「ちょっとの音で泣く」「服のタグが気になる」…もしかして“感覚統合”のサインかも?
子どもが急に「うるさい!」と耳をふさいだり、新しい服を着せたとたんに「かゆい!脱ぎたい!」と泣き出したり…。そんなシーン、身に覚えはありませんか?
親としては、「なんでそんなことで…?」と戸惑ってしまうこともありますよね。でも実は、それ“感覚統合”がうまく働いていないサインかもしれません。
親の悩みあるある|“敏感すぎる子”って、どうしたらいい?
「音に敏感すぎて運動会に出られない」「給食の匂いがイヤで教室に入れない」「靴下の縫い目が気になって外出できない」——。これは、筆者が実際に聞いた保護者の声の一部です。
これらの悩みに共通するのは、子ども自身も理由をうまく説明できず、周囲から“わがまま”に見られがちということ。
でも、よくよく観察してみると、「その子なりの理由」がちゃんとあるんです。
たとえば、私たち大人でも「黒板を爪でこする音がゾッとする」「タートルネックが苦手」という感覚はありますよね?
子どもたちはそれがもっと強く・もっと広い感覚で起きているだけなのです。
感覚の困りごと、実は“特別なこと”じゃないんです
「感覚統合」と聞くと、なんだか専門的で特別な問題のように思われるかもしれません。
でも実際は、発達障がいやグレーゾーンに限らず、どんな子どもにも起こり得る感覚の偏りなんです。
最近では、小学校の通常学級に通っている子の中にも、「感覚過敏」や「感覚の鈍さ」で困っている子が少なくありません。
これは発達の個性のひとつであって、親の育て方が悪かったわけでも、本人の努力が足りないわけでもありません。
むしろ大切なのは、
- どの感覚に困りごとがあるのかを知ること
- それに対して“合った刺激”を与えていくこと
- 親やまわりの大人が正しく理解し、関わること
この3つなんです。
このあと詳しく解説していく「感覚統合」とは、そんな子どもたちの“感じ方”と“行動”をつなぐカギになる考え方。
そしてそれを整える方法は、実は遊びや身近なアイテムで楽しく取り入れることができるんです。
「うちの子、ちょっと育てにくいかも…」と感じているママ・パパにこそ知ってほしい。
そんな想いを込めて、この記事では“刺激に敏感な子”に効いた実例・アイデアをたっぷり紹介していきます!
知らなきゃ損!「感覚統合」ってなに?敏感すぎる子に起きていること
子どもが「服のタグがチクチクする!」「掃除機の音が怖い!」と泣き出すと、親としては「どうしてそんなに気にするの?」と戸惑いますよね。
でも、これらの反応は決して“わがまま”ではありません。
もしかすると、それは感覚統合がうまくいっていないサインかもしれません。
「感覚統合」という言葉、最近よく聞くけど、なんとなく難しそう…という印象を持っている人も多いはず。
でも実はこれ、子どもが“感じたこと”を整理して、うまく行動に移すための大事なプロセスなんです。
ここでは、感覚統合について「専門用語ナシ」でわかりやすくお伝えします!
感覚統合って簡単に言うと?5つの感覚を解説
「感覚」といえば、視覚や聴覚などを思い浮かべる方が多いですが、感覚統合ではそれだけでは足りません。
感覚統合のベースになるのは主に以下の5つの感覚です:
- 視覚:目から入ってくる情報(形・色・動き など)
- 聴覚:耳から入ってくる音の情報(大きさ・高さ・方向)
- 触覚:皮膚で感じる情報(温度・痛み・触れた感覚)
- 前庭感覚:バランスや傾き、スピード感などを感じる感覚(ブランコや回転の動きなど)
- 固有受容感覚:体の位置や動きを感じ取る感覚(関節や筋肉からの情報)
この5つの感覚を「受け取り→脳で整理→必要な行動に移す」力こそが、感覚統合です。
たとえば、滑り台を見て「面白そう!」と思い、階段を上って、タイミングよくすべって、最後に立ち上がる…
これら一連の動作がスムーズにできるのは、感覚がうまく統合されているからなんですね。
でもこの“整理する力”がうまく働かないと、過剰に反応してしまったり、逆にうまく気づけなかったりするんです。
過敏・鈍感・感覚探し…子どもによってタイプが違う!
