「効かない…」と感じたあなたへ。ソーシャルストーリーの本当の使い方、見直してみませんか?
「ソーシャルストーリー、試してみたけど全然効果がなかった…」
そんなモヤモヤを感じていませんか?
子どもの発達支援に取り入れられることの多い「ソーシャルストーリー」。本やネットでもよく紹介されていますし、療育や学校現場でも取り入れているところが増えてきましたよね。でも実際にやってみると、「本当にこれで合ってる?」「読ませたけど全然変わらない…」と、不安になったり、やり方に自信が持てなくなったりする人は少なくありません。
でも安心してください。ソーシャルストーリーが“効かない”と感じるときには、実は明確な原因があることがほとんどなんです。
この記事では、「なぜ効果が出ないのか?」という理由から、「どうすれば効果を最大化できるか?」という実践的な改善策まで、徹底的に解説します。さらに、特性別の活用例や作成のコツ、他の支援法との併用方法まで網羅しているので、どんな方にも参考になるはずです。
まずは基礎の部分から、いっしょに確認していきましょう!
ソーシャルストーリーって実際どうなの?知らないと損する基礎知識
「ソーシャルストーリー」という言葉、なんとなく知っている人もいれば、「名前だけ聞いたことある」という人もいるかもしれません。でも、効果的に使うためには“本質”を理解することがすごく大事です。
ここでは、難しい専門用語は使わず、わかりやすく基礎から解説していきます。支援の選択肢として知っておくと、家庭でもすぐに取り入れられるかもしれませんよ。
ソーシャルストーリーとは?専門用語なしでわかる基本解説
ソーシャルストーリーとは、子どもが苦手と感じている場面や、人との関わり方を「わかりやすく伝える」ための物語形式の支援ツールです。
たとえば、「お友だちにおもちゃを貸す」「病院で注射を受ける」「登園前の準備をする」など、子どもにとって不安や戸惑いの多いシチュエーションを、文章やイラスト・写真などを使って順序立てて説明します。
ポイントは、「正しい行動を教え込む」のではなく、子どもが安心してその状況を理解できるようにすること。だからこそ、子どもの視点や気持ちに寄り添った構成が求められるんですね。
ちなみに、アメリカのキャロル・グレイ氏が1991年に考案した支援法で、自閉症スペクトラムの子どもたちを中心に広まったのが始まりです。
どんな子に向いてる?効果が期待できるタイプをチェック
ソーシャルストーリーは、特に以下のような特性を持つ子どもに効果が期待できるとされています。
- 自閉スペクトラム症(ASD):曖昧な指示や状況が苦手で、「見通しが持てる」支援に安心感を得やすい
- ADHD(注意欠如・多動症):衝動的に動きやすく、あらかじめルールや行動の流れを整理して伝えると混乱が減る
- 知的障害を伴う発達障害:言葉だけの説明が難しい場合にも、視覚的に伝えることで理解度がアップ
また、「初めてのことが不安」「どうしていいかわからなくて困る」と感じやすい子ども全般に有効なことも多いです。年齢は3~12歳くらいが中心ですが、理解レベルに合わせれば、もっと年齢が高い子や大人でも活用できます。
大事なのは、「その子に合った形」で使うこと。それがうまくいけば、驚くほどスムーズに行動が変わるケースもありますよ。
どんな「変化」が起きる?実際に見られる4つの効果
「実際にどう役に立つの?」と気になる方のために、よく見られる効果を4つご紹介します。
- 見通しが持てるようになり、不安が減る
⇒ 突然の予定や初めての経験に対するパニックが減ったという声が多数。 - 日常の行動がスムーズになる
⇒ 朝の支度、登園・通学、歯みがきなどの生活習慣がスムーズにいくことも。 - 人との関わり方を学べる
⇒「お友だちとどう関わるか」「困ったときにどうするか」などを学び、対人トラブルの予防にも。 - 成功体験が積み重なり、自己肯定感が高まる
⇒ 「できた!」を積み重ねることで、行動面だけでなく心の安定にも効果あり。
このように、ソーシャルストーリーはただの説明ツールではなく、「理解・行動・気持ち」のすべてに働きかける支援法なのです。
えっ、効かないの?ソーシャルストーリーが効かない5つの理由
「ソーシャルストーリー、うちの子には効かなかった…」という声、実は少なくありません。でも、そのまま諦めてしまうのはもったいない!
