ADHD・アスペルガーの子が朝動かない!登園・登校しぶりを減らす5つの実践コツ

目次

なぜADHD・アスペルガーの子は朝動かないの?原因と特徴を理解しよう

「朝になると動かない」「着替えようとしない」「布団から出ない」──。
発達障害のあるお子さんを育てているママなら、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

実はこれ、怠けているわけでも、わがままでもないんです。
ADHD(注意欠如・多動症)やアスペルガー(自閉スペクトラム症)の子どもには、脳や感覚の働き方に“特性”があり、朝の切り替えや行動の準備に時間がかかるのは自然なことなんです。

ここでは、なぜ“朝動けない”のかを4つの視点から見ていきましょう。
この理解があるだけで、ママの「焦り」や「イライラ」が少しラクになるはずです。

① 朝の切り替えが苦手!感覚過敏・鈍麻が影響している

まず多くの子に共通しているのが、「感覚の切り替えが苦手」ということです。
私たちは、起きた瞬間から自然と「睡眠モード」から「活動モード」へと切り替えますが、ADHDやアスペルガーの子どもはこの切り替えがうまくいかないことがあります。

たとえば――

  • 光がまぶしすぎて起きるのがつらい
  • 布団から出た瞬間の冷たさがイヤ
  • 服のタグや靴下の感触が気になって身支度が進まない

こうした感覚の違いが、「動きたくない」ではなく「動けない」状態をつくり出してしまうのです。

また、逆に「感覚が鈍いタイプ」の子もいます。
眠気を感じづらく、体のスイッチが入るまで時間がかかる場合もあります。
だからこそ、朝の準備には“時間と環境づくり”がとても大事。
五感を刺激しすぎない静かな環境で、少しずつエンジンを温めるような工夫が効果的なんです。

② 登園・登校への不安が“動けない”につながる理由

「朝になると、急に『行きたくない!』と言う」
そんなとき、実は子どもの心の中には“見えない不安”が隠れていることがあります。

アスペルガーの子どもは、“見通しが立たないこと”に強い不安を感じやすい傾向があります。
「今日は誰と遊ぶ?」「先生は怒ってないかな?」「昨日失敗したけど大丈夫かな?」
――こうした小さな心配が、朝になると一気に押し寄せてくるんです。

ADHDの子も同じく、感情のコントロールが難しいため、不安や緊張がそのまま「動けない」に変わることがあります。
つまり、体が止まっているように見えても、心の中では不安と戦っているんですね。

このタイプの子には、「今日はこんな一日になるよ」と事前に伝えてあげることがとても大切です。
見通しがあるだけで、気持ちが落ち着き、「行けそう!」という安心感につながります。

③ ADHD特有の「注意の切り替え」が難しく支度が進まない

ADHDの子は、集中力の切り替えがとても難しい傾向があります。
朝は“やること”がたくさんある時間帯ですよね。
着替え・朝ごはん・歯磨き・荷物準備…と、いくつものステップを順番にこなす必要があります。

でもADHDの子は、目の前のことに強く集中しすぎたり、逆にまったく集中できなかったりします。
たとえば「テレビを見始めたら止まらない」「靴下をはこうとして別のことに気がそれる」など。

これは「怠けている」ではなく、脳の“注意を移す力(切り替え力)”が弱いからなんです。
つまり、「次に何をするか」がわからないと、頭の中が混乱して止まってしまうんですね。

そんな子には、“順番を見える形にする”ことが効果的です。
たとえば「朝の支度ボード」や「タイムタイマー」を使って、視覚的に順番を示すと、「今なにをすればいいか」が理解しやすくなります。

また、「1つずつ伝える」「できたらすぐに褒める」こともポイント。
行動の切り替えを助ける“ママの声かけ”が、朝のリズムを整える第一歩になります。

④ ママの声かけや焦りが逆効果になるケースも

ここが一番大事なポイントかもしれません。
ママが「早くして!」「もう時間ないよ!」と焦る気持ち、痛いほどわかります。
でも実は、その焦りの声かけが子どもの“動けないスイッチ”を押してしまうこともあるんです。

発達障害のある子どもは、感情をとても敏感に感じ取ります。
ママがイライラしていると、「怒られそう」「また失敗するかも」と不安が強まり、余計に体が固まってしまうんです。

