【初心者向け】学習障害とは?発達障害との違いをわかりやすく解説
「学習障害(LD)」という言葉を初めて聞くと、なんとなく難しそうに感じるママさんも多いと思います。でも大丈夫。ここでは、できるだけ専門用語を使わずに、これだけ読めば“だいたいの全体像がつかめる”ように、やさしく解説していきますね。
まず知っておきたいのは、学習障害は“知能”とは関係がないということ。
お子さんの性格や育て方が原因ではありませんし、「頑張っていない」というわけでもありません。
簡単に言うと、
“読む・書く・計算する”といった特定の学習の部分だけが苦手になりやすい特性
のことを指します。
そして、学習障害は「発達障害」のグループに含まれますが、
自閉症スペクトラム(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)とはちょっと特徴が違います。
ASDはコミュニケーションの難しさ、ADHDは注意や多動の特性が中心ですが、
学習障害は“学習そのもの”の一部分が苦手になるタイプ。
つまり、
「同じ発達障害でも、困りごとの種類がぜんぜん違う」
というイメージのほうが分かりやすいかもしれません。
学習障害(LD)とは|発達障害との違いが一目でわかる基本ガイド
学習障害は、医学的には「特異的学習障害」という名前で説明されることがあります。
ちょっと固い名前ですが、意味はシンプル。
知的発達には問題がないのに、特定の学習だけで大きくつまずく状態
のことを言います。
ここでポイントになるのが、
「全体的にできない」わけではなく、“一部分だけが苦手”というところ。
たとえば、
- ひらがなは読めるのに、文章になると急に難しくなる
- 話すのは上手なのに、書くとなるとうまくいかない
- 数は数えられるけど、計算になると手が止まる
こんなふうに、「得意と苦手の差」がはっきり出ることが多いんです。
そしてもうひとつ大事なのが、
学習障害は「見た目」では分かりづらいという点。
教室で困っていても、周りから見ると「なんでできないの?」と誤解されやすく、
子ども自身もつらさを抱え込みやすいところがあります。
また、ASD(自閉症スペクトラム)やADHDと一緒に見られることもあります。
特性が重なると、読み・書き・計算のつまずきがより目立ちやすくなることも。
だからこそ、
「発達障害の中でも、どの部分に困りごとがあるのか」を丁寧に見ることが大事
なんですね。
学習障害の3タイプ|ディスレクシア・ディスグラフィア・ディスカリキュリアを簡単に理解
学習障害には、大きく分けて3つのタイプがあります。
ここを知っておくと、お子さんがどんなところでつまずきやすいのか、ぐっと分かりやすくなります。
① 読むことが苦手:ディスレクシア(読字障害)
ディスレクシアは、3タイプの中でも特に知られている特性です。
- 文字の形を覚えにくい
- 文章になると読むスピードがガクッと落ちる
- 読んでも内容が頭に入りにくい
といった特徴があります。
「努力してないんじゃない?」と思われがちですが、
実際は頑張っていても、文字を認識したり処理するスピードに時間がかかるだけなんです。
“読めない”のではなく、“読むのにものすごくエネルギーが必要”
というイメージが近いです。
② 書くことが苦手:ディスグラフィア(書字障害)
ディスグラフィアは、読みよりも「書く」ことに困りごとが出るタイプ。
- 字形が安定しない
- 力の入れ方がうまくいかない
- 書くスピードが極端に遅い
- ノートに板書が写せない
といった特徴があります。
単に「字が汚い」というよりも、
「頭の中で思っていることを、手で表すのが難しい」
という状態です。
書く作業が苦痛すぎて、学習全体がイヤになる子も多いため、
早めにサポートしてあげると勉強のしんどさが大きく変わります。
③ 計算が苦手:ディスカリキュリア(算数障害)
算数がとにかく苦手で、
- 数の大きさの感覚がつかみにくい
- 桁の “位” が混乱する
- 計算の手順が覚えにくい
- 図形や時計の読みが難しい
といった特徴がよく見られます。
算数は「抽象的な理解」が多い教科なので、
“見えないルール”をつかむのが苦手だと一気に難しく感じやすい
