ADHDの子が朝起きれないのはなぜ?【脳・睡眠・感覚】3つの原因を徹底解説
「朝が苦手なのは性格のせい?」「夜更かしのせいかな?」と感じるママも多いと思います。
でも実は、ADHDの子が朝起きれない理由には、脳の働き方・睡眠のリズム・感覚の感じ方といった“体の仕組み”が深く関係しているんです。
つまりこれは、単なる「生活習慣の乱れ」ではなく、発達特性による自然な反応でもあります。
ここでは、医学的・心理的な視点から、その理由をわかりやすく4つに分けて説明します。
ドーパミン不足が関係?ADHD特有の“脳の覚醒スイッチ”が入りにくい
ADHDの子どもは、朝になると「体は起きているのに、頭がまだ寝ている」ような状態になりやすいです。
その背景にあるのが、脳内のドーパミンとノルアドレナリンの分泌バランス。
この2つの物質は、いわば「脳のやる気スイッチ」。
健康な状態では、朝になると分泌が活発になり、目が覚めて活動モードに入ります。
でもADHDの子はこの分泌が少なく、“エンジンのかかりが遅い”脳のタイプなんです。
たとえば、他の子が「朝の音楽が流れるとスッと起きられる」のに対し、
ADHDの子はまだ脳が“始動前”で、指示や刺激を受け取れない状態。
これは怠けているわけでも、反抗しているわけでもなく、脳の構造上の特性によるものです。
こうした背景を理解しておくと、
「何度言っても起きない!」という朝のイライラが少しやわらぐかもしれません。
夜の過集中(ハイパーフォーカス)が原因!「寝るタイミングがずれる」悪循環
ADHDの子は、夜になると集中力のスイッチが突然入ることがあります。
これを「ハイパーフォーカス(過集中)」と呼びます。
一見すると「集中できてすごい!」と感じますが、実はこれが朝の起きづらさにつながる原因にも。
興味のあることに夢中になると、時間の感覚がなくなり、寝るタイミングを逃してしまうんです。
たとえば――
- ブロック遊びやゲームに没頭して気づけば深夜。
- 頭が冴えていて、布団に入っても全然眠れない。
- 寝不足のまま朝を迎えて、体が動かない。
こうして「夜型リズム」になってしまうと、体内時計のリセットができずに朝の覚醒が遅れる悪循環に。
さらに、ADHDの子は刺激への反応が強く、興奮が長引きやすい傾向もあります。
「寝る前に楽しいことをしたら、目がさえて眠れない」というのもこのため。
もしお子さんが夜になると急に元気になるタイプなら、
「寝る前の環境」や「刺激の少ない時間の過ごし方」を整えるのがポイントです。
起立性調節障害や睡眠障害が隠れていることも【医療的チェックポイント】
「どうしても朝になると立てない」「頭が痛くて動けない」などの症状がある場合、
起立性調節障害(OD)の可能性も考えられます。
これは、血圧や自律神経のバランスが崩れて、朝に血流が脳まで届きにくくなる症状。
結果、立ち上がるとふらついたり、頭痛や吐き気が出たりします。
この状態では、いくら声をかけても体が反応しません。
無理に起こそうとすると、かえって体調を悪化させることもあります。
また、ADHDの子は睡眠障害(入眠困難・途中覚醒・早朝覚醒など)を併発していることも多く、
本人の努力だけではどうにもならないケースもあります。
こうしたときは、小児科や発達外来に相談することが大切です。
「起きれない=怠け」と思わず、医療的な視点で原因を確認してあげましょう。
感覚過敏で「朝が苦手」になることも|光・音・温度の刺激に要注意
ADHDや発達障害の子どもには、感覚過敏(感覚の感じ方が人より強い特性)を持つ子も多くいます。
たとえば――
- カーテンを開けた瞬間の強い光が「まぶしくて痛い」
- 冷たい空気が肌に当たると不快
- 服のタグや布団の素材がチクチクして落ち着かない
こうした刺激が一気に襲ってくる朝は、“感覚的ストレス”の多い時間帯なんです。
特に朝は「光・音・匂い・温度」が一度に変化するため、感覚に敏感な子ほど負担を感じます。
結果、体がこわばって動けなかったり、不機嫌や癇癪につながることも。
そんなときは、
- カーテンを少しずつ開ける
- ぬくもりのある照明に変える
- 肌触りのいいパジャマや布団にする
といった“感覚にやさしい朝の環境づくり”が効果的です。
感覚の特性を理解してあげることで、「どうして起きられないの?」という問いが、
