「まだ話さないけど、大丈夫かな?」——そんなふうに感じたことはありませんか?
自閉症の子どもを育てていると、「言葉が出ない」ことに不安を感じる場面ってよくありますよね。でも実は、“遊び”の中に言葉のきっかけがたくさん隠れているんです。
楽しみながら、少しずつでも「伝えるって楽しい!」と思えるようになると、ことばの芽はぐんぐん育っていきます。
どんな遊びが、自閉症の子のことばを引き出す助けになるのでしょうか?
この記事では、親子で楽しく取り入れられる「遊びベスト10」を、実例付きでご紹介します。
「うちの子、いつ話すの?」——焦らないで!“遊び”がことばの扉をひらく鍵に
「他の子はもうおしゃべりしてるのに、うちの子はまだ一言も話さない…」
そんな不安を感じている親御さん、多いのではないでしょうか?
とくに自閉症の診断を受けているお子さんの場合、「言葉が出ない」という状況に直面することは少なくありません。でも、その子自身が悪いわけでも、親御さんが悪いわけでもないんです。
子どもが「ことば」を話すようになるには、発達の段階や脳の個性が大きく関わっています。理解がゆっくりだったり、感覚が過敏だったり、言葉を使うより別の方法で気持ちを伝えるほうがラクだったり——理由は一人ひとり違います。
そんな中で、専門家たちの間でも注目されているのが「遊び」を通じたアプローチ。
実は、子どもにとって“遊び”は、最も自然なコミュニケーションの場。楽しいことに夢中になっているときこそ、気持ちが動き、思わず言葉がポロッと出ることもあるんです。
たとえば「ボールを投げたらパパが笑った!」とか、「絵カードを見て“りんご!”って言ったらママが褒めてくれた!」とか。その積み重ねが、言葉の力を育てるきっかけになります。
本記事では、自閉症の子どもが“ことばを引き出しやすくなる”遊びを10個厳選してご紹介します。ただ遊ぶだけじゃなく、どんな言葉が引き出せるのか、どんな工夫をするといいのかも合わせてお伝えしていきます。
焦らなくて大丈夫。お子さんのペースを大切にしながら、「ことばの芽」を育てるヒントを、一緒に見つけていきましょう!
どうして話さないの?自閉症の子に言葉が出にくい3つのワケ
「言葉がなかなか出てこない…」という場面に出会うと、親としてはつい不安になりますよね。でも、実は言葉が出にくいのには、ちゃんとした理由があるんです。
ここでは、自閉症の子どもたちが“話すこと”に踏み出せない背景を、3つの視点から見ていきましょう。
感覚が過敏で話すどころじゃない!? 言葉以前に必要な「安心空間」
自閉症の子どもには、聴覚・視覚・触覚などの感覚がとても敏感な子が多くいます。たとえば、ちょっとした照明のチラつきや、人混みのざわざわした音が、本人にとっては「騒音爆弾」のように感じられることも…。
そんな中で「ほら、お名前は?」「これ、なーんだ?」と声をかけられても、心が落ち着いていなければ言葉どころじゃありません。
まず大切なのは、子どもが安心していられる環境を整えること。
音が静かな場所、視覚的にスッキリした空間、柔らかい照明など、小さな工夫の積み重ねが「話す準備」を助けてくれます。
聞こえていても理解できない?インプットとアウトプットの壁
「聞こえてるのに話さないのは、なぜ?」と思うかもしれません。でも実は、“ことばを理解する力(インプット)”と、“ことばを話す力(アウトプット)”は別ものなんです。
自閉症の子どもの中には、「〇〇取ってきて」がわかっていても、自分で「〇〇がほしい」と言うのが難しい子がいます。頭の中では理解していても、それを“ことば”にして表現するのは別のスキルなんですね。
このインプットとアウトプットの差は、成長のペースにかなり個人差があります。焦らず、今の子どもが「理解できているサイン」に気づいてあげることが、次のステップにつながっていきます。
話すよりラクな手段がある?ことば以外の伝え方に頼る理由
自閉症の子どもたちの中には、言葉を使うよりも“別の手段”で気持ちを伝えるほうが得意な子もいます。
たとえば、
- 指さしで「あれがほしい」と伝える
- お気に入りの絵カードを差し出す
- 視線や行動で意思を表す
こうした方法は、その子なりの“伝える力”の表れです。
「話してくれない=伝える力がない」ではなく、その子が“いま使いやすい手段”を選んでいるだけなのです。
私たち大人も、英語が苦手なら身振り手振りを使ったり、スマホの翻訳アプリを使ったりしますよね。それと同じで、言葉以外の手段も“立派なコミュニケーション”だと受け止めてあげることが大切です。
このように、「話さない」にはちゃんと理由があります。
まずはその理由を理解して、子どもが「話したくなる」まで待てる環境づくりから始めていきましょう。
遊びには“魔法”がある!自閉症の子からことばを引き出す2つの力
子どもって、遊んでいるときがいちばん生き生きしてますよね。特に自閉症の子にとっても、「遊び」はただの暇つぶしではなく、ことばやコミュニケーションの土台を育てる貴重な時間なんです。
実は遊びには、子どもから自然にことばを引き出す“魔法のような力”が2つあります。その秘密を詳しく見ていきましょう!