逆に、穏やかな声や笑顔で接すると安心して動きやすくなるという研究もあります。
「早くしなさい!」よりも、「あと3分で出発しようね」「ママも一緒にやろうか」といった“予告と共感”の声かけが効果的です。

また、朝の支度ができなかったときも、「できなかったこと」を責めるより、
「昨日よりちょっと早く着替えられたね」など、“できた部分”を見つけて褒めることが大切です。

ママが落ち着いていると、子どもの安心感が伝わり、結果的に朝の動きもスムーズになります。
完璧を目指さず、“今日はこれができたらOK!”くらいのゆるさで大丈夫です。

朝に動けないのは、やる気がないからでも、ママのしつけが悪いからでもありません。
それは、子どもの脳や感覚の“働き方の違い”があるだけ。
理解してあげることで、ママ自身の心もずっと軽くなります。

次の章では、そんな子どもたちが朝にスムーズに動けるようになる5つの実践的なコツを、わかりやすく紹介します。
焦らず、少しずつ一緒に朝を変えていきましょう。

登園・登校しぶりを減らす!朝スムーズに動ける5つのコツ

朝、「着替えて」「ごはん食べて」「早くして!」…と声をかけても動かない。
そんな毎日に、ママも思わずため息が出てしまいますよね。

でも、ADHDやアスペルガーの子が動かないのは、“わざと”でも“怠け”でもありません。
脳の特性や感じ方の違いで、“どう動けばいいか”がわからなかったり、“心が追いついていない”だけなんです。

ここでは、家庭でできる朝の支援のコツを5つ紹介します。
どれも今日からできる小さな工夫ばかりです。
「うちの子にはこれが合いそう!」と思うところから、気軽に試してみてくださいね。

① 朝の支度を“見える化”! ADHD・アスペルガーの子が安心するルーティン作り

朝の支度が進まない一番の理由は、「次に何をしたらいいか」がわからないこと。
頭の中で段取りを組むのが苦手な子は、ママがいくら声で伝えてもピンとこないんです。

そこでおすすめなのが、“見える支援”=視覚支援
たとえばこんな工夫ができます

  • 朝の流れを「絵カード」や「写真」で貼り出す(例:起きる→顔を洗う→ごはん→着替え→歯みがき→出発)
  • タイムタイマーや砂時計を使って「あとどれくらい」で終わるか」がわかるようにする
  • 支度ボード(ホワイトボードや壁)に“できたチェック”を貼って達成感を見える化する

目で見てわかる形にすることで、頭の中の混乱が整理され、安心して動けるようになります。

また、続けるコツは“完璧を求めないこと”。
最初から全部の工程をカード化しなくてもOKです。
「着替え」と「ごはん」だけなど、2〜3ステップから始めて、少しずつ増やしていきましょう。

ポイントは、「できたらすぐに褒める」こと。
「カードどおりに動けたね!」「ここまでできたね!」と声をかけると、成功体験が積み重なり、徐々に自信がついていきます。

② 「朝が楽しみになる工夫」で起きやすく!音・香り・光を味方に

「朝になると、どうしても起きられない」「布団から出たがらない」
そんなときは、“朝がイヤな時間”から“ちょっと楽しみな時間”に変えるのが効果的です。

たとえば、

  • 好きな曲をかけて「音」で気分を切り替える
  • やさしい香り(オレンジ・ラベンダーなど)で“朝の香りルーティン”を作る
  • カーテンを少し開けて、自然光で体内時計をリセットする

とくにADHDタイプの子には、テンポのある明るい音楽や「一緒に体を動かす」ような刺激が向いています。
反対にアスペルガータイプの子には、刺激を減らして“安心できる一定の流れ”が向いています。
たとえば、毎朝同じ音楽をかける、決まった順番で動く…といった“リズムの安心感”が鍵です。

また、朝ごはんのときに「今日はお天気いいね」「〇〇先生に会えるね」と、軽い雑談で前向きな空気を作るのもおすすめ。
「朝=楽しい時間」と感じられるようになると、登園・登校へのハードルも下がります。

③ 「早くして」より“肯定的な声かけ”で動きを促す方法

朝の声かけ、つい「早くしなさい!」になっていませんか?
ママの焦る気持ち、本当によくわかります。
でも、ADHDやアスペルガーの子どもは“否定の言葉”にとても敏感なんです。