ソーシャルストーリーが“効かない”と感じるときには、たいてい原因があります。
それは“その子に合っていないだけ”かもしれないし、“使い方のちょっとした工夫不足”かもしれません。
ここでは、よくある5つの原因を具体的に紹介しながら、「どこでつまずきやすいのか?」を一緒に確認していきましょう。
実は「その子に合ってない内容」かも!?
いちばんありがちなのがこれ。ソーシャルストーリーの内容が、その子自身の実情とかけ離れているケースです。
たとえば、他の子が作った例をそのまま使っていたり、ネットにあったテンプレートをそのまま使ったり。便利ではありますが、「その子の状況・言葉・困りごと」に合っていないと、子どもにはピンとこないんです。
また、「友だちに“ありがとう”と言おうね」といった“正しさ”ばかりを押しつける内容になっていないかも要注意。
その子にとって大事なのは、「なぜその行動をするのか?」「どうすれば気持ちがラクになるのか?」という納得感なんです。
子どもの特性・性格・困りごとをベースに、“その子だけのストーリー”を作ることが大前提。効かないと感じたら、まずは内容の見直しから始めてみてください。
読み取れない・伝わらない…理解レベルが合ってない
子どもの理解力に合わせた文章や表現になっていないと、いくら良いストーリーでも「読んだだけで終わってしまう」ということがよくあります。
たとえば、難しい言葉が並んでいたり、文章が長すぎて途中で飽きてしまったり。
また、イラストや写真が抽象的すぎて、「何をしている場面なのかわからない」ということも…。
このあたりは、子どもの言語発達や認知発達の段階によってかなり個人差があります。
知的な遅れがある子どもであれば、一文を短く・わかりやすく・絵や写真を多めにすると効果的です。
“伝わる形”にチューニングできているか?
ここが、ソーシャルストーリーの効き目を大きく左右するポイントです。
見るタイミング、間違っていませんか?
実は、「いつ見せるか」がかなり重要なんです。
トラブルが起きた“あと”に「ほら、読もうね」と渡していませんか?
それ、子どもにとっては「怒られた」と感じることもあり、ソーシャルストーリー自体が“イヤなもの”として記憶に残ってしまうことがあります。
理想は、落ち着いているときに、予防的に見せること。
たとえば朝の準備なら、家を出る30分前くらいに見せておく。
初めての病院に行くなら、前日の夜に読んでおく──そんな“予習”的な使い方が効果的です。
また、「1回読めばOK」ではなく、何度も繰り返し読むことが大切。
回数を重ねることで、徐々に理解が定着していきます。
「読むだけ」になっていない?双方向コミュニケーション不足
よくありがちなのが、大人が一方的に読んで終わってしまうパターン。
でも、それだと子どもにとっては“読み聞かせ”のような感覚になってしまい、自分ごととして受け止めにくいんです。
そこで大事になるのが、「対話すること」。
たとえば、読みながら「この場面ってどう思う?」「こういうとき、◯◯ちゃんはどうしてる?」と、子どもに問いかけるスタイルを取り入れてみましょう。
さらに、「どの場面が好き?」「ここが難しいよね」など、感情に寄り添った声かけをすることで、子どもが安心して話せるようになります。
一緒に読む、話す、考える──この双方向の関わりこそが、ソーシャルストーリーの効果を引き出す鍵なんです。
「自己流アレンジ」が逆効果に!?よくある使い方の落とし穴
「こうしたほうがいいかな」と思って、独自のアレンジを加えた結果、うまくいかなくなることもあります。
たとえば、
- 文章を長くしてしまった
- 応用しすぎて本来のストーリー構成が崩れた
- 「ダメ!やめようね」と否定的な言葉ばかり使ってしまった
……これらは子どもの安心感や理解を妨げてしまうリスクがあります。
ソーシャルストーリーには、「肯定的に伝える」「原因ではなく“どう行動するか”に焦点を当てる」などの基本ルールがあります。
このルールを守らずにアレンジすると、かえって混乱を招いてしまう可能性も。
もちろん、子どもに合わせてカスタマイズすることは大切ですが、“基本を理解した上での応用”が前提。
不安な場合は、専門家の意見を取り入れながら作成するのもひとつの手ですよ。
効果を引き出す!ソーシャルストーリー活用のプロが教える改善法
「ソーシャルストーリー、うちの子には向いてなかったのかな…」と感じている方へ。
実は、ちょっとした工夫や見直しだけで“グッと効果が出る”ことがよくあるんです。
そのためには、使い方の基本を押さえつつ、お子さん一人ひとりに合わせた柔軟なアプローチが大事。
ここでは、療育現場や支援のプロが実践している「効果を引き出すためのコツ」をわかりやすく解説していきます!
