ADHDの症状はどれか?幼児期に見られる行動チェックリストと特徴まとめ

目次

ADHDとは?子どもの特徴をわかりやすく解説

「うちの子、ちょっと落ち着きがないかも?」
「話を聞いていない気がする…」
そんな小さな“気づき”があるママは、もしかするとADHD(注意欠如・多動症)という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

でも、ADHDと聞くとちょっと難しく感じますよね。ここでは、医学的な意味から子どもによく見られる特徴まで、やさしく整理していきましょう。

ADHD(注意欠如・多動症)の意味と基本概要

まず、ADHDとは「注意欠如・多動症」と呼ばれる発達特性のひとつです。
簡単に言うと、注意を続ける力・衝動を抑える力・落ち着いて行動する力のバランスが取りにくい状態を指します。

医学的には、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)で次のように定義されています。

  • 集中が続きにくい(注意欠如)
  • じっとしていられない(多動)
  • 思いつきで行動してしまう(衝動性)

こう聞くと、「それって子どもならみんなそうじゃない?」と思うかもしれません。
実際、ADHDの特徴は“誰にでもある”行動の延長線上にあります。
ただし、それが日常生活や集団生活に影響を与えるほど強く現れるとき、ADHDの可能性があると考えられます。

そして、よくある誤解が「しつけ不足だから落ち着かない」「親の関わり方が悪いから言うことを聞かない」という言葉。
でもそれは違います。
ADHDは「親のせい」ではなく、「脳の働き方の違い」なんです。

脳の中でも「前頭前野」と呼ばれる部分(考える・我慢する・注意を向けるなどを担当する場所)の働きが少し異なるため、
周囲から見ると「忘れっぽい」「じっとできない」などの行動が出やすいだけなんですね。

ADHDの3タイプを図解で理解しよう

ADHDと一口に言っても、すべての子どもが同じ特徴を持っているわけではありません。
大きく分けると、次の3つのタイプがあります。

  1. 不注意優勢型:集中が続かず、うっかりミスや忘れ物が多いタイプ。
  2. 多動・衝動型:じっとしていられず、思いつきで動いてしまうタイプ。
  3. 混合型:不注意と多動・衝動、両方の特徴が見られるタイプ。

たとえば――

  • 不注意タイプの子は、話を聞いていてもすぐに他のことに気を取られてしまう
  • 多動タイプの子は、体を動かすことが好きで、思いついたら即行動!
  • 混合型の子は、その両方が見られるため、状況によって違う行動が出やすいです。

このようにタイプが分かれることで、支援の方向性も少し変わってきます。
「落ち着きがない」だけでひとくくりにせず、その子の特性を丁寧に見ていくことが大切なんですね。

ADHDの子どもに多い男女差の特徴

ADHDは、男の子に多いと言われています。
男の子の場合は「走り回る」「友達の話を遮る」「我慢できずに手が出てしまう」など、行動で表れやすいタイプが多いのが特徴です。

一方で、女の子の場合は「静かなタイプ」や「気づかれにくいタイプ」が多い傾向があります。
たとえば、

  • ぼーっとしているように見える
  • 話を聞いていないように見える
  • 忘れ物が多いけど、特にトラブルを起こさない

こうした特徴は、「おとなしいから大丈夫」と見過ごされやすいのが現状です。
でも実際には、心の中で「うまくいかない」「何度やっても忘れちゃう」と感じている子も多くいます。

男女で現れ方は違っても、根本にあるのは同じ“脳の特性”
だからこそ、外見的な行動だけで判断せず、
「どうしてそうなっているのか?」を理解することが、子どもの安心にもつながります。

ADHDの症状はどれか?幼児期に見られる行動チェックリスト

「うちの子、どうして集中できないのかな?」
「じっとしていられなくて、いつも動き回ってる…」

そんなとき、もしかすると関係しているのがADHD(注意欠如・多動症)の特性かもしれません。
ここでは、幼児期に見られやすい行動をタイプ別に紹介します。
チェックリスト形式でまとめているので、「うちの子、当てはまるかも?」と確認しながら読んでみてくださいね。

【不注意タイプ】集中できない・忘れ物が多い子の特徴

「ちゃんと聞いてる?」と声をかけても、数秒後にはもう別のことをしている…。
そんなとき、ママはつい「ふざけてるのかな」と思ってしまうかもしれません。
でも実は、集中を維持する脳の働きがまだ育ちきっていないことが原因のひとつなんです。