という背景があります。
幼児期〜小学生の“気づきのサイン”|学習障害チェックリスト付き
学習障害は、小学校入学前から「なんとなく気づけるヒント」が現れることがあります。
もちろん、これに当てはまったからといってすぐに学習障害というわけではありません。
ただ、“早めに気づけると、お子さんの伸び方が大きく変わる”ことも事実です。
ここでは、日常で「ちょっと気になるかも?」と思う場面を、やさしいチェックリストとしてまとめました。
幼児期に見られやすいサイン
- 文字の形を覚えるのにとても時間がかかる
- 言葉の音を聞き分けるのが苦手(例:さ→しゃ)
- 図形のパズルが極端に苦手
- 指示を聞くとき「一つ目だけ」しか覚えていない
- リズムに合わせて動くのが苦手
小学校低学年で見られやすいサイン
- 音読をするとすぐ疲れてしまう
- 文章を読むときに、行を飛ばす
- 板書するスピードが極端に遅い
- 書いている字が不自然に小さい・大きい
- 繰り上がり・繰り下がりがなかなか覚えられない
- 時計の読みがずっと苦手
「これは気をつけたい」チェックポイント
- “努力しているのに成果が出ない”状態が続いている
- 嫌がるのではなく“苦しそうに見える”学習場面がある
- 得意なことと苦手なことの差がとても大きい
これらにいくつか心当たりがある場合、
「もしかしたら特性があるかも?」と考えておくと、お子さんの負担を減らすヒントになります。
【原因を知る】なぜ学習障害が起こる?脳の特性をわかりやすく解説
学習障害(LD)と聞くと、「どうして起こるんだろう?」「うちの子だけなのかな?」と心配になるママさんは本当に多いです。でも、知れば知るほど、じつはそんなに“異例なこと”ではありません。
まず大切なのは、
学習障害は「脳の情報処理のやり方がちょっと違うだけ」
だということ。
病気でもなければ、親の育て方ともまったく無関係です。そして、子ども本人が怠けているわけでもありません。
私たちも、大人になってから「メモのほうが覚えやすい」「耳で聞くより目で読んだほうがわかりやすい」といった“自分の得意・不得意”がありますよね。それと同じように、子どもにも“情報の受け取り方のクセ”があるのです。
ここでは、そのクセがどんな仕組みで起こるのかを、できるだけやさしく説明していきます。
脳の情報処理の特性とは|視覚・聴覚・ワーキングメモリの違い
学習障害の多くは、脳の中で情報を処理する“ルート”にちょっとした違いがあることで起きると考えられています。
人はだれでも、
- 目で見て理解するタイプ(視覚)
- 耳で聞いて理解するタイプ(聴覚)
- 頭の中でいくつかの情報を同時に扱う力(ワーキングメモリ)
などの得意・不得意があります。
学習障害の子どもは、このどれか、あるいは複数の部分で 「情報処理の負担が大きい」 ということがよくあります。
視覚の処理(見て理解する力)
視覚処理が苦手だと…
- 文字の形の区別が難しい
- 行を飛ばす
- ノートのマス目がうまく使えない
などの“読み・書き”のつまずきが出やすくなります。
ただし、視力が悪いという意味ではありません。
見た情報を「どのように理解するか」の部分に特徴がある、というイメージに近いです。
聴覚の処理(聞いて理解する力)
聴覚処理が苦手だと…
- 指示を聞いても一部しか覚えられない
- 音の聞き分けが苦手
- 読み上げを聞いても内容が入ってこない
ということが起こりやすくなります。
これは、耳が聞こえにくいという話ではなく、聞こえた音を“どうまとめるか”が苦手ということなんです。
ワーキングメモリ(聞いたり見たりした情報を一時的に保つ力)
ワーキングメモリが弱い場合…
- 「3つのことを順番にやってね」が難しい
- 繰り上がり・繰り下がりの計算が混乱する
- 板書を丸写しするのに時間がかかる
などが起こります。
簡単に言えば、
「頭の中のメモ帳に書ける量がちょっと少ない」
というイメージ。
これが理解できると、「できない理由」がスッと分かるママさんはとても多いです。
遺伝・環境は関係ある?よくある誤解と本当の原因
学習障害についてよく聞かれるのが、
- 遺伝は関係あるの?
- 育て方や家庭環境が原因になるの?