「どうすれば起きやすくなるかな?」という前向きな支援の視点に変わります。
「なぜできないのか」ではなく、「どうすればできるか」と考えること。
その意識の転換が、子どもにとって安心できる朝のスタートにつながります。
ADHDの子が朝起きれないときに見られる5つの特徴
ADHDや発達障害のある子が「朝起きれない」ときには、共通していくつかの行動パターンが見られます。
一見すると「だらだらしてる」「やる気がないように見える」かもしれませんが、実はその多くが“脳と身体の目覚めが遅れているサイン”なんです。
ここでは、よく見られる5つの特徴を、脳・感覚・心理面の3つの視点からわかりやすく解説します。
声をかけても反応が鈍い/目を開けても動かない
「おはよう」「起きる時間だよ」と声をかけても、まるで聞こえていないように無反応…。
やっと目を開けたと思っても、体はまだ動かない。そんな朝、よくありますよね。
これは決して無視しているわけではなく、脳がまだ“スリープモード”にある状態です。
ADHDの子は、脳の覚醒をコントロールする神経伝達物質(ドーパミンなど)の働きが遅れやすく、
目が覚めても意識がはっきりしない「半覚醒」状態が続くことがあります。
さらに、睡眠中の情報整理が終わらず、頭が切り替わるまで時間がかかるのも特徴です。
ママができるのは、焦らず、まずは体をやさしく刺激して“起きる準備”をさせること。
たとえば「手をさする」「カーテンを少し開ける」「名前を静かに呼ぶ」など、刺激を少しずつ増やすのが効果的です。
「あと5分」が止まらない布団への依存
「あと5分だけ寝かせて〜」が何度も続く…これもADHDの子によくあるパターンです。
布団の中はあたたかく、安心できる“安全基地”。そこから出ることが、子どもにとって不快な刺激に直面することなんです。
特に感覚が敏感な子は、
- 朝の光がまぶしい
- 空気が冷たい
- 床の感触がイヤ
 など、布団の外の世界がストレスフルに感じられます。
また、ADHDの子は「切り替え」が苦手な傾向があり、
“寝る”から“起きる”というモードの切り替えにも時間がかかります。
つまり「あと5分」はサボりではなく、“脳がゆっくりスイッチを入れている時間”なんです。
ママは叱るより、「そろそろお布団さんにバイバイしようね」と遊び感覚の声かけをするだけでも効果があります。
目覚めても頭がぼーっとして動作が遅い
「起きたのに動かない」「着替えが遅い」「ご飯を前にしても止まってる」――。
こんなとき、子どもの中ではすでに脳と身体のスピードがズレている状態が起きています。
ADHDの子は、脳の情報処理に“ワンテンポ遅れ”が生じることがあります。
そのため、起きても思考の立ち上がりがゆっくりで、次に何をすればいいかが整理できません。
このときに「早くして!」と急かされると、脳が混乱して逆に動けなくなることも。
そんなときは、「まず顔を洗ってこようか」「パジャマを脱いだら次は靴下ね」と、
一つずつ順番を具体的に伝えることで、子どもの動きがスムーズになります。
また、朝の“ぼーっと時間”を想定して、少し早めに起こすルーティンを作るのもおすすめです。
5〜10分の余裕が、1日のスタートをぐっとラクにしてくれます。
支度が遅く、着替えや歯磨きに時間がかかる
「起きたのに、支度が全然進まない!」
この“朝の準備の遅さ”は、ADHDの子どもの多くがつまずくポイントです。
理由はいくつかあります。
- 注意が散りやすく、途中で別のことに意識が向く
- 手順を覚えるのが苦手で、次の動作に時間がかかる
- モチベーションを維持するのが難しい
つまり、「やる気がない」わけではなく、脳の中で“タスクの順番整理”が苦手なんです。
この場合、言葉での指示よりも「見える支援」が効果的です。
たとえば――
- 「朝の支度チェックリスト」を壁に貼る
- 終わったらマグネットを動かす
- 写真カードで流れを示す
こうした工夫で、「何をすればいいか」が一目でわかるようになります。
支度が遅いのではなく、“見通しを持てていないだけ”という視点を持つと、ママの心も少しラクになります。
朝から不機嫌・癇癪・泣きが激しい
朝のグズグズや癇癪は、ADHDや発達障害の子どもにとってよくある“朝のサイン”です。