感覚統合の課題は、一人ひとりまったく違います。
大きく分けると、子どもの感じ方は次の3つのタイプに分けられます:
- 感覚過敏タイプ:「ちょっとの刺激でもツラい!」と感じやすい(例:服のタグが気になる、騒音が怖い)
- 感覚鈍麻タイプ:「強い刺激じゃないと気づかない…」というタイプ(例:ぶつかっても痛がらない、注意力が散漫)
- 感覚探求タイプ:「刺激が足りなくて、自分から刺激を求める」タイプ(例:ぐるぐる回るのが好き、大声を出す)
しかも、感覚の種類ごとに反応のタイプが違う子もたくさんいます。
たとえば、「音には過敏だけど、触覚には鈍感」とか、「前庭感覚が足りなくて、ずっとジャンプしてる」なんて子も。
だからこそ、「この子は○○タイプ」と一括りにせず、その子が“どの感覚にどう困っているか”を観察することが大事なんです。
また、日によって過敏になったり、鈍くなったりすることもあり、「え?昨日は平気だったのに?」ということもよくあります。
これは疲れ・気温・環境などの影響を強く受けるからで、決して“気分屋”だからではありません。
「うちの子もそうだった」音に敏感で困っていた実例
ここで、実際にあったエピソードをひとつご紹介します。
ある5歳の男の子。とても優しくて、普段は穏やかな子なのですが、掃除機の音が大の苦手。
掃除を始めると、部屋の隅に逃げて耳をふさぎ、「やめてー!」と泣き出してしまうほどでした。
最初は「なんでこんなに怖がるの?」とお母さんも困っていたそうですが、感覚統合について調べるうちに「これは聴覚の過敏さかも」と気づきました。
そこで、お母さんは次のような工夫をしました:
- 掃除機を使う前に「これから○○分だけ掃除するよ」と予告してあげる
- 本人に耳栓やイヤーマフを選ばせる
- 掃除機の音を録音して、少しずつ慣れる練習をする
すると、数週間後には「掃除してる間は自分でイヤーマフをつける」という“自分で対処する力”がついてきたそうです。
このように、子どもの感じ方を理解し、ちょっとした配慮を加えるだけで、生活がグッとしやすくなることは珍しくありません。
「感覚統合」って、難しい理論ではなく、子どもの“なんとなく苦手”を読み解くヒントなんです。
このあとも、感覚の困りごとを見分けるチェックリストや、家庭でできる遊び・アイテムをご紹介していきます!

「うちの子も当てはまるかも?」感覚統合チェックリスト10選
「なんとなく育てにくい…」
「よその子とちょっと違う気がするけど、病気でも障がいでもなさそう」
——そんなモヤモヤを抱えているママ・パパはいませんか?
実は、その“なんとなく”の違和感、感覚統合の課題が関係していることがあるんです。
感覚の偏りって目に見えないし、本人も上手に言葉で伝えられないからこそ、周囲が気づきにくい。
特に園や学校では「困ってないように見える」「本人が何も言わないから気づかない」とスルーされがちなんです。
でも、ちょっとした行動や反応の“クセ”に目を向けると、感覚のサインが見えてきます。
ここでは、そんなサインを見逃さないためのチェックリストを紹介します。
気づいてないだけ?園や学校で見逃されがちな行動パターン
感覚統合の課題がある子どもたちは、環境の中で次のような行動をとりやすいです。
- 集団行動が苦手で、すぐ一人になろうとする
- 他の子とぶつかったり、物に激突しやすい
- じっと座っていられず、常に体が動いている
- 些細な音や声に過敏に反応して泣いたり怒ったりする
- 「かゆい」「チクチクする」など服の素材に敏感
- 逆に、転んでも平気・痛みを訴えないことが多い
- 給食や食事に強い好き嫌いがあり、においにも敏感
- 人との距離感が近すぎたり、急に抱きついてしまう
