何度も同じ質問をする発達障害・自閉症の子|親のリアル体験談と気づき

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発達障害・自閉症の子が同じことを繰り返すときのリアルな親の記録

「ねえ、今日誰が来るの?」「明日も公園行く?」
――こんなやりとり、一日に何回も繰り返しているご家庭は少なくありません。
最初は笑顔で答えていても、時間が経つと「また同じ質問だ…」と心の中でため息が出てしまうこともありますよね。

私自身、最初は「なんでそんなに何回も聞くんだろう?」と不思議で仕方ありませんでした。
でも調べてみたり、専門家に相談してみたりすると、この“繰り返し会話”にはちゃんと理由があることが分かってきたんです。

日常でよくある繰り返し会話の様子

繰り返し会話といっても、その形はさまざまです。

  • 予定の確認型:「今日の晩ご飯なに?」を1時間おきに聞く
  • 反響言語型(エコラリア):テレビや人のセリフをそのまま繰り返す
  • こだわり型:好きなアニメや電車の話題を延々と続ける
  • 確認型:同じ質問をして、答えが変わらないかを試す

特に発達障害や自閉症のあるお子さんは、予測できること・安心できる情報を何度も確認する傾向があります。
一方で、ただの口癖やマイブームで繰り返している場合もあり、見極めが難しいのも事実です。

親が感じる戸惑いや悩み

親の立場からすると、繰り返し会話は「相手をしてあげたい気持ち」と「正直疲れてしまう気持ち」の間で揺れることが多いです。
さらに、時間がない朝や外出前などに同じ質問攻撃を受けると、つい「もうさっき答えたでしょ!」と強い口調になってしまうことも…。

また、周りの子どもたちとの会話が噛み合わず、友達関係に影響してしまうのでは…と心配になる声もよく聞きます。

記事の目的:体験談を通して安心と解決のヒントを得る

このように、繰り返し会話は日常的に起こりやすく、親にとって負担になりやすい行動ですが、必ずしも“やめさせるべき悪い行動”ではありません。
むしろ、その背景や意味を理解することで、より効果的で優しい対応ができるようになります。

この記事では、実際に繰り返し会話と向き合ってきた親の体験談を中心に、成功例・失敗例・年齢別の工夫などを紹介します。
読むことで、「あ、うちも同じだ」と安心しつつ、明日から試せる具体的な対応のヒントを持ち帰っていただけるはずです。

同じことを何度も言うのはなぜ?発達障害・自閉症の子に多い行動パターン

お子さんが同じ質問やセリフを何度も繰り返すと、「もしかして特性なのかな?」「ただの癖?」と迷うことってありますよね。
実は、繰り返し会話にはいくつかのパターンがあり、それぞれに意味や背景があります。

よくある4つの繰り返し会話のタイプ

  1. 質問型
     例:「今日、保育園で誰が来るの?」「明日の天気は?」を1日に何度も聞くタイプ。
     → 安心感や予定の予測可能性を求めていることが多く、返事によって落ち着く場合があります。
  2. エコラリア型
     例:テレビで聞いたセリフや歌詞をそのまま繰り返す。
     → 言葉の響きやリズムが心地よかったり、言語の練習気持ちの表現方法になっていることも。
  3. こだわり型
     例:好きな電車の時刻表やキャラクターの話を延々と続ける。
     → 興味関心が限定的で、その話題を通じて自分の世界を楽しんでいる場合が多いです。
  4. 確認型
     例:「この服でいい?」と何度も聞き、同じ答えを求める。
     → 答えが変わらないことで安心を再確認しているケースがあります。

日常で出やすいシーンと親の困りごと

繰り返し会話は、特に以下のような場面で出やすいです。

  • 朝の支度中:「今日は誰が送ってくれるの?」を連発
  • お出かけ前:「いつ行く?」「何時に帰る?」の繰り返し
  • 寝る前:翌日の予定や好きな話題を何度も確認

親としては、時間がないときや急いでいるときに繰り返されると疲れてしまうのが本音。
また、友達との会話がかみ合わず、「変に思われないかな…」と心配になることも少なくありません。

一時的な癖と特性による行動の見分け方

すべての繰り返し会話が発達特性によるものとは限りません。

  • 一時的な癖の可能性が高い場合
     → 新しい言葉や面白いフレーズを覚えて嬉しくて繰り返す
     → 数週間〜数ヶ月で自然に減る
  • 特性による可能性が高い場合
     → 数ヶ月以上続く
     → 生活のいろいろな場面で繰り返しが見られる
     → 繰り返すことで安心する様子や、やめると不安が強まる様子がある