「早く」「まだ?」「どうしてできないの?」
こうした言葉は、子どもにとって“できていない自分”を突きつけられるように感じてしまいます。

そこで意識したいのが、“肯定的な声かけ”
たとえばこんな言い方に変えるだけで、子どもの反応が全く違います

NGの言葉OKの言葉
「早く着替えて!」「おっ、もうズボン履けたね!」
「まだごはん食べてないの?」「あと一口で終わりだね!」
「何してるの!」「次は靴下だね、一緒に履こうか!」

「できたこと」「進んでいること」を言葉にしてあげると、子どもは“自分を認めてもらえた”と感じてやる気が出ます。
ママの言葉ひとつで、子どもの朝の表情が変わること、本当に多いんですよ。

④ 「行きたくない」気持ちを受け止めると動けるようになる

朝の支度をしている途中で、「行きたくない!」と泣き出すこともありますよね。
そんなとき、つい「行かなきゃダメでしょ!」と言いたくなりますが、ここはグッとこらえて、まず“気持ちを受け止める”ことが大切です。

ADHDやアスペルガーの子は、感情のコントロールが苦手です。
「行きたくない」の裏には、

  • 昨日イヤなことがあった
  • 友達とトラブルになった
  • 先生が怖い
  • 音・におい・にぎやかさなどの環境ストレス

…そんな小さな不安や苦手が隠れていることが多いんです。

だからこそ、まずは「そうか、行きたくない気持ちなんだね」と共感してあげる。
否定せずに受け止めることで、子どもは「ママは味方だ」と安心できます。

そして落ち着いたら、「どうしたら行けそうかな?」「何かイヤなことあった?」と、少しずつ話を聞いていきましょう。
無理に動かすよりも、安心感を取り戻してからの方が、結果的にスムーズに出発できることが多いんです。

登園・登校しぶりが続く場合は、園や学校に相談して「登園時間を少しずらす」「一緒に教室まで行く」などの調整も有効です。
“がんばらせる”より、“安心できる方法を一緒に探す”ことが支援の第一歩です。

⑤ 前日夜の“準備ルーティン”で朝の混乱を防ぐ

最後のポイントは、「朝の支度は夜から始まっている」という考え方。

ADHDやアスペルガーの子は、急な予定変更や予想外の出来事に弱い傾向があります。
だからこそ、「次の日の見通し」を前の晩に作っておくと、翌朝の不安がぐっと減ります。

たとえば――

  • 次の日の服を一緒に選んでおく
  • 天気をチェックして持ち物を確認する
  • 「明日は〇〇に行くよ」「朝は〇〇してから出発ね」と軽く予告する

この“予告型支援”を習慣にするだけで、朝のバタバタが減り、子どもも落ち着いて動けるようになります。

また、寝る前に「今日がんばったこと」を一緒に振り返るのもおすすめです。
「今日は自分で着替えられたね」「明日もできそうだね」と、成功体験を眠る前に強化しておくことで、次の日の朝も前向きにスタートできます。

朝の支度をスムーズにするには、子どもの特性を理解して“安心できる仕組み”をつくることが大切です。
焦らず、完璧を求めず、少しずつ“動ける朝”を増やしていきましょう。

ママの小さな工夫が、子どもにとっては大きな安心になります。
そしてその積み重ねが、「朝がイヤな時間」から「一緒にがんばれる時間」へと変わっていくのです。

朝がラクになる!家庭でできる発達支援・おうち療育アイデア

朝って、本当にあっという間ですよね。
「時間がない!」「早くして!」と焦るほど、なぜか子どもはゆっくり…。
特にADHDやアスペルガーの特性をもつ子どもは、“時間の流れ”や“次にやること”のイメージがつかみにくいため、どうしても支度がスムーズにいかないことがあります。

でも、ちょっとした工夫で“朝の支援”はぐんとラクになります。
ここでは、家庭で簡単に取り入れられるおうち療育アイデア3つをご紹介します。

① 「タイムタイマー」「支度ボード」など視覚ツールの使い方

発達特性のある子どもたちにとって、“時間の感覚”はとてもつかみにくいものです。
「あと5分」「そろそろ出かけるよ」と言われても、頭の中で“5分”をイメージできないんです。
その結果、「突然終わりが来た!」と感じてパニックになったり、動けなくなってしまうことも。

そんな子にぴったりなのが、「タイムタイマー」や「支度ボード」などの“視覚ツール”です。

タイムタイマーの使い方

タイムタイマーとは、色の面が時間の経過とともに小さくなっていく時計
「赤い部分がなくなったら出発」など、“時間の減り方”が目で見てわかるため、時間の流れを自然に学べます。