という質問。
結論から言うと…
- 遺伝は“多少は影響することもある”と言われている
- でも育て方や環境が直接の原因ではない
というのが科学的にわかっている部分です。
遺伝は“可能性のひとつ”程度
「家族の中に読み書きが苦手な人がいると、子どもにも出やすい」というデータがあり、遺伝的要因が関係する例もあります。
でもこれは、
“100%決まるものではない”
というのが大事なポイントです。
「似ることもある」くらいのゆるいイメージでOKです。
家庭環境や育て方は原因にならない
昔は「練習不足」「親の教え方が悪い」という誤解がありましたが、現在は完全に否定されています。
- ママがどれだけ丁寧にかかわっても
- 一生懸命教えていても
学習障害がある子は、やっぱり同じ部分でつまずきやすいことが多いです。
つまり、
ママのせいではないし、子どもの努力不足でもない
ということなんです。
この事実を知っただけで、「なんだ、そうだったんだ…」と安心される方が本当に多いので、ここはぜひ覚えておいてください。
IQとは無関係|賢さとは別の“脳のくせ”が影響する理由
学習障害について、もう一つよくある誤解が、
「頭が悪いからじゃない?」
というもの。
もちろん、これはまったくの誤解です。
学習障害は、IQ(知能指数)とは無関係。
IQが高くても学習障害があることは普通にあります。
「賢さ」と「読み書き・計算のしやすさ」は
完全に別の力なんですね。
“脳のくせ”が原因
読み書きや計算は、一見すると簡単そうですが、脳の中では多くの処理を同時に行っています。
- 文字を認識する
- 音と結びつける
- 意味を理解する
- 手を動かす
- 数字のルールを思い出す
- 手順を頭の中でキープする
など、意外とたくさんの工程が必要。
そのどこかに “自分だけのくせ” があると、特定の学習だけが苦手になることがあるんです。
例えるなら…「スポーツの得意不得意」
ある子は走るのが速いけど、ボールを投げるのは苦手、
ある子は跳ぶのは得意だけど、長く走るのはしんどい。
それと同じで、
学習も「得意の方向」と「苦手の方向」があるだけ。
だから、学習障害は「能力の不足」ではなく、
“脳の得意・不得意のパターン”
と理解するのがいちばんしっくりきます。
【困りごと実例】学校・家庭でよくある学習障害の特徴とつまずきポイント
学習障害(LD)の子どもたちは、普段の生活ではとても元気で、会話も上手、理解力もある子が多いです。それなのに、いざ学校の課題になると、「どうしてここだけ?」という部分でつまずくことがあります。
ママとしては、
「やればできるはずなのに…なんで?」
「他の子よりも時間がかかるのはどうして?」
と心配になりますよね。
でも、そこにはもちろん理由があります。
学習障害の困りごとは、
“努力不足”ではなく、“情報処理の得意・不得意の違い”
から起こっています。
ここでは、学校で多い3つのつまずきを、できるだけ分かりやすく説明していきます。
読みの困難(ディスレクシア)|音読が苦手・読み飛ばしが多い理由
ディスレクシア(読字障害)は、学習障害の中でも特に気づかれやすいタイプです。
でも気づかれる理由は、「できないことがハッキリ見える」からなんですね。
ディスレクシアの子がよく見せるサインはこんな感じです:
- 音読すると極端にスピードが遅い
- 行を読み飛ばす
- 文章を読むと意味が頭に入ってこない
- 漢字の読みが覚えられない
- 同じ段落を何度も読んでしまう
これを見ると「読めないのかな?」と思われがちですが、この背景には…
文字を“読むための処理”に時間がかかる
という特徴があります。
大人でも、急に難しい外国語を読まされたらどうでしょう?
読むだけで精いっぱいで、内容なんて頭に入りませんよね。
ディスレクシアの子どもは、
日本語でも“外国語を読むような状態”
になっていることがあります。
そのため、
- 文章の内容が理解できない
- 読みながら疲れてしまう
- 読む=苦手=やりたくない
という悪循環が起こることも。
これは“怠けている”のではなく、
脳が読みを処理するときにエネルギーをたくさん使うから
なんですね。
書くことの苦手(ディスグラフィア)|字が汚い・板書できない背景
「字が汚い」「書くのが遅い」というのは、小学校でとても目立ちやすい困りごとです。
でも、ディスグラフィア(書字障害)の子の場合、
これは単なる“字が雑”とか“集中力がない”という問題ではありません。
ディスグラフィアでよく見られる特徴:
- ノートのマス目に合わせて文字を書けない
- 書くときに手がすぐ疲れる
- 一文字ずつは書けるけど文章になるとグチャグチャ
- 板書がとても遅い
- 書き写しでミスが多い
これらは、次のような理由が関係しています。
書くための“目と手の連動”がうまくいきにくい
文字を書くときは、
- 形を思い出す
- バランスを取る
- 手を動かす
- 位置をそろえる
といった多くの工程が必要です。
でもディスグラフィアの子は、この工程のどこかでエネルギーをたくさん使うため…
書く=とても疲れる作業
になってしまいます。
そのため、板書が間に合わなかったり、書く作業にイヤな気持ちが積もってしまったりします。
ママが想像する以上に、子どもにとっては大変な作業なんですね。
計算のつまずき(ディスカリキュリア)|数の理解が難しい原因とは
算数は大人になっても苦手な人が多いですが、ディスカリキュリア(算数障害)の子は、 “苦手”というレベルではなく、「数そのものがつかめない」ことがあります。
よくあるサイン:
- 10より大きい数字になると混乱しやすい
- 桁の理解ができない(1のくらい・10のくらい)
- 繰り上がり・繰り下がりが覚えられない
- 計算の手順をすぐ忘れる
- 時計がいつまでたっても読めない
算数というのは、途中でつまずくと、次の単元がどんどん分からなくなる教科です。
では、なぜこんなに難しく感じるのでしょうか?