見分けの一つの目安として、「やめたあと不安そうになるかどうか」「繰り返しの頻度・場面の広がり」を観察すると良いでしょう。

親の体験談から見えた!繰り返し行動の5つの理由

実際に多くの親御さんから話を聞くと、「うちの子が同じことを何度も言う理由って、ただの癖じゃなかったんだ!」と気づくことがあります。
ここでは、体験談とともに繰り返し行動の背景にある5つの理由を整理しました。

1.安心感・予測可能性を求めている

あるママは、「毎朝、保育園に行く前に『先生いる?』『○○ちゃん来る?』って必ず聞かれるんです」と話してくれました。
これは先の予定がわかることで安心するタイプの繰り返し。
発達障害や自閉症の子は、予定や環境の変化に敏感なことが多く、予測可能な状況を求める気持ちが強く表れます。

2.情報の確認や記憶の定着

「この前の旅行、何泊だったっけ?」と何度も聞いてくるお子さんもいます。
これは、何度も聞いて記憶を定着させたり、自分の理解が合っているか確認する行動です。
大人でも「あれ、さっきの説明こうだったよね?」と確認したくなることがありますよね。それが日常的に強く表れているイメージです。

3.言葉の響き・リズムを楽しんでいる

あるパパは「CMのセリフや歌の一部分を、延々と口ずさんでるんですよ」と笑っていました。
この場合、意味よりも言葉の音やリズムそのものが楽しいのです。
音楽を聴いて気持ちが上がるように、耳に心地いい言葉は何度でも言いたくなるんですね。

4.不安や緊張を和らげる自己刺激行動

「知らない場所に行くと、同じ言葉を繰り返すことが増える」という体験談もよく聞きます。
これは自己刺激行動(セルフスティミュレーション)の一つで、不安や緊張をやわらげるための自己調整方法です。
大人で言えば、面接前に深呼吸を繰り返すようなもの。お子さんなりのリラックス方法なのです。

会話スキル発達の一環として繰り返す

中には、会話のやりとりを学ぶ練習として同じ質問を繰り返している場合もあります。
あるお母さんは「返事をもらうことで、やりとりのパターンを学んでいる気がします」と話していました。
これは将来的なコミュニケーションの土台になる大切なステップ。
繰り返しは、必ずしも「やめさせるべきもの」ではなく、成長の一部として見守る必要もあります。

幼児期から高学年まで|年齢別に見る繰り返し会話の変化

同じことを繰り返す行動は、年齢とともに少しずつ変化していきます。
「ずっと同じなのでは?」と思っていても、実は成長に合わせて理由や頻度が変わっていることも多いんです。
ここでは、幼児期から高学年までの変化を、親御さんの体験談とあわせて見ていきましょう。

幼児期(3〜6歳)の特徴と対応の工夫

この時期は、安心感を得るための繰り返しが特に多く見られます。
たとえば、「今日保育園ある?」「ママお迎え来る?」と、毎日のように同じ質問をするケース。
幼児期は言葉や記憶がまだ発達途中なので、何度も確認して安心したい気持ちが強いのです。

また、音や響きに敏感なお子さんは、お気に入りのセリフや歌を延々と繰り返すことも。
こうした行動は「やめさせる」よりも、別の楽しい活動に移行させる工夫が有効です。
例えば、絵カードで「今日はこれをするよ」と見せたり、遊びにリズムや歌を取り入れてあげると、自然と安心感を得られます。

小学校低学年での変化と新たな課題

小学校に入ると、繰り返しの内容がより複雑になります。
「明日の授業は何?」や「宿題はこれだけでいい?」など、学校生活に関する確認が増える傾向があります。

親御さんの声では、「朝から寝る前まで同じ質問をされてクタクタになる」という方も多いです。
これは、新しい環境や集団生活に伴う不安が背景にあることも。
低学年では、まだ言葉で自分の気持ちを説明する力が育ちきっていないため、質問という形で不安を表現することがよくあります。

対応のコツは、視覚支援で予定を見える化すること
カレンダーやスケジュール表に授業内容や持ち物を貼っておくと、「聞かなくてもわかる」状態になり、繰り返しが減るケースもあります。

高学年以降に見られる成長と改善例

高学年になると、繰り返し行動の頻度や内容が落ち着いてくるケースが多いです。
「何度も聞くより、自分で確認する方法を覚えた」というお子さんも増えてきます。
例えば、質問帳やメモ帳を使って、自分で答えを探す習慣がつくと、自然と会話の繰り返しが減っていきます。