とくにADHDタイプの子には、動きや色で時間を“感じられる”タイプがおすすめ。
たとえば「動く砂時計」や「音付きのカウントダウンタイマー」も効果的です。
一方でアスペルガータイプの子には、一定の動き・静かな音の方が安心しやすい傾向があります。

「朝の10分」をタイムタイマーで見せるだけでも、
「あとどのくらいで出発するのか」がわかって気持ちが落ち着く子も多いですよ。

支度ボードの作り方

支度ボード(または朝のルーティン表)は、
「やること」を順番に並べて見える化するツールです。

作り方はとっても簡単。

  • ホワイトボードや厚紙に、「顔を洗う」「着替える」「ごはんを食べる」などの絵カードを貼る
  • 終わったら“できたマーク”をつけたり、カードを裏返して「完了」を見える形にする

たったこれだけで、子どもは「次に何をするのか」が明確になり、安心して動けるようになります。

ポイントは、「一緒に作る」こと。
ママが全部決めるのではなく、子どもが自分で選ぶ体験を入れると、やる気がアップします。
「次は何にしようか?」と会話しながら貼るだけでも、立派なおうち療育です。

② 「ごほうびシール」「達成ノート」でモチベーションUP

発達障害のある子どもは、“できた実感”を持ちにくいことがあります。
どんなに頑張っても「できた!」と感じられなければ、やる気も続きませんよね。

そんなときにおすすめなのが、「ごほうびシール」や「達成ノート」です。

たとえば――

  • 登園・登校できた日は「できたねシール」を貼る
  • 朝の支度ボードが全部終わったら、好きなキャラのシールを1枚
  • “できた日”をノートに記録して、週末に一緒に見返す

こうした小さな成功の積み重ねが、子どもの自己肯定感を育てる最高の教材になります。

「ごほうび」というと、“物を与える”イメージを持つ方もいますが、ここでの目的は違います。
あくまで、“できたことを見える形で実感させる”ことが目的なんです。

たとえばこんな声かけがおすすめです

「今日は全部支度カードできたね!自分でできたね、すごい!」
「昨日より早くできたね!がんばったね!」

褒め言葉+見えるごほうびのセットで、行動がどんどん定着していきます。
また、登園できなかった日でも、「顔を洗えたね」「靴下まではけたね」と、
“できた部分”をちゃんと見つけて褒めることがポイント。

ママの“認める目線”が、子どものやる気のエネルギーになります。

③ 「ママの朝ストレス」を減らす環境・時間づくり

実は、子どもが朝スムーズに動けるかどうかは、ママの余裕と直結しています。
ママが焦っていると、その空気が子どもに伝わり、余計に動けなくなってしまうんです。

だからこそ、「ママ自身の朝を整えること」も、立派な“おうち療育”です。

15分早起きの魔法

まず試してほしいのは、“15分早く起きる”こと。
たった15分でも、心の余裕がまったく違います。

「起きてから10分間は何もしないでコーヒーを飲む」
「好きな音楽を流して支度する」
そんな“小さなゆとり時間”が、ママのストレスをグッと減らします。

声かけの順番を意識する

次に意識したいのは、声かけの“順番”
いきなり「早く着替えて!」よりも、まず「おはよう」「気持ちいい朝だね」と話しかけるだけで、子どもの反応がやわらかくなります。

心理的な“安心ゾーン”を作ってから行動を促すと、スムーズに動けるようになります。
これは発達障害児支援の現場でもよく使われる方法です。

“やらない”選択も立派な支援

そして何より大切なのが、“やらない勇気”を持つこと。
たとえば「朝ごはんを全部食べさせよう」「身支度を完璧に」と思うほど、ママも子どもも疲れてしまいます。

朝は「これだけできたらOK!」と、優先順位をつけましょう。
着替えができたら◎、ごはんは途中でもOK、ランドセルの中身は夜に確認でも◎。
完璧を目指さず、“できた部分”を積み重ねることがいちばんの支援です。

ママの笑顔こそ、子どもにとって最高の朝のスイッチ。
家族みんなが気持ちよくスタートできるように、“ラクする仕組み”を作っていきましょう。

朝の支援は、「特別なこと」ではなく、“ちょっとした工夫”と“ママの気づき”の積み重ねです。
タイマーやシールなどのツールをうまく使いながら、
「できた!」「がんばったね!」を一緒に喜べる朝を増やしていきましょう。