不注意タイプの子は、

  • 興味のあることにはものすごく集中できる
  • でも、少しでも退屈だとすぐ注意がそれてしまう
    という“集中の凸凹”が見られます。

また、ワーキングメモリ(作業記憶)と呼ばれる「今やっていることを覚えておく力」も弱くなりがち。
そのため、指示を聞いても途中で忘れてしまう、片づけが最後までできない、ということが起きます。

家庭で確認できるチェックリスト(不注意タイプ)

  • □ 話をしても、途中から聞いていないように見える
  • □ 忘れ物が多い(ハンカチ・水筒など)
  • □ 1つの遊びを最後まで続けるのが苦手
  • □ 片づけを始めても、他のことに気を取られてやめてしまう
  • □ 机に向かっても、すぐ立ち歩いてしまう
  • □ 文字や絵を書いても、抜けやミスが多い
  • □ 声をかけても「今やる!」と言いながら忘れてしまう
  • □ 落ち着いて座っているのが苦手
  • □ 指示を聞き間違えることがよくある
  • □ 興味のない話にはまったく集中できない

このタイプの子は、「聞いていない」のではなく、“聞きながら忘れてしまう”ことが多いんです。
叱るよりも、短い言葉で一つずつ伝えるなど、環境を整えてあげることでぐんとやりやすくなります。

【多動タイプ】じっとしていられない・動きが多い子の特徴

「ごはんのときに立ち上がる」「イスに座っても体が動いてる」——
このように、じっとしていることが苦手な子は多動タイプの可能性があります。

多動といっても、悪いことではありません。
脳が常に“刺激を求めている”状態なので、動くことで安心したり、気持ちを調整していることもあるんです。

また、体の動きをコントロールする力(抑制機能)がまだ育ちきっていないため、
「静かにしてね」と言われてもつい体が動いてしまうんですね。

園や家庭で確認できるチェックリスト(多動タイプ)

  • □ 食事中でも立ち歩くことがある
  • □ 座っていられる時間が短い(3分もたないことも)
  • □ 手や足をバタバタ動かしてしまう
  • □ 外で走り回るのが大好き
  • □ 順番を待つのが苦手で、すぐ割り込んでしまう
  • □ 声が大きく、場面に合ったボリューム調整が苦手
  • □ 話しかけられる前に話し始めてしまう
  • □ 静かな遊び(パズルや読書など)が続かない
  • □ 家でも常に動き回っている
  • □ 「あと1回ね」と言われても止まれない

多動タイプの子は、「止まれない」ではなく「止まりにくい」のが本当のところ。
体を動かす時間を上手に作ってあげることで、落ち着いて過ごせる時間も増えていきます。

【衝動タイプ】思いつき行動・感情の爆発が多い子の特徴

衝動タイプの子は、頭で考えるより先に体が動いてしまうタイプです。
たとえば、

  • 順番を待てずに割り込んでしまう
  • 思いついたことをすぐ口に出す
  • 注意されるとすぐ泣いたり怒ったりする

これは、「自分の行動を止めるスイッチ(抑制力)」がまだ育っていないことが関係しています。
一見わがままに見えても、感情のブレーキをうまく使えないだけなんです。

衝動タイプに多いチェックリスト

  • □ すぐ怒る・泣くなど感情の波が激しい
  • □ 順番を待てない、割り込みが多い
  • □ 注意されると強く反応する
  • □ 思ったことをすぐ言ってしまう
  • □ 友達を押したり叩いたりしてしまう
  • □ 負けず嫌いでトラブルになりやすい
  • □ 気に入らないとすぐ遊びをやめてしまう
  • □ 気持ちを言葉で伝えるのが苦手
  • □ 興奮すると止まらなくなる
  • □ イライラしたあとに「なんでやっちゃったんだろう」と後悔する

衝動性が強い子ほど、感情の切り替えが難しい傾向があります。
「落ち着いて!」と叱るより、気持ちを言葉にする練習(例:「いま怒ってるね」「悲しいね」)を重ねると、少しずつ自分でコントロールできるようになります。

【園・家庭での気づき】先生やママが感じる“ちょっと違う”サイン

ADHDの子どもたちは、家庭と園(または学校)で行動の見え方が違うことも多いです。
家庭では落ち着いているのに、園では動きが止まらなかったり、逆に家では不注意が目立つこともあります。

先生やママが感じる“ちょっと違う”サインには、こんなものがあります。

場面別の気づき例

  • 家ではできるのに、園ではうまくいかない
  • 集団遊びでトラブルが多い
  • お友達の気持ちを読み取るのが苦手
  • 声をかけても反応が遅い
  • 話の途中で別の話題に変わってしまう
  • 先生の話を聞いていないように見える
  • みんなと同じペースで行動するのが難しい