「この子には何が必要?」まずやるべきは徹底的な理解
ソーシャルストーリーを使う前に、まず大切なのが「その子をしっかり知ること」です。
これは当たり前のように思えますが、実はとても奥が深いポイント。
✔ どんな場面で不安を感じやすい?
✔ どのくらいの言葉・イメージが理解できる?
✔ 行動の背景にある“理由”は何?
こうした視点を踏まえて、その子の「特性」「困りごと」「成功体験」などを丁寧に把握することが、ストーリー作成の第一歩になります。
できれば、家庭だけでなく、保育園・学校・療育先など、関わっている大人みんなで情報を共有することが理想的。
一貫した支援があると、子どもも安心しやすくなります。
見直そう!ソーシャルストーリーの内容・構成・表現
いざソーシャルストーリーを作ってみても、「なんかうまく伝わらないな…」と感じることってありますよね。
そんなときは、内容や構成、表現方法を見直すことがとても重要です。
ポイントは以下のとおり:
- 子ども目線で書かれているか?(主語は「ぼく」「わたし」にする)
- 具体的で、イメージしやすい内容になっているか?
- 「してはいけない」より「こうすればいいよ」を伝えているか?
- 文量や絵の情報量が適切か?(多すぎても混乱しがち)
たとえば「おともだちにおもちゃを貸す」という場面でも、
✅ どんなおもちゃ?
✅ どんな気持ち?
✅ どんなやりとり?
……と、細かく具体的に書くことで、子どものイメージがグッとしやすくなります。
テンプレートだけに頼らず、「その子のリアルな日常」に寄せることが大切なんです。
読む“タイミング”が勝負!成功率を上げる使い方とは?
実は、ソーシャルストーリーは「いつ読ませるか」で効果が大きく変わります。
たとえば、朝の支度に困っている子には、「出かける直前」ではなく「前日の夜」や「起きてすぐ」など、落ち着いている時間帯に読むのが◎。
また、「1回読んで終わり」ではなく、何度も繰り返すことで記憶に定着しやすくなります。
これは、視覚的な記憶や予測力が育っていく段階の子どもたちには特に重要なポイント。
【おすすめのタイミング例】
・朝のルーティン前の読み聞かせ
・不安の多い場面の“事前説明”として使う
・寝る前の「明日の準備」タイムに使う
つまり、ソーシャルストーリーは“備えるツール”であって、“注意するための道具”ではないという意識が大切です。
「読む」から「対話する」へ!子どもとの関わり方を変えよう
ソーシャルストーリーは、“読み聞かせ”で終わらせてしまうのはもったいない!
子どもと一緒に読みながら、「どう思う?」「これは知ってる?」と対話を重ねることで、理解や共感がぐっと深まります。
このとき、正解を求める必要はありません。
「これ見たことあるよ〜」「こんなときは怖くなるよね」といった子どもの言葉を拾って受け止めるだけでOK。
さらに、子ども自身が内容を少し変えて話し始めたらチャンス!
「自分の話として捉えられている証拠」なので、積極的にやりとりを続けてみましょう。
また、ストーリーの最後に「〜できたらすごいね!」などの肯定的な声かけを加えると、安心感や自信にもつながります。
実は組み合わせがカギ!視覚支援や動画の併用術
「紙だけじゃうまく伝わらない…」そんなときにおすすめなのが、他の支援ツールとの“組み合わせ”です。
たとえば:
- 視覚スケジュールと一緒に使って、1日の流れを整理
- タイムタイマーや時計カードと組み合わせて「時間感覚」を補助
- 動画ソーシャルストーリー(YouTubeやスマホでの再生)で“動き”のイメージを補う
中には、「自分の写真でストーリーを作ったらすごく反応が良かった!」というケースもあります。
本人が登場するだけで、ぐっと“自分ごと”に感じやすくなるんですね。
つまり、ソーシャルストーリーは“単体で完璧”を目指すよりも、「複数の支援を組み合わせてその子に合った形にしていく」ことがポイント。
それぞれのツールの強みを活かして、お子さんが“わかる・できる・安心する”環境づくりを一緒に考えていきましょう。
失敗しない!効果が出るソーシャルストーリーの作り方とコツ
「ソーシャルストーリーって、作るのが難しそう…」
そう感じている人、多いのではないでしょうか?でも実は、基本のポイントを押さえれば、誰でも作れるシンプルな構成なんです。
ただし、“なんとなく”で作ると効果が薄れてしまうのも事実。だからこそ、構成のコツやNGパターン、便利なツールを知っておくことがとても大切です。
このパートでは、支援の現場でもよく使われている作成手順や、実際に役立つテンプレート・作成時の注意点をわかりやすく紹介していきます!