これは「わがまま」ではなく、体がまだ整っていないサイン。
脳が完全に起きていないのに、外の刺激(光・音・人の声など)が一気に押し寄せると、
子どもにとってはまるで“うるさい嵐”のように感じられます。
特に、
- 眠気で感情のコントロールが難しい
- 感覚過敏で音や光が強すぎる
- 「時間に追われる」プレッシャーを感じている
 といった要素が重なると、癇癪や涙でエネルギーを放出してしまうのです。
ママとしてはつい焦って「早くして!」と言いたくなりますが、
ここは深呼吸して「まだ体が起きてないんだね」「ゆっくりでいいよ」と受け止めてあげることが大切です。
それだけで、子どもは安心して少しずつ自分を立て直せるようになります。
【発達特性に合わせてできる】ADHDの子の朝を変えるおうち対策7選
ADHDや発達障害のある子どもの「朝起きれない問題」は、努力や根性では解決しにくい課題です。
でも、家庭の中で少し工夫をするだけで、“起きやすい朝”に変えていくことは十分可能なんです。
ここでは、実際の支援現場や専門的知見にもとづいた「家庭でできる対策」を7つ紹介します。
どれも今日から試せる内容ばかりなので、お子さんの特性に合いそうなものから取り入れてみてくださいね。
対策①:段階的起床で“起きるハードル”を下げる
ADHDの子どもに「はい、起きて!」と言っても、すぐに立ち上がるのはなかなか難しいもの。
脳や身体がまだ“起きる準備”をしている途中だからです。
そこでおすすめなのが、段階的に起こす「ステップ起床法」。
いきなり「立つ」ではなく、まずは“座る”を目標にします。
たとえば、
- 声をかける(優しく名前を呼ぶ)
- 座る(背中を支えて上体を起こす)
- 枕を取る
- 一口お水を飲む
- カーテンを少し開ける
といったように、小さなステップを積み上げる形で目覚めを促すとスムーズです。
さらに効果的なのが、「起き方のステップ表」を作っておくこと。
「①座る → ②お水 → ③光 → ④トイレ」といった流れをイラストで示すと、子どもが自分のペースで動きやすくなります。
対策②:リズムと音で楽しく起きる!朝の音楽ルーティン
音は、ADHDの子どもにとって最もわかりやすい「リズム刺激」です。
朝の“音楽ルーティン”を取り入れると、自然に体が動き出しやすくなります。
たとえば、
- 起床タイム:やさしいピアノ曲や自然音
- 洗面タイム:リズムのある軽快なポップス
- 登園準備:元気なアニメソングやリトミック音楽
というように、動作ごとに曲を決めておくのもおすすめです。
リトミックの考え方では、リズムが身体の動きを引き出すとされています。
「音楽=行動の合図」として習慣づけると、「今は○○する時間だ」と感覚的に理解できるようになります。
無理に「早く動いて!」と声をかけるよりも、音でリードしていく方がストレスが少なく、楽しく起きられる方法です。
対策③:光×温度で覚醒スイッチを入れる【朝の環境づくり】
脳の覚醒には、光と体温のリズムが大きく関係しています。
朝の太陽光や照明の明かりが目に入ると、脳内で「メラトニン(眠りのホルモン)」が止まり、
「セロトニン(活動のホルモン)」が分泌されます。
つまり、光は“脳の目覚まし時計”なんです。
おすすめは、
- 光目覚まし時計(徐々に明るくなるタイプ)
- タイマー付き照明(起床時間に合わせて点灯)
を活用すること。
カーテンを急に開けるよりも、少しずつ明るくなる光の方が刺激が少なく、安心して覚醒できます。
また、体温が低いままだと眠気が続くため、部屋を少し暖めておく・温かい飲み物を準備するのも効果的です。
「冷え」は眠気を悪化させるため、冬場は特に注意してあげましょう。
対策④:視覚支援ボードで“見える化”する朝の支度
ADHDの子どもは「言葉での指示」よりも、“目でわかる情報”の方が理解しやすい傾向があります。
たとえば、ママが「早く着替えて!」「歯磨きして!」と何度も言っても、
頭の中でタスクを整理できず、結果的に止まってしまうことがあります。
そんなときに役立つのが、視覚支援ボード(スケジュールボード)です。
「着替え → ごはん → 歯磨き → トイレ → バッグ」といった流れを、写真やイラストで示します。
最近は無料テンプレートも多く、マグネット式やホワイトボード式にするだけで、