数字には「見えないルール」が多いから
たとえば、
- 3+4=7 という単純計算
- 1のくらい→10のくらいという概念
- 数を並べるときの「大きい・小さい」
- 図形の基本的な性質
など、ほとんどが“目に見えない理解”を必要とします。
ディスカリキュリアの子は、
この“目に見えないルール”をつかむのが難しい
ため、計算全体が分かりにくくなるんです。
「計算できない」のではなく、
「数のイメージをつくるところ」でつまずいている
というのが本当の理由なんですね。
努力しても成果が出にくいワケ|情報処理の苦手さを図で理解
とこ君『もっと頑張りなさい!』って言われるけどさ、
本人的には“すでに全力疾走中”ってこともあるんだよね?



そのとおり。学習障害のある子は、スタート地点からハードルが多いコースを走らされている感じなの。



普通の子:ハードル2個
LDの子:ハードル5〜6個
みたいなイメージね。



それじゃあ、同じゴールに着くまでの体力の消耗が全然ちがうね…。



そうなの。だから“やる気がない”ように見えても、
実は見えないハードルを越え続けてヘトヘトなことも多いのよ。



うわ…それ聞いたら、『もっと頑張れ!』より
『よくここまでやったね!』って言いたくなるね。
学習障害の子どもに共通しているのが、
「こんなに頑張っているのに、結果がなかなか出ない」
という状態。
ママとしては、努力している姿を見ているからこそ、つらく感じることもありますよね。
でもこれは、子どもが悪いわけではなく、
脳の処理の中で“負担が大きい場所”があるからなんです。
たとえば、次のような“見えないハードル”があります。
読みの子のハードル
- 文字を認識
- 音と結びつける
- 単語として理解
- 文として理解
- 内容をイメージ化
→ 1つでも苦手な場所があると、一気に読みにくくなる
✔ 書く子のハードル
- 文字を思い出す
- 手の力加減
- 位置をそろえる
- 行をそろえる
- スピードを保つ
- 内容を考える
→ 同時に処理しなきゃいけない量が多すぎる
計算の子のハードル
- 数のイメージ
- 桁の理解
- 手順の保持
- 暗算の記憶
- 計算操作
- 答えを記入
→ 工程が飛ぶと、すべてが崩れてしまう
こうして見ると、
「努力していないからできないのではない」
ということがよく分かりますよね。
学習障害の子は、普通の子よりも
「学習に使うエネルギー量がとても多い」
という視点が、とても大切です。
【家庭でできる支援】学習障害の子が伸びる“おうち学習”の工夫まとめ
学校での学習が難しいと、つい「家でもやらなきゃ!」とプレッシャーを感じてしまうママさんもいると思います。でも実は、学習障害のお子さんにとって大事なのは、量よりも “やり方” と “環境” なんです。
お家でできる支援は、がんばらせる学習ではなく、
「できるように手助けする工夫」
に変えていくことがポイント。
ここでは、読み・書き・計算の3つの苦手さに合わせて、家庭でできる支援方法をやさしくまとめました。
読みが苦手な子への家庭支援|ディスレクシア向け練習とICT活用法
ディスレクシア(読字障害)のお子さんには、“読みの練習を増やす”よりも、
「読みやすい状態をつくる」ことが一番大切 です。
読みが苦手な子は、文字そのものを理解するのにエネルギーを使うため、長文になるとすぐに疲れてしまいます。ここを無理にさせてしまうと、嫌いがどんどん強くなることも…。
そこでオススメなのが次の方法です。
① 指でなぞり読みをする
行を飛ばしやすい子は、指や定規で文字を追うだけで読みやすくなります。
- 行を見失わない
- 文字に集中しやすい
- 読むスピードが安定
などの効果があります。
② 文章を短く区切る
「一段落読んで!」ではなく、
- 1文だけ
- 短いワンセンテンス
- カード形式
にすると負担が大きく変わります。
③ 読み上げ機能(ICT)を活用する
今はスマホ・タブレットで文章を読み上げてくれる機能がたくさんあります。
ディスレクシアのお子さんにとって、
- 内容理解がラクになる
- 苦手な“読む”負担を減らせる
- 本の世界を楽しむきっかけになる
などのメリットが大きいです。
「読む」の練習ではなく、「内容を理解する手段」を増やすことが大事
という考え方ですね。
書字が苦手な子のサポート|ディスグラフィアに効果的な練習と便利アイテム
ディスグラフィア(書字障害)の子どもにとって、“書く”ことは大人が想像する以上にしんどい作業です。そこで、お家では負担をできるだけ減らしながら、必要な力をゆっくり育てていくことがポイント。
① マス目ノートを使ってバランスをつかみやすくする
マス目がガイドになって、文字の位置がそろいやすくなります。
特に 10mm以上の大きめマス は使いやすいです。