こうした“ちょっとした違和感”こそ、早期発見の大切なヒントになります。
特に園の先生など、子どもを客観的に見てくれる大人の意見はとても貴重です。
気になることが続くようなら、発達相談センターや小児科で気軽に相談してみるのも一つの選択肢です。

まとめ:行動の裏に「できない理由」がある

不注意・多動・衝動のどのタイプにも共通しているのは、
「わざと」ではなく「うまくできない」という点です。

子どもたちは、決してサボっているわけでも、ママを困らせたいわけでもありません。
それぞれの行動の裏には、脳の発達の特性や感覚の違いが隠れているんです。

ママがその特性を理解してくれることで、子どもは安心して成長できます。
「うまくいかない」ではなく、
「どうすればうまくいくか」を一緒に探す視点を持つことが、支援の第一歩になります。

ADHDの子が“問題行動”に見られやすい理由

「何度言ってもできない」「また注意されちゃった」
——そんなとき、周りの人から「わざとやってる」「しつけが足りない」と誤解されることがあります。

でも本当は、ADHDの子どもたちが「困らせたい」わけではありません。
彼らの行動の背景には、脳の働き方や感覚の特性が深く関係しているんです。

ここでは、なぜADHDの子が“問題行動”として見られやすいのかを、
脳・環境・感情の3つの視点からわかりやすく見ていきましょう。

脳の発達とワーキングメモリの関係

「理解できない」ではなく「記憶に留められない」

まず最初に知っておきたいのが、ADHDの子どもは「理解力がない」のではなく、
一時的に情報を覚えておく力(ワーキングメモリ)が少し弱い傾向があるということです。

たとえばママが「靴下を脱いで、洗濯かごに入れてね」と言うと、
最初の“靴下を脱ぐ”まではできても、“洗濯かごに入れる”を忘れてしまうことがあります。

これは「言うことを聞いていない」のではなく、
脳の“メモ帳”のような部分に一度に入る情報が少ないため。
途中でこぼれてしまうんですね。

また、ADHDの脳は刺激に反応しやすく、
音や動くものが目に入ると、注意のスイッチがすぐ別の方向に切り替わります。
その結果、やるべきことが途中で抜け落ちてしまうのです。

この「覚えておく力」と「注意を保つ力」は、どちらも前頭前野(ぜんとうぜんや)という脳の部分と深く関係しています。
前頭前野は、まだ5〜6歳くらいでは発達の途中。
つまり、ADHDの子どもは“発達のタイミングが少しゆっくり”なだけ
なんです。

だから、「わかってるのにやらない」ではなく、*「やろうとしても忘れちゃう」「集中が切れちゃう」という状態が多いのです。

集団生活とのギャップで“叱られやすい”子になる

周囲との比較で誤解されやすい行動例

園や学校などの集団生活では、ルールやスケジュールに合わせて行動する力が求められます。
でもADHDの子は、その「合わせる力」が育ちにくいことがあります。

たとえば、

  • 先生の話の途中で別のことを話し始める
  • お友達の順番を待てずに割り込んでしまう
  • 注意されても同じことを繰り返してしまう

こうした行動は、大人から見ると「わざと」「反抗的」に見えるかもしれません。
でも実際は、脳の“行動をコントロールする機能”がまだ未熟なだけなんです。

また、集団生活の中では「他の子と同じようにできること」が“良い子”の基準になりやすいですよね。
だからこそ、周囲とのギャップが目立つ子ほど注意されやすくなるのです。

たとえば、こんなすれ違いがよく起こります:

  • 「立ち歩く子」→集中できないわけではなく、体を動かすことで安心している
  • 「順番を守れない子」→ルールは理解しているけれど、待つことがつらい
  • 「話を聞けない子」→他の刺激に注意が向いてしまっているだけ

つまり、ADHDの子の“困った行動”には、その子なりの理由や背景が必ずあります。
大切なのは「何をしようとしていたのか?」に目を向けること。
叱るよりも、“どうすればできるようになるか”を一緒に考える姿勢が何よりの支援になります。

感覚過敏・感情の未熟さも関係している

音や光への敏感さで集中が途切れるケース

感情の爆発は「コントロールできない」だけ

ADHDの子どもたちの中には、感覚がとても鋭いタイプの子もいます。
たとえば、

  • クラスのざわざわした声が気になって集中できない
  • 光がまぶしくてイライラしてしまう
  • 洋服のタグがチクチクして気持ち悪い

こうした感覚過敏(かんかくかびん)の特性は、本人も「嫌だ」と自覚できないことが多いんです。
でも、不快な刺激が続くと、脳が「もう無理!」と反応してしまい、落ち着かなくなったり、
突然泣いたり怒ったりすることがあります。