- 声のボリュームが極端に大きい・小さい
- 言葉にできない不快感からパニックを起こすことがある
どれも一見「性格」や「甘え」に見えがちですが、感覚のズレが原因で起きている可能性があります。
たとえば、触覚が過敏な子にとっては、「制服のタグ」や「椅子のざらざら感」だけで集中力がゼロになることも。
聴覚が敏感な子にとっては、教室内のガヤガヤした音が拷問レベルに感じることだってあるんです。
こうした「感覚にまつわる行動」は、本人が悪いわけではなく、ただ“感じ方が違う”だけなんですよね。
自宅でサクッとできるチェックリスト付き!(画像化前提)
「うちの子、大丈夫かな?」と気になったら、まずはチェックしてみることが第一歩。
以下の項目に、3つ以上当てはまる場合は、感覚の偏りを持っている可能性があります。
✅ 感覚統合チェックリスト【10項目】
- 服のタグ・靴下のゴムなどを嫌がる
- 音に敏感で、掃除機・放送などの音で耳をふさぐ
- 転んでも痛がらず、平気な顔をしていることが多い
- 給食や食事のにおいで「気持ち悪い」と言う
- ジャンプ・回転など、激しい動きを好む
- じっと座るのが苦手で、立ち歩いたり身体を動かしてしまう
- 人に強くぶつかったり、抱きついたりすることがある
- 集団が苦手で、すぐに一人で遊びたがる
- 文字や絵を書くときに手や体に力が入ってしまう
- 「なんとなく不快」でよくパニックや癇癪を起こす
このリストはあくまで目安ですが、感覚統合の困りごとを“見える化”する手段としてとても役立ちます。
また、親が「気づいてあげる」ことで、園や学校と共有しやすくなります。
「こういう傾向があるんです」と具体的に伝えられれば、先生側の理解や対応もグッと変わってきますよ。
専門家もおすすめ!感覚統合を整える「おうち遊び」ベスト8選
感覚統合に課題があると聞くと、「何か特別な訓練が必要なのかな?」と思ってしまうかもしれません。でも、実はそんなに構えなくても大丈夫!
感覚統合を整えるために必要なのは、“遊びながら楽しく慣れること”なんです。
特に、家の中や身近な場所でできる遊びは、子どもにとっても親にとっても取り入れやすく、継続しやすいのが魅力。
ここでは、専門家も推奨する「感覚遊び」の中から、おうちで気軽にできるベスト8選を紹介します。
① バランスボールで楽しく体幹アップ&安心感
大きなバランスボールは、ただ転がすだけで子どもたちは大はしゃぎ。
でもそれだけじゃなく、“前庭感覚”と“固有受容感覚”を同時に刺激できる万能アイテムなんです。
- ボールの上に座ってユラユラ→バランス感覚を育てる
- 上に乗ってピョンピョン→筋肉の感覚が刺激されて落ち着きやすくなる
- 親がバランスボールを転がして軽くぶつける→“当たる感覚”に楽しく慣れていける
体幹が弱くて姿勢が崩れやすい子にも◎。
リビングで5分からできる感覚統合トレーニングとしてもおすすめです。
② トンネル・ハンモック遊びで“包まれる心地よさ”を体験
感覚過敏のある子の中には、「狭い空間」や「包まれる感じ」が落ち着くという子が多いです。
そんな子には、布製のトンネルやハンモックがぴったり。
- トンネルをくぐることで触覚・前庭感覚・方向感覚が一度に刺激される
- ハンモックに包まれると、安心感と重力の心地よさが得られる
布製トンネルは、洗濯ネットや大きめのシーツで代用可能。
“秘密基地ごっこ”の延長として気軽に取り入れられるので、親子で遊びながら自然に感覚刺激を取り入れられます。
③ ボディプレスで全身に“ぎゅっ”と安心刺激
「落ち着きがない」「すぐに癇癪を起こす」そんなときに試してほしいのが、全身に圧をかける“ボディプレス”遊びです。
- 大きなクッションや布団の間に子どもをはさんで「ぎゅっ」
