発達障害児の不適応行動に対し「しちゃダメ」を伝える効果的な方法とは?

Q.発達障害のある3歳の男の子を育てている新米ママです。息子は執拗に部屋のドアノブをガチャガチャと何度も触ったり、お昼寝時間中にカーテンを開けたり閉めたり、またインターフォンを繰り返しつけたり消したりしながら楽しんでいます。そんな息子にしてはいけないことをどのように伝えたら良いですか?

A.発達障害の子どもに対して「してはいけないこと」を伝えるのは、一筋縄ではいかないことが多いです。しかし、適切な方法を用いることで、子どもにとって理解しやすく、また安心感を与えることができます。
ここでは、具体的な例を挙げながら、発達障害の3歳児に対して効果的な伝え方やアプローチの仕方について説明していきます。

目次

シンプルな指示で伝えるコツ


発達障害を持つ子どもに指示を伝える際には、言葉をシンプルにすることが非常に重要です。具体的で短い言葉を使い、余計な情報を省くことで、子どもが何をすべきかを理解しやすくなります。

たとえば、「靴を履いて外に行こうね」と言うだけで、子どもにとって次の行動が明確になります。

これは、情報の処理が難しい子どもでも、ストレスを感じることなく指示に従えるようにするための基本的な方法です。

発達障害の子どもは、複雑な指示や長い説明を理解するのが難しいことがありますので、短くて明確な指示を出すことが重要です。

子どもが理解しやすい言い方のポイント

シンプルな言葉に加え、子どもが理解しやすいように指示を出す際には、具体性が鍵となります。

たとえば、「ちゃんと片付けなさい」ではなく、「ブロックは箱の中に入れてね」と具体的に伝えることで、子どもが何をすべきかをより明確に理解できます。

また、トーンや表情も重要で、穏やかで安心感を与える話し方を心がけることが、子どもの理解を促進します。

  • ドアノブを触らないでね。
  • カーテンは触らないよ。
  • インターフォンは押さないよ。

  • このように「〇〇をしないでね」といった指示の出し方は、具体的であり、子どもにとって理解しやすいものです。

    そして、同じ指示を一貫して繰り返すことで、子どもがルールを覚えやすくなります。

    視覚的サポートで理解を助ける

    発達障害を持つ子どもには、視覚的サポートが非常に有効です。

    言葉だけで理解が難しい場合、絵や写真、ピクトグラム(簡単な絵やシンボル)を使って伝えると効果的です。

    例えば、日常のルーティンを絵カードで示すことで、子どもは次に何をするべきかを視覚的に把握できます。

    これにより、安心感が生まれ、行動がスムーズに進みます。

    効果的なビジュアルサポートの活用例

  • ドアノブを触らないことを示すために、ドアノブに「触らないで」というシンボルを貼る。
  • カーテンに「触らない」という絵を貼る。
  • インターフォンに赤い斜線の入ったマークを付ける。

  • 言葉で伝えるよりも、写真や絵カードを使って具体的に「何をしてはいけないのか?」ということを伝えたほうが、よりスムーズに理解できたりもします。

    他にも、ビジュアルサポートには多様な方法がありますが、子どものニーズに合ったものを選ぶことが重要です。

    たとえば、

  • 朝の準備が苦手な子どもには、起床から学校に行くまでの手順を絵カードで示します。
  • 感情を表すカードを使うと、子どもが自分の感情を表現しやすくなります。

  • こうした視覚的なサポートは、子どもの自立を促し、日常生活の安定感を高める効果が期待されます。

    ポジティブな強化で自信を育てる


    子どもが指示を守った時に、テンションが上がるよう盛大に褒め称えることは凄く効果的です。
    また、前向きな気持ちになれるような、思いや感想、意見を伝えることで、望ましい行動を増やしていけるようにもなります。これには、褒め言葉や小さなご褒美が含まれます。

    また、良い行動が見られたときは、具体的に褒めることが大切です。

    「お片付けが上手だね、助かったよ」といったように、「具体的に何が良かったのか?」「何が嬉しかったのか?」を伝えると、子どもは自分の行動が評価されていると感じ、自信が育ちます。

    このアプローチ方法は、自己肯定感を高め、社会的スキルの向上にもつながります。

    良い行動を具体的に褒める方法とは?

