな感情があるのか」を見つめることが大切です。

たとえば、学校でうまくいっていない子が「楽しかった」と話すのは、
「本当はつらいけど、心配をかけたくない」という思いや、
「楽しい子でいたい」という自己防衛の気持ちかもしれません。

つまり、“嘘の裏には必ず理由がある”という視点を持つことが、
親子の信頼関係を育てる第一歩になります。

嘘の中に隠れた“助けて”のメッセージを探す

ADHDの子どもの嘘には、「助けて」の気持ちが隠れていることも少なくありません。

たとえば、「宿題やったよ!」という嘘の裏には、
「やろうと思ったけど集中できなかった」「途中で疲れてしまった」という本当の困りごとが潜んでいることがあります。

また、「忘れ物してないよ」と言うときは、
「また怒られるのが怖い」「頑張ってるのにうまくいかない」という不安や自己否定感が隠れていることも。

つまり、嘘は“反抗”ではなく、“助けを求めるサイン”なんです。
「なんで嘘をついたの?」と責めるよりも、
「もしかして、できなくて困ってたのかな?」と気づいてあげるだけで、
子どもの心はぐっと軽くなります。

心理学の観点でも、嘘は“防衛機制”と呼ばれ、
自分を守るための自然な心の働きとされています。
その行動を「悪い」と切り捨てるよりも、“守りたい何かがある”というサインとして受け止めると、
親の心にも少し余裕が生まれますね。

嘘のパターンを記録し、発達支援や相談に活かす

「うちの子、また嘘をついた…」とイライラする日もあると思います。
でも、そんなときこそ冷静に“記録”してみることがおすすめです。

たとえば、

  • どんな場面で嘘をついた?
  • そのときの表情や様子は?
  • 嘘をついた後、どう反応していた?

こうしたメモをつけておくと、嘘の“パターン”が見えてくることがあります。
「怒られそうなとき」「新しいことに挑戦したとき」「疲れている日」など、
特定の条件下で起こる行動が見えてくるんです。

そして、この記録は発達支援センターや学校、専門家への相談時にもとても役立ちます。
「家ではこういうときに嘘が増えるんです」と具体的に話せると、
支援者もより的確なアドバイスをしてくれます。

さらに、記録をつけることで、親自身が「怒るより先に観察する」習慣を持てるようになります。
つまり、これは子どもの理解力と、親の冷静さを一緒に育てる方法でもあるんです。

まとめ:嘘の裏には“言葉にできない気持ち”がある

ADHDの子どもが嘘をつくとき、そこにはたいてい「困っている」「助けてほしい」という心の声が隠れています。
その声は、まだうまく言葉にできないだけ。

だからこそ、

  • 嘘のタイミングに注目する
  • 嘘の裏にある気持ちを想像する
  • パターンを記録して客観的に見る

この3つを意識することで、“嘘を責める親”から“気持ちを読み取れる親”へ変わっていけます。

嘘をつくことは悪ではなく、成長途中のサイン
その裏にある心を理解しようとする姿勢こそが、子どもにとっての安心につながります。

嘘を減らすために今日からできる!ADHDの子への“安心できる関わり方”

ADHDの子どもが嘘をつくとき、それは「悪いことをしたから」ではなく、
“どうしたらいいかわからなくて困っているサイン”のことが多いです。

だから、嘘をなくすためには「叱る」よりも「安心させる」関わり方が大切。
ここでは、今日からすぐにできる4つのステップを紹介します。

叱る前に「気持ちを代弁」してあげる

子どもが嘘をついたとき、すぐに「なんでそんなこと言ったの!?」と問い詰めてしまうと、
子どもはびっくりして“守りのモード”に入ってしまいます。

でも、そこでいったん深呼吸して、まずは子どもの気持ちを想像してみてください。
たとえば、

  • 「怒られたくなかったんだね」
  • 「困ってたんだね」
  • 「本当のことを言うのがこわかったんだね」

と、子どもの心を代弁してあげるだけで、緊張がすっとやわらぎます。

これは心理学でいう「共感的理解」と呼ばれるもので、
“気持ちをわかってもらえた”という安心感が、次の正直さにつながるんです。

ママが落ち着いて共感してくれると、子どもは「本当のことを言っても大丈夫なんだ」と感じ、
少しずつ“正直に話せる力”を育てていけます。

嘘をつかずにすんだ“成功体験”を積ませる

ADHDの子が嘘をつく背景には、「正直に言うと怒られる」という過去の経験があります。
だから、「正直に言っても大丈夫だった」経験を積ませることがとても大事です。

たとえば…

  • 「実は忘れちゃった」と言えたときに、「教えてくれてありがとう」と伝える
  • 「やるのを忘れた」と素直に話したら、「次はどうしたら忘れないかな?」と一緒に考える