② 太めの鉛筆や三角鉛筆を使う
細い鉛筆は力加減が難しく、すぐに手が疲れます。太い鉛筆や三角鉛筆は、
- 持ちやすい
- 力加減しやすい
- 疲れにくい
というメリットがあり、書字が安定しやすくなります。
③ 運筆トレーニングで手の動きを育てる
いきなり文字を書くより、
- ぐるぐる線
- なみ線
- まっすぐ線
など、手の動きそのものを育てる練習がとても効果的です。
運筆が安定すると、「書くことのしんどさ」が一気に減ります。
④ タブレット入力を取り入れる
学校でもICTが普及してきたので、
無理に書かせすぎず、「書く以外の方法」も用意してあげるのは立派な支援です。
- 宿題の一部をタブレットで入力
- 調べ学習は音声入力でOK
- 板書は写真で保存
など、“できる形”に合わせるだけで、自信が戻ってくる子も多いです。
計算が苦手な子の家庭学習|ディスカリキュリア改善に役立つ教材・アプリ
ディスカリキュリア(算数障害)の子どもは、「数のイメージ」が育ちにくいことがあります。
そのため、筆算や文章問題はもちろん、時計や図形でもつまずきが出やすいです。
ポイントは、
抽象的な数字を、できるだけ“目に見える形”に変えること。
① ブロックやおはじきで「数の大きさ」を可視化
- 1はこれだけ
- 10はこのぐらい
- 100はもっと大きい
というイメージがつかみやすくなります。
数が苦手な子にとって、こうした“見える化”はとても大きな助けになります。
② 筆算の手順を視覚化する
- 色分け
- 手順カード
- 1つずつ順番を見える形にする
など、「何からやればいいか」を明確にすると、計算がまとまりやすくなります。
③ 学習アプリを活用する
算数アプリは、
- 正解したときの達成感が大きい
- 自動でフィードバックしてくれる
- 苦手なレベルだけ練習できる
など、算数が苦手な子にとってメリットだらけです。
特に「ゲーム感覚のアプリ」は楽しみながら学べるので、
“算数=イヤなもの”というイメージが変わりやすいですよ。
無理にやらせない学習環境づくり|“できる仕組みづくり”のコツ
最後に、どのタイプの学習障害でも共通して大切なのが
“無理にやらせない仕組みづくり”です。
子どもが苦手なことに取り組むときは、
ただでさえストレスや疲れが溜まりやすいもの。
そこで、次のような工夫が効果的です。
① 1回5分のミニ学習でOKにする
長時間の勉強は、苦手なお子さんほど逆効果。
短く・軽く・成功しやすく が鉄則です。
「5分だけね」と区切るだけでも、
- 集中しやすい
- 達成感がある
- 続けやすい
というメリットが生まれます。
② 成功体験をたくさん作る仕掛けをつくる
学習障害の子にとって、
“できた!”という感覚が学習意欲を支える大きな力になります。
- できそうな問題を最初に出す
- すぐ褒める
- ごほうびカレンダーを使う
など、小さな工夫で効果が変わります。
③ 「やりやすい形」を選ぶことを大切にする
書くのが苦手な子 → タブレット
読むのが苦手な子 → 読み上げ機能
計算が苦手な子 → 具体物を使う
など、
“その子が理解できる方法で学べればOK”
というスタンスがとても大事です。
勉強は「方法」に正解はありません。
お子さんが負担なく理解できる形で学べるなら、それが一番の近道なんですね。
【声かけのコツ】学習障害の子が安心できる親の関わり方&メンタルケア
学習障害のある子どもは、学校や勉強の場面で、どうしても「失敗」を経験しやすくなります。周りのお友だちには簡単にできることでも、自分だけうまくいかない。
それが続くと、「もうやりたくない」「どうせできないし…」 と気持ちが沈んでしまうこともあります。
だからこそ、ママやパパの声かけは、とても大きなエネルギーになります。
「完璧な声かけをしなくちゃ」と思う必要はまったくありません。
ただ、少しだけ意識を変えるだけで、子どもの心がふっと軽くなることがたくさんあるんです。
ここでは、今日からすぐに使える“やさしい関わり方”を紹介します。
子どもが傷つかない声かけ|“どうしてできないの?”を言わない理由
勉強でつまずいている姿を見ると、つい言ってしまいがちな言葉。
それが 「どうしてできないの?」 です。
これ、ママに悪気がないのはもちろん分かっています。
「原因を知りたい」「ヒントを出したい」という気持ちから出る言葉なんですよね。
ただ、学習障害のある子どもにとって、この言葉は胸にグサッと刺さりやすいんです。
理由①:本人が“どうしてできないか”を一番わからないから
子どもたちは決してサボっているわけではありません。
できない理由が自分でも分からず、むしろ不安を抱えていることがほとんど。
そこに「どうして?」と言われると、
“自分が悪いんだ…” と受け取ってしまいやすい んですね。