  • 「ドアノブを触らなかったね!えらいね!」
  • 「カーテンを触らなかったから、シールをあげるね。」
  • 「インターフォンを押さなかったね。おやつを食べよう!」

  • ポジティブな強化(=嬉しくなるご褒美)を通じて、子どもは正しい行動を繰り返す意欲を持つようになります。

    子どもがニッコリと笑ってくれるような誉め言葉とか、子どもが楽しみにしていることとか、そんな本当にちょっとしたことで全然大丈夫です。

    子どもは嬉しくてもっと褒めてもらいたくなって、良くない行動が減り少しずつ良い行動が増えていくようになります。

    また褒める際には、行動の結果だけでなく、そのプロセスを評価することも重要です。

    例えば「最後まで絵を丁寧に描いたね」というように、努力や集中力を褒めることで、子どもはその行動に価値を感じます。

    また、すぐに褒めることで、その行動が良いものであると強く認識させることができます。

    納得できる代替行動を提案する


    「してはいけないこと」を伝える際には、代わりに何をすれば良いのかを提案することが大切です。

    例えば、危険な場所で遊ぼうとする子どもには、「ここでは遊ばないで、あっちの公園で遊ぼう」と具体的な代替案を提示します。

    こうすることで、子どもは前向きに行動を受け入れやすくなります。

    代替行動を示すことで、子どもは自己規制を学び、適切な行動を選択する力が育ちます。

    してはいけないことを避けるためには、代わりにしても良いことを提供することが効果的です。これにより、子どもが興味を持ち、安心して遊ぶことができます。

    子どもが受け入れやすい行動例

  • ドアノブを触りたい時には、おもちゃのドアノブや別の触っても良い物を提供する。
  • カーテンを触りたい時には、触っても良い布や同じ感覚を味わえるおもちゃを用意する。
  • インターフォンを押したい時には、おもちゃのボタンやリモコンを使わせる。

  • 「やっちゃダメだよ」と言われただけでは、じゃあ何したら良いの?と思うのが子ども。

    してはいけないことを「やんわりと」かつ「毅然とした態度」で伝えた後は、代わりにしても良いことを示してあげ、実際それに取り組めたときは盛大に褒める!これを繰り返すことで、子どもの不適応行動が減り適応行動が増えていくようになります。

    そして、代替行動を提案する際には、子どもの興味や発達段階を考慮することが重要です。

    例えば、

    外で遊びたい子どもには、安全に遊べる公園や庭での活動を提案します。
    絵を描くのが好きな子どもには、「壁ではなく、この紙に描いてみよう」と具体的な選択肢を提供します。

    これにより、子どもは自分で選択できると感じ、積極的に行動を受け入れるようになります。

    家庭で一貫性を持つ大切さ

    家族全員が同じルールを守り、一貫した対応をすることが重要です。

    異なる対応をすると、子どもが混乱し、ルールを理解しにくくなります。

    一貫性がないと、子どもは混乱し、不安を感じることが増えますので、家庭内で一貫した対応を取ることは、子どもが安心して成長するための基盤です。

    家族全員が同じルールを共有し、一貫した対応を取ることで、子どもは明確な期待を持ち、安定した環境で育つことができます

    家族全員で統一した接し方をする秘訣

    一貫性を保つためには、家族全員がコミュニケーションを密にし、共通の理解を持つことが不可欠です。

    日頃から、話し合う機会を設け、接し方や対応方法について確認すると効果的です。また、壁にルールや方針を掲示すると、全員が一貫した対応を取ることができるようになっていきますので、子どもが安定した環境の中で成長できるようになります。

