「なんでうちの子、いつもかかとで歩くの?」
そんなふうに感じたことはありませんか? 自閉症の子どもに多く見られる“かかと歩き”には、足の裏の感覚が過敏だったり、不安を落ち着かせようとする行動だったり、いくつかの理由があります。
でも、「どう対応すればいいの?」と悩む親御さんは少なくありません。
この記事では、かかと歩きの原因や家庭でできる対処法、専門家に相談するタイミングまでを、わかりやすく解説しています。
その歩き方、本当に“困った行動”ですか?
まずは知ることから、やさしく一緒に始めてみましょう。
はじめに
自閉症の“かかと歩き”に悩む親御さんへ――この記事でわかること
「気がついたら、うちの子、ずっとかかとだけで歩いてる…?」
そんなふうに感じて検索をはじめた方も多いのではないでしょうか。実は、自閉症スペクトラム(ASD)のお子さんに「かかと歩き」が見られることは、決して珍しいことではありません。でも、初めて見たときは、「これって大丈夫なの?」と不安になりますよね。
このブログ記事では、そんな悩みを持つ親御さんに向けて、
- 「かかと歩き」とは何なのか?
- なぜ自閉症の子に多いのか?
- 家庭でできる対処法や、支援のポイント
- 医療や専門機関に相談すべきタイミング
といった内容を、多角的な視点からわかりやすく解説していきます。
かかと歩きには、感覚過敏や安心を求める行動など、子どもなりの理由があることが多いんです。
単に「やめさせるべきもの」と考えるのではなく、その行動の背景にある“心と体のサイン”に気づくことが大切。
このページは、医療的な知見や専門職の意見も踏まえつつ、「家庭でできる現実的な工夫」に焦点をあてています。
少しでも「読んでよかった」と思ってもらえるように、親目線で、でも客観性も忘れずにお届けしていきますね。
どうぞ、最後までお付き合いください。
そもそも「かかと歩き」ってどんなもの?
実はよくある?かかと歩きの特徴と見分け方
まず、「かかと歩き」って聞くと、ちょっと不思議な歩き方のイメージがあるかもしれませんね。
でも実際は、その名の通り、「かかとをつけて、つま先が浮いた状態で歩く」という動きのことを指します。
多くの場合、大人が見ると「バランス取りにくそう」「転びそう」と感じるかもしれませんが、本人は案外スムーズに歩いていたりします。
特に自閉症の子どもたちに多く見られる歩き方の一つとして知られています。
ちなみに、「つま先歩き」(つま先立ちで歩く)と混同されやすいのですが、「かかと歩き」はかかとだけが接地している点が大きな違いです。
意外かもしれませんが、かかと歩きも“よくある動き”の一つなんです。
なぜ自閉症の子に多いの?かかと歩きの関係性
では、なぜ自閉症の子に「かかと歩き」が多いのでしょうか?
その背景には、感覚の特性や運動のコントロールの仕方が関係していると考えられています。
例えば、足の裏が過敏で、床に触れるのが不快だったり、逆に感覚が鈍くて、刺激を求めているケースもあります。
また、「こう歩きたい」「この感覚が好き」といったこだわり行動の一つとして表れることもあるんです。
さらに、自閉症スペクトラムの子どもたちは、体のバランス感覚や筋肉の使い方に独特な傾向を持っていることも多く、それが歩き方に影響することもあります。
こういった理由から、かかと歩きは単なるクセではなく、発達特性の一部として理解することが大切です。
成長とともに消える?年齢別の傾向とは
「うちの子、このままずっとかかと歩きだったらどうしよう…」
そんな不安を感じる方も多いと思います。
結論から言うと、成長とともに自然に減っていくケースも多く見られます。
特に幼児期(2~4歳頃)に見られるかかと歩きは、成長によって感覚や筋肉のバランスが整っていく中で、次第に目立たなくなることもあります。
ただし、小学校に入っても続いていたり、転倒が多い・筋肉のかたさが見られるなど他の要素もある場合は、早めに専門機関へ相談するのがおすすめです。
子どもによってペースはさまざまですが、成長の過程として見守る姿勢と、「必要に応じて支援を受ける」という柔軟な対応がとても大切です。