理由②:「責められている」と感じやすい
「どうして?」という言葉は、責める意図がなくても、
“あなたが悪い”というニュアンスで伝わってしまうことがあります。
ママが想像している以上に、子どもの心は繊細なんです。
理由③:子どもが“黙ってしまう”きっかけになる
学習障害の子どもは、失敗体験が積み重なると、
自分の気持ちを話すことが苦手になります。
そこで責められたように感じると、
「もう話さないほうがいいや…」
と心を閉ざしてしまうことも。
代わりに使える魔法の声かけ
- 「ここまでできたね!」
- 「どこで困ってるか一緒に見つけようか」
- 「このやり方、やりにくかったかな?」
- 「どうしたらやりやすいかな?」
これらは責めずに状況を共有できる言葉。
子どもが安心して「助けてほしい」と言える関係が育ちます。
得意を伸ばす関わり方|小さな成功体験が意欲につながる仕組み
学習障害のお子さんの成長で何より大事なのは、
“成功体験を積み重ねること” です。
人は、苦手よりも “できた!” という経験のほうが、自信につながりやすいんですね。
でも学習障害の子どもは、普通のやり方だと成功体験が得にくく、
自信がなくなってしまいやすいんです。
だからこそ家庭では、ちょっとした工夫で成功体験を積ませてあげるのが効果的。
① “できるレベル”から始める
大人から見ると簡単すぎるような問題が、子どもにとってはちょうどよいことがあります。
- 1行だけ読む
- 1問だけ計算する
- 1文字だけ練習する
とにかくハードルを低くするのがコツ です。
② できた瞬間に“即ほめ”する
- 「お、今の良かったね!」
- 「スムーズに読めたじゃん!」
- 「一文字すごく丁寧に書けてる!」
など、細かいポイントでOK。
成功体験が積み重なると、
「もっとできるかも」 という前向きな気持ちが育っていきます。
③ 得意分野をしっかり伸ばす
“得意を伸ばす”ことは、学習能力とはまた別の意味でとても重要です。
- 友だちとうまく遊べる
- 絵が好き
- パズルが得意
- スポーツが得意
どんな小さなことでもOK。
得意なことがある子は、苦手なことに挑戦する力が高まりやすいんです。
得意を支えることは、苦手克服のための土台づくりでもあります。
兄弟間の比較・周囲の言葉の対処法|ママの心を守る考え方
学習障害があると、どうしても兄弟や周りの子と比べてしまう瞬間が出てきますよね。
「妹はすらすら読めるのに…」
「同じ歳の子はもうここまでできてるのに…」
こういう気持ちは、誰が悪いわけでもなく、
自然に浮かんでしまうもの なので、責めなくて大丈夫です。
でも、その気持ちを抱え続けると、ママがとてもつらくなってしまいます。
そこで、心が少し軽くなる考え方をいくつか紹介します。
① 子ども同士のスタートラインは“全員バラバラ”
子どもの発達は本当にデコボコです。
- 早くできる子
- ゆっくりの子
- 得意分野が強い子
どれも個性で、スタートラインは同じではありません。
比較すればするほど見えなくなるのが、
“その子だけのペース” です。
② 周りの言葉は「情報」ではなく「ノイズ」として扱う
時々、周りの人から心ない言葉が来ることもあります。
- 「もっと練習させたほうがいいよ」
- 「そのくらい普通できるでしょ」
こういう言葉は、ママを傷つけるだけで、役に立ちません。
そんなときは、心の中で
「あ、これはノイズだな」
とラベルを貼るだけで、気持ちが楽になります。
③ ママ自身の気持ちを誰かに話してOK
発達障害の子育ては、孤独になりがち。
でも、ひとりで抱える必要はありません。
- パートナー
- 友だち
- 発達支援センター
- オンラインコミュニティ
どこでもいいので、安心して話せる場所を持っておくと、
ママの心が折れにくくなります。
ママが安心していると、子どもも安心できます。
だから、ママの心のケアは“子どものケアの一部”なんです。
【ママの不安を軽く】学習障害でも大丈夫!将来につながる力と希望のストーリー
学習障害(LD)と聞くと、「この先どうなるんだろう…」「うちの子だけ取り残されないかな…」と、不安で胸がギュッとなるママさんは本当に多いです。
でも実は、
学習障害があっても、将来の選択肢はたくさんあるし、活躍している大人もたくさんいます。
大事なのは「苦手」だけを見るのではなく、
その子の強みや興味が伸びる環境をつくってあげること。
ここでは、未来に希望が持てるお話を、やさしくまとめていきます。
学習障害は一生の困りごとではない|大人になって活躍する人の共通点



学習障害って聞くとさ、
『この先ずっと困ったままなのかな…』って不安になるよね。



実はね、“苦手とどう付き合うか”を早くから練習できる人とも言えるの。



自分に合ったやり方を探したり、得意な分野に全力投球したり、