子どもが自分で「次はこれだ」と動けるようになります。
“見える支援”は、叱る回数を減らし、親子の朝を穏やかに変えてくれるツールです。
対策⑤:夜のルーティン改善で「朝の調子」を整える
実は、「朝の機嫌」は前の夜の過ごし方でほとんど決まります。
ADHDの子は夜になると集中力が高まりやすく、
寝るタイミングを逃してしまうことで、睡眠リズムがずれて朝起きづらくなることが多いです。
そこで大事なのが、“入眠サイン”を作ること。
「この流れが始まったら寝る時間」と体が覚えるように、一定の順番を繰り返します。
たとえば、
- 部屋の照明を少し落とす(光を弱く)
- 落ち着く音楽を流す(リトミック曲や自然音)
- アロマや柔軟剤の香りで「眠る合図」を作る
- ハグやマッサージなど、触覚刺激で安心させる
こうした感覚的な「安心ルーティン」が、睡眠の質を高めてくれます。
結果、朝の覚醒もスムーズになり、1日のスタートが楽になります。
対策⑥:感覚過敏対応!布団・パジャマ・照明を“子ども仕様”に
ADHDや発達障害の子は、感覚過敏(触覚・視覚・温度)を持っていることが少なくありません。
この特性が朝の「起きづらさ」に直結しているケースも多いです。
たとえば――
- 毛布のチクチクが苦手
- 明るい照明がまぶしい
- パジャマのタグが気になる
こうした刺激が、朝の不快感や癇癪の引き金になってしまうことも。
そこで意識したいのが、“子ども仕様”の寝具づくりです。
- 柔らかいコットン素材のパジャマ
- ほんのり暖かい照明(オレンジ系)
- タグのない衣類やブランケット
感覚統合の観点では、「安心できる感覚刺激」が覚醒を助けるとも言われています。
「触れて安心」「見て落ち着く」環境づくりが、朝の安定につながります。
対策⑦:「起きられたらほめる」肯定的な声かけで自信を育てる
ADHDの子は、失敗体験が多く、自己肯定感が下がりやすい傾向があります。
だからこそ、朝起きられたときは小さなことでもしっかり認めてほめることがとても大切です。
ポイントは、「すごいね!」だけでなく、“具体的に何が良かったか”を伝えること。
たとえば、
- 「自分で起きられたね、かっこいい!」
- 「今日は座るの早かったね!」
- 「朝ごはんまで頑張れたね!」
というように、“できた行動”をその場でフィードバックします。
この積み重ねが、「自分はできるんだ」という自信と達成感を育て、
やがて「起きる=自分でできること」として習慣化していきます。
親の声かけひとつで、「苦手な朝」が「少し楽しみな朝」に変わることもありますよ。
【体験談】実際に“朝起きれない”が改善した3つの成功事例
「朝、何をしても起きてくれない…」
「もう怒りたくないのに、毎朝バトルでヘトヘト…」
そんな悩みを抱えていたママたちが、“少しの工夫”で驚くほど変化を感じた実例があります。
ここでは、実際に試してみて効果があった3つの成功エピソードを紹介します。
どれも特別な道具や訓練は不要。
「これならうちでもできそう!」と思える、リアルで温かい工夫ばかりです。
タイマー+ぬいぐるみ作戦で自分から起きられるように
最初の成功事例は、小学1年生のAくん(ADHD傾向あり)のママから。
以前は何度声をかけても布団から出られず、
「もう時間よ!」と怒鳴ってようやく起きる…という毎日。
ママも疲れ切っていました。
そんなとき、Aくんが大好きなキャラクターのぬいぐるみを活用してみたそうです。
ママはタイマーをセットして、タイマーが鳴ったらぬいぐるみが“起こす”設定に。
「ぬいぐるみさんが“おはよう”って言ってるよ」
「○○くんが起きたら、ぬいぐるみさん喜ぶね!」
と声をかけたところ、Aくんは笑いながら布団から顔を出すようになったとか。
ポイントは、“命令ではなく遊びの感覚”に変えること。
ADHDの子は「やらなきゃ」と言われると動きにくくなりますが、
「やってみよう!」というワクワクの気持ちには強く反応します。
さらに、タイマーを使うことで「ママに言われたから」ではなく、
“音が鳴ったら起きる”というルール化ができるのも大きなメリット。
結果、数週間後には「ぬいぐるみの時間だ!」と自分から布団を出るようになり、
ママのイライラも激減したそうです。
朝リトミックで楽しくスイッチオン!