自閉症児がかかと歩きをする3つの主な理由
かかと歩きって、見た目にはちょっと独特に映るかもしれませんよね。
でも、実は子どもたち自身にとっては「理由があってそうしている」ことがほとんどなんです。
ここでは、自閉症のお子さんにかかと歩きが見られる主な理由を3つの視点からご紹介します。
1. 感覚のズレが関係?感覚統合の視点から見る理由
まず最初に挙げられるのが、「感覚の受け取り方の違い」です。
自閉症の子どもたちは、五感や体の感覚の受け取り方が独特なことがあります。たとえば、
- 足裏の感覚が過敏で、床に触れるのが不快
- 逆に、感覚が鈍くて、もっと刺激が欲しい
といったケースが考えられます。
こうした感覚のアンバランスは、「感覚統合の問題」と呼ばれることもあり、
本人にとっては「普通に歩く」ことがかえって不快だったり、落ち着かない場合もあるんです。
だからこそ、「どうしてこんな歩き方をするの?」ではなく、「どんな感覚が心地いいのかな?」という視点で見てあげると、理解がぐっと深まります。
2. 心の安心を求めて?ストレスやこだわり行動の可能性
2つ目の理由として挙げられるのが、「こころの安定を保つための行動」という側面です。
自閉症のお子さんは、環境の変化や予想外の出来事が苦手だったり、日常の中で小さなストレスを感じやすい傾向があります。
そんなときに、決まった動きを繰り返すことで安心感を得ていることがあるんです。
かかと歩きもその一つで、「自分の身体感覚をコントロールして落ち着こうとしている」という場合も。
また、同じように何度も繰り返すことで、心地よさや満足感を得られる“こだわり行動”の一種として表れている可能性もあります。
この場合も、「やめさせる」ことより、その行動がどんな意味を持っているのかを観察することが大切です。
3. 実は筋肉や関節が関係していることも!医療的視点で解説
そしてもう一つ見落とされがちなのが、「身体的な要因」です。
例えば、
- 筋肉が硬い・関節の動きに制限がある
- 姿勢保持やバランスを取るのが苦手
など、体の使い方に関わる発達の特性が背景にあることもあります。
とくに、つま先歩きやかかと歩きが長期間続いていて、
・転びやすい
・ジャンプや走る動作が苦手
といった傾向がある場合は、理学療法士や小児リハビリの専門家の視点から見てもらうことが効果的です。
見た目にはただの“クセ”のように思える動きでも、身体機能のサインが隠れているケースもあるんですね。
このように、かかと歩きには「感覚」「こころ」「身体」という複数の要素が複雑に絡み合っている可能性があります。
「なぜこの子はかかとで歩くのか?」という問いの裏には、その子なりの理由がちゃんとあるんです。
だからこそ、多角的な視点で“その子の今”を理解しようとすることが、なによりも大切なのです。
専門家に聞いた!かかと歩きとの向き合い方
かかと歩きって、見ていると「これって大丈夫なのかな?」って心配になること、ありますよね。
でも、むやみに心配しすぎたり、無理にやめさせようとしたりする前に、まずは“正しく知ること”がとても大切です。
ここでは、専門家の視点から見た「かかと歩き」との上手な向き合い方をご紹介します。
まずはチェック!専門機関での診断と評価が大切
子どもの行動に違和感を覚えたとき、つい「ネットで調べて様子見よう」と思いがちですが、
一度、専門機関でしっかりと評価を受けてみることをおすすめします。
具体的には、
- 小児科(発達外来)
- 療育センター
- 理学療法士(PT)や作業療法士(OT)がいる支援機関
などが相談先になります。
ここで大切なのは、「診断を受ける=何かの病名がつく」ではなくて、
「今どんな発達の特徴があるのかを客観的に知る」ことが目的だということ。
実際に評価を受けると、「歩き方」だけでなく、感覚の傾向や身体の使い方のクセまで見えてきます。
親としても、「なるほど、そういう理由があったのか」と納得できる材料になりますよ。
こんな時は要注意!かかと歩きが問題になるケースとは?