基本の4ステップで誰でも作れる!構成テンプレート解説
ソーシャルストーリーの基本的な構成は、次の4ステップでできています。
これをベースにすれば、どんな場面のストーリーでも応用が可能です。
状況の説明(現実の把握)
まずは、「どんな場面なのか」をできるだけ客観的に、わかりやすく説明します。
例:「わたしは朝、7じにおきます。」
ここで大事なのは、“正しい・正しくない”という判断を入れないこと。
子どもが混乱しないよう、事実を淡々と伝えるトーンがポイントです。
周囲の期待や社会的ルール(意味づけ)
次に、その場面で「どんな行動が期待されているか」「なぜそれが必要なのか」を伝えます。
例:「がっこうには 8じまでにいきます。みんなも まにあうように いきます。」
ここで“みんなもそうしてる”という表現を入れることで、安心感と共感を引き出せることが多いです。
適切な行動の提案(具体的な行動)
子どもが「どうすればいいのか」を、具体的に教えてあげるパートです。
例:「わたしは、じぶんで ふくをきがえます。ランドセルを じゅんびします。」
ここでは、できるだけ“実行可能な行動”に落とし込むことがカギになります。
結果や気持ちの変化(成功体験)
最後に、その行動によってどんな良いことがあるのかを示しましょう。
例:「はやく じゅんびができると、ママも にっこりします。わたしも うれしいです。」
この“うまくいった未来のイメージ”を描くことが、子どもの安心感や自信につながるんです。
このように、ストーリーには「流れ」と「納得」が必要。ただ言い聞かせるのではなく、子どもが自分でイメージできるような構成を心がけましょう。
無料で使える!おすすめのテンプレート・ツール5選
「自分で一から作るのはちょっと大変…」という人のために、便利なテンプレートや無料ツールもたくさんあります!
ここでは、支援者や保護者に人気の高い5つをピックアップしてご紹介します。
【TEACCH自立課題工房】
→ ソーシャルストーリーのサンプルやテンプレートを無料配布。シンプルな構成で使いやすい!
【Canva(キャンバ)】
→ おしゃれで自由度の高いデザインが魅力。写真やイラストを組み合わせてオリジナルが簡単に作れる!
③【すきるまドリル】
→ 幼児〜小学生向けの視覚教材が充実。生活習慣や対人関係のソーシャルスキルに特化した素材も豊富。
【LINEスタンプ風ジェネレーター】
→ 子どもの好きなキャラ風の絵でストーリー化できる!楽しく親しみやすいビジュアルに。
【パワポ or Googleスライド】
→ 写真やイラストをスライドに貼るだけで簡単にストーリー作成。印刷にも共有にも便利!
テンプレートを活用しつつ、「うちの子専用」にちょっとアレンジするのがベスト。
無理せず・楽しく・手軽に作れる方法を選びましょう!
「やりがちNG例」に注意!作るときのチェックポイント
せっかく作ったソーシャルストーリーも、ちょっとしたミスで効果が半減してしまうことも…。
ここでは、よくあるNG例と改善ポイントを紹介します。
❌NG①:否定的な表現ばかり
例:「○○してはいけません」「○○しないようにしましょう」
→ ✅ 改善:肯定的な行動で伝える
「○○しようね」「○○できたらかっこいいね」といった表現が◎
❌NG②:イラストが多すぎてゴチャゴチャ
→ ✅ 改善:1ページ=1情報を意識!
視覚過敏や注意の散りやすい子には、情報量をしぼってスッキリ見せるのが効果的。
❌NG③:その子に関係のない設定
例:「○○くん」と他の子の名前が出てくる/知らない場所が舞台
→ ✅ 改善:「自分が主人公」になるような構成に!
“自分のこと”として捉えられないと、行動につながりにくいんです。
❌NG④:長すぎて飽きてしまう
→ ✅ 改善:2〜4ページ程度にまとめる/シリーズ化もあり!