楽しいと話したくなる!「自発的な発語」が生まれる瞬間とは?
自閉症の子どもにとって、ことばを出すのはけっして簡単なことじゃありません。でも、ふとした瞬間にポロッと出ることがあるんです。
それがまさに、“自発的な発語”。
この「自発的にことばが出るタイミング」って、たいてい子どもが夢中になって“楽しい!”と感じているときなんです。
たとえば…
- 大好きな風船で遊んでいて「いくよー!」と叫ぶ
- 積み木が倒れて「あ〜っ!」とリアクションする
- 絵本のページをめくりながら「わんわん!」と声を出す
こうした発語は、「話しなさい」なんて言わなくても自然と出てくるもの。
つまり、ことばって“気持ち”が動いたときに初めて出やすくなるんですよね。
だからこそ、「訓練」ではなく、楽しくて心が動く遊びの中で発語を促すことがとても大切なんです。
やりとりって会話の練習!? 遊びが育てる“コミュニケーションの芽”
もうひとつ、遊びが持っている大きな力があります。
それは、「やりとり=会話の基本」を体験できること。
たとえば、ボールを投げ合う遊びなら…
- 「はい、どうぞ」→ボールを渡す
- 「ありがとう」→受け取って返す
- 「もう1回!」→繰り返す
こうしたやりとりの流れって、実は会話の基礎とまったく同じ構造なんです。
「順番を待つ」「相手の反応を見る」「期待して応える」などの経験を、遊びの中で少しずつ積み重ねていくことで、“会話の準備運動”ができていくんですね。
しかも遊びの中なら、言葉がうまく出なくても…
- 表情で伝える
- 動きで示す
- 音をまねする
など、“言葉以外の表現”で反応するチャンスもいっぱいあります。
この体験が、「あ、伝えるって楽しいんだ」と気づくきっかけになり、やがて言葉につながっていく。
つまり、遊びはことばの前段階としての“コミュニケーションの芽”を育ててくれるんです。
言葉を引き出すには、「楽しい!」「伝えたい!」という気持ちが一番の栄養。
その気持ちを引き出すのが、遊びのチカラなんですね。
言葉がポロッと出た!自閉症の子に効いた「遊び」ベスト10【保存版】
「ことばが出ない」と悩んでいた子が、ふとした“遊び”の中でポロッと発語した瞬間——これは実際によくあるエピソードです。
ここでは、自閉症の子どもたちに実際に効果があった、家庭で手軽に取り入れられる「遊びベスト10」をご紹介します。どれも専門家や保護者の声をもとにセレクトした、“楽しさ”と“発語促進”を両立するおすすめの遊びです!
①ポットン落とし|落ちた音が刺激に!「入れた!」が出やすい定番遊び
100均のアイテムで手作りできる「ポットン落とし」は、音や動きの変化に敏感な自閉症の子に大人気の遊びです。
フタの穴にペットボトルキャップやフェルト玉を入れるだけなのに、
「カタン!」という音と、落ちる様子が視覚・聴覚への刺激となって発語を促します。
「いれた!」「ポットン」「もう1回」など、行動に直結する言葉が自然に出やすくなるのがポイント。
単純な動きなので、言葉に集中しやすいのも魅力です。
②ままごと遊び|「ちょうだい」「どうぞ」生活語彙が自然に身につく!