このように、“怒られなかった経験”=“安心して話せる記憶”になります。
この積み重ねが、信頼関係をゆっくりと、でも確実に築いていきます。

「嘘を減らす」よりも、「正直でいられる場面を増やす」ことを意識すると、
子どもの中で“正直でいる安心感”が少しずつ根づいていきます。

正直に話せたときは“勇気をほめる”

子どもが勇気を出して本当のことを話せたとき、
ママの一言が、子どもの自己肯定感を大きく変えます。

たとえば、

  • 「本当のことを言ってくれてうれしいよ」
  • 「正直に言えたの、すごく勇気がいったね」

このように伝えると、“嘘をつかないこと”よりも“正直に言えた自分”を肯定できるようになります。

ADHDの子どもは、自分を責めやすく、失敗を強く意識してしまいがち。
だからこそ、「できなかったこと」ではなく「言えたこと」をほめるのがポイントです。

「怒られなかった=セーフ」ではなく、
「本当のことを言っても受け止めてもらえた=うれしい」という感覚が育つと、
自然と嘘をつかなくなっていきます。

嘘をつかなくても安心できる家庭環境をつくる

最後に大切なのは、“失敗しても大丈夫”と思える家庭の空気をつくること。
これを心理学では「心理的安全基地」といいます。

つまり、

  • 失敗しても怒られない
  • 本音を話しても受け止めてもらえる
  • 困ったときに甘えられる

そんな“心の安全地帯”が家庭の中にあることが、
子どもにとっての「安心して正直でいられる土台」になるんです。

たとえば、
「失敗は誰にでもあるよ」「うまくいかなかったね、どうしようか?」
と、怒るよりも一緒に考える姿勢を見せるだけで、家庭の雰囲気が変わります。

また、子どもが嘘をついたときも、
「次はどうしたらうまくいくかな?」と未来に目を向ける声かけが効果的です。

子どもは、“完璧な親”ではなく、“信じてくれる親”を求めています。
だからこそ、「正直に話しても大丈夫」と感じられる環境こそが、
嘘を減らすための一番の“お薬”になるんです。

まとめ:叱るより、信じて寄り添うことが一番の特効薬

嘘を減らすための一番の近道は、「叱らないこと」ではなく、
“安心して正直に話せる関係”を少しずつ育てていくことです。

子どもが嘘をつくのは、弱さではなく「守りたい気持ち」があるから。
その気持ちを理解しようとするママの姿勢こそが、何よりも子どもにとっての安心になります。

今日から少しずつで大丈夫です。
「怒る前に共感する」「正直に話せたらほめる」——
その小さな積み重ねが、嘘を手放せる心の土台をつくっていきます。

ADHDの子どもの“嘘”を減らす家庭での工夫【実践編】

ここまでお話してきたように、ADHDの子どもが嘘をつく背景には「困りごと」や「不安」が隠れています。
つまり、“嘘を減らす”というよりも、“嘘をつかなくてもすむ環境”をつくることが大切なんです。

ここでは、家庭で今日から実践できる4つの工夫を紹介します。
どれも特別な道具はいりません。ちょっとした「工夫」と「気づき」で、
子どもの「正直でいられる力」を育てていきましょう。

スケジュール可視化で“忘れた”を防ぐ

ADHDの子どもは、「やることを覚えておく」「時間を管理する」といったワーキングメモリー(作業記憶)が苦手なことが多いです。
つまり、“嘘”というよりも、単に
「忘れてしまっている」ケースも少なくありません。

そんなときに効果的なのが、スケジュールの見える化(可視化)です。

たとえば、

  • 朝の支度や宿題の流れをイラストや文字で貼る
  • 「やることリスト」をホワイトボードやカレンダーに書く
  • 「終わったらチェック」をつける

といったシンプルな工夫でOKです。

可視化することで、子どもは「忘れた」と言わずにすみます。
つまり、“嘘をつく必要がない環境”を整えることができるんです。

また、実行できたときに「できたね!」と声をかけると、
「見えると安心」「やると褒めてもらえる」という肯定的な体験が増えていきます。

約束やルールは“口頭”より“文字”で伝える

ADHDの子どもは、耳で聞いた情報を長く覚えておくのが苦手な傾向があります。
そのため、「ちゃんと言ったでしょ?」「忘れたの?」というやり取りが増えやすいんですね。