- 上から優しく圧をかけて、筋肉や関節への感覚入力(固有受容感覚)を与える
これは、作業療法士の現場でもよく取り入れられている方法で、不安や多動が強い子どもに特に効果的とされています。
「ふざけあいながらできるスキンシップ」として、親子の関係づくりにも◎。
④ 小麦粉ねんどやスライムで感触への苦手を克服
「手が汚れるのがイヤ」「ぬるぬるしたものを触るのが怖い」——そんな触覚過敏のある子どもにこそ、少しずつ“慣れていく”ための遊びが効果的です。
- 小麦粉ねんど→作る過程から楽しめて、香りや感触もやわらかく刺激が少なめ
- スライムや寒天→ドロッとした感触で「苦手な刺激」に触れる経験に
- 色を混ぜる、型をとるなど、遊びながら五感をフル活用
最初はスプーンで混ぜるだけでもOK。子どものペースで“できた!”を増やすことが大切です。
⑤ 音の苦手を“好きな音”で変える!聴覚あそびの工夫
聴覚過敏がある子は、騒がしい場所や大きな音がとにかく苦手。でも、「自分でコントロールできる音」なら、楽しめることも多いんです。
- 小さなベルや楽器で「自分の音」を作る
- ホワイトノイズマシンやアプリで“安心できる音環境”を体験
- 鈴や風鈴など、“音に慣れる練習”として遊びに取り入れる
「音が怖い」から「この音は心地いい」へ、少しずつ“音の感覚”に自信をつけるステップになります。
⑥ ジャンプでスッキリ!家でもできる前庭刺激遊び
「とにかく動きたい!」「じっとしてるのが苦手!」という子には、ジャンプ系の遊びがおすすめ。
ジャンプは前庭感覚と固有受容感覚をしっかり刺激してくれる、まさに“全身遊び”です。
- トランポリンで跳ねる→リズム感・バランス感覚アップ
- クッションの上をジャンプ→転倒時の衝撃もやわらかく安全
- 音楽をかけて「ストップ&ジャンプ」の遊びにすれば集中力もアップ
トランポリンがない場合でも、布団やマットを活用すれば十分。
朝や帰宅後に5分だけでも、「スッキリした!」と感じる子は多いです。
⑦ 新聞ビリビリ&布投げでストレス発散&刺激慣れ
感触や音への過敏がある子でも、「やってみたら楽しい!」に変わるきっかけになるのが「破る」「投げる」系の遊び。
- 新聞ビリビリ→破れる音・手の感触が“ちょうどいい刺激”になる
- ビリビリした新聞を投げたり丸めたりして、運動感覚もプラス
- 布を高く投げてキャッチする→視覚と手の協応トレーニングに!
「ダメ!」「うるさい!」と制限されがちな遊びだけど、感覚統合的にはとっても大切な経験なんです。
⑧ 宝探しゲームで感覚×集中力トレーニング!
最後は、いろんな感覚を組み合わせて遊べる「宝探しゲーム」。
- 紙袋の中におもちゃや素材を入れて、“手触りだけ”で当てっこする
- 隠されたアイテムを目で探し、音でヒントを出す→視覚・触覚・聴覚を総動員!
- 子どもが主役になれる、“探す楽しさ”を通じた集中力アップの遊び
感覚統合では「整理する力」がとても大切。宝探しゲームはまさにその“感覚を統合する力”を育てる練習になります。
いかがでしたか?
どれも「特別な道具は不要」「親子で楽しめる」「短時間でもできる」ものばかり。
子どもの反応に合わせて、無理なく・楽しく・少しずつ取り入れていくのがコツです。

これが効いた!感覚統合に“本当に使える”おすすめアイテム10選
「おうち遊びだけじゃちょっと物足りない」「困ったときにパッと使えるグッズがあれば…」
そんな声に応えて、ここでは感覚統合の視点から“実際に使って効果を感じたアイテム”を厳選して紹介します。
どれも子どもの“感覚の困りごと”に合わせて使えるものばかり。遊びにも日常にも自然になじむので、ぜひ参考にしてみてください!