もちろん、すべてのかかと歩きが「問題」というわけではありません。
でも、次のようなケースでは、早めに専門家に相談することが大切です。
- 転びやすく、けがをしやすい
- 脚の筋肉や関節のかたさ、姿勢の偏りがある
- 歩く以外の動作(走る・跳ぶなど)も不安定
- 園や学校で生活に支障が出ている
こういった場合は、ただの「クセ」ではなく、身体的・感覚的な支援が必要なサインかもしれません。
特に、保育士さんや先生から指摘があったときは、気軽に医療・療育機関に相談してみるのがベターです。
「ちょっと気になるから見てもらおうかな」くらいの感覚でOKです!
「やめさせる」はNG?行動の意味を読み解く姿勢が大事
最後に大切なのが、「どう関わるか」という視点です。
つい親としては、「やめさせたほうがいいのかな?」「周りと同じように歩いてほしい」と思ってしまいがちですよね。
でも、専門家の多くが口をそろえて言うのは、「無理にやめさせようとしないで」ということ。
かかと歩きには、子どもなりの“理由”や“意味”がちゃんとあります。
たとえば、
- 不安な気持ちを落ち着かせる手段だったり
- 感覚的に心地よい刺激を得ていたり
- 体のバランスを取ろうと無意識にしている動きだったり
つまり、それは「その子なりの環境への適応方法」ともいえるんです。
だからこそ、「やめさせる」ことではなく、
「どうしてこの行動をしているのかな?」と観察し、理解しようとする姿勢がとても大切なんですね。
もし行動に対して気になることがあれば、“行動そのもの”ではなく“背景”に目を向けること。
そして必要に応じて、専門家と一緒に対応を考えていくことが、親子にとっても無理のないサポートにつながります。
「かかと歩き=困ったクセ」ではなく、
「この子が今、がんばって自分らしく生きている姿」として、優しく見守っていきましょう。
家庭でできる!かかと歩きへのやさしいアプローチ
「専門機関で診てもらうのはちょっとハードルが高い…」
「家でも何かできることがあれば知りたい!」
そんな声にお応えして、この章では家庭で気軽に取り組める“かかと歩き”へのアプローチをご紹介します。
遊び感覚で取り入れられるものばかりなので、無理なく日常に取り入れられますよ。
楽しく感覚を育てよう!おすすめ感覚遊び&運動遊び
自閉症のお子さんにとって、「感覚を育てること」は行動の安定や安心感にもつながる大事なポイントです。
そこでおすすめなのが、“遊び”を通じた感覚刺激!
たとえばこんな遊びはいかがでしょう?
- バランスボードでぐらぐら体幹チャレンジ!
→前庭感覚やバランス感覚を楽しく育てられます。 - トランポリンでぴょんぴょんジャンプ
→足の裏に刺激が入り、筋力・リズム感・感覚統合にも効果的。 - 動物歩き(クマ歩き、カエルジャンプなど)
→四つん這いや低い姿勢での運動は、足だけでなく全身のコントロールに役立ちます。
楽しく取り組める環境を作ることで、自然に“体の使い方”が身につきやすくなります。
足裏から刺激!身近なものでできる感覚刺激アイデア
足裏への刺激が足りていないと感じる子には、“足の裏にやさしく刺激を入れる遊び”がおすすめです。
実は、家にあるもので簡単にできるんですよ!