でも実はこれ、“嘘”ではなく“記憶のズレ”から生まれていることが多いんです。

そこでおすすめなのが、約束やルールを“文字で残す”こと。

たとえば、

  • 冷蔵庫や壁に「今日のルール」や「やることメモ」を貼る
  • 短くてわかりやすい言葉で書く(例:「テレビはごはんのあと」「ゲームは1日30分」)
  • 書いたら一緒に確認して「これでOK?」とすり合わせる

文字で見えると、「言った・言わない」のトラブルが減り、嘘をつくきっかけも減ります。

さらに、約束を「一緒に決める」ことで、子ども自身も納得して行動しやすくなります。
こうした“合意のあるルール”が、親子の信頼関係を育てる土台になります。

質問の仕方を変えるだけで嘘が減る!

実は、親の質問の仕方ひとつで、嘘の数が変わることがあります。

たとえば、
「宿題やったの?」と聞くと、子どもは「うっ…やってない」と思いながらも
「やった!」とつい答えてしまうことがあります。

でも、「どこまでできた?」と聞くと、嘘をつかずに済みます。
なぜなら、“やった・やってない”ではなく“途中の状態”を話せるからです。

また、

  • 「できた?」→「どんなところがむずかしかった?」
  • 「なんでやらなかったの?」→「どうしたらやれそうかな?」

といったように、責める質問を“考えを引き出す質問”に変えるだけで、
子どもは「正直に話してもいいんだ」と思えるようになります。

これは臨床心理の現場でも使われる“開かれた質問”という方法で、
対話を促し、自己表現力を育てる効果があるといわれています。

ご褒美シールや達成表で“正直な行動”を育てる

ADHDの子どもは、「結果がすぐに見える」ごほうびに強く反応します。
その特性をうまく使って、“正直に行動できたこと”を見える形で評価するのがおすすめです。

たとえば、

  • 本当のことを言えたらシールを1枚貼る
  • 嘘をつかなかった1日を「にっこりマーク」で記録する
  • 3日間続けられたら、小さなごほうびを用意する

このように、「正直に行動したらうれしいことがある」経験を積ませることで、
“正直でいること”がポジティブな行動として定着していきます。

行動療法の考え方でも、望ましい行動を強化することが最も効果的とされています。
叱って減らすよりも、ほめて伸ばす方が確実に長続きするんです。

もちろん、ごほうびは“モノ”だけでなく、
「ママが笑顔になる」「ぎゅっと抱きしめてもらえる」など、
子どもがうれしい“心のごほうび”でも十分効果があります。

まとめ:環境を変えれば、子どもも変わる

ADHDの子どもの嘘は、努力や性格の問題ではありません。
多くの場合、「忘れちゃう」「焦っちゃう」「怒られたくない」という環境的な要因が大きいのです。

だからこそ、

  • 見える化で混乱を防ぐ
  • 約束を文字にしてズレをなくす
  • 質問を変えて本音を引き出す
  • 正直な行動を楽しく強化する

この4つを実践することで、
“嘘をつかなくても安心できる環境”を整えていけます。

家庭のちょっとした工夫が、子どもの心をゆるめ、信頼を深めていきます。
焦らず、1日ひとつずつできることから試してみてくださいね。

ADHDの子どもの嘘は“成長のサイン”かもしれない!

「うちの子、また嘘をついた…」
そう思うと、ガッカリしたり、悲しくなったりしますよね。

でも、実はそれ、成長の途中で起こる自然なことかもしれません。
嘘をつくのは悪いことではなく、「自分を守る力」や「相手の気持ちを考える力」が少しずつ育っている証拠でもあるんです。