もちろん、完全になくなるわけではありません。
テストや行事など、緊張する出来事の前には再び繰り返しが増えることもあります。
そんな時は、「ああ、今ちょっと不安なんだな」と理解し、成長の一部として受け止める姿勢が大切です。

成功した対応法|体験談から学ぶ家庭でできる実践例

繰り返し会話は「どう対応したらいいの?」と悩む親御さんが多いですが、実は家庭でできるちょっとした工夫で、回数を減らしたり、親子の負担を軽くできることがあります。
ここでは、実際の体験談から効果のあった方法をご紹介します。

視覚支援(スケジュール表・カウンター)で見通しを持たせた

「あと何回聞いたら終わりか」が目でわかるようにするだけで、繰り返しが減ったという声はとても多いです。
例えば、1日の予定を絵や文字で貼ったスケジュール表や、質問のたびにカウンターを1つ減らす方法。

あるお母さんは、質問をされたらスケジュール表を一緒に見ながら答えるルールにしたところ、「質問の回数が半分以下になった」とのこと。
“見える化”は安心感につながるので、特に不安からくる繰り返しには効果的です。

質問帳・質問タイムなど代替行動を取り入れた

質問が止まらないときに、「聞かないで我慢して!」はなかなか難しいですよね。
そこで有効なのが、質問を紙に書きためる“質問帳”や、「1日3回だけ質問タイムを作る」という方法。

あるご家庭では、子どもが聞きたいことをメモしておき、決まった時間にまとめて答える習慣を取り入れたそうです。
結果、その場で聞きたい衝動が落ち着き、家族の会話も穏やかになったとのこと。

肯定的な声かけで回数減少をサポート

繰り返し行動にイライラしてしまうのは自然なことですが、叱るより肯定的に声をかけるほうが効果的です。
「ちゃんと確認できてえらいね」「よく覚えていたね」といった肯定的なフィードバックをすると、子どもも安心して行動を減らしていきやすくなります。

あるお父さんは、「聞く前に自分で予定を見られたときに褒める」習慣を続けた結果、質問が自然と減ったと話しています。

家族全員でルールを統一し混乱を防いだ

繰り返し会話への対応は、家族全員で統一することが大事です。
誰かは答えるけど、誰かは答えない…となると、子どもは混乱してしまい、逆に質問が増えることも。

ある家庭では、「質問はスケジュール表を一緒に見る」「答えるときは短くシンプルに」というルールを全員で共有したところ、家庭全体のストレスが減ったそうです。

この4つは、どれも家庭で今日から始められる実践例ばかりです。
次のステップとしては、「自分の子どもに合った組み合わせ」でアレンジしていくと、さらに効果が高まります。

失敗した対応法と改善のヒント

繰り返し会話への対応は、正解がひとつではありません。
でも、親として「つい」やってしまう方法の中には、逆効果になるパターンもあります。
ここでは、実際の体験談から見えた失敗例と、その改善策をご紹介します。

無視して逆効果になったケース

「何度も同じことを言うから、もう無視しよう…」と考えるのは自然なことです。
しかし、特に不安や確認欲求からくる繰り返しの場合、無視は不安を増幅させることがあります。

あるお母さんは、「答えてもらえない=もっと聞かなきゃ」と子どもが感じてしまい、質問の回数が倍に増えてしまったそうです。
改善のヒントは、“反応しない”のではなく“反応の仕方を変える”こと。
例えば、短く同じ言葉で答える、スケジュール表を指差すなど、安心感を与えつつ会話を短縮する工夫が有効です。

強く叱って自己肯定感を下げてしまったケース

「もういい加減にして!」と強く叱ってしまうと、自己肯定感を傷つけてしまうことがあります。
子どもは「ダメなことをしている」と思い込む一方で、行動の理由が満たされていないため、繰り返しが減らないケースも多いです。

あるお父さんは、叱ったあとに子どもが口数自体を減らし、会話そのものを避けるようになった経験があるそうです。
改善のヒントは、叱るのではなく方向づけること。
「その質問は質問帳に書こう」「あと1回で終わりだよ」と、行動を切り替えるための具体的な提案が効果的です。

対応が日によって変わり子どもが混乱したケース

昨日は笑顔で答えてくれたのに、今日は「やめなさい」と怒られる…。
こうした対応の一貫性のなさは、子どもに混乱を与え、「じゃあ今日はどう反応するの?」と余計に確認したくなる原因になります。