ママが変わると、子どもの朝も少しずつ変わっていきます。
焦らず、今日から一歩ずつで大丈夫です。

タイプ別に見る!ADHDとアスペルガーの朝対応ポイント

発達障害といっても、子どもによって「動けない理由」や「苦手なポイント」は少しずつ違います。
特にADHDタイプ(注意欠如・多動症)アスペルガータイプ(自閉スペクトラム症)では、朝の対応のコツが変わってくるんです。

同じ「朝動けない」でも、

  • ADHDの子は「頭ではわかってるけど、体がついていかない」
  • アスペルガーの子は「どうなるかわからなくて不安で止まってしまう」

というように、動けない理由の“中身”が違うんですね。
ここでは、それぞれのタイプに合わせた朝の支援ポイントを、わかりやすく紹介します。

ADHDタイプの子には「テンポ×遊び感覚」で切り替えをサポート

ADHDタイプの子は、集中が続かない・注意が散りやすい・衝動的に動いてしまうという特徴があります。
そのため、「朝の支度の順番を覚える」「次に何をするか考える」といった“計画的な行動”が苦手なんです。

でも逆に言えば、“体を使った活動”や“テンポのある刺激”が入ると、スイッチが入りやすいタイプでもあります。

リズムでスイッチを入れる!

朝の“やる気スイッチ”を入れるのにおすすめなのが、リズム遊び音を使った切り替えです。
たとえば――

  • 「リズムに合わせて着替え競争!」
  • 「音楽が終わるまでに靴下をはこう!」
  • 「“できた!”の合図をハイタッチで!」

このように、「遊び感覚」で朝を進めると、子どもは自然とテンションが上がり、行動がスムーズになります。

ADHDの子は“興味があること”に強く反応するので、「楽しい」「ワクワク」をうまく利用するのがコツです。
ママが少しテンポをつけて声をかけるだけでも違います。

「よーい、どん!」
「ママとどっちが早いかな?」
「ゴールは玄関だよ!」

といった“ゲーム要素”を取り入れると、朝の空気がパッと明るくなります。

小さく分けて「できた!」を積み重ねる

ADHDの子は、“大きなタスク”を一度に進めるのが苦手です。
だからこそ、「行動を細かく分ける」ことが大切

たとえば、
「着替える」→「ズボンを履く」→「シャツを着る」→「靴下を履く」
といったように、ステップを小さく区切るだけで、達成感が増えて動きやすくなります。

そして、できたらすぐに“肯定的な言葉でフィードバック”してあげましょう。

「ズボン履けたね!いい感じ!」
「もうここまでできたの?すごいね!」

この“即フィードバック”が、ADHDの子のやる気スイッチを押す最強の方法です。
「できた→褒められた→またやりたい!」という好循環をつくることで、朝の支度が少しずつスムーズになっていきます。

アスペルガータイプの子には「見通し×安心」で準備をスムーズに

アスペルガータイプの子は、変化が苦手・予定外のことに不安を感じやすいという特徴があります。
そのため、「朝起きたら、昨日と違うことが起きる」「突然予定が変わる」といった状況でパニックになりやすいんです。

つまり、“不安が強いと動けない”タイプなんですね。

そんな子どもには、“見通しを立てて安心感をつくる”支援がとても大切です。

前日予告と同じ順番が安心のカギ

アスペルガータイプの子は、「どうなるか」がわかっていれば安心して動けます。
なので、前日の夜にこうした声かけをしてあげましょう。

「明日は8時に起きて、ごはんを食べたら〇〇へ行こうね」
「朝はこの服を着ていこうね」

この“前日予告”があるだけで、次の日の朝がスムーズになります。
また、毎朝の流れをできるだけ一定にするのも効果的。

「起きる→トイレ→着替え→朝ごはん→歯みがき→出発」
と、同じ順番・同じ場所で動けるようにすると、子どもは安心します。

これは支援現場でもよく使われる「構造化支援」という方法で、“次に何が起こるか”を見える形で伝えることで、不安を最小限に抑えることができます。

不安を減らす「代替案」の伝え方

予定変更がある日は、特に注意が必要です。
たとえば、「いつもと違う先生が来る」「登校の時間が変わる」など、ちょっとした変化でも強いストレスを感じることがあります。