道具や周囲の助けを上手に使ったり――そういう力は、大人になってからもすごく役に立つのよ。



たしかに、“得意に全振りする大人”って強そう。



うん。だから、苦手をゼロにすることよりも、“その子が輝ける場所を見つけること”のほうが大事なの。



なるほど…“できないこと”の数じゃなくて、“自分の道を見つける力”が将来につながるんだね。
学習障害は「一生治らない」というイメージを持つ人もいますが、正しくはその逆。
学習障害は“成長と工夫”で困りごとは大きく変わります。
もちろん、苦手そのものが完全になくなるわけではありません。
でも、子どもが大きくなるにつれ、
- 自分に合った覚え方
- 無理のないやり方
- 得意を活かす道
- 負担を減らすツール(ICTなど)
こうした「工夫」がどんどん身についていきます。
そして大人になる頃には、
“苦手とうまく付き合う力” が強く育ち、日常生活で困る場面は大きく減っていきます。
実際に活躍している大人たちの共通点
世の中には、ディスレクシアやディスカリキュリアがあると言われる有名人や起業家、アーティストがたくさんいます。
(※個人名は控えつつ、一般的な傾向としてお話します)
彼らに共通しているのは…
- 興味のあることに夢中になれる力が強い
- 得意を伸ばす環境を見つけられた
- 苦手を補う方法(道具・工夫)を見つけた
- 自分の特性を理解している
- 支えてくれる人がいた
つまり、
“苦手の克服”よりも“得意を発揮できる場”があるかどうか が、将来の成功に大きく影響するということです。
学習障害は“能力の限界”ではなく、
“学び方の方向がちょっと違うだけ” なんですね。
他の子と比べなくてOK|発達のデコボコは誰にでもある理由
ママが一番つらくなるのが、
「どうしてうちの子だけ…」
「同じ年の子はもっとできてるのに…」
と比べてしまう瞬間だと思います。
でも、ここはぜひ知ってほしいポイントがあります。
① 発達はもともと“デコボコで当たり前”
子どもの発達は、きれいな右肩上がりではありません。
- 言葉が早い
- 運動が得意
- 社会性が強い
- 視覚認知が得意
- 聴覚処理が得意
など、発達の伸びる場所は一人ひとり違います。
むしろ、
「全部平均」な子どものほうが珍しいくらい。
学習障害は、そのデコボコが特にハッキリ見えるだけなんです。
② 苦手がある=成長が遅い、ではない
数学が苦手でも、絵がとても得意だったり、
読み書きが苦手でも、人の話を聞く力が驚くほど強かったりします。
学習障害のある子どもには、
- 観察力
- 想像力
- 直感力
- 創造性
- 手先の器用さ
など、独自の強みを持っていることが本当に多いです。
だから、
「苦手=その子の価値」ではない
ということを忘れないでほしいんです。
③ 比較は“心のエネルギー”を削るだけ
ママ自身が苦しくなってしまうと、子どもにもその不安が伝わってしまいます。
もちろん比較してしまうのは自然なことですが、
そのたびに心の中でそっとこう言ってみてください。
「うちの子はうちの子のペースで伸びている」
この言葉は、ママの心を守る“小さなお守り”になります。
相談できる場所一覧|発達相談・地域支援・オンラインサービスまとめ
ひとりで抱え込まないことは、子どものためにもママのためにもとても大事です。
でも、「どこに相談していいのかわからない…」という声が多いのも事実。
そこで、全国どこに住んでいても利用しやすい相談先をやさしくまとめました。
① 市区町村の“発達相談窓口”
まず最初に相談しやすい場所が、自治体の相談窓口です。
- 保健センター
- 子ども家庭センター
- 発達支援センター
など、どこかしらに「発達に関する相談」ができる部署があります。
費用は基本無料で、匿名相談ができる地域もあります。
② 学校(担任・特別支援コーディネーター)
学校には、
「特別支援コーディネーター」
と呼ばれる専門の先生が必ずいます。
- 学習の困りごと
- 配慮の相談
- 他の専門機関とのつなぎ
- 個別の支援計画のサポート
こうしたことをしてくれる、とても心強い存在です。
担任の先生に「相談したいです」と伝えれば、つないでもらえます。
③ 発達外来・小児神経科
学習障害の診断や、他の発達特性(ADHD、ASDなど)の有無も含めて確認したい場合は、医療機関が適しています。
- 発達外来
- 小児神経科
- 小児精神科
などが対象です。
医師に相談すると、
学校への支援依頼や、専門的なアドバイスも受けられます。
④ 児童発達支援・放課後デイサービス
学習支援だけでなく、
- コミュニケーション
- 自己肯定感
- 感覚遊び
- 集団生活の練習
など、総合的な支援が受けられます。
専門職(作業療法士、心理士など)がいることも多く、とても心強い場所です。