また、ADHDの子は感情をコントロールする力(情動調整)もまだ発達の途中。
気持ちが高ぶると、ブレーキがうまく働かずに爆発してしまうことがあります。
でもそれは、「我慢できない子」ではなく、
「まだ我慢する力を育てている途中」なんです。

このように、ADHDの“行動の裏”には、

  • 脳の発達のタイミング
  • 感覚の特性
  • 感情の成熟度
    がそれぞれ影響しています。

ママが「どうしてできないの?」と感じるとき、
その裏には必ず「できない理由」が隠れています。
だからこそ、“行動”ではなく“背景”を見る視点がとても大切です。

ADHDかも?と感じたら受診・相談のタイミング

「どうしてうちの子だけ、こんなに落ち着かないの?」
「何度言っても同じことを繰り返す…もしかしてADHD?」

そう感じたとき、多くのママが最初に抱くのは“迷い”です。
「病院に行くほどじゃない気もするし…」「相談したら、何か言われそう」など、ためらう気持ちはとても自然なことです。

でも、ここで知っておいてほしいのは、相談=診断ではないということ。
相談は、“困っていることを整理する第一歩”なんです。

どんなときに相談すべき?判断の目安

ADHDの特性は、「落ち着きがない」「集中が続かない」「衝動的に動く」などとして表れますが、
その行動だけで診断がつくわけではありません。
実際に受診を考える目安は、
“困りごとがどれくらい続いているか”がポイントです。

こんなときは相談を考えてみよう

  • 「注意しても同じ行動を何度も繰り返す」
  • 「集団の中で浮いてしまうことが多い」
  • 「落ち着きがなくて、園や家庭で困っている」
  • 「気分の切り替えに時間がかかる」
  • 「お友達とトラブルが絶えない」
  • 「日常生活(支度・片づけ・食事)が極端に難しい」

特に、これらの様子が家庭と園(または学校)両方で見られる場合は、早めの相談がおすすめです。

大切なのは、「発達障がいかどうかを決めること」ではなく、
“子どもが過ごしやすくなる方法を一緒に考える”こと。

自治体の発達相談センターや保健センターでは、
発達心理士や保健師さんが、ママの話を丁寧に聞いてくれます。
「ちょっと気になるんですけど…」と軽く話すだけでも大丈夫。
それが、支援につながる最初の一歩になります。

ADHD診断の流れと発達検査の内容

では、実際に「専門的に調べてみよう」となった場合、
どんな流れで診断が行われるのでしょうか?

一般的な受診の流れ

  1. まずは小児科で相談
     気になる行動や園での様子を伝えましょう。必要に応じて、発達外来を紹介してもらえます。
  2. 発達外来・児童精神科で詳しい評価
     専門医(発達小児科医・児童精神科医)が、行動の特徴を観察したり、保護者の聞き取りを行います。
  3. 臨床心理士などによる発達検査
     検査では、子どもの得意・不得意の傾向を調べることができます。

検査でわかること・わからないこと

  • わかること: 注意力や衝動性、ワーキングメモリなど脳の“働きのバランス”
  • わからないこと: IQや能力の高低だけで「ADHDかどうか」を断定することはできない

つまり、検査は「診断を決めるため」だけではなく、
“子どもを理解するためのヒント”を得るものなんです。

「苦手なこと」だけでなく、「得意なこと」も一緒に見えるので、
ママが「この子にはこういう強みがあるんだ」と気づくきっかけにもなります。

ADHDと診断された後の支援・療育方法

ADHDと診断されても、それは“ゴール”ではなく“スタート”です。
診断を受けることで、より適切な支援につながるようになります。

医療機関でのフォロー

医師のもとで、定期的に子どもの成長や生活の様子を見守ります。
必要に応じて、お薬を使って集中力や衝動性をコントロールする場合もありますが、
必ずしも全員が服薬するわけではありません。

薬の目的は「行動を直すこと」ではなく、
“本人が過ごしやすくなるためのサポート”です。

療育・支援機関の利用例

診断後は、次のような支援先を活用することで、子どもの得意や苦手に合わせた練習ができます。

  • 児童発達支援センター(未就学児向け):遊びを通して、社会性や感情コントロールを学べる場所
  • 放課後等デイサービス(小学生以降):学校生活のフォローや、自己コントロールの練習ができる
  • 療育教室・作業療法(OT):体の使い方や集中力の維持をサポート