① ノイキャンイヤーマフ|音のストレスから子どもを守る
聴覚過敏の子にとって、生活音は想像以上にストレス。
掃除機、トイレの水、クラスのざわざわした声、チャイム音…「静かにして!」と叫んでしまうことも。
そんなときに活躍するのが、ノイズキャンセリングイヤーマフ。
装着するだけで嫌な音を和らげ、安心してその場にいられる空間を作ることができます。
◎おすすめシーン:運動会、集会、外出先の人混み、通学時など
◎注意点:完全に“遮断”するのではなく、“減らす”ことが目的。過度に使いすぎないよう、子どもの様子を見て調整を。
② 加重ブランケット・ベスト|落ち着き&睡眠サポートに◎
“ぎゅっと包まれる感覚”が安心につながる子には、加重アイテムが効果的。
加重ブランケットは眠りが浅い・不安が強い子におすすめ。ベストタイプなら日中の活動中にも使えます。
重さが体に伝わることで、“今ここにいる”という感覚が得られ、リラックスしやすくなると言われています。
◎メリット:睡眠の質向上/集中力アップ/情緒の安定
◎選び方:体重の10%前後を目安に。軽すぎず、重すぎずがポイントです。
③ おうちでできるスイング遊びアイテム|設置も簡単!
前庭感覚(バランスや揺れ)を刺激できる遊び道具といえばスイング!
おうちでも使えるハンモック型のスイングや、ドアフレームに取り付けられるタイプなど、意外と省スペースで設置できる製品が増えています。
揺れることでリズム感覚や体幹バランスを育てるとともに、精神的な落ち着きにもつながるため、療育の現場でもよく使われています。
◎設置時の注意:しっかり固定できること、安全な高さであることを確認しましょう。
◎おすすめの使い方:ゆらゆら揺れながら本を読む/音楽を聴くことで“感覚クールダウン”の時間に
④ チューイー(噛むおもちゃ)|口で感じる安心ツール
緊張したり不安になったときに鉛筆や袖をかじってしまう子には“口からの感覚刺激”が必要なサイン。
チューイーは、安全に噛むことができるシリコン製のおもちゃで、感覚を整えたいときのお守りのような存在です。
◎メリット:手を使わずに自己調整できる/人前でも自然に使えるデザインが多い
◎注意点:用途に応じた硬さを選ぶ/破損していないか定期的にチェックする
⑤ ホワイトノイズマシン|外出先でも「音のシェルター」に
ホワイトノイズとは、風の音や波の音のような“一定でやさしい音”のこと。
聴覚過敏のある子が“予測不能な音”にびっくりしないよう、先に落ち着く音で包んであげるというアイデアです。
◎使い方:通学中のイヤホン/病院や美容室など静かにしていたい場面
◎ポイント:音量は大きすぎず、子どもが“快適に感じる”レベルで使用しましょう。
⑥ 触覚マット|足裏からの刺激でリフレッシュ!
足裏は感覚統合にとって“第2の脳”とも言われる重要なポイント。
凸凹したマットやタイルを歩くだけで、触覚とバランス感覚を同時に刺激できる優れものです。
◎家庭での活用例:洗面所の足元/リビングの一角/お風呂前のルートに
◎意外な効果:足裏刺激は集中力や姿勢保持にもつながります!