1回で全部伝えようとせず、テーマごとに分けるほうが集中しやすい場合もあります。
「完璧に作らなきゃ」と気負わずに、まずは“伝わるかどうか”を意識して試してみることが大切です。
失敗しても大丈夫。その経験が“次に活かせるヒント”になります。
タイプ別に見る!発達特性に合わせた使い方の工夫
ソーシャルストーリーって「誰にでも使える支援法」ではありますが、実は“使い方のコツ”は子どもの発達特性によってかなり違います。
たとえば、同じ「友だちとケンカした」という場面でも、自閉スペクトラム症の子とADHDの子では理解のしかたも、響く表現もまったく違うんです。
ここでは、特に支援ニーズが多い3タイプの発達特性別に、効果的な使い方の工夫や配慮ポイントを具体的に解説していきます。
自閉スペクトラム症の子に合うストーリーの選び方とは?
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもにとって、「予測できないこと」や「曖昧な指示」はとてもストレスになります。
そのため、ソーシャルストーリーはまさに“安心材料”になりやすい支援方法です。
ただし、使い方にはいくつかポイントがあります。
「見通し」が持てる構成にする
⇒ 何が起こるのか、どうすればいいのかを順序立てて明確に伝えることがカギ。
例:「バスにのる → チケットをだす → すわる → ついたらおりる」
具体的な場面・言葉・行動で書く
⇒「いい子にする」よりも、「かおをみて、こんにちはといいます」など、“行動レベル”で書くことが伝わりやすい。
視覚的な安心感も重視する
⇒ イラストや実写写真、スケジュールカードなどを取り入れて、“見てわかる”サポートが効果的。
また、突然の予定変更などに備えて「予備ストーリー」も用意しておくと安心材料が増えます。
たとえば、「雨がふったらこうしようね」など、“例外のパターン”を事前に伝えておくのもおすすめです。
ADHDタイプにはこう使う!衝動をコントロールする工夫
ADHD(注意欠如・多動症)の子どもには、“衝動的に行動してしまう”ことや“気が散りやすい”特性があります。
ソーシャルストーリーを活用することで、「今どうすればいいのか?」を事前に思い出せるようにするのがポイント。
■短く・テンポよく・シンプルに!
⇒ 長いストーリーや複雑な流れは集中力が続きません。
2〜3ページで「問題→対処→結果」がパッとわかる構成がベストです。
「やっていいこと」に焦点をあてる
⇒ 「走らないで」よりも「てをつないであるこうね」など、“どうすればいいか”を伝える表現が効果的。
禁止よりも代替行動を提示するのがコツです。
身体を動かす前に読む習慣をつける
⇒ 教室に入る前や、給食準備などの「動きが多いタイミング」で事前に読むと、行動が落ち着きやすくなります。
“読む=スイッチを切り替える時間”として習慣化するのも有効です。
また、タイマーやイラスト付きスケジュールと一緒に使うと、視覚的にも「今なにするのか」がわかりやすくなって◎。
知的障害を伴う場合の配慮ポイントと成功のコツ
知的障害を伴う子どもの場合は、理解の段階や語彙レベルにあわせた「わかりやすさ」と「繰り返し」が特に重要になってきます。
ポイント①:シンプルな言葉と構成で
⇒ 難しい言葉や抽象表現は避けて、「ぼくは おはようと いいます」など、短い文+動作で表現すると効果的。
文章は1行〜2行程度が目安。
ポイント②:写真・実物・絵カードの併用
⇒ イラストだけでなく、本人の写真や実物の画像を使うと、理解しやすさが一気に上がります。
たとえば、本人の登園風景や実際に使うトイレの写真などが有効。
ポイント③:一緒に声に出して読む/まねする時間をつくる
⇒ 「よむ → まねする → できた!をほめる」という流れが、記憶の定着や達成感にもつながります。
また、一度で覚えるのは難しい子も多いため、同じストーリーを何度も繰り返すことで安心感と理解が育っていきます。
「続ける」「飽きさせない」「一緒に楽しむ」──この3つを意識して取り組むと、成功体験が積み重なりやすくなります。
まとめると:
- ASDの子には「見通し+具体的説明+視覚支援」
- ADHDの子には「短く・シンプルに」「代替行動」「読むタイミング」
- 知的障害がある子には「超シンプル+写真+繰り返し」
それぞれの特性に寄り添って工夫すれば、ソーシャルストーリーはその子の「わかる・できる・安心」の力強い味方になってくれます。
ソーシャルストーリーだけじゃない!他の支援法と組み合わせて効果倍増
ソーシャルストーリーって、それだけでも十分効果的な支援方法ですが、実は「他の支援ツールと一緒に使うことで、もっとわかりやすく・もっと伝わりやすくなる」んです。
特に、視覚支援やSST(ソーシャルスキルトレーニング)などとの併用は、療育や学校現場でも実践されている“鉄板の組み合わせ”。
ここでは、現場でも効果が高いとされる併用パターンや、家庭・園・支援機関と連携するコツまで、しっかり解説していきます!