- 人工芝マットやタオル、プチプチ(梱包材)を敷いて裸足で歩く
- 足裏マッサージや足湯でリラックス&刺激
- ビー玉つかみや足指でタオルたぐりよせ遊び
こうした遊びは、足の感覚を「感じやすく・快適に」する助けになります。
特に感覚が鈍いタイプのお子さんには、「あ、床って気持ちいいかも」という感覚が育ってくることも。
“気持ちいい”を感じられることが、かかと歩きから自然と離れていく第一歩になるかもしれません。
体のバランス力をアップ!簡単トレーニング例
体の動きに少し不安定さがあるお子さんには、“バランス感覚”や“筋力”を育てる遊び”が効果的です。
たとえばこんな簡単トレーニングもおすすめ:
- かかと上げ運動(つま先立ち→戻す)
→アキレス腱やふくらはぎに刺激が入り、姿勢改善にも◎。 - スクワットや足踏み運動
→下半身の筋力アップとバランス感覚に効果的。 - バランス遊び(片足立ちゲーム、線の上を歩く)
→集中力・ボディコントロールにもつながります。
こうした動きはすべて、かかと歩きによって偏りがちな身体の使い方を調整する助けになります。
毎日少しずつ続けることで、歩き方に変化が出ることもありますよ。
毎日5分でOK!“習慣化”するためのコツと工夫
「せっかくいい遊びを知っても、続かなきゃ意味がない…」
そんなときこそ大事なのが、“習慣化するためのちょっとした工夫”です。
- 毎日決まった時間に取り入れる(例:お風呂の前、おやつの前など)
- タイマーや好きな音楽を使って「運動タイム」にする
- できたらカレンダーにシールを貼って達成感アップ!
こうした工夫で、子ども自身が「楽しい!」「もっとやりたい!」と感じてくれることがポイント。
がんばりすぎず、ゆる〜く続けることがコツです。
否定しない・責めない!親の関わり方がカギ
かかと歩きに限らず、自閉症の子どもとの日々の関わりって、つい言葉がけや対応に悩んでしまうこと、ありますよね。
「この行動、やめさせたほうがいいのかな?」と思ったときほど、“どう伝えるか”や“どう関わるか”がとても重要になってきます。
この章では、親ができる“関わり方のコツ”を、3つの視点からお伝えします。
つい言っちゃうNGワード!気をつけたい声かけ例
かかと歩きを見たとき、つい出てしまいがちな言葉ってありますよね。
- 「またそんな歩き方して!」
- 「ちゃんと普通に歩いて!」
- 「なんでやめられないの?」
こうした言葉って、悪気はないんですが、本人にとっては“否定されている”ように感じやすいんです。
特に自閉症の子どもたちは、「ダメ」「やめて」などの否定的な言葉に敏感なことが多く、
それがストレスになって逆にかかと歩きが強まってしまうケースもあります。
代わりにこんな声かけにしてみるのはいかがでしょう?
- 「今日は床が冷たかったかな?」
- 「足の裏で床の感触、感じてみようか」
- 「いっしょにジャンプしてみる?」
行動そのものを否定せず、「観察」や「提案」に変えるだけで、子どもとの関係性がぐっと穏やかになります。
環境がカギ!ことばより“整える”支援を意識しよう
言葉でどうにかしようとするよりも、実は大事なのが「環境の整え方」
たとえば、
- 床の素材を変えてみる(冷たすぎる床、ツルツルすぎる床は避ける)
- 靴やスリッパの素材・フィット感を工夫する
- 静かな空間・安心できる場所をつくる
といった工夫は、感覚的なストレスや不快感を軽減する効果があります。
つまり、「子どもが無意識に“かかとで歩かざるを得ない状況”を作らない」ことがポイント。
ことばで指示するより、環境そのものを整えるほうが、実はずっと効果的なことも多いんです。
子どもの“安心・楽しい”が改善の第一歩
そして、何より大切なのが、子どもが「安心して過ごせること」「楽しいと思えること」。
かかと歩きという行動があっても、