⑦ バランスディスク|集中力UP&落ち着きに効く
椅子の上に置いて使う「バランスディスク」は、微妙な揺れを感じながら座ることで、体幹と集中力を同時にトレーニングできます。
特に、「座っているとソワソワしちゃう子」にぴったり。
座りながらも“感覚を満たしている”ことで、落ち着いて話を聞いたり作業を続けられるようになるケースも。
◎使用シーン:家庭学習・食事中・療育や保育の場など
◎注意点:長時間連続使用は避け、本人が疲れない範囲で導入を。
⑧ スライム&センサリーボトル|五感で楽しむアイテム
“見る・触る・動かす”を組み合わせた感覚遊びの定番が、スライムやセンサリーボトル。
中にビーズやラメ、水を入れて、視覚・聴覚・触覚を刺激しながら、「自分のペースで感覚を整理できる」アイテムです。
◎手作りもOK!:100均グッズで簡単に作れるので、親子で制作するのもおすすめ
◎用途例:移動中のお守り/感覚が乱れたときのクールダウンタイム
⑨ 圧着スーツ|包まれる感覚で安心するウェア
「常に誰かに“ぎゅっ”としていてほしい」という子にとって、“圧”を感じることは大きな安心感。
圧着スーツは、体にぴったりフィットする伸縮素材のウェアで、服そのものが「感覚刺激」になります。
◎使い方:おうち時間や寝る前など、リラックスモードに入りたいときに
◎選び方:通気性や素材の質感にも配慮して選ぶと◎
⑩ 帽子・ネックウォーマーなど「日常に取り入れやすいアイテム」
意外と見落とされがちなのが、感覚調整の“ちょい足し”アイテム。
帽子・ネックウォーマー・アームカバーなど、着るものの中で“ちょうどいい刺激”を与える工夫ができます。
- 頭や首まわりを包むことで安心感が得られる
- 外の光や風から感覚を守るバリアになる
- 学校や園でも使いやすい“違和感のない見た目”
◎おすすめポイント:「これなら毎日使える!」と思えることが大切。子どもが“好き”と思えるデザインも選ぶ基準に。
これらのアイテムは、どれも「感覚を整える手助け」として心強い味方。
子どものタイプやその日の状態に合わせて、上手に選び、無理なく取り入れていくことがポイントです。

子どもを守るのは「正しい理解」から!感覚統合の支援と伝え方
感覚統合の課題は、パッと見では分かりづらいぶん、「わがまま」「気分屋」などと誤解されやすいのがつらいところ。
でも実際は、子ども本人がいちばん戸惑い、困っているんですよね。
だからこそ、周りの大人が「なんでそんな行動をするのか」を知っておくことが大切。
“困っている子ども”を叱るのではなく、“困っている子どもを理解する”という視点が支援のスタートラインです。
ここでは、家庭でできる支援の基本から、園や学校への伝え方、そして専門機関への相談のタイミングまで、幅広くお伝えします。
無理やり慣れさせない|子どもに合う“やさしい支援”とは
「慣れれば大丈夫」「気にしすぎじゃない?」
つい言ってしまいがちなこの言葉。でも、感覚過敏のある子にとっては“慣れる”こと自体が大きなストレスなんです。
たとえば、音に敏感な子にとって「掃除機の音」は、雷のような衝撃。
服のタグが気になる子にとっては、「肌に刺さる小さな針」をずっと我慢しているようなもの。
そんな状態で「気にしないで」と言われても、そりゃ無理ですよね…。
だから支援の第一歩は、「苦手を無理に克服させる」のではなく、「苦手とうまくつきあえる工夫をする」こと。
その子の感覚に合った刺激の量・質・タイミングを探し、少しずつ「大丈夫」を増やしていく支援が、長い目で見てとても大切です。
🌟支援のヒント:
- 音に敏感 → イヤーマフやホワイトノイズで“音の逃げ道”を作る
- 触覚過敏 → 柔らかい素材の服を選ぶ/タグを切る
- 前庭感覚が過敏 → 激しい遊びは避けて、ゆらゆら揺れる遊びから始める
「できる範囲で、子どもが安心して挑戦できる環境を整える」——それが感覚統合のやさしい支援です。
園・学校・先生にどう伝える?言葉の選び方と共有のコツ
「うちの子、こういう感覚の偏りがあって…」と、園や学校に伝えようとすると、
「先生にちゃんと伝わるかな?」「わがままだと思われたら嫌だな…」と悩んでしまうこと、ありませんか?