「絵カード」「スケジュール表」とのベストな併用例
「ソーシャルストーリーを読んだけど、まだちょっと行動に結びつかない…」
そんなときは、「絵カード」や「スケジュール表」を併用してみるのがオススメです。
ソーシャルストーリーが“ストーリー仕立てで流れを理解する”ツールだとすれば、
絵カードやスケジュール表は“今やるべきことが一目でわかる”ツール。
つまり、理解と実行をつなぐ橋渡しになるんですね。
▼ たとえばこんな使い方が効果的!
- 朝の準備がテーマのストーリーを読んだあとに、スケジュール表で手順を確認
- 「おかたづけ」のストーリーに出てくるアイテムを、絵カードでも再確認
- 不安の強い子には、スケジュール表+ソーシャルストーリーのセットで“先が読める安心感”をつくる
また、「できたらカードをひっくり返す」などの視覚的フィードバックを取り入れると達成感も生まれやすいです。
ソーシャルストーリーで“全体を理解”、視覚支援で“実行をサポート”──この組み合わせは、特性のある子にとってとても相性がいいですよ!
SST(ソーシャルスキルトレーニング)との違いと使い分け
「ソーシャルストーリーとSSTって、同じじゃないの?」と思われる方も多いですが、実はこの2つ、役割や目的が少し違います。
▼ ソーシャルストーリーは…
- “読む”ことで安心感と理解を育てるツール
- 一人でも取り組めて、日常の不安や困りごとを事前に整理できる
▼ SST(ソーシャルスキルトレーニング)は…
- “実際に練習する”ためのプログラム
- ロールプレイやゲームを通して、コミュニケーションのスキルを体験的に学ぶ
つまり、ソーシャルストーリーは「知る・整理する」、SSTは「体験して定着させる」というイメージです。
たとえば…
- 「あいさつをする」ことをソーシャルストーリーで理解
→ SSTで実際に“あいさつのやりとり”を練習 - 「順番を守ることの大切さ」をストーリーで納得
→ SSTで“並んで待つ”場面をロールプレイ
こんなふうに、両方を上手に組み合わせると、理解+実践の相乗効果で定着率がグッと上がるんです!
家庭・園・支援機関と連携することで効果は倍増する
実はこれ、とても大事なポイントです。
どんなに良いストーリーを用意しても、家庭だけ/園だけ/療育だけ、の“単発の支援”では効果が分散してしまいがち。
逆に、関わる大人たちが“同じ方向を向いて連携できる”と、子どもはびっくりするほど安心して行動しやすくなります。
▼ 具体的にできる連携方法はこんな感じ!
- 家庭で使っているソーシャルストーリーを園に共有する(逆もアリ)
- 支援者や先生と一緒に内容を見直したり、使い方の工夫を相談する
- 連絡帳やノートに「今日は○○のストーリーを読みました」「こんな反応でした」と記録し合う
さらに、可能であれば「共通の支援ファイル」や「保護者・支援者の共有アプリ(例:コドモンなど)」を使うと、やりとりがスムーズになります。
子どもにとって、支援がつながっているという感覚は大きな安心感。
「どこでも同じ対応をしてくれる」「わかってもらえてる」と感じられることで、行動にも安定感が出てきます。
まとめ:組み合わせと連携で、ソーシャルストーリーはもっと効果的に!
- 絵カードやスケジュール表とセットにすれば、“理解+実行”の流れが作れる!
- SSTとの使い分けで、“納得+練習”のバランスが整う!
- 家庭・園・療育でつながれば、“安心+一貫性”が生まれる!
ソーシャルストーリーを「一人でがんばる支援」から、「みんなで支える支援」へ。
そのひと工夫が、子どもたちの行動変化にしっかりつながっていきます。
実際どうだった?ソーシャルストーリーのリアル体験談
ここまで読んできて、「理屈はわかったけど、実際どうなの?」と思っている方も多いはず。
そんなあなたのために、実際にソーシャルストーリーを使ったご家庭の“リアルな体験談”をご紹介します。
「まったく効果がなくて途方に暮れた…」というスタートから、工夫と試行錯誤を経て“見違えるほど変化した”という声まで、さまざまなストーリーがあります。
中には、SNSでバズった“手作りストーリー”の紹介も!