⑤ オンライン相談サービス
近年は、
- 発達相談
- 子育て相談
- 学校での困りごと相談
などをオンラインで受けられるサービスも増えています。
外出不要で利用できるので、
小さなお子さんがいても相談しやすいのが魅力です。
⑥ ママ向けコミュニティ・SNS
同じ悩みを持つママ同士のつながりは、心の支えになります。
- X(旧Twitter)
- 発達支援コミュニティ
などでは、経験者のリアルな声が聞けたり、「うちも同じだよ」と共感してもらえる場所があります。
相談は“早すぎる”ことも“遅すぎる”こともない
どのタイミングで相談しても大丈夫。
むしろ、
「ちょっと気になるんだけど…」という段階で相談するほうが、子どももママもラクになることが多いです。
【まとめ】学習障害とは?わかりやすく理解することが支援の第一歩
ここまで、学習障害(LD)の特徴や原因、家庭でできる支援、学校での配慮、声かけのコツなどを、できるだけやさしくまとめてきました。
たくさんの情報がありましたが、どれも大切な理由があります。
学習障害を知るということは、
「うちの子の困りごとを正しく理解して、ラクにしてあげる方法が分かる」
ということだからです。
そしてもうひとつ、忘れてはいけないポイントがあります。
それは、
「学習障害は、その子のすべてを決めるものではない」
ということ。
読み書き・計算が苦手でも、想像力が豊かだったり、観察力が鋭かったり、人の気持ちに寄り添える優しさがあったり…。
学習とは別の場所に、輝く才能を持っている子も本当にたくさんいます。
この“デコボコ”こそが、その子の個性であり魅力です。
だからこそ、苦手を悪いものと決めつけず、
その子に合った関わり方を知ることが、いちばんのサポートになるんですね。
最後に、今日から意識できる大事なポイントをまとめてお伝えします。
今日からできる3つのポイント|学習障害支援の基本まとめ
学習障害の支援は、いきなり全部を変えなくても大丈夫。
家庭で今日からできる、ちょっとした工夫を積み重ねるだけで、子どもの「やりやすさ」は大きく変わります。
ここでは、忙しいママでも取り入れやすい 3つのポイント を紹介します。
① 苦手を責めず、まずは“理解する姿勢”を大切にする
学習障害の子どもたちは、努力しても成果につながりにくい特性を抱えています。
それは能力の問題ではなく、脳の情報処理の違いです。
まずは、
- なぜつまずくのか
- どうして疲れやすいのか
- どこが負担になっているのか
これを知るだけでも、声かけや関わりが変わります。
ママの「わかったよ」の一言は、子どもにとって大きな安心になります。
② “できる方法”を選ぶ|読み上げ・タブレット・具体物の活用OK
読みが苦手なら読み上げ機能、
書くのがしんどいならタブレット入力、
計算が難しければブロックで数を見える化。
昔のように、「すべて手作業でやるのが正しい」という時代ではありません。
今は、子どもが理解しやすい方法を選んでOK。
むしろ “その子に合ったやり方を選べる力” のほうが将来に役立ちます。
③ 毎日の中に“成功体験”をひとつ入れる
学習障害のある子どもほど、
「できた!」という感覚が自信につながるスピードが早いです。
- 1行読めた
- 1問できた
- 丁寧に1文字書けた
- 苦手なことにちょっと挑戦できた
どんな小さなことでもかまいません。
この成功体験は、やる気の基礎になるだけでなく、
将来の「自分で選ぶ力」にもつながります。
ママへ伝えたいメッセージ|“うちの子らしさ”を大切にできる子育てを
最後に、この記事を読んでくださったママへ。
きっと、ここまで読み進める間にも
「うちの子のことだ…」
「どうしても比べてしまう…」
「もっと楽にしてあげたい」
いろんな気持ちが浮かんできたと思います。
まずは、
その気持ちの全部が“愛情そのもの”だということを忘れないでください。
学習障害がある子どもは、
- 無理をしやすい
- 自分を責めやすい
- 失敗体験が積み重なりやすい
そんな特徴を持ちながらも、
本当にまっすぐで、努力家で、優しい心を持っています。
そして何より、
お子さんが安心して挑戦できる環境は、ママの存在があってこそ作られます。
ママが完璧である必要はありません。
優しくできない日があっても、イライラしてしまう日があっても、
それで関係が壊れることなんてありません。
大切なのは、「うちの子らしさ」を大切にしながら、
少しずつ“できる道”を一緒に探していくこと。
その積み重ねが、
お子さんにとって何よりの安心であり、
将来につながる大きな力になります。
以上【学習障害とは わかりやすく|不安がスッと軽くなる優しい入門ガイド】でした










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