ここでは、そんな“嘘の裏にあるポジティブなサイン”を、専門的な視点も交えてやさしく解説していきます。

嘘をつくのは“自分を守る力”が育っている証拠

実は心理学の世界では、「嘘をつけるようになる」=「発達が進んでいる」と考えられることがあります。
少し意外ですよね。

嘘をつくには、

  • 「今の状況を変えたい」と思う意識
  • 「相手がどう思うか」を想像する力
  • 「自分を守ろう」とする自己防衛の感情

この3つが必要なんです。
つまり、嘘をつくことができるというのは、ある程度の思考力や社会的理解が育ってきた証拠でもあるんです。

たとえば、「叱られるのが怖い」と感じて嘘をつくのは、
「怒られる」という未来を予測して行動しているということ。
これって実は、“先のことを考えられるようになった”という発達のステップなんです。

もちろん、嘘をついた行為そのものを放っておくわけにはいきませんが、
「この子なりに頑張ってるんだな」と受け止めることで、親の気持ちがぐっとラクになります。

“嘘=悪いこと”ではなく、“嘘=成長の途中にあるサイン”と考える視点を持つと、
見え方がまったく変わってきますよ。

「正直に言える関係」は時間をかけて育てるもの

嘘を減らすために一番大切なのは、「正直に話しても大丈夫」と思える関係を育てることです。
でも、それは1日でできるものではありません。

信頼関係は、“怒らない一回”の積み重ねから少しずつ生まれます。

たとえば、子どもが「宿題、やってない」と正直に言えたとき、
「なんでやってないの!」と怒るのではなく、
「言ってくれてありがとう。どうしたらできそうかな?」と声をかける。

そのたった一言が、「正直に言っても大丈夫だった」という安心につながります。
それが繰り返されることで、子どもの中に
“本音を話す勇気”が育っていくんです。

ADHDの子どもは特に、「失敗体験」が多い分、
“怒られない経験”が少ない傾向があります。
だからこそ、親が「大丈夫だよ」と受け止める回数を少しずつ増やすことが、
心の安全基地をつくる第一歩になります。

焦らなくて大丈夫です。
正直に話せるようになるのは、信頼が育ってきた証拠。
つまり、嘘が減っていく過程そのものが、親子の成長物語なんです。

まとめ:嘘を“悪いこと”で終わらせない関わりを

ADHDの子どもの嘘には、「困っている」「怖い」「守りたい」という気持ちが隠れています。
それを理解して寄り添うことで、嘘は「関係を壊すもの」ではなく「信頼を育てるきっかけ」に変わります。

子どもが嘘をついても、
「この子なりに頑張ってるんだな」「今はまだ途中なんだな」
と、少し優しい目で見てあげてください。

嘘をつけるようになったのは、成長している証拠。
そして、“嘘を手放せるようになる日”は、安心と信頼が育った日です。

コラム:今日から実践できる!嘘を減らす親の習慣3つ

「嘘を減らすために、家でできることってあるの?」
そんなママの疑問に応えるのが、この“親のちょっとした習慣”です。

ADHDの子どもは、叱られる経験が多く、「本音を隠すクセ」がついてしまいやすい傾向があります。
でも、親の関わり方や日常の雰囲気を少し変えるだけで、
“正直に話すことが心地いい”という感覚を育てることができるんです。

ここでは、今日からすぐにできる3つのシンプルな習慣を紹介します。

毎日1回「今日楽しかったこと」を話し合う時間を作る

子どもが“正直に話す力”を育てるには、「話せる空気」があることがいちばん大事です。
でも、「今日何があった?」と聞かれると、子どもは「うーん…」と答えにくいこともありますよね。

そこでおすすめなのが、“楽しかったこと”だけを共有する時間を1日1回つくること。
たとえば、

  • お風呂の時間や寝る前に「今日一番うれしかったことは?」と聞く
  • ママも自分の「楽しかったこと」を一緒に話す

という感じで、会話を“ポジティブな時間”に変えていきます。

こうした習慣は、子どもに「話しても安心」「受け止めてもらえる」という感覚を育てます。
そしてその延長線上に、「本当のことを話しても大丈夫」という信頼感が育っていくんです。

心理学でも、日常の中で“安全に話せる経験”を積むことが、正直な自己表現を促すとされています。
1日たった3分でもいいので、ぜひ続けてみてくださいね。

「嘘」ではなく「困ってた」と言えたら抱きしめる

ADHDの子どもが嘘をつくとき、その多くは“悪意”ではなく、“困りごと”を隠しているだけです。
たとえば、

  • 宿題をしていない→「できなかった」ではなく「やった」と言ってしまう
  • 片づけていない→「もうやった」と言ってしまう

このときに大切なのは、“嘘を叱る”よりも“困っていた気持ちを認める”ことです。

もし子どもが「ほんとは困ってた」と言えたときは、ぜひギュッと抱きしめてあげてください。
そのスキンシップが、「正直に言っても受け入れてもらえるんだ」という安心を伝えます。