実際の声を聞くことで、きっとヒントや勇気がもらえるはずです。
「全然効かなかった…」から「劇的に変わった!」までの改善例
5歳・自閉スペクトラム症の男の子(ママの声)
「最初はネットにあった“おともだちと仲良くしよう”的なストーリーを見せていましたが、まったく反応なし。むしろ嫌がって破られました(笑)」
そこから、“本人の名前を入れて”“困っている具体的な場面だけに絞った”ストーリーに作り直したところ、2週間後には、自分から『かして』が言えるように!
ママいわく、「その子の視点に立って作り直しただけで、ここまで変わるのかと驚いた」とのこと。
内容とタイミングを見直したことが成功のカギだったそうです。
小1・ADHD傾向の女の子(支援員の声)
「教室に入るときに走ってしまう子で、注意してもなかなか変わらなかったんです。でも、ソーシャルストーリー+イラスト付きルールカードを組み合わせたら徐々に落ち着いてきて…」
最初は“走らないように”という否定形で書いてしまったそうですが、
「ゆっくりあるいて はいると みんなが びっくりしないよ」と肯定形に変更したら、効果が出たとのこと。
“どうすればいいか”を具体的に書いたことで、行動に落とし込めた成功例です。
中学生・知的障害を伴う男の子(放デイ職員の声)
「バスの乗り降りでトラブルが多くて困っていた子。本人の写真と“バスでのマナー”を一つずつ絵本のようにまとめたオリジナルストーリーを作りました」
それを毎日出発前に読んで習慣づけしたところ、1ヶ月後には支援員の声かけなしでも、静かに座って乗れるように。
「写真で“自分がどうすればいいか”を見せたことが大きかった」と話されていました。
SNSで話題!ママたちが作った“手作りソーシャルストーリー”公開
最近では、InstagramやX(旧Twitter)で、実際に家庭で使われている手作りソーシャルストーリーが話題になっています。
その中から、特に反響が大きかった投稿をご紹介!
@ritto_mama さんの投稿(Instagramより)
「お風呂イヤイヤ期の息子に、自分で描いた“おふろにいこうストーリー”を作って見せたら、3日で入れるようになった!」という投稿に、ママたちから大反響。
・絵はシンプルな棒人間
・内容は「おふろに はいる → あらう → でる」だけ
それでも、“親が手作りした”という愛着と、シンプルさがハマったという実例です。
@asuka_soudan さんの投稿(Xより)
「登園前の不安が強い息子に、“明日の朝のながれ”をマンガ風に描いて貼っただけで、泣かなくなった」というポストが3万いいね超え。
マンガの内容は、
- 起きる
- ごはん食べる
- 着替える
- 行く
といったシンプルな4コマ形式。
「時間割のような使い方がすごく合っていたみたい」とコメントされていました。
SNSにアップされているストーリーを見ていると、「凝ったデザイン」「完璧な構成」でなくても、“その子に合っていれば効果が出る”というのがよくわかります。
「絵が苦手でもOK」「手書きでも十分」「シンプルが一番効く」
──そんなリアルなママたちの声が、ソーシャルストーリーの可能性を物語っています。
まとめると:
- 最初はうまくいかなくても、“見直し+本人に合った工夫”で劇的に変わることが多い
- 写真・イラスト・時間割・音声読み上げなど、伝え方の工夫がカギ
- SNSの実例から学ぶヒントもたくさん!完璧じゃなくて大丈夫。
次はぜひ、あなたのご家庭のオリジナルストーリーを試してみてくださいね。
気になるギモンを一気に解決!よくある質問Q&A
ここでは、ソーシャルストーリーについて実際によく寄せられる“疑問あるある”をまるっと解決!
「やってみたいけど不安…」「うちの子にも合うかな?」と感じている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
Q1:何歳くらいから使える?
目安としては3歳頃からが多いですが、実際は「年齢」よりも「理解力」が大事です。
文章が読めなくても、イラストや写真を中心に構成すれば、2歳台でも活用できるケースがあります。
また、発達に遅れのあるお子さんの場合は、年齢より下の理解レベルに合わせた内容に調整することがポイント。
逆に、小学生以上や中高生、大人向けのソーシャルストーリーもありますよ。
「その人にとってわかりやすい形」で作ることができれば、年齢の制限はありません。
Q2:読めない子にも使える?
もちろん使えます!
というか、むしろソーシャルストーリーはもともと、「言葉だけでは理解しづらい子」のために開発された支援法なんです。
文字が苦手な子には、
- 写真やイラスト中心で構成する
- 音声読み上げを活用する(親が読む/タブレットや録音音声でもOK)
- 実際にまねしながら読む(模倣)
など、いろんなアプローチが可能です。
視覚+聴覚+身体感覚を組み合わせると、より理解が深まることも。
「読めないから使えない」と思わずに、形を工夫すればしっかり効果が出せます!