次は、年中さんのBちゃんの事例です。
Bちゃんは朝がとにかく苦手で、起きてもボーッとして動かないタイプ。
ママは毎朝「早くして!」「もう出発時間!」と焦るばかりでした。
そんなある日、園でリトミック(音楽と動きを使った活動)をしている先生から、
「朝に軽くリズム運動を取り入れてみては?」とアドバイスを受けました。
それからママは、朝起きたら好きな子ども向け音楽を流して、
一緒に10秒だけ体を動かすことから始めました。
- 手を叩く
- 肩を回す
- リズムに合わせて“いっちに!いっちに!”
最初は眠そうだったBちゃんも、1週間ほどでノリノリに!
今では音楽が流れると自然と体が動くようになり、
「起きる=楽しいことが始まる」という習慣ができたそうです。
ADHDの子は、頭で考えるより体のリズムで切り替えた方が得意な場合が多く、
音楽や動きを使った起床法はとても効果的です。
寝る前5分ストレッチで不機嫌が激減
3つ目の事例は、小学3年生のCくん。
朝の不機嫌が激しく、泣いたり怒ったりして支度が進まない日が続いていました。
ママは「朝の問題」と思っていたのですが、
専門の支援員さんに相談したところ、
「夜の寝る前の状態が朝の機嫌に影響している」と聞いてびっくり。
そこで試したのが、寝る前5分のストレッチ。
YouTubeの簡単なキッズストレッチ動画を見ながら、
一緒に呼吸を整えて、体をゆっくり伸ばす時間をつくりました。
1週間ほど続けると、朝の機嫌が少しずつ落ち着き、
「おはよう」と笑顔で言える日が増えたそうです。
ADHDの子は、寝る前も頭のスイッチが切れにくいため、
体をリラックスさせて眠りに入りやすくすることが、朝の調子にも直結します。
ストレッチで血流と体温を整えることで、
「寝つきがよくなる→深い眠りがとれる→朝の覚醒がスムーズ」という好循環が生まれるのです。
ADHDの子が朝起きれないときにやりがちなNG対応3つ
「何度言っても起きない!」「もう時間がないのに!」
そんな焦りから、つい声を荒げてしまう朝…ありますよね。
でも実は、ADHDの子どもにとって“起こされ方”はとても大事なんです。
対応の仕方次第で、その日の調子がガラッと変わることも。
ここでは、ついやってしまいがちなNG対応を3つ取り上げながら、
どうしてそれが逆効果になるのか、そしてどうすれば良いのかをわかりやすく説明します。
何度も怒鳴る・揺さぶるのは逆効果
「もう何回言ったら起きるの!」「いい加減にしなさい!」
…そんな言葉、思わず出ちゃいますよね。
でも、ADHDの子どもにとってこの“怒鳴り声”や“体への刺激”は、脳に強いストレス信号を送るんです。
ADHDの子はもともと、覚醒のコントロールが苦手で、
外からの刺激に対して「びっくり」「怖い」と感じやすい傾向があります。
だからこそ、怒鳴る・揺さぶる=脳が一気に防御モードに入る。
その結果、
- さらに動けなくなる
- 泣き出す・パニックになる
- 朝から気持ちが不安定になる
という悪循環に陥りやすいのです。
代わりにおすすめなのは、“静かに・ゆっくり”アプローチ。
たとえば、
- 小さな声で「おはよう」と耳元でささやく
- 優しく背中をさする
- ぬいぐるみや好きなキャラを使って「起こし係」にする
このように、安心できる刺激を使うことで、自然に脳が覚醒しやすくなります。
「早く寝れば起きられる」と思い込むのは危険
多くのママが「夜早く寝れば、朝起きられるはず」と考えがちです。
でも、ADHDの子どもにはこの法則が必ずしも当てはまりません。
なぜなら、ADHDの子は「眠りに入るまでのスイッチの切り替え」が苦手だからです。
夜に集中モードが続いたり、感覚が過敏で落ち着かなかったりして、
“寝ている時間は長くても質が悪い”ということがよくあります。
つまり、「早寝=熟睡」ではないんです。
無理に早く寝かせようとすると、逆に「まだ眠くないのに寝ろ」と言われたストレスで寝つきが悪くなることも。
大切なのは、“睡眠の量”よりも“睡眠の質”と“リズム”を整えること。
たとえば、
- 寝る1時間前から照明を落とす
- 寝る直前のテレビ・スマホは控える
- 「おやすみ音楽」や「ストレッチ」で入眠サインを作る