でも、実は先生たちも「保護者からの具体的な情報」があるととても助かるのです。
感覚統合の話を伝えるときは、ポイントを絞って、わかりやすく共有するのがおすすめ。
🌟伝え方のコツ:
- 「感覚過敏があって〇〇が苦手です」と“医学的な話”より“日常で困っている様子”を中心に伝える
- 「朝の放送が苦手なので、予告してもらえると助かります」など、具体的な配慮ポイントを伝える
- 「おうちではこうしてます」と、家庭での工夫も一緒に紹介すると理解されやすい
また、「先生に話すのが苦手…」という場合は、チェックリストやプリントなどにまとめて渡すのもOK。
伝え方に正解はありません。大事なのは、“子どもが過ごしやすくなること”を目的にすることです。
OT(作業療法士)など、専門機関に相談すべきタイミングとは
「このままで大丈夫かな…」「家庭だけの工夫では限界かも」——
そんなふうに感じたら、専門機関に相談するのもひとつの選択肢です。
特に、作業療法士(OT=Occupational Therapist)は、感覚統合の支援に詳しい専門職。
子どもの感覚の傾向を客観的に評価して、その子に合ったアプローチやトレーニング方法を教えてくれます。
🌟相談すべきサインの例:
- 感覚の困りごとで日常生活に支障が出ている(食事、登園、学習など)
- 癇癪やパニックが頻繁に起こり、家庭内でも対応が難しくなっている
- 周囲とのコミュニケーションがとれず、孤立している感じがする
- 感覚の問題が原因で、園や学校で“問題行動”と見なされてしまっている
相談先としては、以下のような施設・機関があります:
- 発達支援センター/児童発達支援事業所/療育センター
- 病院(小児科・児童精神科・リハビリ科など)
- 自治体の子育て支援窓口・保健センター
「まだ早いかな?」と思っても大丈夫。専門機関は、“深刻な状態”でなくても気軽に相談できる場所です。
「ちょっと気になる」段階からでもOK。迷ったら、まずは一歩だけ踏み出してみましょう。
子どもの感覚の困りごとを「その子の個性」として受けとめ、親やまわりの大人が寄り添っていくことが、最大の支援になります。
よくある質問に答えます|感覚過敏の子育てQ&A
感覚過敏や感覚統合の困りごとについて調べれば調べるほど、「うちの子は大丈夫なのかな…?」と不安になること、ありますよね。
ここでは、保護者の方からよく寄せられる質問に、わかりやすくお答えしていきます。
ちょっとしたモヤモヤがスッキリするヒントになればうれしいです。
「このまま成長すれば自然に治るの?」
答えから言うと、「成長とともに軽減することはあるけれど、“放っておけば自然に治る”とは限らない」というのが現実です。
子どもの脳や神経は日々発達しています。
その中で、感覚の受け取り方や整理の仕方が徐々にスムーズになっていくケースもあります。
でも一方で、環境の変化やストレス、感覚の刺激が強まることで、年齢が上がっても困りごとが続く場合もあります。
大切なのは、
- 成長を“待つ”だけでなく、
- その子に合った環境を整えてあげること
- 感覚の違いを周囲が理解し、サポートしていくこと
「今だけの問題」だと思って見過ごさずに、“今できること”を少しずつ積み重ねていくことが大切です。
「兄弟とのトラブル…どう接すればいい?」
感覚過敏のある子は、兄弟姉妹とのやりとりでトラブルになりやすい傾向があります。
たとえば、「大きな声が苦手でお兄ちゃんの声にイライラする」「触られるのが嫌で弟とケンカになる」など…。
こうした時、親としてはどちらの気持ちもわかるからこそ難しいですよね。
まず意識しておきたいのは、「どちらかを責めない」こと。
感覚過敏がある子も、そのきょうだいも、悪いわけではなく“感じ方が違うだけ”なんです。
🌟支援のヒント:
- 「あなたが悪い」と叱るのではなく、「困っているよ」「こうしてくれると助かるよ」と伝える
- きょうだいには、「この子は音や触られることがちょっと苦手なんだ」と、わかりやすく説明して理解を促す
- 必要に応じて、距離をとれる場所・時間をつくる工夫も効果的(イヤーマフ、個別スペース、別室で遊ぶ など)
家庭内で“分かり合える環境”を少しずつ作っていくことが、子どもたちの関係性を良くする第一歩になります。
「療育に通わなくても、家でできることある?」
結論から言えば、家でも十分にできることはたくさんあります!