ままごとは、実生活に近いシチュエーションを遊びの中で模倣できる、とても実用的な遊び。
「ちょうだい」「ありがとう」「はい、どうぞ」など、生活に直結する言葉(生活語彙)を、やりとりしながら学べるのが強みです。
しかも、お料理ごっこやお店屋さんごっこなど、役割を演じることで“相手の気持ち”に立つ練習にもなるので、社会性の土台にもなります。
③絵カード合わせ|単語を覚える第一歩!名詞や色がスラスラ出てくる
カードを並べて「りんごはどれ?」「赤いのはどれ?」などと遊ぶだけで、視覚とことばを結びつける力がぐんとアップします。
「色」「動物」「食べ物」「乗り物」など、具体的な名詞が出やすいのが特徴。
また、絵を見てから声に出す流れがわかりやすく、ことばの理解と発語の両方に効果的です。
最初は指さしだけでもOK!徐々にまねして言ってくれるようになりますよ。
④風船バレー|テンションMAX!「いくよ」「ナイス!」でやりとり練習
風船をポンポンと打ち合うだけの遊びですが、これが意外と発語を引き出しやすいんです。
「いくよ」「ポン!」「もう1回」「やったー!」など、シンプルな感情表現の言葉が出やすくなるのがポイント。
また、相手と向き合ってやりとりするので、“順番を待つ”“相手に返す”といった会話の基本動作を遊びで体験できるのも魅力です。
⑤ボーリング遊び|「やった!」「もう1回!」発語が出やすい勝負系あそび
ペットボトルを並べてピンにしたボーリング遊びは、勝ち負けや結果が出ることで感情が大きく動く遊びです。
「倒れた!」「ストライク!」「もう1回やる!」など、結果に対するリアクションとして自然な発語が期待できます。
感情とことばがリンクする経験は、自閉症の子にとってとても大切。
「楽しい!」「うれしい!」が伝わると、それを声にしたくなる瞬間が増えていきます。
⑥音の出る絵本|指さし&まねっこで“ことばスイッチ”オン!
ピアノ絵本や動物の鳴き声が出る絵本は、視覚と聴覚の両方から刺激を与えられる優れもの。
ボタンを押して「ワンワン!」「ガタンゴトン!」と音が鳴ると、子どもはまねしたくなる気持ちに。
親が一緒に読んで「これはなにかな?」「ぶーぶーって鳴いたね」などと語りかけることで、模倣→発語の流れができやすくなります。
⑦うたあそび|フレーズをまねる力を育てる!メロディで覚える言葉の型
「ぞうさん」「アイアイ」「おもちゃのチャチャチャ」など、メロディ付きの歌は発語の第一歩にぴったり。
リズムに合わせて「チャチャチャ」「パンダ パンダ」などの短いフレーズをまねすることで、ことばのテンポや抑揚を自然に学べます。
また、うたは耳から覚えるタイプの子に特に効果的。
意味がわからなくても、“音の心地よさ”から発語につながるケースも多いです。
⑧粘土&スライム遊び|「ぐにゅぐにゅ」が楽しい!感覚と言葉のリンク遊び
触って気持ちいい、にゅるにゅる、ぐにゅぐにゅ…この感触あそびが、ことばの発達に意外と効果的なんです。
感覚に敏感な子ほど、こうした手触りが安心感を生み、「丸めた」「のびた」「やわらかい」などの形容詞を引き出しやすくなります。
「気持ちいい=ことばにしたくなる」このサイクルが、ことばと感覚のつながりを強めてくれます。
⑨パペット・人形劇|「人形の声」なら話せる!? 間接的な発語チャンス
人形を通じて会話をする「パペット遊び」は、子どもが自分の気持ちを“人形の声”として表現できる特別なツール。
「こんにちは!」「おなかすいた〜」など、本人ではなく“キャラの声”だから言いやすいという子も多いんです。
また、大人が人形で質問するときも、「○○ちゃん、どれが好き〜?」と間接的なやりとりにすることで、返答のハードルがグッと下がります。
⑩お手伝いごっこ|「これやる!」「ちょうだい!」日常語が自然と出る神遊び
料理ごっこや洗濯たたみなど、“生活の一部をまねする”お手伝いごっこは、ことばが生まれるシチュエーションが満載。
- 「とって!」「できた!」
- 「これやるー」「ちょうだい」
- 「おいしい?」
など、日常語が自然に飛び交う環境が作れます。
親子で楽しみながら、伝える・受け取るの繰り返しが“ことばのキャッチボール”につながるんです。
次のステップでは、こうした遊びをもっと効果的にするコツをご紹介します。
子どもに「ことばの芽」が生まれる瞬間、ぜひ見つけてみてくださいね!
遊びの効果を最大化!言葉を引き出す4つの親ワザ
どんなにいい遊びでも、やり方や関わり方次第で効果は変わります。
せっかくの遊び時間、どうせなら“ことばを引き出すチャンス”として最大限に活かしたいですよね。
ここでは、日々の関わりの中で意識したい「親の声かけ・姿勢・環境づくり」のコツを4つにまとめてご紹介します!
“好き”から始めよう!子どもの興味を見つけることが第一歩
遊びの効果を最大化するには、まず何よりも「その子が好きなこと」に注目することが大事!