こうした習慣を続けることで、脳が自然と「そろそろ寝る時間だ」と認識しやすくなり、朝の目覚めも安定していきます。
「怠けてる」と決めつけるのは子どもの自尊心を傷つける
朝なかなか起きない姿を見ると、「やる気がないのかな」「怠けてるだけでは?」と思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、この言葉が子どもにとってはとても深い傷になることがあります。
ADHDの子どもは、自分でも「起きたいのに起きられない」と感じている場合が多いです。
にもかかわらず「怠けてる」と言われると、
「自分はダメな子なんだ」と自己否定の気持ちが強くなってしまいます。
そうなると、
- 朝の支度にさらに時間がかかる
- 自信をなくして不機嫌になる
- ママとの関係がギクシャクする
という悪循環が起きやすくなります。
ママとして大事なのは、“評価”ではなく“理解”。
「起きられないのは、体や脳の特性のせい」と知ってあげるだけで、
子どもへの接し方がぐっと優しくなります。
たとえば、
- 「今日は少し眠いね、体がまだお休み中かな?」
- 「昨日よりちょっと早く起きられたね!」
こんな小さな共感や肯定の声かけが、子どもの安心感を大きく育てます。
ADHDの子の朝支度がラクになるおすすめ支援アイテム
ADHDや発達障害のある子どもにとって、朝の支度は一日の中でもっともハードルが高い時間帯です。
「起きる → 着替える → ごはんを食べる → 出発する」――
この一連の流れをスムーズに進めるのは、脳の切り替えや集中を必要とするため、特性上とてもエネルギーを使います。
そんなときに頼りになるのが、“朝の見通しをサポートしてくれるグッズ”や“覚醒を助けるツール”。
ここでは、専門家やママたちの間でも人気の高い「ADHD 朝対策グッズ」を中心に、
おうちで試せるアイテムと、100均でできる代用アイデアを紹介します。
① 光目覚まし時計で“自然な目覚め”をサポート
ADHDの子どもは、脳の覚醒リズムがゆっくりしているため、
突然のアラーム音よりも「光」でゆっくり起きるほうがストレスが少ないといわれています。
そこでおすすめなのが、光目覚まし時計。
設定時刻の少し前から徐々に光が強くなり、朝日を浴びて起きるような自然な感覚で目覚められます。
「いきなり大音量でビックリしてパニックになる」というお子さんには特に効果的。
また、視覚的に「朝が来た」とわかることで、脳の活動スイッチ(セロトニン分泌)も入りやすくなります。
💡100均代用アイデア:
- タイマー付きライトを寝室に設置
- 起きる時間にカーテンを自動で少し開ける「タイマー式カーテンクリップ」もおすすめ
これだけでも、朝の目覚め方がかなり変わります。
② 音楽タイマーで“リズムのある支度”を
「時間を意識するのが苦手」「支度がダラダラして進まない」というADHDの子には、
音楽タイマーがとても効果的です。
たとえば、
- 起床:やさしいピアノ曲
- 洗顔・着替え:テンポのあるリズムソング
- 出発前:元気な曲で気持ちを切り替える
といったように、行動ごとに音を決めておくことで、時間の流れが感覚的に理解しやすくなります。
これは、リトミック(音楽療法)にも通じる考え方で、「リズムが行動を導く」という特性を活かした支援です。
「支度しなさい!」よりも、「この曲が流れたら歯磨きタイムだね」と声をかける方が、子どもも前向きに動けます。
💡 100均代用アイデア:
- タイマー付きのBluetoothスピーカー
- キッチンタイマー+好きな音楽を流すスマホアプリ
 どちらも100円ショップや300円ショップで手に入ります。
③ 柔らか素材の寝具・パジャマで“快適な朝”に
ADHDや発達障害の子には、感覚過敏(肌ざわり・温度・締めつけ)がある子も多いです。
「チクチクしてイヤ」「布団の感触が落ち着かない」という不快感が、朝の不機嫌や起きづらさの原因になることもあります。
そのため、寝具はできるだけ“感覚にやさしい素材”を選ぶのがポイントです。
おすすめは――
- 綿100%のやわらかパジャマ
- フワフワのタオルケット
- 肌触りが均一なガーゼ素材の掛け布団