  • 家族全員が「ドアノブを触らない」というルールを守る。
  • 全員が同じタイミングで「カーテンを触らない」という指示を出す。
  • インターフォンに関しても、一貫した対応をする。

  • 例えば同じことをしても、「お母さんからはダメと言われたけど、お父さんからは何も言われなかった。お爺ちゃんはニッコリ笑ってくれた。」といった状態ですと、子どもからしたら何が正解でどうすれば良いのか分からず混乱してしまいます。

    お父さんもお母さんも、お爺ちゃんもお祖母ちゃんも、家族みんなが同じタイミングで同じ伝え方をすることが重要です。

    場面に合わせた柔軟な対応がカギ

    発達障害を持つ子どもには、一貫性と同時に柔軟な対応も必要です。

    子どもの状態や気分、環境に応じて対応を調整することで、より効果的なサポートが可能になります。

    例えば、子どもが特に疲れている日は、通常のルールを一時的に緩和することで、ストレスを軽減できます。また、新しい環境に適応する際は、段階的に変化を取り入れると良いでしょう。

    柔軟な対応が、子どもの情緒的な安定を保ち、長期的な成長を支える基盤となります。

    特定の状況に応じて、柔軟に対応することも必要です。子どもの状態やその時の気分に応じて、アプローチを調整することが求められます。

    子どもの状態に応じた環境づくりの重要性

    柔軟な対応を可能にするためには、子どもの状態に応じた環境づくりが重要です。

    たとえば、

    集中力が必要な活動には静かな場所を用意し、遊び時間には開放的なスペースを提供するなど、環境を工夫することで、子どもは安心して活動に集中できます。

    感覚過敏な子どもには、音や光の刺激を減らすことで、過剰なストレスを避けることができます。適切な環境を整えることが、子どもの健やかな発達を支える重要な要素です。

    例えば

  • 子どもが疲れている時やストレスを感じている時には、特に優しく説明する。
  • お昼寝中にカーテンを触る場合は、眠りやすい環境を整えるために、カーテンに触れないようにする工夫をする。

  • 「○○しません」とやんわりとでも毅然とした態度で伝えることが大切ではありますが、そのときの子どもの状態によっては、分かってはいても素直になれなかったりすることもあります。そんなときは、カウントダウンの手法(10.9.8・・・2.1.0)を使ってみるのもおすすめです。

    しかし、なによりも不適応行動をさせない環境を周りの大人が整えることが大切で、何かよくないことをしてから伝えるよりも、よくないことをさせない、よくないことができないようにしてあげ、失敗経験をさせないことが最も大切になってきます。

    まとめ

    発達障害を持つ子どもに対する対応には、シンプルな指示、視覚的サポート、ポジティブな強化、代替行動の提案、一貫性と柔軟性のバランスが不可欠です。

    これらのアプローチを組み合わせることで、子どもは安心して成長し、自己肯定感を高めることができます。

    家庭内での一貫した対応と状況に応じた柔軟な対応を組み合わせることで、子どもの未来をより豊かで明るいものにしていきましょう。

    家族全員が協力し、日々のルーティンを確認し、一貫性を持って対応することが、子どもに最適なサポートを提供するための鍵となります。

    発達障害の3歳児に対して「してはいけないこと」を伝える際には、以下のポイントを心がけると効果的です。

  • 明確で簡単な指示を出す。
  • ビジュアルサポートを活用する。
  • ポジティブな強化を行う。
  • 代替行動を提供する。
  • 一貫性を保つ。
  • 場面に応じた指導を行う。

  • これらの方法を組み合わせることで、子どもが安心して理解しやすい環境を整えることができます。家族や周囲の人々が協力し合い、一貫した対応を心がけることで、子どもはルールを覚えやすくなり、安心して成長していくことができるでしょう。

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