これらの施設では、専門スタッフが子どもの発達に合わせて遊びやトレーニングを工夫してくれます。
「叱られる場所」ではなく、「できた!を増やす場所」なんです。

また、療育の中で保護者向けの相談も行われるため、
ママ自身の気持ちがラクになるサポートも受けられます。

ADHDの子どもの特徴別!家庭でできる対応と工夫

ADHDの子どもは、それぞれの特性によって「困りごと」の内容も違います。
でも、どんなタイプでも共通して言えるのは、「できない」ではなく「工夫次第で変わる」ということ。

ここでは、不注意タイプ・多動タイプ・衝動タイプの子に合わせた、
おうちでできる関わり方や環境づくりのコツを紹介します。

【不注意タイプ】集中できない子への接し方

不注意タイプの子は、興味のあることには夢中になるのに、
やるべきことになると集中が続かないことがあります。
でもこれは、「やる気がない」わけではなく、脳の注意を切り替える力が未発達なだけなんです。

声かけは短く・順番を整理して伝える

一度にたくさんのことを言われると、途中で記憶から抜けてしまうことがあります。
たとえば「手を洗って、ごはん食べて、終わったら歯みがきね」と言うよりも、

「まず手を洗おう」
「次はごはんだね」

ひとつずつ短く区切って伝えるほうが理解しやすくなります。

また、「手を洗ったらタオルで拭く」というように、順番を目で見える形で示すのも効果的です。

タイマーややることボードの活用法

「今から10分だけお片づけしよう!」とタイマーを使うと、時間の見通しが立ちやすくなります。
時間を“見える化”することで、集中しやすく、達成感も感じやすくなるんです。

さらに、「やることボード」(イラスト付きの予定表)を壁に貼るのもおすすめ。
「できた!」とチェックを入れることで、成功体験が目に見えて積み重なるのがポイントです。

【多動タイプ】エネルギーをうまく発散させる工夫

多動タイプの子は、体の中にエネルギーがたくさんあって、常に動きたい気持ちを抱えています。
「静かにして」と言われても、動くことで安心している場合もあるんです。

リトミック・感覚あそびで集中力を育てる

音楽に合わせて体を動かす「リトミック」や、「感覚あそび」は、
エネルギーを発散しながら、注意の切り替え力やリズム感を育てるのにぴったり。

たとえば:

  • 音楽に合わせて「ストップ&ゴー」あそび(音が止まったら動きを止める)
  • お手玉・スカーフを使ってテンポに合わせて投げる
  • 太鼓やカスタネットでママと“まねっこリズム”をする

これらは、体を動かしながら自然と「止まる」「待つ」力を練習できます。

室内でもできる「動いて落ち着く」遊び例

「外で走れない日」でも、体を動かす機会は作れます。

  • クッション山登り(ソファクッションでプチ障害コース)
  • トンネルくぐり(段ボールでもOK)
  • ストレッチやヨガ風のポーズまねっこ

こうした活動は、体を使って気持ちを整える“感覚統合あそび”にもつながります。
「動くことで落ち着く」——これはADHDの子にとってとても大切な感覚です。

【衝動タイプ】感情のコントロールを身につける練習

衝動タイプの子は、思ったことをすぐ口にしたり、感情が爆発してしまったりします。
でもそれは、「気持ちを止めるブレーキ」がまだ発達途中だからなんです。

順番交代ゲーム・気持ちカードの活用

“待つ”や“交代する”を遊びの中で練習するのがおすすめです。

  • 「順番こボール投げ」:ママと交代でボールを投げ合う
  • 「UNO」や「すごろく」など、ルールのある遊び

遊びながら「今はママの番」「次は○○くんの番だね」と順番を意識させることで、
少しずつ“待つ練習”=衝動をコントロールする力が育ちます。

また、「気持ちカード」を使って、表情や感情を言葉で表す練習もおすすめ。
「今の気持ちはどれかな?」「怒ってるカードかな?」と選ばせることで、
感情を言葉に変える練習になります。

イライラを言葉で伝える練習法

感情が爆発する子ほど、「どう言えばいいかわからない」状態になりがちです。
ママが先にお手本を見せると効果的です。

「ママも悲しい気持ちになったよ」
「怒りたい気持ちはわかるよ。じゃあどうしようか?」

このように、気持ちを受け止めながら、次の行動を一緒に考えることで、
「怒ってもいいけど、どう表せばいいか」を学んでいけます。

園と家庭で一貫した関わりをするポイント

ADHDの子は、環境の変化に敏感なことが多いため、
「家ではOKだけど、園ではNG」のようにルールがバラバラだと混乱してしまいます。
だからこそ、園と家庭で一貫した関わりを持つことがとても大切です。