そんなときは、いきなり伝えるのではなく、“代替案つきで予告する”のがポイントです。

「明日は先生がお休みだけど、〇〇先生が代わりにいるよ」
「バスが遅れるけど、待ってる間に〇〇しようね」

こうした“見通し+代替案”をセットで伝えることで、子どもは「大丈夫なんだ」と安心できます。
この安心感こそが、朝の動き出しの第一歩になります。

「予定の見える化」で混乱を防ぐ

アスペルガータイプの子には、スケジュールを“見える形”にしておくことがとても効果的です。
カレンダーやホワイトボードに予定を書いたり、絵カードで朝の流れを貼っておくことで、
「今日はどんな日なのか」「次に何をするのか」が一目でわかります。

とくに、「予定変更」を伝えるときは、“目で見て確認できる形”にしてあげると、理解しやすく混乱を防げます。

例:×「今日はいつもと違うからね」
  ◎「今日はここが変わるよ(カードを差し替える)」

“安心の土台”を作ってから行動を促すことが、アスペルガータイプの朝支援の基本。
焦らず、ゆっくりと「安心→行動」の流れを作ってあげましょう。

朝の支援は、タイプによってコツが違っても、目指すゴールは同じです。
それは、「ママも子どもも気持ちよく1日をスタートできること」。

ADHDタイプには「テンポと楽しさ」、
アスペルガータイプには「見通しと安心感」。

どちらのタイプでも共通して大切なのは、
“できたことを認めて、安心できる朝をつくる”ことです。

ママが子どもの特性を理解しようとしてくれるその姿勢が、
子どもにとって何よりのエネルギーになります。

やりがちなNG対応と、うまくいく置き換え例

朝の支度って、本当に毎日のことだから、どうしても“習慣化”してほしいですよね。
でも、焦りや疲れがたまってくると、つい言いすぎてしまったり、イライラしてしまうこともあると思います。

実は、「頑張っているのにうまくいかない」原因の多くは、“関わり方の方向性”が少しズレているだけなんです。
ここでは、ママがよく陥りがちなNG対応と、それをちょっと変えるだけでグッとうまくいく“置き換え例”をご紹介します。

① 「叱って動かす」は逆効果!→褒めて動かすに変える

「早くしなさい!」「まだ着替えてないの?」「何回言ったらわかるの!」
──つい言っちゃいますよね。毎朝時間に追われていれば、当然のことです。

でも、発達特性のある子どもにとって、“叱られる”ことは行動を促すきっかけになりにくいんです。
むしろ、「どうせできない」「また怒られる」と自己肯定感が下がり、ますます動けなくなってしまうこともあります。

特にADHDやアスペルガーの子は、感情を敏感に感じ取るタイプが多いので、
ママのトーンや表情ひとつでも「怒られた」「嫌われた」と感じてしまうことがあるんです。

じゃあどうすればいいかというと、「叱る」よりも「褒める」を意識すること。
といっても、何か特別なごほうびを用意する必要はありません。
「できた瞬間を逃さずに言葉で認める」だけでOK。

たとえば、

「ズボン履けたね、すごい!」
「歯みがきしてくれたんだね、助かる!」
「おっ、今日は自分から着替えたね!」

こんな小さな言葉でも、子どもにとっては“ママが見てくれている”という最高のごほうびになります。

褒めるといっても、できていないところを責めずに、“できた部分”だけを拾うのがコツ。
「全部できたら褒める」ではなく、「一部でもできたら褒める」に変えると、子どもはどんどん前向きになります。

② 「支援グッズが続かない」→“完璧を目指さない”使い方に変える

「タイムタイマー買ったけど使わなくなっちゃった…」
「支度ボードを作ったのに、いつの間にか貼らなくなった」
こんな経験、ありませんか?

実はそれ、全然悪いことではありません。
多くのママが同じように感じていて、続かないのは“ママがサボってる”からではなく、ツールの使い方に「柔軟さ」が足りないだけなんです。

たとえば、視覚支援グッズは「毎日完璧に使う」ものではなく、“必要なときに助けてもらう道具”と考えてOK。

  • 朝の調子が悪いときだけ使う
  • 週に何回か、気分が乗らない日に出す
  • 子どもと一緒に「今日はどれ使おうか?」と選ぶ

このくらい“ゆるく”使った方が、長く続くことが多いんです。

支援ツールの本来の目的は、「自立のサポート」ではありますが、最初から子ども一人で使いこなす必要はありません。
ママが一緒に見ながら、「次はこれだね」「できたね」と会話の中で使うだけで、立派な支援になります。