実際にこの記事で紹介してきた遊びやアイテムは、感覚統合の考えに基づいた家庭向けの支援方法なんです。
療育に通うことで専門的なサポートが受けられるのはもちろん心強いですが、
“毎日の生活の中で親子でできること”が積み重なることで、子どもは安心して育っていけます。
たとえば、
- 「今日はちょっと聴覚が過敏かも?」と感じたら、静かな空間を作ってあげる
- 「ジャンプしてばかりだな」と思ったら、前庭感覚を刺激する遊びを取り入れてみる
- 「イライラしてるな」と感じたら、スライムやセンサリーボトルなど感覚で落ち着くグッズを渡す
こうした小さな工夫の積み重ねが、子どもにとって大きな安心につながります。
「ワガママと感覚過敏、どう見分ければいいの?」
ここ、めちゃくちゃ悩むポイントですよね。
「おやつが気に入らないから怒ってるのか?」「服を着たくないのはワガママ?」と、判断がつかないこともしばしば。
でも実は、ワガママと感覚過敏の違いは“本人の様子”に注目すると見えてくることが多いです。
🌟見分けのヒント:
- 表情や態度に“本気の困り顔”や“パニック”が見える場合は、感覚過敏の可能性が高い
- ワガママは“自分の要求を通したい”気持ちから出るものだけど、
感覚過敏は“脳や身体が受け取った刺激に対して過剰反応している”状態
また、ワガママなら代替案を示すと折れることが多いですが、
感覚過敏の子は「それでも無理!」という強い拒否反応を示すことが特徴です。
大人が見極めに悩むときは、「ひとまず子どもの困り感を信じてあげる」姿勢がとても大事。
そのうえで、必要に応じて園・学校や専門機関と連携していけると安心です。
Q&Aの内容は、どれも感覚過敏の子を育てる保護者が日々感じるリアルな悩みばかり。
一人で抱え込まずに、「うちの子にはどんな支援が合うのかな?」と柔らかく考えていくことが大切です。
焦らなくて大丈夫。“遊び”と“アイテム”で、敏感な子もラクになる
ここまで読んでくださったあなたは、きっと「うちの子に何かできることはないかな」と真剣に向き合っている方だと思います。
感覚に敏感な子どもと向き合う毎日は、想像以上に気をつかうことも多くて、周りに理解されにくい孤独感を感じることもありますよね。
でも大丈夫。焦らなくても、いま目の前にいる子の“感じ方”に寄り添うことから始めれば、それがいちばんの支援になります。
感覚統合の考え方を知り、子どもに合う遊びやアイテムを少しずつ試していくだけで、子どもも、そして親自身もぐっとラクになることがたくさんあります。
「できない」じゃなく「やりにくい」だけかもしれない
感覚過敏のある子は、周りから「わがまま」「甘え」「やる気がない」と誤解されることがあります。
でも実際は、「できない」のではなく「やりにくいだけ」ということがほとんどです。
たとえば、
- 教室で集中できないのは、音や光が過剰に刺激になっているからかもしれない
- お風呂を嫌がるのは、お湯の温度やシャワーの感覚が不快に感じているからかもしれない
- 靴を履きたがらないのは、足裏の触覚が敏感で“痛い”と感じているからかもしれない
そう考えると、「こうすれば大丈夫かも?」という視点が広がりますよね。
できない理由を責めるのではなく、「どうすればできるようになるか」を一緒に探していく——それが感覚統合の支援の基本です。
親の“ちょっとした工夫”が、子どもの生きやすさをつくる
今回ご紹介したような遊びやアイテム、そして周囲への伝え方は、どれも“特別な人しかできないこと”ではありません。
むしろ、ふだんの生活の中にちょっと工夫を取り入れるだけで、子どもがすごくラクになることもあるんです。
- イヤーマフで「音から自分を守れる」と知った子が、外出を楽しめるようになったり
- 加重ブランケットで「安心して眠れる」ようになったり
- 感覚遊びで「これは楽しい!」という体験が、自信や自己肯定感につながったり
そんな風に、子どもが“自分の世界”を少しずつ安心して広げていけるようになるのです。
そして何より、「子どもを理解しよう」とする親のまなざしは、子どもにとって何よりの安全基地になります。
子育てに“正解”はありません。でも、感覚の違いに気づき、認めてあげることは、間違いなく子どもを支える力になります。
子どもも親も、もっとラクに。もっと笑顔で過ごせるように。
今日からできることを、ひとつずつ、一緒に始めていきましょう。
以上、【感覚統合って知ってる?“刺激に敏感な子”が笑顔になった遊び&神アイテム10選】でした。

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