支援ノート・連絡帳での情報共有

園での様子や家庭での変化をノートに書き、先生と共有することで、
同じ視点で子どもを支援できるようになります。
「今日は落ち着いていた」「お昼寝前に少し動いたほうが良かった」など、
具体的な情報を書き合うと、園と家庭の連携がぐっとスムーズになります。

「同じ声かけルール」で子どもが安心

家庭でも園でも、同じ言葉・同じ伝え方を使うと、子どもは混乱しにくくなります。
たとえば「あと1回ね」「おしまいにしようね」など、
短く・いつも同じ表現を繰り返すことが安心につながります。

ママと先生が同じ方向を向いて関わることで、
子どもにとって“世界がひとつにつながる”感覚が生まれ、落ち着いて過ごせるようになります。

家庭は「失敗しても大丈夫な場所」

ADHDの子にとって、家庭は「安心して練習できる場所」です。
できないことがあっても、家庭での工夫と関わりが“心の土台”を育てていきます。

ママが「こうすればうまくいくかも」と試行錯誤しているその時間こそ、
いちばんの支援です。

焦らず、できたときはたっぷり褒めてあげましょう。
子どもの成長は、“小さなできた!”の積み重ねで育っていくのです。

ADHDの子どもが持つ“強み”を伸ばす関わり方

ADHDというと、「落ち着きがない」「集中できない」など、どうしても“できないこと”ばかりが注目されがちです。
でも実は、ADHDの子どもたちは人一倍ユニークで、創造的な才能を持っていることが多いんです。

ここでは、ADHDの子がもともと持っている“強み”を、どうやって日常生活で伸ばしていけるかを紹介します。
ママの見方が少し変わるだけで、子どもの輝き方もガラッと変わりますよ。

興味があることへの集中力は“才能”

ADHDの子は「集中できない」と言われることが多いですが、実際はそうではありません。
実は、「自分の興味があること」には驚くほどの集中力を発揮します。

この状態を、専門的にはハイパーフォーカス(過集中)と呼びます。
好きな遊びやテーマに没頭しすぎて、時間を忘れてしまうこともあるほどです。

たとえば:

  • レゴやブロックで夢中になって作品を作る
  • 虫や恐竜など、興味のある分野をとことん調べる
  • ゲームの世界での集中力や記憶力がすごい

これは決して「偏り」ではなく、興味のあるものに強くのめり込む力=才能なんです。

ADHD特有のハイパーフォーカスを伸ばすには?

ママができることは、「集中できるテーマを見つけて、伸ばす環境を作る」ことです。

たとえば:

  • 図鑑や動画など、好きな分野の情報を一緒に楽しむ
  • 作ったものや調べたことを家族の前で発表させる
  • 「すごいね!」「よく覚えてたね!」と具体的に褒める

こうすることで、子どもは「得意なことを認められた」という成功体験を積むことができます。
この成功体験は、自信や自己肯定感を育てる栄養になります。

発想力・想像力が豊かなのも大きな魅力

ADHDの子どもは、発想がとても自由で、「どうしてそんなアイデアが出るの!?」と大人が驚くような発想をすることがあります。
これは、脳が常に多くの刺激を受け取り、ひらめきや連想が活発に働くため。

たとえば:

  • 一つの遊び方にとらわれず、自分で新しいルールを考える
  • 絵や工作で独創的なアイデアを形にする
  • 日常の中でユーモアや面白い発想を見せる

こうした「自由な想像力」は、芸術・発明・デザイン・音楽などの分野で生かされやすい力なんです。

クリエイティブな遊びを通じた伸ばし方

家庭でも、少しの工夫で創造力を育てることができます。

  • 「自由工作コーナー」を作る(紙・空き箱・シールなどを常備)
  • 「もし○○だったら?」という想像ゲームをする
  • 絵を描くときに「上手さ」よりも「発想」を褒める