発達心理の観点でも、“身体的な安心感”が信頼関係を回復させる効果があるといわれています。
言葉よりも、抱きしめるという行動のほうが、子どもの心に深く届くことも多いんです。

だから、「嘘をつかれた」と思った瞬間こそチャンス。
“叱る”より“包み込む”ほうが、子どもの心は動くということを、ぜひ覚えておいてくださいね。

“正直は勇気”をテーマにした絵本の読み聞かせ

実は、嘘の問題にいちばん効果があるのが、「絵本」や「ストーリー」を通した学びです。

ADHDの子どもは、「説得」よりも「共感できる物語」のほうが心に響きやすい特性があります。
だからこそ、“正直でいることの心地よさ”を描いた絵本を一緒に読むのがおすすめです。

たとえば、

  • 「正直に言ったらうれしいことが起きた」
  • 「勇気を出して本当のことを話せた」
    そんなテーマの絵本を選ぶと、“正直=気持ちがいいこと”というイメージを自然に育てられます。

読み聞かせのときには、
「もし○○だったら、どうする?」と会話を広げてみましょう。
これによって、「嘘をつくときの気持ち」や「本当のことを言う勇気」について、
子ども自身が考えるきっかけにもなります。

たとえば絵本を読み終えたあとに、
「本当のことを言えてよかったね」「ママもそんな経験あるよ」など、共感の一言を添えるだけでも効果的です。

まとめ:毎日の小さな習慣が“嘘のない関係”を育てる

嘘を減らすのは、“叱る技術”ではなく、“関係を育てる習慣”です。

  • 話せる時間をつくる
  • 困った気持ちを受け止める
  • 正直の大切さを物語で伝える

この3つを意識するだけで、子どもの中に「正直でいても大丈夫」「本音を話しても受け入れてもらえる」という安心感が根づいていきます。

家庭は、子どもが“正直な自分でいられる場所”であることが何より大切。
そして、その安心感こそが、嘘を減らすいちばんの近道です。

コラム:嘘に疲れた親へ──自分を責めないで

「また嘘をつかれた…」
そんな日が続くと、心がすり減りますよね。

「私の育て方が悪いのかな」
「ちゃんと叱れなかったからかな」
──そんなふうに自分を責めてしまうママも少なくありません。

でも、どうか知っておいてください。
ADHDの子の“嘘”は、親のせいではありません。
それは「育て方」ではなく、「脳の特性」と深く関わっているんです。

ADHDの子の嘘は親の育て方ではなく「脳の特性」

ADHD(注意欠如・多動症)の子どもは、
「うっかり忘れる」「衝動的に言ってしまう」「怒られるのが怖い」といった特性を持っています。

これらは、脳の働きの中でも「前頭葉(考えて行動をコントロールする部分)」の発達が関係しており、
悪気があって嘘をついているわけではないんです。

たとえば、
「宿題やった?」と聞かれて、「うん!」と答えてしまうのは、
その場をやり過ごすための“防衛反応”に近いもの。

つまり、叱られたくないとか、怒られるのが怖いという気持ちが先に立って、
“つい口から出てしまう”んですね。

だからこそ、「どうして嘘をつくの!」と怒るより、
「この子なりに困ってるんだな」と受け止める視点が大切です。

これは育て方の問題ではなく、
「脳の発達段階に合わせた関わり方を工夫する」ことが必要なだけなんです。

完璧を目指さなくても、「安心できる存在」であることが何より大切

ADHDの子どもは、「完璧さ」よりも「安心感」を求めています。
親が全部うまく対応できなくても、失敗してもいいんです。

子どもにとって一番の支えは、
「ママは僕(私)の味方でいてくれる」という確信です。

たとえ嘘をついたとしても、最終的に戻ってこられる場所がある──
その安心感が、子どもの“正直でいようとする力”を育てます。

心理学でも、「子どもが本音を話せるようになる条件」は、
“受け入れてもらえる経験が積み重なったとき”だといわれています。

つまり、親が“完璧な対応”をする必要はありません。
大事なのは、「あなたの気持ちはちゃんと分かっているよ」と伝えること。

それだけで、子どもの心の中に“安心の土台”が少しずつできていくんです。

親が穏やかでいられることが、子どもの“正直さ”を育てる一番の近道

実は、子どもが嘘をつく頻度を減らすいちばんの方法は、親が穏やかでいることなんです。

なぜなら、親の表情や声のトーンは、子どもにとって“安心のバロメーター”だから。
怒りっぽい空気やピリピリした雰囲気が続くと、子どもは本能的に「怒られないようにしよう」と感じ、
その結果、“嘘をついてでも身を守ろうとする”ことがあります。