たとえば…
- 電車が好きな子なら → プラレールで「ガタンゴトン」遊び
- 食べるのが好きなら → ままごとやお菓子作りごっこ
- 音が好きなら → 太鼓やカスタネットあそび
好きなことに夢中になっているときって、子どもの「ことばを出したい気持ち」が自然に引き出されやすいんです。
逆に、親が「やらせたい」と思って用意した遊びでも、子どもにとって興味がなければ無理にことばは出ません。
その子ならではの「好き」に寄り添った遊び選びが、発語の近道になりますよ。
急がば待て!「言わせよう」としない関わり方がカギ
「これなんていうの?」「ほら、“りんご”って言ってごらん?」
ついやってしまいがちな声かけですが、これはプレッシャーになってしまうことも。
特に自閉症の子どもは、指示されたり急かされたりすると“話さないモード”に入ってしまうことがよくあります。
ここで大切なのは、「待つ」姿勢。
無言のままでも、目線を向けたり、そっと手を伸ばしたり——“言葉にならないコミュニケーション”をキャッチしてあげることが大切なんです。
そして、「ことばが出たらラッキー」くらいの気持ちでいるほうが、結果的に発語につながりやすいんですよ。
言葉が出たら全力でリアクション!気持ちに寄り添う返し方のコツ
発語が出たときは、何よりも「その瞬間を逃さず受け止めること」が大切です。
たとえば「まんま!」と言ったら…
- 「そうそう!まんまだね、食べたいの?」
- 「まんまって言えたね〜!」と笑顔で褒める
など、気持ちを読み取って、ことばに乗せて返すのがポイントです。
これを繰り返すことで、子どもは「ことばで伝えると伝わる」「気持ちがわかってもらえた!」という経験を積み重ねていきます。
この「伝わる喜び」が次の発語へのモチベーションになるんです。
カードもタブレットもOK!視覚・音のツールで遊びがもっと広がる
最近では、絵カードやタブレット教材など視覚的・音声的にサポートしてくれるツールが豊富にあります。
特に、
- 見て覚えるのが得意な子には → 絵カードや写真絵本
- 音やリズムが好きな子には → タブレットや音声アプリ
など、“その子に合ったツール”をうまく取り入れることで、遊びの幅がぐんと広がります。
「アナログな遊びが正解」「デジタルはダメ」と決めつけるのではなく、柔軟にいろんな方法を試してみることが大切です。
視覚と音のサポートがあると、“ことばのイメージ”をより深く理解しやすくなり、発語へのきっかけにもつながるんですよ。
焦らず、その子のペースに寄り添って。
この4つの親ワザを意識するだけで、遊びの中にことばのチャンスがどんどん生まれてきます!
ことばの芽は、遊びの中で育つ。焦らず、楽しく、親子で一歩ずつ
「うちの子、なかなか話さないな…」
そんな不安や焦りを抱えるのは、決してあなただけではありません。
でも、今日ご紹介してきたように、ことばって“教える”ものではなく、“育っていくもの”なんです。
特に自閉症の子どもたちにとっては、ことばが出るまでに時間も工夫もたっぷり必要。だからこそ、焦らず、楽しみながら関われる「遊び」がぴったりなんですよね。
遊びの中で、
- 夢中になって声が出た
- おもしろくて「もう1回!」と言えた
- 伝わって嬉しくて笑顔になった
そんな瞬間の積み重ねが、やがて“ことばの芽”を育てていきます。
親として大切なのは、子どものペースを信じて、そばで寄り添い続けること。
たとえ言葉がすぐに出なくても、伝えたい気持ちや理解の力は、確実に育っていっているんです。
そして何よりも、「一緒に遊ぶ時間」は、子どもにとっての安心の土台であり、親子の絆を深める大切なひととき。
言葉が出る・出ないにとらわれすぎず、
「いまこの瞬間、楽しめているか?」を大事にして、親子で少しずつ歩んでいきましょう。
さいごに
「うちの子、いつ話すのかな…」と悩みながら日々向き合っているあなたに、少しでもヒントや安心を届けられていたら嬉しいです。
自閉症の子どもにとって、無理に言葉を引き出そうとするよりも、遊びを通じて“ことばのきっかけ”を育てることが大切。
今日ご紹介した10の遊びは、すべて実践的で、親子で楽しく取り組めるものばかりです。
とくに意識してほしいのは、以下の3つのポイント:
- 子どもの「好き」から始める
- 「言わせよう」とせず、自然な流れを大切にする
- ことばが出たらすかさず喜び、しっかり応える
これらを日々の中で意識することで、ことばの芽が少しずつ育っていきます。
焦らなくて大丈夫。子どもはちゃんと、自分のペースで育っています。
あなたの寄り添いが、きっとその子にとっての一番の支えになります。
今日も、子どもと一緒に楽しい「遊びの時間」を過ごしてみてくださいね。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
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