- 落ち着いて生活できている
- 人との関わりを楽しめている
- 自分の好きなことに集中できている
といった姿があるなら、それは「子どもが自分らしく過ごせている証拠」とも言えます。
もちろん、歩き方に気になる点があるなら工夫していくことも大事ですが、
その子の安心や楽しさを土台にした支援こそが、長く続けられて、結果的に大きな変化を生みます。
「かかと歩きをなくすこと」がゴールではなく、
「その子が心地よく、楽しく過ごせること」を目指す関わりが、親として一番の支えになります
こんな時は迷わず専門機関へ相談しよう
「うちの子、かかと歩きしてるけど、このままで大丈夫?」
「病院に行くほどじゃない気もするけど…」
そんなふうに迷ったときは、“気になったときが相談のタイミング”です。
ここでは、「こんなサインが出ていたら要チェック!」というポイントと、実際に相談できる場所についてお伝えします。
ケガが増えた・転びやすいなど身体面で気になる時
まず気をつけたいのが、歩き方によって転びやすくなっていたり、ケガが増えている場合です。
たとえば、
- ちょっとした段差でつまずく
- 歩いていてフラフラする
- よく足首をひねってしまう
こういった様子が見られるなら、「歩行に何らかの負担がかかっている可能性」があります。
そのままにしておくと、関節や筋肉に余計な負担がかかって痛みや姿勢の崩れにつながることも。
小児科やリハビリの専門家(理学療法士)に相談することで、早めに対策が取れます。
他の動きにも違和感?身体のかたさや偏りが気になる時
かかと歩きだけでなく、他の動きにも“なんとなくの違和感”がある場合も、要チェックです。
たとえば、
- 正座ができない・姿勢を保つのが苦手
- 片足立ちができない、ジャンプがぎこちない
- 左右の動きに偏りがある(片側だけよく使う)
などの様子があれば、「身体のかたさ」や「筋肉のアンバランス」が背景にあるかもしれません。
これは見た目だけではわかりづらいことも多いので、専門家の評価で初めて気づくことも少なくありません。
心配しすぎる必要はありませんが、“気になる違和感”は早めに確認しておくのがおすすめです。
園や学校で指摘されたらどうする?
「保育園の先生に歩き方を心配された…」
「学校で転びやすいといわれた…」
こういったとき、親としてはちょっとドキッとしますよね。
でも、先生たちからの指摘は“気づきのチャンス”でもあります。
園や学校では、家庭とは違う場面での動きや様子を見てくれています。
そのため、
- 集団活動での姿勢や動作の困りごと
- 長時間立っていられない、集中しにくいといった特徴
などが見えてくることも。
そうした意見をもとに、必要であれば発達外来や療育センターに相談してみると、的確なアドバイスがもらえます。
「悪いことを言われた」と思わずに、支援への第一歩として受け止めるといいですよ。
相談できる場所まとめ|小児科・療育センター・リハビリなど
「じゃあ実際、どこに相談すればいいの?」という方のために、主な相談先を以下にまとめてみました。
相談先 | 内容・特徴 |
---|---|
かかりつけ小児科 | まず最初に相談できる身近な医療機関。必要に応じて専門機関を紹介してくれる。 |
発達外来・児童精神科 | 発達の特性を多角的に評価。ASDとの関係や支援方針を検討してくれる。 |
療育センター | OT(作業療法士)やPT(理学療法士)など多職種が連携して支援。身体面・感覚面のアプローチに強い。 |
地域の子育て支援センター・保健センター | 相談窓口や発達相談の案内が受けられる。保健師さんとの面談なども。 |
「どこに相談すればいいか迷ったとき」は、かかりつけ小児科や保健師さんに相談してみるのが第一歩です。
親だけで抱え込まずに、専門家と一緒に“その子らしい歩き方や生活”を考えていきましょう!