例:「この色の組み合わせ、すごくおもしろいね!」
  「こんなやり方を思いつくなんて天才!」

結果ではなく、過程や工夫を褒めることで、子どもの「自分のアイデアを表現していいんだ」という気持ちが育ちます。

また、創造的な子ほど「失敗」も多いですが、
それは挑戦している証拠。失敗を責めずに受け止める関わり方が、次のステップにつながります。

「叱るより、認める」支援で自信を育てよう

ADHDの子どもは、園や学校などで注意される機会が多く、
「どうせ自分はダメなんだ」と感じてしまいやすい傾向があります。

だからこそ、家庭では“叱るより、認める”関わり方がとても大切です。
どんな小さなことでも、「できたね」「がんばったね」と伝えてあげましょう。

💬 否定より「できたね!」の積み重ねが大切

たとえば、

  • 片づけが途中まででも「ここまでできたね!」
  • 約束を守れたときに「覚えてたんだね、すごい!」
  • 落ち着いて座っていたら「今、静かにできてたね」

こうした肯定的な声かけの積み重ねが、子どもの自己肯定感を強くします。
叱るよりも、「できた部分を見つけて伸ばす」視点がポイントです。

子どもの自尊心を守る言葉がけ実例

ADHDの子は、失敗を重ねるうちに「どうせ無理」「ぼくなんか」と思い込みやすいです。
そんなときにかけたい言葉は、次のようなものです。

  • 「失敗してもいいよ、またやってみよう」
  • 「ママはあなたのことが大好きだよ」
  • 「うまくいかなくても、がんばってるの知ってるよ」

これらの言葉は、安心感と自己信頼を支える魔法の言葉です。

ママの「大丈夫」という一言が、子どもにとっては“世界からの承認”になります。
その安心感が、次の挑戦へのエネルギーになるのです。

ADHDの子の“強み”は未来を切り開く力

ADHDの子どもは、確かに日常生活の中で困ることも多いですが、
その一方で、人とは違う視点・柔軟な発想・深い集中力という大きな力を持っています。

大人が「困った子」と見るか、「可能性を秘めた子」と見るかで、
その子の未来は大きく変わります。

ママが「うちの子にはこんな魅力がある」と気づいた瞬間、
子どもはその愛情を受け取って、自分を信じる力を少しずつ育てていきます。

ADHDの特性=個性のひとつ。
そして、ママの理解と支えこそが、子どもの「才能の芽」を開かせるカギになるのです。

ADHDの子を育てるママへ伝えたいこと

ADHDの子を育てているママたちは、
「なんでうちの子だけ」「どうして言ってもわかってくれないの?」
と、日々たくさんの葛藤や不安を抱えていると思います。

でもね、まず伝えたいのは——
「ママのせいじゃない」「あなたはもう十分がんばっている」ということです。

ここでは、同じように悩んでいるママたちに向けて、
気持ちが少しラクになる考え方と、頼れる場所を紹介します。

「育て方のせい」ではない!ママは悪くない

ADHDは「性格」や「しつけの問題」ではありません。
脳の働き方や情報処理の特性によって起きる“生まれ持った特性”です。

つまり、家庭環境や育て方が原因ではないんです。
ママがどんなに努力しても、「行動の波」や「集中のムラ」があるのは、脳の仕組みが関係しています。

そして、ここが大事なところ。
ママが日々感じている「うまくいかない」は、子どもをちゃんと見ている証拠なんです。
本当に無関心な親なら、悩んだり落ち込んだりしません。

「どうすれば伝わるかな」
「何が合うかな」

そう考えているママは、もう立派に“支援の第一歩”を歩んでいます。

子どもは、ママが自分のために一生懸命悩んでくれていることを、
言葉にはしなくても、ちゃんと感じ取っています。

どうか、「私が悪いんだ」なんて思わないでください。
ママの努力は、子どもの中にしっかり届いています。

無理をしない・完璧を目指さない子育てを

ADHDの子の子育ては、毎日が小さなドラマの連続。
予想外の出来事が多くて、ママがクタクタになってしまうこともありますよね。

でも、覚えておいてほしいのは、
「できない日があってもいい」ということ。

朝うまく支度が進まなくても、
お出かけでグズっても、
「今日はこれでOK」と思える日があっていいんです。

家族全体がラクになる“ゆるめの支援”

  • 完璧なスケジュールより、「ざっくり決まってる」くらいでOK
  • 苦手なことは“分担”して、家族で支える
  • 時にはお惣菜・デリバリーも立派な育児の味方

大事なのは、「ママが笑顔でいられること」
ママの表情や安心感は、子どもの心にそのまま伝わります。

専門家の間でも、最近は「家庭の心のゆとり」が発達支援の大切な要素と考えられています。
つまり、ママが無理をしないことが、子どもにとっても支援になるんです。

相談できる場所を持つことが安心への第一歩

子育ての悩みをひとりで抱え込むのは、本当にしんどいこと。
でも、話してみるだけで不思議とラクになることもあります。

「うちの子だけじゃなかったんだ」
「同じように悩んでる人がいるんだ」

そう感じられるだけで、心がふっと軽くなります。

相談できる専門機関の例

  • 発達外来(小児科・児童精神科)
     行動面や集中の特性を専門的に見てくれる医師がいます。
  • 療育センター・児童発達支援センター
     発達検査や、家庭での関わり方のアドバイスを受けられます。
  • 自治体の子育て相談窓口・保健センター
     「まだ診断までは…」という段階でも、気軽に話を聞いてもらえます。