反対に、ママが落ち着いて話してくれると、
「本当のことを言っても大丈夫そう」と感じやすくなります。

つまり、
ママの心が穏やかであること=子どもが正直でいられる安心感を育てること。

だからこそ、まずは自分を責めず、頑張りすぎないことが大事です。
「今日はちょっと疲れたな」と思ったら、
子どもより先にママが休んでOKです。

ママが元気でいることが、何よりの“支援”なんです。

まとめ:嘘に悩んだら、まずは「自分を大切に」

ADHDの子どもの嘘は、「困っているサイン」であり、
「ママを困らせたい」という意図ではありません。

そして、子どもの行動を変える前に、
ママが自分を責めずに、安心して笑顔でいられること。
それが結果的に、いちばんの支援になります。

嘘を叱るより、ママが穏やかでいることを大切に。
それだけで、親子の信頼関係は少しずつ変わっていきます。

さいごに|嘘を責めず、“本音を話せる子”に育てよう

ADHDの子どもが嘘をつくとき、そこには必ず理由があります。
それは「困っていることを隠したい」「怒られたくない」「安心したい」といった、“心のSOS”であることが多いんです。

つまり、嘘は「悪い行動」ではなく、“今の気持ちをうまく伝えられないサイン”
だからこそ、嘘そのものを責めるよりも、
「どうして嘘をつかざるを得なかったのかな?」と、その背景に目を向けることが大切です。

嘘を叱るより、“理解”と“安心”を与えることが最大の支援

ADHDの子どもは、「叱られることへの恐怖」や「失敗体験の多さ」から、
本音を話すことにブレーキがかかってしまうことがあります。

でも、ママが「あなたの気持ちはわかっているよ」と理解を示してくれると、
そのブレーキが少しずつ外れていきます。

たとえば、
「怒られたくなかったんだね」「困ってたんだね」と言葉にしてあげるだけで、
子どもの心はホッとゆるみます。

理解と安心こそ、子どもの“正直に話す勇気”を育てるいちばんの支援です。
そして、たとえ嘘をついてしまったとしても、
「正直に話せるようになったら、それでOK」と見守る姿勢が、長い目で見てとても大切なんです。

嘘を減らす近道は「正直に話せる親子関係」を築くこと

「嘘をやめさせる」よりも、「本音を話せる環境をつくる」こと。
それが、ADHDの子どもの心を育てるうえでの本当の近道です。

子どもが「本当のことを言っても大丈夫」と感じられるようになるには、
親子の信頼関係が安心の土台になることが欠かせません。

たとえば、

  • 嘘を責めず、気持ちを代弁してあげる
  • 正直に話せたら「ありがとう」と伝える
  • 「失敗してもいいよ」と言葉で安心を届ける

こうした小さな積み重ねが、やがて“本音を話せる親子関係”につながっていきます。

そして、その関係が育っていくと、
子どもは自然と「正直でいることのほうが心地いい」と感じるようになります。

嘘の裏には、信じたい気持ちがある

ADHDの子どもの嘘に悩んだとき、
「この子は私を信じたいけど、うまく言えないだけなんだ」と思ってみてください。

ママが穏やかに寄り添ってくれることで、
子どもは少しずつ本音を言えるようになります。

嘘を責めるより、“本当の気持ちを受け止めてくれる存在でいること”
それが、どんな支援よりも子どもを変えていきます。

焦らず、ゆっくり、親子で一緒に進んでいきましょう。
今日の一歩が、きっと“正直に話せる未来”につながっています。

以上【ADHDの子どもが嘘をつくときに親が絶対やってはいけないこととは?】でした

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この記事を書いた人

約30年の間に培った障害福祉分野での知識や経験を、このブログで余すことなくお伝えしていきます。
所持資格:社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員等

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