【体験談】うちの子の“かかと歩き”と向き合って
ここでは、筆者自身の子育て経験から、自閉症の子どもの“かかと歩き”との向き合い方について振り返ってみたいと思います。
同じような悩みを持つ親御さんにとって、少しでもヒントになればうれしいです。
初めて気づいた時の戸惑いと不安
うちの子が“かかと歩き”をしはじめたのは、ちょうど2歳半くらいのころ。
ある日、ふと後ろから見ていたら、「あれ?つま先がついてない?」と気づいたのが最初でした。
それまで“歩き方”を気にしたことなんてなかったので、最初はただただ戸惑いました。
検索すればするほど、「自閉症のサインかも」「感覚異常かも」などの情報が出てきて、正直、とても不安で頭がいっぱいになりました。
でもその時は、「まぁ、そのうち治るかも」と様子を見ることにして、特に何もせずに過ごしていたんです。
家でできることを試して感じた小さな変化
しばらくしても歩き方は変わらず、保育士さんからも「少し気になりますね」と声をかけられたことで、
「これは何かアプローチしてみよう」と思い立ちました。
まず取り入れたのが、“感覚あそび”や“足裏を刺激する遊び”。
トランポリンやクッションの上を歩かせたり、芝生の上を裸足で歩いてみたり…。
最初は嫌がることもありましたが、本人が「気持ちいい」「楽しい」と感じたものは繰り返しやりたがるようになりました。
そうして数ヶ月が経つころには、かかと歩きが目に見えて減ってきたんです。
完全にやめたわけではありませんが、バランスの良い歩き方が少しずつ増えてきて、本人の動きにも安定感が出てきました。
あの頃の自分に伝えたい、いまだから言えること
もし、あのときの自分に声をかけられるなら、こう言いたいです。
「焦らなくて大丈夫。ちゃんとその子なりのペースがあるよ」と。
当時の私は、「このままだとまずいかも」「何かしなきゃ」と、“正解”ばかりを探していた気がします。
でも実際に必要だったのは、子どもの行動の意味を“見る・感じる・受けとめる”こと。
そして何より、親である自分が安心して向き合えるように、情報や支援とつながることでした。
かかと歩きは、たしかに気になる行動のひとつかもしれません。
でもそれは、その子が自分の体や気持ちと向き合っているサインでもある。
そう思えるようになった今、私は「歩き方」そのものよりも、“その子らしい毎日”を大切にできるようになりました。
子どものペースを大切に
かかと歩きは“困った行動”じゃない――その子なりのサインに寄り添おう
「かかとで歩いている…」「普通じゃないのかも…」
そう思ったとき、親としては“どうにかしなきゃ”という気持ちが自然と湧いてきますよね。
でも改めてこの記事を通してお伝えしたいのは、
「かかと歩きは困った行動ではなく、“その子なりのサイン”」だということ。
感覚が不安定だったり、不安な気持ちを抱えていたり、
もしかしたら、自分なりに心地よさを探していたり――
その歩き方には、その子だけの理由や意味がちゃんとあるんです。
小さな実践が大きな変化につながる
家庭での声かけや、ちょっとした環境の工夫、遊びの取り入れ方など、
小さなことでも、続けていくうちに“子ども自身の変化”がゆっくり見えてくることがあります。
- 無理にやめさせない
- 否定しない
- 楽しみながら取り組む
そんな日々の積み重ねが、子どもの安心や自己肯定感につながり、結果として行動にも変化が現れてくることもあるんです。
一緒に向き合ってくれる専門家や仲間がいる
「一人でなんとかしなきゃ…」と思いがちですが、
実は、頼れる人や支えてくれる場所は意外とたくさんあります。
- 小児科や発達外来
- 作業療法士・理学療法士などの専門職
- 療育センターや地域の子育て支援窓口
- 同じ悩みを持つ保護者のコミュニティやSNS
一歩踏み出せば、“理解してくれる人”にちゃんと出会える。
そう信じて、必要なときはぜひ誰かの手を借りてくださいね。
「その子らしさ」を大切に育てていこう
かかと歩きがあってもなくても、
その子はその子なりのペースで、ちゃんと育っています。
だからこそ大切なのは、
「みんなと同じにする」ことではなく、
「その子が心地よく、自分らしく生きられること」。
それを一番近くで支えられるのは、ほかでもない“親”であるあなたです。
焦らず、比べず、その子の歩みを信じて寄り添っていきましょう。
さいごに
「自閉症の子のかかと歩きが気になる…」という不安や疑問は、決してあなただけのものではありません。この記事では、
- ✅ かかと歩きは“困った行動”ではなく、子どもからのサイン
- ✅ 否定せず、できることから少しずつ対応していくことが大切
- ✅ 家庭での関わり方や環境づくりが、安心感や変化につながる
という大切なポイントをお伝えしてきました。
お子さんの行動に悩んで検索をして、この記事をここまで読んでくださったあなたは、すでに“支援の第一歩”を踏み出している立派な存在です。
完璧である必要はありません。大切なのは、その子らしさに寄り添いながら、できることを無理なく続けていくこと。
そしてもし、ひとりで悩んでしまいそうなときは、どうか思い出してください。
あなたのそばには、一緒に向き合ってくれる専門家や仲間がいるということを。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
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