どこに行けばいいか迷うときは、まずはかかりつけの小児科で相談してみましょう。
必要に応じて、専門の機関を紹介してもらえます。

話すだけで心が軽くなるママコミュニティ

最近では、発達障がい児を育てるママ向けのオンラインコミュニティも増えています。
SNSや地域の子育てサークルなどで「#発達障害ママ」「#おうち療育」などを検索すると、
同じ悩みを共有できる仲間に出会えることも。

「相談=特別なこと」ではなく、
“話すことでエネルギーを補給する”時間と思ってください。

ママが笑顔でいられることが、いちばんの支援

ADHDの子育ては、たしかに大変なことも多いです。
でも、ママが「うまくいかない日もある」と認められるようになると、
子どもにもその“安心”が伝わります。

ママが笑っていること。
それが、どんな支援よりも子どもの力になります。

焦らず、比べず、ひとつずつ。
小さな「できた」を一緒に喜んでいきましょう。

【まとめ】ADHDの症状チェックは“気づき”の第一歩

ADHD(注意欠如・多動症)の特徴は、実はとても幅広いです。
「集中できない」「落ち着かない」「思いついたことをすぐに行動してしまう」など、
一見“わがまま”や“しつけの問題”に見えることも多いですが、
実際は脳の特性によって起こる行動のひとつなんです。

ADHDの症状は「集中できない」「落ち着かない」「思いつき行動」などに現れる

ADHDの子どもによく見られるのは、次のような行動です。

  • 集中が続かず、途中で別のことに興味が移ってしまう
  • 順番を待つのが苦手で、つい割り込んでしまう
  • 頭の中で浮かんだことをすぐ口にしたり行動したりする
  • 物をよくなくす・忘れ物が多い

こうした行動は、「わざと」ではなく脳の働き方の違いからくるものです。
つまり、子どもが努力してもすぐに改善できるものではないということ。

このため、親が「どうして言ってもできないの?」と感じる場面こそ、
“特性に気づくサイン”である可能性があります。

幼児期の小さなサインを見逃さないことが大切

ADHDの特徴は、幼児期のころから少しずつ見えてくることがあります。

たとえば、

  • 絵本の読み聞かせを最後まで聞けない
  • 並んで歩くのが難しい
  • ルールのある遊びが苦手
  • 興味のあることだけに強い集中を見せる

こうした小さな“傾向”が続く場合、
「気になるけど、まだ小さいから大丈夫かな」と思わずに、
早めに相談してみることをおすすめします。

専門家に相談することで、
「どのくらいが発達の範囲内か」
「家庭でできる工夫は何か」など、
具体的なアドバイスをもらうことができるからです。

早期に気づいて関わり方を工夫できれば、
子どもが感じるストレスをぐっと減らすことができます。

早めの相談と環境づくりで、子どもはもっと生きやすくなる

ADHDは、“治す”ものではなく、「その子に合った環境で伸ばしていく」ことが大切です。

たとえば、

  • タイマーややることボードで見通しを立てやすくする
  • 音や光などの刺激を減らして集中しやすい空間をつくる
  • 小さな「できた!」をたくさん認めて、自信を育てる

こうした環境の工夫だけでも、子どもの生活のしやすさが大きく変わります。

また、早めに相談して支援につながることで、
ママ自身も「どう関わればいいか」がわかり、心に余裕が生まれます。

「できない」ではなく、「どうすればできるようになるか」を一緒に考える。
それが、ADHDの子どもにとっていちばんの支援なんです。

ADHDの症状チェックは、「問題を見つける」ためではなく、「その子を理解する」ための第一歩です。

ママが気づいてあげられること、
それ自体がすでに子どもにとっての支援になっています。

「うちの子はちょっと違うかも?」と感じたとき、
それは決してネガティブなサインではありません。
むしろ、その子らしさを伸ばすチャンスなんです。

焦らず、比べず、子どものペースで。
ママが少しずつ「わかってきたよ」と寄り添っていくことで、
子どもは確実に“生きやすさ”を手にしていきます。

以上【ADHDの症状はどれか?幼児期に見られる行動チェックリストと特徴まとめ】でした

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

約30年の間に培った障害福祉分野での知識や経験を、このブログで余すことなくお伝えしていきます。
所持資格:社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員等

コメント

コメントする

目次