特にパジャマのゴムのきつさやタグは、気づかないうちにストレスになるので要チェックです。
💡 100均代用アイデア:
- タグをハサミでカットして、裏返しに着せる
- フリース素材の膝掛けを「掛け布団代わり」にする
- 枕カバーに柔らかタオルを巻く
ちょっとした工夫で、「朝の不快感」→「気持ちよく起きられる」に変わります。
④ 朝の見通しボードで“やることを見える化”
「次は何するの?」「忘れちゃった!」が多い子には、“見える支援”が効果的です。
朝の流れを写真やイラストで見せるだけで、行動が安定することも少なくありません。
「起きる → 着替える → ごはん → 歯磨き → バッグ」などを一目で確認できると、
頭の中の混乱が減り、親の声かけも少なく済みます。
💡 100均代用アイデア:
- マグネットボード+手描きイラスト
- プリントした支度リストをラミネートして貼る
- 終わった項目にシールを貼って「できた!」を可視化
こうした“達成感を見せる仕組み”が、子どもの自信にもつながります。
⑤ 朝の香り・色・音で「ご機嫌スイッチ」を入れる
ADHDの子どもは、嗅覚や聴覚などの感覚が強く働くタイプも多いです。
その特性をうまく活かして、「好きな刺激で朝を始める」のもおすすめです。
たとえば――
- オレンジやミントなどの香りでスッキリ気分に
- 朝のカーテンをお気に入りの色にして“明るい刺激”を演出
- 小鳥のさえずりや自然音のアプリで心地よいスタートを
これらは全て、脳の覚醒を助ける感覚刺激です。
「五感を刺激する朝支援」は、お金をかけずにできる最高の“ADHD朝対策グッズ”ともいえます。
💡 100均代用アイデア:
- アロマストーンや香り付き袋
- カラーフィルムを使った光の演出
- 自然音のYouTube再生リスト
どれも100円ショップやスマホアプリで簡単に揃います。
ママが心をラクにするための3つのマインドリセット
朝の支度は毎日のこと。
「ちゃんと起きてほしい」「遅刻したくない」――そう思うのは当然です。
でも、ADHDや発達特性のある子の朝は、思うように進まないことが多いもの。
ママが“がんばりすぎるほどつらくなる”こともありますよね。
ここでは、そんな毎日の中で少しでも心を軽くできるように、
3つのマインドリセット(心の考え方の切り替え)を紹介します。
「完璧な朝」を目指さなくてOK
「早く起こして、ちゃんと食べて、笑顔で送り出す」――
理想の朝のイメージ、頭の中にありませんか?
でも、毎日その通りにいかなくても大丈夫。
むしろ、発達特性のある子どもにとって“予定通り”が難しいのは自然なことなんです。
たとえば、
- 昨日はすぐに起きられたのに、今日はなかなか起きない
- 朝ごはんを残した
- 家を出る直前に気になることを始めて遅れた
これ、全部「その日その時の特性のゆらぎ」なんです。
ADHDの子の脳は、気持ちや環境の影響を受けやすく、
「昨日できた=今日もできる」ではないんですね。
だからこそ、「できない朝もあるのが普通」くらいの気持ちでOK。
完璧を目指すよりも、「笑顔で送り出せたら100点」でいいんです。
昨日より1歩進んだら合格
ADHDの子の成長は、階段を登るように“コツコツ”というより、
「スロープを行ったり戻ったりしながら進む」ようなイメージです。
つまり、後退しているように見えても、全体ではちゃんと前に進んでいるんです。
たとえば、
- 「今日は自分で目を開けられた」
- 「昨日よりちょっと早く着替えられた」
- 「不機嫌だったけど、泣かずに出発できた」
そんな小さな変化を、“できた”として認めてあげることが大切です。
これは子どもだけでなく、ママ自身へのごほうびにもなります。
研究でも、肯定的な視点(ポジティブリフレーミング)を持つと、
育児ストレスが軽減され、親子関係も安定しやすくなることが分かっています。
ママが「今日はこれができたね」と一言言えるだけで、
子どもの自己肯定感もぐんとアップします。
だから、完璧を目指すより、「昨日より1歩進めたら合格」。
その積み重ねが、将来の大きな成長につながっていきます。
ママも休む時間を大切に
「子どもが大変だから」「私が頑張らなきゃ」と、
ママが自分を後回しにしていませんか?