ある家庭では、母親と父親で対応ルールが違ったため、子どもがどちらの反応を信じればいいかわからなくなり、繰り返しがエスカレートしたそうです。
改善のヒントは、家族全員で同じ対応ルールを決めること。
ルールを紙に書き出し、家族全員が見える場所に貼っておくと、迷いが減り、子どもも安心します。

このように、失敗例は決して「ダメな親だから起こる」ものではなく、誰でもやってしまう可能性のある自然な反応です。
大切なのは、その経験を踏まえて次のステップに活かすこと。
むしろ失敗を経たほうが、より子どもに合った対応法が見つかることも多いんです。

親の心を軽くするための3つの工夫

繰り返し行動への対応は、子どもだけでなく親にもエネルギーを使うもの。
毎日同じやりとりが続くと、つい気持ちが疲れてしまうこともありますよね。
そんなときは、「子どもに合わせる」だけでなく「自分を整える」ことも大事です。
ここでは、親の心を軽くするために実践しやすい3つの工夫をご紹介します。

1.自分の時間を確保してリフレッシュ

子育て中は、「自分の時間なんて無理…」と思いがちですが、ほんの5〜10分でも自分だけの時間を作ることが気持ちの切り替えにつながります
コーヒーをゆっくり飲む、好きな音楽を聴く、スマホで趣味の動画を見る…内容は何でもOK。

実際に、毎朝10分間だけベランダで深呼吸をしてから家事を始めるママは、「その時間があるだけで子どもへの対応が穏やかになる」と話していました。
小さなリフレッシュを習慣化することで、気持ちの余裕を保てます。

2.同じ悩みを持つ親とのつながりを持つ

「うちの子だけじゃないんだ」と感じられることは、精神的な支えになります。
発達障害や自閉症の子を育てる親同士が集まるオンラインコミュニティや交流会では、日常の小さな成功体験や失敗談を共有でき、気持ちがぐっと軽くなることも多いです。

特に、他の家庭の工夫や便利グッズ情報は、「それ試してみよう!」と行動のきっかけにもなります。
孤独感を減らし、ポジティブな気持ちを保つためにも、横のつながりは積極的に持つ価値があります

3.専門家の助言で新しい視点を得る

毎日一緒にいると、つい視野が狭くなってしまいがちです。
そんなときこそ、専門家の第三者目線が役立ちます。
児童発達支援や発達支援センター、学校の特別支援コーディネーターなどからのアドバイスは、親が気づけなかった視点や対応法を教えてくれることがあります。

例えば、あるママは「質問攻めで困っていたけど、専門家に『質問帳』を勧められたことで一気に会話が落ち着いた」そうです。
客観的な意見を取り入れることで、親も子もラクになる対応法が見つかるんです。

この3つの工夫は、どれもすぐに始められるものばかり。
「子どもにいい支援をするために、まずは親が元気でいることが大事」――この意識が、長く続く育児の中での支えになります。

まとめ|完璧じゃなくていい、少しずつ変わっていけばいい

繰り返し行動は、一見すると「困った癖」のように感じるかもしれません。
でも実は、子どもにとっての安心材料であり、成長の過程でよく見られる行動のひとつです。
その背景には、不安を和らげる、自分なりに情報を整理する、言葉を楽しむ…といった、発達上の理由があります。

親としては「なんとかしなきゃ!」と焦る気持ちが出てしまいますが、成功も失敗も含めて、それが親子の成長につながるんです。
ある日はうまく対応できても、別の日にはうまくいかない…そんな波があるのは当たり前。
むしろ、その繰り返しを通して、子どもも親も少しずつ前に進んでいきます。

そして何より大切なのは、小さな変化をちゃんと喜ぶこと
昨日より1回減った、同じ質問でも笑顔で答えられた、言い方が柔らかくなった――こうした小さな進歩こそが、大きな成長の土台になります。

長い目で見守りながら、「今日はここまでできたね」と声をかけてあげる。
その積み重ねが、子どもの自信につながり、親自身の心も軽くしてくれます。
完璧を目指す必要はありません。少しずつ、着実に、変わっていけばそれで十分なんです。

以上【何度も同じ質問をする発達障害・自閉症の子|親のリアル体験談と気づき】でした

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この記事を書いた人

約30年の間に培った障害福祉分野での知識や経験を、このブログで余すことなくお伝えしていきます。
所持資格:社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員等

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