Q3:家庭だけで使って大丈夫?
はい、家庭だけでも十分活用できます。
実際に、多くの保護者が自宅での「困りごと場面」に合わせてオリジナルストーリーを使っています。
たとえば、
- 朝の支度
- トイレトレーニング
- 病院に行くとき
- スーパーで静かにする
……など、日常生活の中の“プチ課題”にピンポイントで使えるのが魅力。
ただし、園や学校、療育など他の支援機関と連携できるなら、もっと効果的。
同じストーリーを共有したり、支援の方向性を統一することで、子どもがどの場面でも“安心して同じ行動ができる”ようになります。
Q4:効果が出るまでにどれくらいかかる?
これは子どもによってかなり個人差がありますが、早ければ“数日〜1週間”で変化を感じるケースも。
ただし、「すぐに劇的な変化!」というよりは、“じわじわと定着していく”イメージが近いです。
特に以下のようなパターンは、効果が出るまでに少し時間がかかる傾向があります。
- 新しい環境に慣れていない
- 不安が強く、行動のハードルが高い
- 一度定着した“こだわり行動”がある
でも大丈夫。毎日コツコツと読み続けているうちに、ふと「変わったかも」と気づける瞬間がやってきます。
ポイントは「焦らず、繰り返すこと」。
習慣のように使っていくと、子どもの中で“行動の選択肢”として自然に定着していくことが多いです。
Q5:「飽きた」と言われたらどうすれば?
あるあるですね(笑)
同じ内容を何度も読むことで“見通し”や“安心感”を得る子もいれば、「またこれ〜?」と飽きやすい子も。
そんなときは、以下の工夫が効果的です:
- イラストや表紙だけを変えて「新作感」を出す
- 子ども自身が選べるように2〜3種類のストーリーを用意
- シリーズ化して「今日はこれ!」とゲーム感覚にする
- キャラを登場させて、“自分以外の誰かの話”として読む
また、子どもと一緒に「絵を描く」「読む順番を考える」といった共同作業にすると、飽きづらくなります。
“参加型”にすると、ぐっと興味が続きやすくなるんですよね。
もし飽きたとしても、それは「理解が進んだサイン」でもあります。
そのときはステップアップした内容や次のテーマに移るタイミングかも。
まとめ:ソーシャルストーリーの“疑問あるある”は、実は全部「工夫」で乗り越えられる!
「ソーシャルストーリー、うちの子には合わなかったかも…」
そう思った方へ、この記事では“なぜ効かないのか?”という原因と、そこからどう改善すればいいかを、具体的な視点でたっぷりお伝えしました。
改めて、ポイントを振り返ってみましょう。
ソーシャルストーリーが効かない主な理由は…
- 内容が本人に合っていない
- 理解レベルや発達特性にマッチしていない
- 読むタイミング・関わり方が適切でない
- 支援のやり方が一方的だったり、自己流になっている
効果を引き出すためのコツは…
- “その子にとってのリアル”に寄り添ったストーリーづくり
- 短く、わかりやすく、具体的に!
- 視覚支援やSSTなど、他の支援と組み合わせて“わかる”をサポート
- 保育園・学校・支援機関と連携して、安心のパターンを共有すること
実際に効果が出たリアル体験談も多数!
- 「まったく効果がなかった」状態から、工夫で見違えるように改善した事例
- SNSで注目された“手作りソーシャルストーリー”のアイデアもたくさん
よくあるギモンもクリアに!
- 何歳からでもOK!読めない子でも使えます
- 家庭でも実践できるし、連携すれば効果はさらにアップ
- 「飽きた」対策もあるから安心
最後に──「効かない」から「効いた!」へ、あきらめずに続けてみよう
ソーシャルストーリーは魔法のツールではありません。
でも、その子に合った形で丁寧に続けていけば、じわじわと行動が変わり、関わりがスムーズになっていく、とても心強い味方です。
大切なのは、「子どもを知ること」そして「伝え方を変えてみること」。
あとは、焦らず・コツコツ・楽しみながら取り組んでいくだけです。
この記事が、「効かない」と感じていたあなたにとって、次の一歩を踏み出すきっかけになればうれしいです。
一緒に、子どもたちの“わかる・できる・安心できる”毎日をつくっていきましょう!
以上、【効果ない?ソーシャルストーリーが効かない原因と対処法を徹底解説】でした。
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