もし子どもが飽きてしまったら、カードの順番を変える・好きなキャラクターを貼る・タイマーの色を変えるなど、
“ちょっとだけ新しい刺激”を入れるのもおすすめです。

大事なのは、“使うこと”よりも、“子どもが理解して安心できる時間を作ること”。
完璧に使えなくても、「このツールがあるとママも落ち着く」それだけで十分なんです。

③ 「他の子と比べて落ち込む」→“うちの子のペース”を尊重する視点へ

「同じクラスの子はもう自分で着替えてるのに…」
「お隣の子は朝の準備が早いのに、なんでうちはできないの?」

こんなふうに比べてしまうのは、ママが一生懸命だからこそ。
でも、発達のスピードは本当に“人それぞれ”なんです。

発達障害の子どもは、「成長のタイミング」がずれているだけで、“できる力”がないわけではありません。
たとえば、「朝の支度」が苦手でも、「好きなことへの集中力」や「発想力」がずば抜けている子もいます。

ママの視点を「比べる」から「観察する」に変えてみましょう。

「うちの子は、朝ごはんのあとだと動きやすいな」
「声かけより、音楽の方が反応がいいみたい」

こんな小さな発見を積み重ねることで、“うちの子仕様の朝ルーティン”が見えてきます。

また、他の子との比較で落ち込んだときは、
「この子にはこの子のリズムがある」
「昨日よりちょっと進んだ、それで十分」
と自分に言い聞かせてあげてください。

発達の専門家の間でも、「横の比較ではなく、縦の成長を見よう」という考え方が大切にされています。
つまり、「周りと比べる」よりも、「昨日の自分(子ども)」と比べること。

昨日はママの手伝いが必要だったけど、今日は自分で着替え始めた。
昨日は泣いていたけど、今日は少し笑えた。

それこそが、発達支援でいちばん大切な“成長のサイン”です。

ママがうまくいかない日があっても大丈夫。
大事なのは、「子どもを理解しようとする姿勢」と「昨日より少しラクに過ごせる工夫」です。

子どもが笑顔になる朝をつくるためには、ママ自身も“がんばりすぎない”ことがポイント。
「完璧な対応」よりも、「一緒に笑える朝」を目指していきましょう。

まとめ|“うちの子らしい朝”を作るために大切なこと

朝、なかなか動けないADHDやアスペルガーの子を前にすると、
「どうしてできないの?」「また今日も…」と、つい心が折れそうになることがありますよね。

でも、忘れないでほしいのは、「動かない=怠けている」ではないということ。
そこには、感覚の違いや、脳の特性からくる“動きづらさ”があるだけなんです。

つまり、ママが悪いわけでも、子どもが頑張っていないわけでもありません。
ただ「ちょっと助けが必要」なだけなんです。

朝の支援で大事なのは、“見える支援”+“肯定的な声かけ”+“安心できる予告”の3つ。

  • 見える支援(絵カード・支度ボード)で「次に何をすればいいか」がわかる
  • 肯定的な声かけで「できた!」という達成感を積み重ねる
  • 安心できる予告で「どうなるか」がわかって不安を減らす

この3つがそろうだけで、朝の混乱はぐっと減り、子どももママも気持ちよくスタートできるようになります。

そして、いちばん大切なのは「完璧を目指さない」こと。
今日は着替えができた、明日は歯みがきができた──それで十分なんです。
その小さな成功の積み重ねこそが、子どもの自信を育て、ママの笑顔を取り戻す力になります。

発達支援の現場でも、

「できたことを見つけて、褒めて、安心を積み重ねる」
このサイクルが、子どもの成長をいちばん早く引き出すと言われています。

朝がうまくいかない日があっても大丈夫。
泣いて、笑って、またやり直せばいいんです。
子どもにとって、ママがそばにいてくれることが何よりの安心です。

焦らず、比べず、“うちの子らしいペース”でいい朝を作っていきましょう。
その積み重ねが、きっと“登園・登校しぶりの減った朝”につながっていきますよ。

以上【ADHD・アスペルガーの子が朝動かない!登園・登校しぶりを減らす5つの実践コツ】でした

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この記事を書いた人

約30年の間に培った障害福祉分野での知識や経験を、このブログで余すことなくお伝えしていきます。
所持資格:社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員等

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