でも、ママのエネルギーは有限です。
心と体が疲れきってしまうと、どんな支援の知識も生かせなくなります。
特にADHD育児では、
- 朝のバタバタ
- 学校や園でのトラブル
- 夜の寝かしつけや癇癪対応
など、気力を使う場面がとても多いですよね。
だからこそ、“休むことも育児のうち”と考えてほしいんです。
ほんの数分でも、
- コーヒーを飲んで深呼吸する
- 好きな音楽を聞く
- 夫や家族にバトンタッチして一人の時間を持つ
そういう小さな「リセットタイム」が、次の日のやる気につながります。
そして何より大切なのは、
ママが笑顔でいることが、子どもにとっていちばんの安心だということ。
「自分の時間を持つ=子どもの安心を育てる時間」なんです。
[まとめ]ADHDの子どもが朝起きれないのは「工夫次第」で変わる!
「何度呼んでも起きない」「毎朝、戦いのようでクタクタ…」
そんな日々を過ごしているママ、本当におつかれさまです。
ADHDの子どもが朝起きれないのは、やる気の問題でも、怠けでもありません。
その背景には、脳の働き方・睡眠リズム・感覚の感じ方など、
目に見えにくい“発達の特性”が関係しています。
でも、それは「どうにもならないこと」ではなく、
ちょっとした工夫と環境づくりで、確実に変えていけることなんです。
「脳・睡眠・感覚」を理解することが第一歩
ADHDの子どもは、朝の“脳のスイッチ”が入りにくかったり、
夜に過集中が続いて寝るタイミングを逃してしまったりすることがあります。
だからこそ、
「なぜ起きられないのか?」を理解してあげることが、最初のステップです。
ドーパミンやノルアドレナリンの分泌リズム、体温、光、音など――
科学的に見ても、朝の覚醒をサポートする方法はいくつもあります。
その仕組みを少しずつ生活に取り入れることで、
「無理なく起きられる朝」に近づいていくのです。
叱らず、焦らず、肯定的に支える
朝、なかなか動かない姿を見るとついイライラしてしまいますよね。
でも、「早く!」と叱るよりも、「一緒にやろう」と寄り添う方がずっと効果的。
ママが穏やかでいられると、子どもの脳も安心して動きやすくなります。
安心感は、ADHDの子どもにとって“行動のエネルギー”になるんです。
たとえば――
- 起きられたら小さくハイタッチ
- 少し進めたら「すごいね!」と声をかける
- ダメだった日は「今日はお休みモードだったね」と受け止める
こんな肯定的な関わりを積み重ねるだけでも、
朝の空気が変わっていきます。
朝を整えることで「1日の流れ」も変わる
朝のスタートが穏やかになると、その日1日がスムーズに流れやすくなります。
支度が早くなるだけでなく、登園・登校後の集中力や気分も安定しやすくなるんです。
これは単に時間管理の問題ではなく、
“心と体のリズムを整える支援”としてとても大切なこと。
だからこそ、「朝をどう過ごすか」は、ADHD育児における大事なテーマなんですね。
そして、ママもがんばりすぎないで
ここまで読んでくださったあなたは、すでに「理解しよう」とする優しいママです。
でも、頑張りすぎてママ自身が疲れてしまうと、笑顔が減ってしまう。
だからこそ、「今日はこれでよし!」と思える気持ちを大切にしてほしいです。
子どもが少しでも動けたら、それは立派な成長。焦らず、比べず、うちの子のペースで大丈夫。
ADHDの子の朝は、工夫次第で必ずラクになります。
ママがひとりで抱えこまず、「できた!」を親子で一緒に喜べる朝を、少しずつ増やしていきましょう。
きっと明日の朝は、今日よりちょっと笑顔で始められるはずです。
以上 ADHDの子が朝起きれない本当の理由|今日からできるおうち対策7選【発達特性別の工夫あり】でした


 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			
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